2024年1月8日月曜日

栗本薫《毒を喰らわば皿まで》企画・読了(未了)後記———結局、毒性の強い麻薬みたいなもん。


 この本↑の中身とはさして関係ないものの、タイトルに気持ちを仮託して。

 さて、一昨年の2022年5月に、薫サンの没後に発表された『ムーン・リヴァー』を読み、いたく感動したところから始まった、今更ながらの栗本薫追い。若き日に読んだ『翼あるもの』がこのように展開していたとはついぞ知らず、『ムーン・リヴァー』→『翼あるもの』再読→『朝日のあたる家』と深追いし、読み友さんの〈キャバレーを見届けろ〉企画を追走。そして栗本薫、本当の絶筆『トゥオネラの白鳥』を読んでしまい・・・・・・このあたりの衝撃は当ブログ記事「0358 トゥオネラの白鳥(栗本薫・中島梓傑作電子全集28【JUNE Ⅱ】収録)」をご参照いただきたく。
 そして、栗本薫よ、なぜそうなった?という今更な嘆きとともに《毒を喰らわば皿まで》企画として、読メで、かつて同人誌として頒布された『矢代俊一シリーズ』を追いかける、という暴挙に出た。
 そこら辺の感想についても、関心のある方はこれまでの記事をご覧いただくとして。
 この間、栗本薫についてアレコレ考えてはみたが、正直、往年の大ファンであらせられる浜名湖うなぎさんの論評に優るものはない。すべてにおいて浜名湖うなぎさんに禿同なので、あっちを読んでくれ!
 浜名湖うなぎさんのブログはこちら

合わせて、年譜2種類も作成
 ◆栗本薫 年譜+作品一覧(一部省略)
 ◆栗本薫自作の矢代俊一年譜をベースにした「東京サーガ」年譜
 
 で、この《毒を喰らわば皿まで》企画であるが、12月30日に、矢代俊一シリーズ23巻がKindle版で発行され、残すところあと2冊とはなった。だがしかし。
 2023年のラスト一冊を、この本で飾る気には到底ならず、2024年の最初の一冊にもする気にはなれなかった。なんなら、読みたいという気にすらなれなかった。25巻まで読んだところで、完結しないのは判っているし、そのうち気を取り直して読むことができたなら、レビューは書き加えよう。そうしよう。ひとまず、この企画はおしまい! なにしろ、12月はたっぷりととっても素敵で上等なBL(M/M)を堪能したのだ。今更、矢代俊一には戻れない。無理無理。そんなこんなで、尻切れトンボではあるが、この企画については終了宣言する。
 残り3冊については、今後読んだらレビューをアップして、リンクはつなげる予定。

 さて、肝心の考証については不十分ながら以下に。 
考察① 栗本薫よ、なぜにこうなった?
 きちんとプロットを立てて、言葉を取捨選択して、前後関係を考証して、書いたら読み直して推敲する。そんなプロとして当たり前な仕事を、なぜ薫サンは出来るようにならなかったのだろう。絶大なファンがいらっしゃるということは承知の上だけど、やっぱり、グインサーガは原因の1つではないかと思う。あれ、100冊書く、じゃなくて100冊で完結させる!ってすれば良かったのに、と今更ながら思う。
 長く書くことだけが目的化したグインサーガのせいで、だらだらと書くことが肯定されてしまったんじゃないか?と思う。自分も最初の20巻かそこらは追いかけていたけど、記憶に残ってるのはスカールがノスフェラスに行って、放射能障害で苦しむあたりまで。ある巻で最初から最後まで会話だけ、みたいなのがあって、そこで見捨てた。このシリーズが100冊だか、200冊だか本棚に並んだときに、価値のあるものになるとは思えなくなったから。当時持っていた本は古本屋に売っぱらったので、手元にはない。

