2025年12月21日日曜日

ウイスキー08 カナディアンクラブ


 私の大好きなM/Mのジョシュ・ラニヨン「殺しのアートシリーズ」のサム・ケネディが好きで、恋人のジェイソンがこき下ろしながらも、恋人の為に常備している〈カナディアン・クラブ〉、一体どんな味だ、とドキドキしながら買ってみたけど、私は好きだな〜♪
 最初に飲んだのは一番安いやつで、あ、これは好きだな。と思った。その印象が強かったせいか、頑張って買った12年の方は、それほどピンとこなかったのだけど、なんというか癖がなくて飲みやすい。飲み口がマイルドなので、炭酸で割ると特徴が無さすぎるような気もする。むしろロックなんかの方が良いのかも。とはいえ、さすがにロックはきついので、今度ハーフソーダあたりで試してみようと思う。

0573 初雪 海は灰色 第一部

書 名 「初雪 海は灰色 第一部 」
著 者 柴田 よしき      
出 版 角川書店 2025年12月
文 庫 288ページ
初 読 2025年12月20日
ISBN-10 4041169135
ISBN-13 978-4041169131
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/132244150

 待って、待って、待って、待ち続けた待望の続刊。
 「聖なる黒夜」から「私立探偵・麻生龍太郎」を経て、道を分かったはずの麻生と練が、再び語らう。

 「聖なる黒夜」を読んで頭ん中がうわーーーーーっとなって、続き!続き!こいつらこれからどうなっていくんだ〜〜〜とネットを徘徊し、柴田よしきさんが続話をWEBで連載していたことは知ることができたが、その時点で、もう「海は灰色」はWEBから下げられていて、愛読者のブログなどでおぼろげに輪郭が分かるだけの、まぼろしの作品と化していた。いつかは、いつかは刊行されるに違いない、と思って待ち続けてはや〇年。このたびついに刊行され、やっと手にとることが叶った『聖なる黒夜』続刊である。

 てっきり、練のあの事件の真相を追う話だと思い込んでいたんだが、出だしはなんと、龍太郎の逃げた奥さんを探す旅だった。そこに練が乱入、その上2人が滞在する鄙びた温泉街で殺人事件と傷害事件が起こる。正統派な推理小説仕立てながら、根城の新宿を離れて身軽な風情な練と、前科がついて、裏街道をとぼとぼと行くしかなくなった龍太郎が、一緒に同じ事件を追う、という、なんというか、『聖黒』ファンにとっては、ボーナストラックみたいな、なんだか時期的にはクリスマスプレゼントみたいな作品であった。
 私は練ちゃん贔屓なもんで、麻生龍太郎ははっきりいって憎々しく思っていたのだが、なんかこの作品を読んでそんな気分も霧散した。2人の腐れ縁はこれからも切っても切れないし、龍太郎にとって、今生きている練は、暴風雨の後に一輪健気に咲き続けている小さな花なのか、と思ったら、ついうっかり、龍太郎の練を愛しく思う気持ちに移入してしまったよ。練は「練」なのだけど、なんとなく泥の中に咲く「蓮」を連想した。

 練にとっては、龍太郎は練の過去も現在も等しく知っているほぼ唯一の存在なんだな、と考えると、練の龍太郎に対する執着も分かるような気がする。練の胸に止まっているウスバシロチョウの意味も、そもそもそこにウスバシロチョウを彫っていることだって、知っているのは龍太郎以外に誰がいるのか。そういや、作中で練が温泉に入るくだりで、練が背中に彫りモンがあるような記述だったが、練って背中に何かしょってたっけ?どうにも思い出せない。『聖黒』の細部の記憶がだいぶおぼろげになったところで、『RIKO』から刊行順に読み直すのも乙かもしれんな。

 このほとんど救いのないような練・龍の2人がこれからどうなっていくのかは、続刊を待つしかない。ちなみに続刊の発行は、26年12月、つまり1年後だそう。またまた長いな〜〜〜。いっそのこと揃ってから一気読みしたいくらいだが、読者はこの本を待ってたんだ!という心意気を示すためにも、予約で買いました。ついでに、Kindle版も購入したので、2冊買いだ。それくらい応援している。続刊をあと1年、待ちます。なお、作者様のXによれば、この作品は3部作になるそうだ。そして、第二部以降は大幅なリライトになると。はい。お待ちしております。『海は灰色』刊行してくれてありがとう!

