2017年11月8日水曜日

0068 ブラック・アイス





書 名 「ブラック・アイス」 
原 題 「The Black Ice」1993年 
著 者 マイクル・コナリー 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 扶桑社 1994年5月 
初 読 2017/11/08 

【コナリー完全制覇計画No.2】
 のっけからいきなり死んだ同僚の未亡人に恋するボッシュ。おい!ほんとに気の(手の)早い男だな。だからといって、そこでメイクラブはいくらなんでも非常識だろう?ちょっと見損なっちゃうぞ。
 今回はメキシコの麻薬王が相手なだけあってか、かなり捜査手法が荒っぽい。というか完全に違法捜査、越権。警察の範疇を超えているんじゃ?
 前話で私刑はお呼びじゃないってレビュー書いたのに、早まったかな?
 一話目から引き続きどうにも辛い翻訳。「こしらえた」「メイクラブ」「日曜たんび」
 サンドイッチも、殺人事件調書も、捜査メモも全部「こしらえる」の一語で片付けるのってどうよ。日本語表現はもっと多彩でいいと思うんだけどな。それにメイクラブ!多彩以前だ。 アメリカって個人主義の文化だという先入観があったが、この本読む限り組織の同調圧力が強い。腐りかけの組織の中でなんとか腐らずに泳いでいく一匹狼ボッシュ。とりあえず応援しておこう。あんたがどれほど恋愛体質な男であったとしても、だ。

 「この男のことがほとほとよくわかった。パウンズはもはやお巡りではない。 役人なんだ。くずだ。犯罪を、流れる血を、人々のこうむる被害を、記録簿にとどめるための統計数字としてしか見ていない。そして年末に、その記録簿が、パウンズにどのぐらいよくやったかを告げるのだ。人間が告げるのではない。心のなかから出てくる声が告げるのでは無い。それは市警の多くを毒し,街から、そこの住民から遠ざけている非人間的な傲慢さだった。」

◇引用/チャンドラー『長いお別れ』、ヘッセ『荒野のおおかみ』
◇音楽/コルトレーン、フランク・モーガン

《メモ》
p.67 「ロックウェルの絵に描かれた警官のような気になったのだ。まるで自分が大きな影響をあたえたかのような気分に。」


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