考察② 検証:『トゥオネラの白鳥』の展開には合理性があったのか!?
 これは、検証未了。
 矢代俊一シリーズ16巻以降で、明らかに森田透が別人化して、人格的に劣化の一途を辿るが、このあたりの透視点のスピンオフが何点かある。しかし、販売価格がカンに触って、私は読んでいない。また、良が出所後、透を捨てて英国に武者修行に行ってしまう、というくだりも結局読めていない。それにしても、透の品格が著しく低下したのは間違いなく、透のファンとしては腹立たしいことこの上ない。薫サンて、自分の創出したキャラクターに対する愛が全然感じられないのよ。どうしてなのか、薫サンの作品からは自己愛しか感じられない。読んでいてなぜ、そう感じてしまうのか、文章に人格が滲み出すって不思議なことだと思う。
 それでも、『矢代俊一シリーズ』については、私個人的には、14巻くらいまでは、それなりに面白かった。冒険活劇の側面があって、そこそこスピーディーに展開したからだ。
 だが、「トゥオネラの白鳥」に至る展開に合理性があるのか、ないのか、ということに関しては、結局のところ薫サンが気分の赴くままにかき回しているだけなので、「お前にとっては合理的なんだろうよ、お前にとってはな」としか言いようがない。結論としては、考えるだけ時間の無駄。

考察③ 矢代俊一シリーズの興醒めポイント 
 ひとまず大前提として、『キャバレー』のつっぱり小僧、矢代俊一君が、病弱・姫キャラ・BL受けになっちまったこと、ハードボイルドを地でいってた『死はやさしく奪う』の金井が、俊一にメロメロな絶倫巨根キャラになっちゃったこと、この二人がデキちゃったこと、は受け入れるとして、だ。(←そもそも、コレがダメな人だって沢山いるだろう。)
① 愛情の喩えが「聖母マリア」やら「殉教者」に終始するあたり、発想も表現も貧困。
② 努力と天才の孤高の人だったはず俊一を、実は国宝級天才ピアニストの実子だった、という事にしてしまった。あの才能は実は高貴なお血筋故、となってしまったがっかり感は半端ではない。虐げられた女の子は実はお姫様でした、っていう、低年齢向け少女漫画レベルの幼稚さ。
③ その父親と俊一が似たもの親子で、べたべたと俊一を溺愛する描写がとにかく気持ち悪い。
④ 『翼あるもの』『朝日のあたる家』『ムーンリヴァー』で、自身の不遇を受け入れることで、透徹した美しさを醸した透が、卑猥でうすら暗い絶倫エロキャラと化した。
⑤ とにかくひどいのは文章の劣化。腐った脳みそがだらだらと溶け出てるんじゃないかっていうような、つまらない思考が延々ループ。それが文字起こしされているだけの冗長な文章。推敲すれば1/10の文字数にすらならないだろう。商業出版どころか、同人だって読むに耐えるかどうか、というレベル。
 その他、細かいところでは、黒人キャラの使い方とか、HIV感染についての極めて思慮のない取扱い。だが、書く勢いに思慮が追いつかないのは薫サン、昔からって話もある。
 あと、アメリカツアーに和太鼓を持ち込み、黒の振り袖羽織ってステージに上がるとか、あざとすぎて、音楽で勝負したいと思っている人間の所業とはとても思えん。ここ一番でこういうステージを書いてしまう感性が、薫サンなんだな、と思う。聴衆、観客、読者を舐めてる。


 さて、いろいろと書いてしまったが結局のところ、イヤなら読まなければよい。それだけの話だ。それでもつい読んでしまう中毒性の強さが、結局のところ「栗本薫」なのだ。ドラッグみたいなものだ。

 もとより、私はさほど熱烈なファンでもないし、あの膨大な作品群を読破しているわけでもない。私は『翼あるもの』と、『朝日のあたる家』と、『ムーンリヴァー』に感動して、森田透というキャラクターに入れ込んだだけの、コアな栗本薫ファンからしたらただの“一見さん”だ。(グインサーガの初期と、魔界水滸伝第一部と、ぼくらシリーズとか、レダなんかのSFとか、印南薫くんのとか、伊集院大介もそこそこ読んではいたが。)それでも、この間、こき下ろしレビューを書かずにはいられなかったこの鬱憤は、栗本薫本人とその遺作を管理する御夫君にも責任があると確信している。

