著 者 佐伊
出 版 リブレ 2023年8月
単行本 312ページ
初 読 2026年03月02日
ISBN-10 479976389X
ISBN-13 978-4799763896
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133790956
この作品、これまでに読んだ中で一番好きだ、と思う。
一読目は、とにかく何が起こるのか、どうなるのか?と先を知りたくて、駆け足で読み飛ばしたので、ラストまで読み終えてから、最初に戻ってじっくりと精読した。なにしろ登場人物が多いし、血縁関係や縁戚関係が入り組んでるので、読みながら人名や用語や設定をメモった。それもまとめようと思っていたが、著者の佐伊さん作の設定集/人物集が「なろう」の作品サイトの冒頭にアップされてるのに気がついたので、そちらを有り難く活用させていただいた。
でもって、一度最後まで読んた後に最初から読むと、物語冒頭のキリアスの行動がいかに、いかにヒドいか良く分かる(^^ゞ
初読時とは全然印象が違うので再読オススメだ。
オルガの出生から現在まで、いかに多くの人がその健やかな成長を切望し、遠くに、近くに見守ってきたか。そしてそれをいかにキリアスが踏みにじったか!初読時とはまるでちがう切なさをひしひしと感じる二読目である。
依代と操者の二人一組で一体の精霊を操作する、そしてその二人の「共鳴」の過程はセックスに通じる感覚である、ってことで全編ややエロい描写が散らばってるが、なにしろ、それも「修行」の一貫なので笑い事ではない。エロ全開のラグーン師匠は大変いい味だしてる。(笑)
依代と操者の二人一組で一体の精霊を操作する、そしてその二人の「共鳴」の過程はセックスに通じる感覚である、ってことで全編ややエロい描写が散らばってるが、なにしろ、それも「修行」の一貫なので笑い事ではない。エロ全開のラグーン師匠は大変いい味だしてる。(笑)
で、さて、一巻目は、14歳になった主人公オルガがおっかなびっくり、精霊師になる修行のためにお山(千影山)に入るところから。
お山に生息する精霊「こだま」はまんま、宮崎駿の『もののけ姫』のイメージで。そして傍若無人な第一王子キリアスとの出会い。大切に育てられた国王の長男が、ちゃんとその血筋ゆえに、育ちゆえに、能力ゆえに、大いに傲慢ワガママに育っている。お手軽ファンタジーにありがちな由緒正しい品行方正な王子様❤️ではないのだ。こんなところも何気にリアルである。
王位継承権を奪われたからには、ぜったに神獣師になってやる、と手段を選ばず、最短距離で「青雷」をひそかに身のうちに宿すオルガを、強引に我がものにしたキリアス。本当にダメな子なんだが、そのあとはひたすら精進するあたりはやはり、ただのダメっ子ではない。ちゃんとクルトにお仕置き喰らってるしな。ちゃんと努力も出来るし、譲れないところ以外では、師匠の教えに従う素直さもあって、そういうヤツが好きな師匠連中の評価は爆上がりしてるし、ただただ年齢相応な(よりやや幼い)だけのオルガが比較されて可哀想ではある。
そして、なぜオルガは青雷をその身に宿しているのか。オルガの出生の謎は、まだこの巻ではチラ見せ。そして、オルガとの出会いでは、とにかく恐ろしいばかりのカディアス王(キリアス父)。これから巻が進むごとに、彼が舐めた理不尽な辛酸であるとか、彼の愛情のありようであるとかが分かってくるのだけど、とにかく最初はもう、カディアス王との出会いはトラウマ級の恐怖体験でしかない。
オルガよ、よく耐えた。そしてオルガは己の父の名前と己が血筋を知るのだ。
メインのストーリーと併走して、ライキとクルトの紫道、ゼドとセツ、ユセフスとミルドの百花の物語も。ミルドなんか、純愛を通りこしてただの変態・・・・(失礼!)にしか思えないんだけど、それも突き抜ければ一周巡って? あのユセフスが折れて? ・・・・まあ、割れ鍋にとじ蓋的な? ユセフスも、よくわからない人物ではあるのだけど、これからだんだんじわじわと味わい深くなってくるからな。
出 版 リブレ 2023年9月
単行本 312ページ
ISBN-10 479976411X
ISBN-13 978-4799764114
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133790959
1巻の終わで、鳳泉の操者になれ、との国王の意を受けたキリアスは、すでに半年もオルガと別離の状態で修行を重ねている。こいつ、一生懸命でもまだまだ身勝手だな〜と思う。早く覚醒しやがれ。そして、ちゃんとオルガ本位になりやがれ(笑)
物語は、光蟲のイーゼスとハユル、時を一世代遡って、ダナルとルカの物語、さらに前代の鳳泉のガイとリアンの物語も。まだ若いカディアスと、王宮を覆い尽くす不穏。先読という存在が、こんなに不安定で大丈夫なんだろうか? これで、ちゃんとこの国は維持されるのであろうか? と、大いに心配になる。とにかくそれぞれのパートで語られる物語が終始一貫して切ない。そして、どこをどう切り取ってもこれ以上はないってくらい苦労人のカディアス。よくこんな状況で16歳で即位し、耐えてきたな。やっぱりこの物語で一番存在感が大きいのは、カディアス王だろう。この物語は、いわばカディアスが即位してから退位するまでの、一代記でもある。
現在の時点での王宮での事件と場末の娼街での騒乱でついにオルガとキリアスは共鳴し青雷の能力は全開になる。そして、オルガが16歳を迎え、青雷はオルガを離れていく。 オルガは鳳泉を授戒する定めのキリアスの半神足たるべく歩んでいく。これから、いよいよ物語は核心に近づいていく。