2025年12月14日日曜日

ウイスキー07 デュワーズ ジャパニーズスムース 8年


第一印象は、口当たりの甘さ。そして素敵な香り。
店頭では「ジャパニーズウイスキーではありません」と注意書きがしてあった。お店で見かけて、試してみたくてムズムズしていたのだが、ワイルドターキーを飲みきったので、自宅用に購入。

スコッチの名品デュワーズを、日本産のミズナラの樽で熟成させたんだそう。

かなり気に入った。今のところ、ブッシュミルズ15年に次ぐ二番手。他のデュワーズも試してみようと思う。

0572 抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える― 新書 –

書 名 「抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える― 新書 」
著 者 箕岡真子
出 版 三省堂書店/創英社 2022年6月
文 庫 148ページ
初 読 2025年11月05日
ISBN-10 4879231444
ISBN-13 978-4879231444
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131283560


著者の箕岡 真子 (みのおか まさこ) さんについて
 日本臨床倫理学会総務担当理事
 東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野客員研究員
 箕岡医院院長
【主な研究領域】終末期医療ケアの倫理・高齢者の介護倫理・認知症ケアの倫理


 認知症の母の在宅での見守り介護をまるまる3年間続け、母の施設入所の見極めや施設探しをするにあたり自分の判断を知見で底上げしたい、と思って手に取った数冊のうちの一冊。
 この本は、医療や看護の領域の臨床医、研究者、教育者である著者が、おそらくは医療分野の読者(学生?)に向けて平易に書かれた著作で、その向きの勉強には役に立つのだろうが、現に介護に向き合う家族にとって役に立つか、というと、まあ、ほぼ役に立たない本ではありました。・・・・目的外使用?って感じなので、文句いう筋合いではないです。

「患者の意志の尊重」というテーマに、これまでの医療界や医療者がどのように向き合ってきたのか、という点では、歴史的経緯やターニングポイントになった事件などがまとめてあって、いい勉強になった。

 タイトルの「抜け殻仮説」というのは、「認知症患者は脳神経細胞の病理学的変成によって人格は変化・崩壊し、“抜け殻”になってしまう」という考え(偏見)のこと。

 認知症患者は崩壊した自我の残滓を留めているのではなく、認知症になった後も一貫した「自我」を持っていることを認め、しかし、認知症であるがゆえに、本人の選択や判断による自己決定=自律は困難となっていく。それをどのように援助していくのか、ということについて、この本では「自律」の再定義を行いつつ、考察している。

 医療ケアに選択における意志決定について、これまでは本人に「意志決定能力がある」状態、すなわち
 ① 自分で選択して意思表明できる。
 ② 治療などに関する情報が理解出来る。
 ③ それを選択した場合、それが自分にどのような結果をもたらすのかを認識できる。
 ④ 決定内容が自分の価値観や治療目的と一致していること 

 の4つの構成要素を満たしている状態においてのみ、本人が自分のこと(治療方針や処遇方針について)自己決定できる、とし、そうでない状態においては、家族などの近親者が「代理決定」を行うという二択となっている、という現状をまず確認する。その上で、現実的には「本人による意志決定」(自律)から「家族による代理決定」の間には大きなグレーゾーンが広がっていること、これまで目が向けられていなかったこのグレーゾーン上にも、本人による自己決定が可能な領域が存在することを指摘する。
 そして、家族など周囲の人間が適切に本人の意志決定を支援すれば、より本人の自己決定の幅を広げることが可能で、ここで「自律」の概念を広げ、これまでの狭義の自律=個別的自律から、“他者の援助によって実現される自律”を広義の自律=関係性的自律に拡大することを提案する。
 これによって、「自己決定」と「代理判断」の間にあったグレーゾーンも、本人の意志に基づく「自律」的な決定が可能になる。