 デビュー当時の栗本薫が才能ある作家だったのであれば、なぜ、その才能を育てられなかった?育てるなんて大仰なものでなくてもよい。プロの作家としてあたりまえの、読み直して修正する、推敲する、考証する、という習慣を付けさせることは出来なかったのか?
 まあ、出来なかったのだろうな。出来たらやってるでしょうしね。
 作品を通してさえ、これだけ強烈な個性だ。そばで巻き込まれた人にとっては、それどころではなかったんだろう。
 ただ、一言だけは言いたいね。
 人にみせたら恥ずかしいものは、きちんと家の中にしまっておけよ。御夫君は、〈矢代俊一シリーズ〉1巻冒頭で述べていた最低限の修正くらい責任もって貫徹しろよ。


 さて、2年に渡った栗本薫の今更追っかけレビュー企画については、ひとまずここで終了とする。
 未読の何冊かについては、いずれ読んだり、刊行された時点でレビューをアップし、リンクは繋げようと思う。ラストは、浜名湖うなぎさんも推す、栗本薫のハードボイルド処女作とも言うべき『行き止まりの挽歌』で締めることにしよう。さようなら、栗本薫。

2024年1月3日水曜日

0455 ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「ロイヤル・フェイバリット」
原 題 「His Royal Favorite」2016年
著 者 ライラ・ペース     
翻訳者 一瀬 麻利
出 版 新書館  2020年12月
文 庫 512ページ
初 読 2023年12月31日
ISBN-10 440356044X
ISBN-13 978-4403560446
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/118037864 


     前作「ロイヤル・シークレット」ラストの翌朝からスタート。上下巻でもいいくらいのつながり具合。昨夜、重大な決意をしたものの、すでに翌朝若干及び腰なベンジャミン・・・(笑)
      タイトルの「ロイヤル・フェイバリット」とは、タブロイド紙が、同性であるがために正式な婚姻(教会婚)はできないので「ロイヤル・コンソート」とは呼べないベンジャミン・ダーハムに奉った呼び名。王の恋人を指す、懐古趣味的な呼び方、とは作中の説明。
     どなたかが読書メーターのレビューで書かれていたが、表紙が壮大なネタバレなので、とにかくここを目指して読んでいく512ページです。
     その道のりはまさに、ジェイムスが王位を目指す大波小波。と同時に、まったく主義ではない、制約だらけで自由のない人生を受け入れることができるのか、というベンの葛藤。正直いって、タブロイド紙やパパラッチとの攻防なんてメじゃなかった。愛するジェイムスの為、ベンが未知の領域で努力する。真実の愛だからこそ乗り越えられた数々の困難。王位を失うと知った時の、王位継承のために私生活とプライバシーの全てを犠牲にしてきたジェイムスの怒りはリアルに感じる。
     そして、ジェイムスを守るという一点において、ベンは岩盤よりも強固で頼もしい。おとぎ話のような王室恋愛ものではあるのだが、ベンもジェイムスもその苦悩はリアルで、この2人の信頼と愛に、胸が熱くなる。
     前作ではけっこうチャラいしちょっとガサツだし、ジェイムスに対する振る舞いにはいささかいただけないものもあったように思うベンだが、ジェイムズの為に、(不本意なところはあるものの、)どんどん洗練され、どんどん良い男になっていく。なにしろ、上等なスーツが意外にも似合う男なのだ。ダブルのスーツの肩幅胸幅は男らしく、腰のラインはすっきりと、とても初めてとは思えない風格でバッキンガム宮殿に乗り込み、王族とまみえるベンジャミン。もともとは一匹狼だったベンジャミンが、王室の中で控えめながら筋の通った知的な人間として、地歩を固めていくのが頼もしく心地良い。そしてまた、2人に関わる女性達がチャーミングだ。キンバリーは超有能、カサンドラは逞しく、そして王妃!「私だって現代人になれるのですよ」の台詞に全部もっていかれてないか?
     個人的には、ベンがジェイムスを堂々とゲイクラブに連れ出すシーンがお気に入りです。年末年始をこの本と過ごせて幸せだ。

