2017年10月27日金曜日

0065 鷲は飛び立った

書 名 「鷲は飛び立った 」 
著 者 ジャック・ヒギンズ 
翻訳者 菊池 光 
出 版 早川書房 1997/4 
初 読  2017/10/27 

 なにぶんにも評価の分かれる、人言うところの、「作者による二次創作」。そうはいっても、生きて動いているリーアムとシュタイナを見たくて、恐る恐る手を出した次第。

 シュタイナとリーアムが格好良くて、味方はとことん有能で頭脳明晰、首尾良く英国を脱出して何の因果かあの男の命を助け、その上某国に脱出。というお気楽展開である。
 「鷲は舞い降りた」が戦争小説ならこちらは娯楽小説以上でも以下でもなく。もっともその違いは物語の出来ではなく、物語を牽引するキャラの違いかもしれない。鷲舞はメインがラードルとシュタイナなので真面目・真剣自ずと事態も深刻になったが、鷲飛はなにせ享楽デブリンと考え無しの米国人エイサ、勝ち組シェレンベルクと来ては、勢いストーリ展開もなにやら楽しげな様相に。

 ①絶妙なタイミングでリーアムと接触し、
 ②凄腕パイロットが運良く見つかって、
 ③ちょうど良い飛行機をゲット、
 ④幸運にも目的地近くに絶好の英国内協力者の私設飛行場があり!
 ⑤おまけにシュタイナが幽閉されている建物の詳細な図面は元々手元にあり、
 ⑥人に知られていない地下道まである!

という極めてご都合のよろしい展開(笑)。読んでいるうちは気にならなかったが、こうして並べるとなんだかヒドい話だな(笑)。それでも面白く読ませる作者の筆力はたいしたもの。読む価値があるかどうかは各々の評価に任せたい。ま、面白かったですよ。これよりつまらない話もごまんと世に出ている。さすがはヒギンズです。

 それにこれは、パラレルワールドの入り口かもしれない。
 シュタイナが生きていて、リーアムとアイリッシュウイスキーを酌み交わし、たまにはリーアムに手を貸して英国政府に嫌がらせして。普段はアイルランドの僻地でタバコ吸いつつ羊を追ったり、本を読んだり。
 鷲舞の戦士達のうち一人くらい、そんな戦後を送らせてあげても良いじゃないか、とちょこっと思ったりもするから。

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