 この場合、本人の意志を知り、それを延長する形で決定につなげる第三者の支援が必要になるが、本書ではそれが可能な人について「本人が最も信頼できる「人」」であると言う。その第三者は自己の利益ではなく、本人の意志や願望を尊重し、選択を行う必要がある。それは、本人を良く知っている人である必要があり、本人との豊かな関係性を事前に築いている人で、本人を愛し、共感できる人なのだと。そういう人の共感を通じて、認知症になった人も自律を延長できる。・・・まあ、この通りの文字で関われているわけではないが、そういうことが論じられている。前段はともかく、ここまでくると、かなり馬鹿らしい感じがしてくる。

 認知症や深刻な病に陥った人を、心底大切に思っている家族がいれば、学者や医者が何を論じなくとも、その家族は、愛する人のために必死になって考え、最善を尽くすだろう。それは当たり前の光景であるが、かならずしも常にあるものでもない。

 この本において、例示される認知症のおじいちゃんを抱える家族において、主介護者である長男の妻は、おじいちゃんを深く愛して理解していたら、この家族が抱える介護の問題は解決されるのだろうか。そんなことはないだろう。

 この本は、サブタイトルのとおり、認知症の人の「自律」の概念を考える、というテーマに基づき、認知症の人の「自律」の概念について考えているが、考えた上で、なにか新しい視点に到達しているか、というとかなり疑問に感じる。認知症患者の自律と他律の間にもともと存在する家族の支援に、仰々しく「関係性的自律」と名付けただけのように思える。そして、「関係性的自律」が機能するために麗しい愛や理解が必要なのであれば、医療や介護の現実を変えることのためには、たいして役に立たないだろう。なぜなら、今もそれは、それがある場所では機能しているはずだからだ。
 

 

2025年12月6日土曜日

ウイスキー07 コーヴァルとハイブ(お酒の美術館)


〈お酒の美術館〉新宿紀伊國屋店に行く。目当てはバーボン。ワイルドターキーをほぼ飲みきったので、ちょっとお勉強。バーボンの「これは飲んどけってやつ」という大雑把なお願いで並べてもらったものの中から、KOVALを選ぶ。

コーヴァル シングルバレル スリーグレイン

選んだ理由は、瓶が気に入ったから(^^ゞ
香りよし。ちょっと強い印象。(アルコール度数ではなく。)ちょっと尖ったのどごしを感じて、なんとなく、男性的だな、と思う。ネットで検索するも、「スリーグレイン」が見当たらない。この味わいを、ウイスキーの世界ではどのように表現するのか、確認したかったんだけど。






二杯目は、〈ハイブ〉を選択。
こちらも美味しかった!



2025年12月5日金曜日

ウイスキー06 ワイルドターキー101


職場の友人さま(というか同僚?というか先輩?というか?)に、最近ウイスキーにハマってると話したら、プレゼントに頂いたワイルドターキー。バーボン。
すこしレモンを垂らしたりして頂いてます。

わりとシンプルな味だと思う。甘さはあまりない。ソーダよりはロックなんかでガツンと飲む方がたぶん絶対に美味しい。(だが、ウイスキーは好きでも酒に弱いので、ロックを飲むにはちょっと勇気がいる。)

勉強不足で相変わらず、ウイスキーを語る語彙が足りない。精進せねば。

ウイスキー05 JURA


読書メーターの読み友さんからオススメいただいたJURA。こちらは、〈アイル オブ ジュラ バーボンカスク〉。ブッシュミルズ15年ほどの印象はないけど、普通に美味しいです。

ボトルとグラスの写真を美しく撮れないかと試行錯誤していたら、こんな感じになりました。ソーダ割ですけど、ちょうどいいハイボールグラスが無かったもので、ロックグラスになみなみ。

