2023年12月30日土曜日

ジョシュ・ラニヨンは良い。



 日本でモノクローム・ロマンス文庫から出版されている、ジョシュ・ラニヨンの作品(冬斗亜紀さん翻訳)はどれも素晴らしいのだが、表紙の美しさと、主人公の恋心の切なさがピカイチなのはこの「殺しのアート」シリーズ。
 強面・鈍感・傲慢・鉄面皮なのに内実は素朴で恋愛に不器用なFBIのプロファイラー、サム・ケネディと、FBIロス支局に勤める美術品犯罪の専門捜査官のジェイソン・ウエストの恋愛と犯罪捜査。ミステリー、サスペンス、ロマンスの黄金比。美術を専門とするジェイソンは感受性が豊かな一方で頑固で無鉄砲なところもあり、ジェイソン1人でもなかなか危なっかしいのに、そこにサムという巨大は不安定要素が加わるものだから、ジェイソンのメンタルの振り幅も自ずと大きくって。サムと関係での葛藤と、それを凌ぐ愛情が濃くて細やか。ジョシュ・ラニヨンの作品はどれも切なく優しく繊細で、それなのに強く逞しく、癒やし効果も抜群なので、落ち込んでるときには心に効く。
 
 そんなこんなでこの2023年の年末、新刊の「ムービータウン・マーダーズ」刊行をきっかけに、つい、再読モードになってしまった。
 
 なにより、ミステリーとしてもサスペンスとしてもとても練れていて、途中に濡れ場が挟まってもダレずにラストまでテンションを上げていくストーリーテラーっぷりが素晴らしい。
 これから先、ジェイソンのストーカー殺人鬼との対決がどのように展開していくのか、ドキドキしている。

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