2021年3月12日金曜日

0256 赤の女 上  (ハーパーBOOKS)

書 名 「赤の女 上
」 
原 題 「The Other Woman2018年
著 者 ダニエル・シルヴァ
翻訳者 山本 やよい 
出 版 ハーパーコリンズ・ ジャパン  2019年5月 
初 読 2021年2月5日 
文 庫  344ページ 
ISBN-10  4596541124 
ISBN-13  978-4596541123

2017年1月頃〜 
 前作の爆弾テロによる負傷の後遺症で痛む腰をさすりながらガブリエルが登場する。おかげでガブリエルもだいぶ歳相応に見えてきた。ウイーンの美術館で展示を見ているガブリエル。背後にはやきもきしている若い警備担当のチーフ。ガブリエルが若い警護担当相手に、歳相応、立場相応に偉そうに、重々しい物言いをしているのがなにげにおかしい。
 心配する警護係を追っ払って一人で歩いていった先は、過去の苦しい記憶の現場。甦る記憶に体が硬直し、天を仰いで涙をこらえる。やっぱりガブリエルはガブリエルだ。

 良い記憶のない雪のちらつく冬のウィーンでの作戦指揮。
 例によって陣頭指揮を執っていたが、亡命させる予定だったロシアのスパイがガブリエルの目の前で殺害されてしまう。その上その場にガブリエルが居合わせたところを写した隠し撮り写真がマスコミにリークされて窮地に立たされ、怒り心頭・恨み骨髄のガブリエルは〈オフィス〉の総力を挙げて怒濤の諜報戦に突入する。簡単ななずだった作戦の大失敗の原因は、情報の漏洩としか思えない。〈オフィス〉でなければ、共同作戦を張っていたMI6か? 友人であるはずの「C」との熾烈なやり取りに息がつまる。やがて判明したのは、宿敵ロシアの策謀がガブリエルを絡めとるべく二重三重に張り巡らされていたこと、そしてある伝説の二重スパイの存在だった。
 上巻は、ロシアの裏に潜む伝説の二重スパイの存在が明かになるまで。事が動くのは下巻から。

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