2023年12月3日日曜日

0451 殺しのアート(5)ムービータウン・マーダーズ

書 名 「ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 」
原 題 「The Movie-Town Murders : The Art of Murder 5」2022年
著 者 ジョシュ・ラニヨン    
翻訳者 冬斗 亜紀
装 画 門野 葉一   
出 版 新書館 2023年9月
文 庫 336ページ
初 読 2023年12月3日
ISBN-10 4403560571
ISBN-13 978-4403560576
読書メーター
    

 何と言っても、この表紙の美しさ。イラストは門野葉一氏。このシリーズの表紙が私をBLの門に誘ったのは間違いのないところです。しかし、今回、変装?偽装?の為とはいえ、ジェイソンがスキンヘッドになっちゃったのは、絵的にはいただけない(爆) 米国のM/M的にはアリなのか?たぶん。なにしろ、これら米国産M/Mのペーパーバックの表紙ときたら、もう。アレがあちらの理想型なんだよね。うん。ムッキムキの裸体バーン! 濃い眉、扇情的な青い瞳、整った鼻、もの言いたげな唇。割れた顎。そして割れた腹筋。めっちゃ男臭さい。なんだかリアル過ぎて、ファンタジーがかった日本のBLファンはドン引きしそう(笑)

 で、中身の方ですが。
 前作、『モニュメントマン・マーダーズ』で失職の危険を冒し、サムとの関係まで破綻したかに思えたジェイソンでしたが、そこは無事に乗り越えたところから、本作はスタート。
 数日であれ、サムに見限られた、と思えた時間がジェイソンの心に残した傷はまだ生々しく、ジェイソンは自分の抱えた事件を、なかなかサムに相談することができない。サムも、それが自分がジェイソンに付けた傷のせいだと判っている。しかし、ここをちゃんと会話で理解しあい、乗り切ろうとするところが、さすがの米国人クオリティ。日本人にはマネできないところ。まあ、遠距離恋愛なので、とりあえず電話で語り合うしかない不自由さ故でもあるのだが。

 今回、ジェイソンに割り当てられた任務はUCLAへの潜入調査。といっても、自殺とも事故とも不明(ただし殺人ではない。)な映画学の准教授の背後関係の再調査。なぜなら死んだ准教授の祖父が、有力な元上院議員だったため。たいした成果は求められておらず、ただ、有力者の気持ちを慰めることがその主要任務。ジェイソンもそこは理解している。ジェイソン自身も上流階級の身で、UCLA出身でもあり、老元上院議員を宥めるのに適任と見做されたことも判っている。失職を免れたあとの失地回復のためのリハビリとしては異論ない、と思っている様子。
 だがしかし、それほどノリノリでもなく調査を開始したにもかかわらず、自殺にも事故にも思えない。となれば殺人。故人が発見したという稀少フィルムを巡り、いったい何があったのか・・・・は、本編を読んでいただきたいところ。

 一方で、サムの親友であり、恋人であったイーサンを殺害したとされる“ロードサイド・リッパー”の捜査にも新たな展開が。そしてイーサンその人にも謎が生まれたのか? サムの心情も気になるところ。

 そして例によってラスト。ジェイソンをストーキングする殺人鬼カイザーが、ジェイソンのバンガローの隣の空き家に住み着いていた、だと? 残されたのはジェイソンの家族がジェイソンの為に置いていたガードマンの死体と、ジェイソンの心に打ち込まれた恐怖のみ。こちらももうそろそろ解決してくれないと、ジェイソンの神経も、読者の心臓もちそうにない。これってミステリーじゃなくてホラーだったのか?ってか、カイザーと決着を付けるであろう最終刊は確実に、サスペンスになりそう。次巻はいつになるんだろう?待つのがツライ。

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