2025年12月2日火曜日

2025年11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2072
ナイス数:387


捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようですの感想
3巻を読んだ勢いで、最初から読み直し。何回読んでも面白い。なんならWEBの方でも、最初から最後まで通し読みした。1巻オマケの、オーギュストが初めてエンカー地方を訪れたエピソードが好きだ。セドリックがだんだん絆されていくのもほのぼのと楽しい。
読了日:11月29日 著者:カレヤタミエ

捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです2捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです2感想
3巻を読んだ勢いで、1,2巻も通読。その勢いでWEBで最後まで読み切った。何回読んでも面白い。多分もう数回読んでる。メルフィーナの素が出てるところと、『公爵夫人』キャラを演じてるところのギャップも好きです。まだ1〜3巻で、マリアは登場せず、ひたすらメルフィーナの地盤づくりだが、隣国の皇太子セレーネが登場。セレーネを迎えに来た隣国大使に引導を渡すところが大好きなんだけど、それは4巻を待たねばならぬ。
読了日:11月29日 著者:カレヤタミエ

捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3感想
「なろう」ですでに既読だが、本としてまとまって読むのも面白い。3巻目は、ちょっとシリアスめ?夫人の取り組みとしては、蒸留酒、携帯用ストーブ、トラバサミなど? 蒸留酒の抽出とかトラバサミの製作などは、知識や概念だけで一発成功!ってのはちょっと安易な気もするけど、まあ面白いからいいか、って感じね。公爵側の戦いや事情もだんだんと明らかになってきて、ああもう、はやくあなた方が相思相愛になるのを読みたいワ、と思う。4巻は来春の刊行が決まっていて嬉しいです。
読了日:11月17日 著者:カレヤタミエ

ウイスキーを趣味にする~人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方ウイスキーを趣味にする~人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方感想
Kindleアンリミで。最近ウイスキー🥃にハマりつつあるので、お勉強。これまでの経験から,あまりスモーキーではなく、穀物の甘みが感じられるのが好きみたい。先日飲んだブッシュミルズ15年は感動的に美味かった!某M/Mの主人公がこき下ろしているカナディアンクラブはうまいと思うんだよな。
読了日:11月07日 著者:CROSSROAD LAB

アリアドネの声 (幻冬舎文庫 い 79-1)アリアドネの声 (幻冬舎文庫 い 79-1)感想
読み友さんの感想を読んで入手。舞台設定とか、人物描写とか、途中で引っ掛かりがあるんだけど、とりあえず最後まで読んでよかった!と言える。いやあそうきたか!こうまとめるのか!ある意味テクニシャンだね。とても面白かった。ちょっと文章が若いというか、言葉の選択の感覚が自分とはズレるなと思うところもあったけど、とりあえずこの結末は良き。
読了日:11月05日 著者:井上真偽

認知症は決断が10割 介護は、決断次第で天国にも地獄にも!認知症は決断が10割 介護は、決断次第で天国にも地獄にも!感想
認知症の介護を始めたばっかり、もしくは家族にその兆候を察知したばかりの方にお勧めする。平易でわかりやすく、ポイントを押さえて正確です。介護は力の入れどころを誤ると、自分も相手も家族も辛いことになる。避けられることは避けて、正しく対処することが、要介護者の幸せにも繋がる。
読了日:11月02日 著者:長谷川嘉哉

抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える―抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える―感想
あくまでも、医療現場での、医療従事者に向けたテキスト。日々認知症の家族に向き合う介護者の悩みを解決できる本ではなかった。むしろ、医療と介護は似て非なるものだと再認識した。
読了日:11月02日 著者:箕岡真子

読書メーター

2025年11月18日火曜日

0571 捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3

書 名 「捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです 3」

著 者 カレヤタミエ
出 版 TOブックス 2025年11月
単行本 352ページ
初 読 2025年11月15日
ISBN-10 4867947784
ISBN-13 978-4867947784
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131573887

 「なろう」サイトですっかり既読ではあるが、書籍にまとまったものを読むのもまた、楽しい。
 つぎつぎと新技を繰り出すのを見るのがたのしいメルフィーナの領地改革ストーリーではあるが、今作はぐっと、御夫君であるオルドランド公爵アレクシスが生きる厳しい世界も描かれる。
 北部に巣くう魔物、プルイーナとその眷属サスーリカと、冬毎に戦い続ける使命と、その能力故に背負った宿命を、メルフィーナもついに知ることに。そんなで、この巻はかなり重い空気をまとっている。ああもう、はやくラブラブカップルになっちゃえよ!