2024年1月1日月曜日

2023年12月の読書メーター

 2023年の心残りといえば、「BLの教科書」に着手していたのに、まだ第1章で止まっていて、最後まで読めていないこと。昨年くらいから、〇十年ぶりくらいに、BLを読み出したが、さて、自分はBLをどう言う文脈で読むのか。無責任に楽しい、ドキドキする、でももちろん良いのだけど、なぜ〈男×女〉や〈女×女〉じゃダメなのか?ってところが自分的には凄く気になって。元々恋愛ものはさして好きではないので、男×女は別に読みたいと思わない。男が書いたラブロマンスもエロも別に読みたいと思わないし、女が書いた女のエロもロマンスも自分にはフィットしない。BLやM/ Mは自分にとって「ファンタジー」だから読めるのか? それなのに癒やされたり感動したりしてるんだよな、などと思うところがあって、自己分析的に読みたかったのだが、まだまだ途中。さて、年末最後の月に読んだ本は、そんなこんなでBLばっかりでした。「ロイヤル・フェイバリット」は実に良かった。英国文化にも英王室にもさほど詳しくない自分がリアリティを感じられる程度には真実味があった。それにしても、こういう本が認められるほど英国は「民主的」なのか、日々タブロイド紙になぶられているだけに? それともこういう本なぞ歯牙にかけないほど、王室が超越的なのか。本物の階級社会なだけに? それとも米国発だから問題ないのかな? なんて考えながら読んでました。

12月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:4738
ナイス数:868

ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)感想
表紙絵の鏡に映る像は角度的にちょっと疑念があるが、バルコニーの腰壁に隠れた2人の手が、後ろのガラスにはしっかりと手を繋いで写ってる、って趣向は良い。ジェイムスがカミングアウトを決意、ベンがジェイムスへの愛を自覚してジェイムスとともに自分との関係を公表することを覚悟した翌朝から。2人はマスコミ(パパラッチ)の荒波と、伝統的宗教的価値観との闘いに乗り出す。どんなに打ちのめされても、ジェイムスを守るという一点において強固なベンジャミンがどんどん良い男になっていく。クラブにお忍びで遊びに行くシーンがお気に入り。
読了日:12月31日 著者:ライラ・ペース

ロイヤル・シークレット (モノクローム・ロマンス文庫)ロイヤル・シークレット (モノクローム・ロマンス文庫)感想
ケニアのサファリリゾートで、記者のベンがスコールの中出会った青年は取材対象の英国皇太子だった。そしてチェスの勝負を仕掛けて駆け引きするうちに、相手が(も)ゲイであることに気付く。一度だけの火遊びが二度目の出会いで熱い恋になり、やがては深い情愛になる。純で熱くて、癒やし効果も抜群。それにしても英国王室、皇太子をネタにこの話が書けるのか、と驚愕。老舗の成熟した民主主義だから為せるのか?日本の皇室でこういうのはたぶん書けないだろう。うん、書いたら生命の危険を感じるような気がする。そういう意味でも一読の価値あり。
読了日:12月30日 著者:ライラ・ペース

YOOICHI KADONO Sketches:門野葉一 スケッチ集YOOICHI KADONO Sketches:門野葉一 スケッチ集感想
やはりカラー画集が欲しくなり。自分へのクリスマスプレゼント(最後・笑)と思ってポチっとな。最初の男性の絵でノックダウン。素敵すぎる。一コマごと、一つの風景ごとに物語が押し寄せてくるような気がする。線一本でこんなに人体を表現できるもの? つい、私もこんな絵が描けたなら、と思ってしまう。
読了日:12月30日 著者:門野 葉一

