2023年9月4日月曜日

0438 AS TIME GOES BY <矢代俊一シリーズ21>



読書メーター https://bookmeter.com/reviews/115881905   

Amazonより・・・勝又英二と暮らしながらも金井恭平への思慕を捨てきれずにいる矢代俊一だが、俊一の父は金井を快く思っていないばかりか、森田透からも金井との関係は無理があることを指摘されて俊一の苦悩は深まっていく。しかも俊一自身もまた、金井恭平への思いが次第に変わってきてることに気づかざるを得なくなっているのだった。アメリカツアーを目前にして俊一をめぐる錯綜した人間関係は否応なしに変化する兆しを見せていくが……。矢代俊一シリーズ第21巻。

 Amazonの解説がぜんぶ語ってる。これ以上の事はとくにない、のだけど、一応感想的な。
 ニューヨーク渡航前の数日間を俊一の心象で語る。それにしても、たぐいまれな才能を持ち、希有の美貌を持ち、芸術の神ミューズに選ばれ愛されている・・・・・と薫サンが力説すればするほど、俊一が陳腐で曖昧な存在になっていく。
 東京サーガを通じて割りを喰っていた風間サンは俊一専属のプロデューサーとなり、俊一の“最大の理解者”ポジに納収まって幸せいっぱい。そのプラトニックな立ち位置を堅持しようとする風間を、俊一が「寝てもいい」とか言って煽る煽る。
 かつての島さんとの愛憎の日々をディスりつつ、金井を追い落として俊一の愛人ポジを狙い、俊一の籠絡を図る透は、寄生昆虫かなにかに内部を喰われたゾンビみたいで気持ち悪い。今となっては『朝日のあたる家』が名作に思えるレベルで暗黒面に墜ちている。
 金井は、俊一を追いかけてニューヨークに行き、俊一とジャズマンとしての再起の二兎を追うつもりとな。
 英二と父は相変わらずで、きしょい。
 音楽シーンがほぼないので、ツライ一冊。次作はやっとニューヨーク。あと3冊かあ。。。“毒を喰らわば皿まで喰う”つもりで始めたこのシリーズのレヴューだが、 こんな罵詈雑言ばっかり書き続けて良いのか、とさすがにためらいを感じるが・・・・・とはいえ、ねえ。『真夜天』で、『翼あるもの』で、そして『朝日のあたる家』で『ムーン・リヴァー』で、人の心を動かした責任っつうものがあるんではないか?と問わずにはいられない。

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