 表紙の青い長髪ののっぽは、『象牙の塔」の第一席の大魔法使いで自称(?)錬金術師のユリウス。この世界?それともユリウスの中?では、魔法使いより錬金術師の方が格上っぽい。

 にしてもメルフィーナ、作中では理知的ですっかり落ち着いた風情だが、若干16歳。ちょっと老成しすぎでは?と思わないでもない。

 あと、これまで、あらゆる取り組みを成功させてきていて、さすがに上手くいきすぎだと思ってしまうんだけど、トラバサミの作成や蒸留酒作りなんかは、さすがに知識や概念だけで一発成功はむりじゃねか?まあ、面白いからいいんだけど。

4巻は来春刊行。うれしい。座して待つ。

2025年11月11日火曜日

ウイスキー04 ジャックダニエル・テネシーハニー

税法上は「リキュール」として扱われる、フレーバードウイスキー。私はジャックダニエルハニーとか、単にハニー呼んでいる。
蜂蜜が添加されているってことで、どんな味なのか興味津々で近所のショップで購入した。

まずは飲んでみる。

甘っっっ!

これ、レモン果汁足したら「はちみつレモン」っぽい感じになるんじゃね? と思い、翌日試してみた。

そしたらなんと、「梅酒」の味になりました。想定外過ぎる。

でも、一番おいしい頂き方は、ハーゲンダッツ・ハニー。

バニラ味のハーゲンダッツに、ちょっと多めに上から注いでいただく。これがおいしい。
あと、コーヒーに入れるのもお勧め。コーヒーの苦みが引いて、なんとも言えない薫りと甘みが加わります。

ウイスキーとして飲んでもいいんでしょうが、とにかく甘いので私は大人のお菓子的にいただいている。

・・・・と、いう話を某〈お酒の美術館〉の店長さんにしたら、ジャックダニエルハニーを冷凍庫で凍らすと、とろりとしてアイスに掛けてもアイスが溶けにくく、さらにおいしい、と教えていただいた。なんならジャックダニエルハニーのハイボールにバニラアイス乗っけ(ハイボールフロート?)がいっときお店で流行った、とか。ちゃんと先人がいるもんだ(笑)

2025年11月10日月曜日

ウイスキー03 ノッカンドゥー シングルモルト 12年

ノッカンドゥー蒸留所。スペイサイド、スコッチ。ピート臭は控えめ

ブッシュミルズ15年の次に、ノッカンドゥー12年をハーフロックで頂いた。大変申し訳ないことに、この日はブッシュミルズを飲んだ衝撃が大きすぎて、ノッカンドゥーの印象が薄い。(苦笑)
初めてハーフロックというものを飲んだのだが、もうちょっと濃くても良かったかな、と感じたので、次は、ロックの加水多めで頼んでみよう。

しかしこの日は、とても気持ち良い酔いを感じた。

私はアルコールには弱くて、飲めてもせいぜい3杯。3杯飲むときには、お酒の選択やペース配分に注意しないと、貧血でぶっ倒れかねないし、気持ち良くなる前に気持ち悪さが来るので楽しく酔っ払える友人などをうらやましく思うこともあったのだけど、この度は、心地よい酩酊感を味わった。といって、調子にのって、飲み過ぎないようにしないとな。