理想の肖像 (モノクローム・ロマンス文庫)理想の肖像 (モノクローム・ロマンス文庫)感想
門野葉一イラスト・冬斗亜紀翻訳。これも門野氏の絵にひかれて補充。短編ながら、凄く真面目なゲイ小説だった。新聞記者で、大成することを渇望しているものの、臆病で“クローゼット”から出ることができないポール。彼が偶然取材したのは事故現場で命がけの救助を行ったヒーローのドリュー。カミングアウトの難しさと怖さ。ポールの心情がリアル。
読了日:12月29日 著者:ベッキー・ブラック

門野葉一スケッチ集「MEN IN SUITS」門野葉一スケッチ集「MEN IN SUITS」感想
殺しのアートシリーズの表紙とイラストが美しいので、もっと「美しい」を補充すべく入手。スーツを着た男たち。スケッチなので基本鉛筆画でモノクロなので、次はカラー画集を見たい!とかえって欲が増したけど、中年男性やカーネルおじさんみたいな体型のおじさんまでいて、それぞれ魅力的。でも一番刺さったのは鉛筆の側面を使った太い線の濃淡で描かれた街中のカラス。無造作な線で生き生きと描かれてて、凄い。
読了日:12月28日 著者:門野 葉一

モニュメンツメン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)モニュメンツメン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
再読。やっぱりジェイソンが悪いんじゃないかとは思うが、終盤のドクとの語らいがとても好きだ。ジェイソン、大好きだった祖父と語っているような気分になっていたのかも? またも突然訪れたサムとの破局は胸が痛いけど、恋人であっても自分と他人は別の人間で、考え方も違えば大切に思うものも違うって言う、現実では当たり前なことをきちんと書いているのがジョシュ・ラニヨンの良いところだと感じる。
読了日:12月27日 著者:ジョシュ・ラニヨン

マジシャン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)マジシャン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
再読。何が良いって、ジェイソンがサムとの関係に真摯に向き合って、きちんと言葉でコミュニケーションを取ろうと努力すること。人と深く繋がるって事は一筋縄では行かない。だからこそ彼らのSEXも素敵だし、ラストの危機からサムを見つけたジェイソンが言葉に詰まって何も喋れなくなってしまうシーンがむしろ雄弁で。このシリーズ本当に良い。ジョシュ・ラニヨンのまだ国内の紹介されていないシリーズも是非読みたい。どうか国内で翻訳出版してほしい。
読了日:12月26日 著者:ジョシュ・ラニヨン

ブラック・ラグーン (13) (サンデーGXコミックス)ブラック・ラグーン (13) (サンデーGXコミックス)感想
13巻です。5本指娘の話は、けっこうあっさりと終わったな。中指ちゃんがロアナプラの住人になってレヴィに懐くは、姐御に可愛がられるわ。ロックがずいぶんとワルい顔になってびっくりだわ。
読了日:12月21日 著者:広江 礼威

煙と蜜 第五集 (ハルタコミックス)煙と蜜 第五集 (ハルタコミックス)感想
一巻目や二巻目ほどの萌えはさすがに感じなくなったけど、女手ばかりの花塚家を手伝いしつづける文治サマが、相変わらず素敵です。あんな面(ツラ)だけど(^^ゞ、まだ31歳なんだよねえ。この巻では大正の師走の正月支度から年明けまで。初詣の熱田さんでは姫ちゃんが迷子になって不穏な出来事があったけど、真摯な文治サマに惚れ直しますね。さて、その文治サマ、鉄軍曹にどのような教育的鉄槌を考えていることやら次作が楽しみです。なお、年末年始とあって文治サマは私服多めです。時期的にも、この巻を12月に発行するのはナイス。
読了日:12月21日 著者:長蔵 ヒロコ



