2024年7月21日日曜日

介護日記的な・・・その5 認知症の人とごはん。その闘い!?

 
 要介護2から要介護3への小さな階段を小刻みに登っているような母である。

 料理はもう2年前からできなくなっているのだが、残念なことに本人は自覚がない。5分前のことは忘れちゃうから、なんとなくお腹がいっぱいなら、「ちゃんと食事の支度をして食べた」と素で思っているもようである。
 困ったことに、その時お腹に入っているのが、バナナだろうが、おせんべいだろうが、まんじゅうだろうが、そこは関係ない。その血糖値を上げている正体は、ほれ、この日本酒であることもママある。

 炊飯釜に入っていたご飯が腐っていることを発見したのは、ちょうど2年前の夏。
 母のご友人から電話をもらって、お母さんがいよいよおかしい、と教えてもらった。近所に住む民生委員さんとも連絡を取ったところ、自治体内での見守りもあり、まだ、そう悪い状況ではなさそう、との話もあったが、念の為様子を見に行った。
 8月の最中、家の中はきちんと整えてあったが、窓もカーテンを閉め切り薄暗く、室温は30度を超えており、エアコンは使っていなかった。本人は暑くないと言い張る。そして、炊飯釜で腐ったご飯と、寝室のカーペットの茶色い大きなシミを発見した。

 これは後の話なのだが、母は近所のスポーツクラブの会員となっており、もう10年以上くらい、自宅ではお風呂は使わず、スポーツクラブの浴場で入浴をしていた。入浴の状況が判らないため、スポーツクラブに利用状況の確認をしたところ、その6・7月までは比較的順調に利用をしていたが、8月以降、利用回数が激減。おそらくこの8月の頃に一気に認知症が進行したものと推測した。スポーツクラブには「ちょっと認知があやしくなってきているので」と事情を話し、クラブへの往復で迷子になった場合や、施設内で心配な行動があったときのために、と緊急時の連絡先を登録し、その後、半年ほど利用状況を確認して、すっかりスポーツクラブに行くのを忘れた昨年夏頃に退会手続きをした。

 話を戻すと、お釜のご飯が腐っていたので、これどうしたの?と本人に聞くと、昨日の夜炊いた、という。とてもそうは思えないが、食べたの?と聞くと、食べた、という。ううむ。
 寝室の茶色いシミは、最初はコーヒーか醤油か、と思ったが、そもそも、飲み物を寝室に持ち込む習慣はないし、匂いもしない。汚したあと、本人なりに徹底的にゴシゴシ拭いたのだろう、私が久しぶりに実家に行って、惨状に気付いたときにはなんの匂いも感じなかった。本人もなぜこんな染みが、と記憶がない。しかし、後日締め切っていた寝室に入ったとき、蒸れた匂いにかすかに便臭が交じっているような気がして、ああ、便失禁したんだ、とほぼ確信した。
 推測ではあるが、おそらく痛んだご飯を食べて、お腹を壊したのではなかろうか。現在に到るまで排泄は完全に自立しているので、おそらくトイレまで持たない事態が発生したのだろう。本人はショックだったに違いない。必至になって掃除し、身ぎれいにし、その後、忘却したんだろうな〜。

 さて、そんな状況なので、食事については、最初から問題だった。
 とりあえず、ご飯を炊いて、1日三食×1パック×一週間分のご飯パックを冷蔵庫に作り置きすることにした。民生委員さんの紹介で、食事の配食サービスをおこなっている事業者さんを知り、とにかく夕食の配食サービスを申し込んだ。これらが、要介護認定の申請と、認知症外来の受診と、同時進行だった。
 最初の頃は、お惣菜を持ち込んだりもしたが、本人が買ったことのない惣菜は食べないことが判明した。配食サービスの開始で、すこし肩の荷が下りた。しかし「お弁当」を食べる習慣がない母とは、夕方の配食の度に「私は頼んでいない」「これはお前が頼んだのか」「いらない」「お金を払わなくちゃ」の問答を電話で繰り返した。
 今日は何を食べたのか、と見守りカメラで見守り(監視とも言うがナ)つつ、紆余曲折もありつつ、どうしても配食サービスの夕ご飯を上手に食べてくれないので、丁度1年後の昨年夏に、夕食時に30分だけホームヘルパーを入れて、夕食の配膳をお願いすることにした。
 しかし、何しろ認知症なので、毎日が初対面。その都度、「あなたは誰」「頼んでいない」の問答を繰り返し、いったんは定着を見たようにも思えたが、やはりなかなか上手くいかず、そうはいっても、ヘルパーさんの奮闘で、夕食の弁当を食べる習慣が根付いたようにも見えたので、いったんヘルパーさんを終了したのが、この1月。
 ・・・・で、半年は上手くいっていたように思えたのだが、この一月ほど、どうもお弁当を食べてくれなくなった。毎週末の金曜日や土曜日に母宅に行くと、ともすれば5日分のお弁当がそのまま冷蔵庫に残っているようになった。
 
 今度は認知症に強いホームヘルパーさんを入れようとは思ったが、本人の拒絶が強い。
 
 どうしようか、といろいろと考えている、のがイマココである。

☆ 追記
 で、その配食サービス事業の母体が、近隣の特別養護老人ホームであることを知り、その法人が「認知症デイサービス」も併設していることを知り、利用にこぎ着けたことができたのは幸いだった。僥倖に感謝しつつ、まずは自分と夫で見学し、その後、母も連れて見学。介護保険の利用開始と同時に、デイサービスの利用を始めた。
 最初は週に1,2日から。あとはデイサービスの空きができる度に1日づつ利用を増やしていき、1年かけて週5日のフル利用に持ち込んだ。民生委員さんに言わせれば、「ここまで順調にデイにつながるのは珍しい」とのこと。私からすれば、この法人さんに繋いでくれた民生員さんに大感謝だった。この法人さんが運営する特養を知ったことで、デイサービスを利用しながら、おいおい、ショートステイなども活用し、いずれはこの特養に入所したい、というロードマップが定まったことは、先行きを見越す上で、とても大きな安心感となった。


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