2025年11月9日日曜日

ウイスキー02 ブッシュミルズ シングルモルト 15年 バーボンカスク


本を読んでいると、主人公たちがウイスキーを飲んでいるシーンによく出くわす。そんなとき、自分もグラスをちびちびとやりながら、本を読みたい、と思うものだ。

先週、「お酒の美術館」新宿紀伊國屋店で飲んだ一杯。最初の一口で、もう美味く、そのあとのどから立ち上る花のような薫りがまた素晴らしかった。

例によってウイスキーを語る語彙が足りないんだけど、ようするにおいしかった。たぶん少ない経験ながら、いままでで一番おいしかった。ちょっと感動的だった。

そんなこんなで、ボトルで購入するか悩み中。


ウイスキー01 厚岸ウイスキー 花ぐわし


私如きのニワカが口にするのはあまりにも勿体ない、贅沢な「厚岸ウイスキー」

先日、ご縁があって私の手許にやって来た。

ウイスキーの飲み方も知らない私が一人で飲むのはあまりにももったいなく、この世の愛好家の皆様に対して申し訳ない。なので、供に味わってくれる人を待っていた。

で、つい先頃、ウイスキーをハイボールで飲むのが大好きだという友人を誘って二人で飲むことにしたのだが。


その友人も、ウイスキー通というよりはハイボール好き。やっぱりあまりにも勿体ない感じが拭えない。

その友人の職場の上司さんが無類のウイスキー好きらしく、厚岸ウイスキーに激しく反応してくれたので、これはぜひ、味のわかる方にお裾分けせねば世のウイスキー好きに申し訳がたたん。と、妙なスイッチが入って、ブラックニッカのフラスクボトル(一番安かった!300円位だった)を購入して空けて、瓶をキレイにしてから、厚岸を詰めてお裾分けした。(ちなみに、ブラックニッカも普通においしかった。)

上司さんはたいそう喜んでくれたとのこと。良かった。

なにしろこのお酒は大切な頂きものなのだ。もたらされた福は独り占めしてはならぬ。きちんとお裾分けをしなければいかんのだ。

なんでも、厚岸産の生牡蠣に厚岸ウイスキーを垂らして食べるのがもの凄く旨いそうで、真似してみたくて生牡蠣のお取り寄せサイトを見てみたが、到着日時の指定ができず、入手は断念した。これは、いつかの楽しみに取っておこう。

そんな厚岸ウイスキーは度数55%。ストレートはちょっと無理。テイスティングしてみたけ
ど、最初の一啜りで、アルコールの刺激でくわ〜!となった。アルコール臭しか感じられない。
そこで少しづつ加水していくと、だんだん、味がはっきりしてくる。それでも強い。

かなりピート臭が強く、スモーキー。
私は、どっちかっていうとピート臭は苦手なほうだが、しかし厚岸ともなれば、ありがたみの方が先に立つ。最終的には炭酸で割って、存分に厚岸ウイスキーの強さを味わいつつ、酔っ払った次第である。

まだ、ウイスキーを語る語彙が少なくて、厚岸ウイスキー様に申し訳ない。

来年再会するまでに、もうすこし味覚を育てておこうと思う。

ちなみにこの「花ぐわし」は有限会社八重洲長谷川酒食品、BAR水楢佳寿久、有限会社田中屋、株式会社RUDDERは、4社合同でボトリングした限定品とのこと。ほんと、私ごときが飲ませていただいて、申し訳ない。
詳細な解説はこちらへ→
厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 花ぐはし カリンパニ

0570 ウイスキーを趣味にする〜人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方

書 名 「ウイスキーを趣味にする〜人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方」
著 者 CROSSROAD LAB 
出 版 マイナビ出版 2021年12月
文 庫 160ページ
初 読 2025年11月09日
ISBN-10 4839978166
ISBN-13 978-4839978167
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131374881