マーメイド・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)マーメイド・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
5巻目が出たので最初から真面目に再読している。初読時の私のレビュー、本当にすみませんでした(平伏)。一体私、何を読んでたんだ。なんできちんと読んでないんだ???ホント済みません。ナイス戴いた読み友サンには申し訳ない。今更断言するけどこれ、年ベス級に良い本です!ミステリーとキャラクターと、展開と。判りにくいサムにきちんと向き合っていくジェイソンも良いが、サムも良い。じわじわ来る。年の差、経験の差、適性の違いがある上で、指導したり、案じたり、信頼したり、協力しあったり。極上です。
読了日:12月16日 著者:ジョシュ・ラニヨン

モネ・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)モネ・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
5巻が出て最初から読み直したくなる。この本、サスペンスの部分をすっぱり忘れ去っているので、きちんとストーリーを読もう、と姿勢を正して(?)読み始めたのに、やっぱり二人のラブラブ、もだもだに絡め取られてそっちに持っていかれてしまった。自分は犯罪捜査に人生の全てを捧げるのだ!って頭でっかちなサムに振り回されたジェイソンが不憫過ぎる。いったい何回、彼は涙ぐみそうになったんだか。でもそんなジェイソンの不屈な恋心に、サムの岩盤のようなガードも崩壊。仕事も愛も喜びも。愛情たっぷり注がれて育ったジェイソンだからこそ。
読了日:12月12日 著者:ジョシュ・ラニョン

プロジェクト・ヘイル・メアリー 下プロジェクト・ヘイル・メアリー 下感想
いや〜面白かった。帯の大傑作に偽りなしです。ヘイル・メアリー号が出発してから、地球はどうなったんだろうね。グレース以上に私が知りたい。あのストラットもディミトリも最後は彼方に置いてけぼりにする思い切りの良さ。ディミトリは好きだったなあ。ストラットは長生きしそうにないけど、最後まで生き抜いて欲しい。下巻中盤以降は、14光年の彼方にありながら微生物を培養する話になって、ちょっと勢いが無くなったかな、と思わないでもないけど、にしてもここまで盛るかってくらいネタと緩急と友情ブチ込んで、究極のエンタメ仕様でした。
読了日:12月09日 著者:アンディ・ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上プロジェクト・ヘイル・メアリー 上感想
まだ上巻なのに、こんなに面白いって何事? 小説はどこまで面白くなれるのかチャレンジしてるのか? その面白さの一端をストラットが担っているとは思うが、発想、展開、意外性、キャラクター、テンポ、全てがあって、全部面白い!下巻にGO!
読了日:12月08日 著者:アンディ・ウィアー

ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 (モノクローム・ロマンス文庫)ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 (モノクローム・ロマンス文庫)感想
何とかサムと仲直りしたジェイソンはクワンティコに出頭(?)し、上司と面談、叱責をうけつつ、次の任務ーUCLAへの潜入調査の任務を受ける。事故か自殺とされた女性准教授は某有力元上院議員の孫娘で、元議員は捜査に納得していない。ジェイソンの任務は再調査というよりは元議員の気持ちを宥めることだが、いざ調査を開始してみると自殺とも事故とも思えない、となれば他殺。一方ロードサイド・リッパー事件に新たな展開があり、捜査班が再招集される。そしてジェイソンのストーカー、カイザーは遂にその魔手をジェイソンに伸ばし・・・・・!
読了日:12月03日 著者:ジョシュ・ラニヨン

機龍警察 白骨街道 (ハヤカワ・ミステリワールド)機龍警察 白骨街道 (ハヤカワ・ミステリワールド)感想
モサドきたーー! 龍機兵搭乗員3人に直接謀略の魔手が!せめてもの助けにと沖津が放ったのは、百戦錬磨の助っ人、元モサドの男。そして關がまた、登場。どこまで格好いいんだ、この人。ミャンマーの奥地での邂逅とまでくると、ちょっと漫画っぽくなっちゃうけど、それはもう良い。格好いいは正義だ!城木も宮近もがんばれ!關と沖津の間に実は何か関係があるんじゃないかと思うんだけどどうだろう? 今作では姿もかなり鬱屈を溜めてしまったが、そろそろ姿の内面にも迫ってほしい。
読了日:12月01日 著者:月村 了衛

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