書 名 「精霊を宿す国(3)赤い炎の翼」
出 版 リブレ 2024年1月
単行本 336ページ
ISBN-10 4799765760
ISBN-13 978-4799765760
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133790963
色街を襲った大火は、光蟲、紫道、青雷が治め、そして青雷がオルガ16歳の約定の日を迎えて去った。来るべき試練の前にオルガを両親に会わせたいと願ったキリアスがオルガと友に辺境を訪れるところからの王都への召還。
つかのまの穏やかな日々。心休まるオルガの里帰りと、波乱の予感しかないキリアスの里帰り(王宮)。
単行本 336ページ
ISBN-10 4799765760
ISBN-13 978-4799765760
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133790963
つかのまの穏やかな日々。心休まるオルガの里帰りと、波乱の予感しかないキリアスの里帰り(王宮)。
この巻で、オルガ出生に繋がる過去の物語が明かされる。
それにしても、少年期から延々と続く、危機を一人耐えたカディアスである。いくら神獣師達に囲まれ守られていたっていったって、そもそも傲慢不遜な能力至上主義の連中である。助けになってるんだか、圧迫になってるんだか。よくカディアスは心折れず、投げ出さず、耐えたな。それこそが王たる所以か。カディアスとトーヤの愛にも泣かされる。
カディアスに比べたら、キリアスなんて、ほんのひよっこ。キリアスの悩みなんぞ如何ほどのものだろう。
それにしても、少年期から延々と続く、危機を一人耐えたカディアスである。いくら神獣師達に囲まれ守られていたっていったって、そもそも傲慢不遜な能力至上主義の連中である。助けになってるんだか、圧迫になってるんだか。よくカディアスは心折れず、投げ出さず、耐えたな。それこそが王たる所以か。カディアスとトーヤの愛にも泣かされる。
カディアスに比べたら、キリアスなんて、ほんのひよっこ。キリアスの悩みなんぞ如何ほどのものだろう。
それにしても、だ。アジス家の悪習が諸悪の根源ではないか。
やっぱり、先読みとの意思疎通にすら難がある依代でなかったなら、もっと違った物語があったはず、と思ってしまう。
そして、いよいよ次巻では、鳳泉の授戒と、最終決戦である。
書 名 「精霊を宿す国(4)新しき空と神の獣達」
出 版 リブレ 2024年2月
単行本 320ページ
SBN-10 4799766104
ISBN-13 978-4799766101
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133844400
出 版 リブレ 2024年2月
単行本 320ページ
SBN-10 4799766104
ISBN-13 978-4799766101
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133844400
3周くらい読んだ。ついに完結。オルガとキリアスが鳳泉を授戒したものの、なかなかその力を万全に発揮できるようにはならない・・・・ってところで、若干のお笑いパートも差し挟みつつ、セフィストとの闘いが終局に至る。
セフィストと真っ向から戦ったのは、ルカ。そしてその闘いを全力で支えた半神のダナル。おおむね、格好良いところはこの二人に持って行かれてました。とにかく、ダナルの愛が尊い。そして、セフィストを討伐するのではないところにもひとつの愛がある。
そして、隣国との決戦に、鳳泉は間に合うのか。カディアス王が出陣し、ユセフス、イーゼス、ライキもその後を追い国境へ。最終決戦に青雷が参加しなかったのは、たぶん五つの神獣は輪番で代替わりせざるをえないのだから仕方ないんだけど、やっぱり、五大神獣そろい踏みの闘いは観てみたかったかも。しかし、足の悪いユセフスまでが前線に展開した総力戦は読み応えがあった。
セフィストと真っ向から戦ったのは、ルカ。そしてその闘いを全力で支えた半神のダナル。おおむね、格好良いところはこの二人に持って行かれてました。とにかく、ダナルの愛が尊い。そして、セフィストを討伐するのではないところにもひとつの愛がある。
そして、隣国との決戦に、鳳泉は間に合うのか。カディアス王が出陣し、ユセフス、イーゼス、ライキもその後を追い国境へ。最終決戦に青雷が参加しなかったのは、たぶん五つの神獣は輪番で代替わりせざるをえないのだから仕方ないんだけど、やっぱり、五大神獣そろい踏みの闘いは観てみたかったかも。しかし、足の悪いユセフスまでが前線に展開した総力戦は読み応えがあった。
それにしても、カディアス王の治世は波乱に満ちていた。ラストの新王セディアスによる青雷の正戒シーンは、その父カディアスの初めての正戒であったゼドとセツの際の、あの幸福な風景を思い出す。時は螺旋のように巡り、やっと正常で安定した姿をヨダ国は取り戻す。
読後も、余韻が尾をひき、しばらく物語世界で揺蕩っていた。小説というか、ファンタジーというか、ここではない別の世界にしばし飛ばされた気分。こういう作品を書ける人って凄いなー、と心底羨ましいと思ってしまった。
読後も、余韻が尾をひき、しばらく物語世界で揺蕩っていた。小説というか、ファンタジーというか、ここではない別の世界にしばし飛ばされた気分。こういう作品を書ける人って凄いなー、と心底羨ましいと思ってしまった。












