著 者 マーサ・ウェルズ
翻訳者 中原 尚哉
出 版 東京創元社 (2019/12/11)
初 読 2020/01/16
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対人恐怖症で内気な暴走警備ボット。(人間由来のクローンの脳や神経組織や人体パーツと、機械部品のハイブリット。脳や神経があるから、当然痛みや恐怖もあるし、感情や自我だってある。)
イヤなことがあれば、連続ドラマに逃避し、辛いことがあればやはり連続ドラマに耽溺する。
自分は警備ボットでセックスボットじゃない!という自負心から、性的表現には無関心かつ否定的。どこまでもシャイな自称「弊機」は萌え要素バツグン。
だがしかし!
《ART》と渾名された大型調査船のAIがこれまた良い。『本船がはいる』という宣言にキタコレ!
命の選択を迫られるような緊迫した場面で思い浮かぶ、絶対に失いたくないものが、“自由や無制限のダウンロードや、『太陽の島々の物語』の新作エピソードなど。”って引きこもりニートの青年の主張みたいで、このギャップにも大いに萌える。
人間由来の脳神経や人体組織を持ったハイブリッドロボットもしくはサイボーグ?が存在するのは、高度な判断は人間の脳が必要ってことなのかな。制限が外れた思考や感情がおずおずと幅を広げて行く様子がかわいい。それにしても本人かはっきり意識した(気持ち)が「勝ちたい」てところがやっぱり人間だなあと。
素人文系現代人にも理解できる言葉で、脳内で展開されるハッキングによる闘いがうまく表現されているのも良い。翻訳は中原尚哉さん。どうりで安定の読みやすさ。いつもながら素敵な翻訳です。この主人公の自称を《弊機》としたのが素晴らしい。翻訳の勝利といえよう。
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