 ご縁があって、厚岸ウイスキー(堅展実業㈱ 厚岸蒸溜所)を時たま頂くようになったり、一時期、ダグラス・リーマンを愛読するあまり、作中の登場人物達が愛飲しているホースネックを飲んだりしているうちに、なんとなくウイスキーを飲むようになった。(なお、リーマンの英海軍ものに登場するホースネックは、いわゆるカクテルのホースネックというよりウイスキーのジンジャーエール割りに近いのでは、と勝手に思っている。駆逐艦のような戦闘艦の中で愛飲されてるから、たぶんそんな凝ったことはしていないんじゃないかと思うのだが。自分では、ウイスキーを辛口ジンジャーエールで割ってレモンをちょっと垂らしたのを勝手にホースネックと呼んでその気になっているが、実際はちがうのかもしれない。たぶん。)

 で、最近ハイボールをこよなく愛する友人と飲む機会が増えて、だんだん舌がウイスキーに慣れてきた。そうすると、ちゃんとウイスキーの美味しさを利きわけることができるようになってきた。自分なりに、これまでオイシイと感じたウイスキーを並べてみると、だんだん好みらしきものも判るようになってくる。
 メーカーズマーク、ジャックダニエル、カナディアンクラブ、ブラックニッカ、あかし・・・
今飲んでいるのは、ブッシュミルズとバランタイン・・・
 どうやら、ピート臭はさほど好まず、仄かな甘みを好ましく思うよう。たぶんスコッチよりはアイリッシュ。ジャパニーズウイスキーも、安いものでもバランスが良くて飲みやすい。
 そんなで、もうちょっと勉強しようと思って本を探したら、この本がKindleアンリミに入っていた。
 私が大好きなブッシュミルズが取り上げられていないのはちょっと残念だけど、ウイスキーをざっと勉強するには最適。
 さて、この本の中に、ウイスキー用の純氷を作る方法が解説されていたので、作ってみた。
 初めてにしてはなかなかの出来である。(自我自賛w)

 本当は立方体のキレイなキューブを作りたかったのだが、元になる氷をそんなに大きく作れなかったことと、アイスピックでは、うまく四角に割るのが難しく、不規則な形になった。氷作りもまだまだ楽しめそう。

 先日バーで頂いたブッシュミルズ15年が感動的に美味しかったので、ボトルで買うか検討中。
 そんな話を読メでつぶやいたら、アイル・オブ・ジュラを熱烈にお勧めいただいたり。職場の友人(先輩)から、ワイルド・ターキーを頂いたり!
 まだまだ、世界が広がっていきそうである。
 飲みっぱなしだと、せっかくの感動を忘れてしまいそうなので、ぼちぼち記録していこうかと思い立って、ブログに「ウイスキー」カテゴリを作ってみた。
 まあ、カスクだのフレーバーだのの蘊蓄を語るのは苦手なんだけど、飲んだボトルの記録くらいはしていこうと思う。
 

2025年10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2391
ナイス数:480

暗殺者の回想 下 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の回想 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
「おれはあんたのシックスでいたいんだ」これはプロポーズか?こんなことを言われちゃあ、このでっかい子犬を手放せないよなあ、ザック。アフガニスタンに散ったジェントリーの初恋。ところで12年前のこの事件、結果として「汚い爆弾」を載せた3機は撃墜、4機目も米軍の小部隊以外への被害はなかったのに、プリヤも、一般市民もが知っているほどの大事件になったのかな?とはちょっと思ったんだよね。ジェントリーは相変わらずのクリフハンガーで、ちょっと体力と運任せすぎはしないか?と思わんでもないけど、面白いからまあいいか、と。
読了日:10月31日 著者:マーク・グリーニー

軍人婿さんと大根嫁さん 7 (芳文社コミックス/FUZコミックス)軍人婿さんと大根嫁さん 7 (芳文社コミックス/FUZコミックス)感想
発売日を待てなくて、先行配信してたシーモアで読んでしまった!楽しさより切なさが増した7巻でした。婿さんの大陸での任務が明かされる。好きではなくなった海。親友を失い、戦後の戦場の始末をした誉さん。切ないナア。
読了日:10月30日 著者:コマkoma

暗殺者の回想 上 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の回想 上 (ハヤカワ文庫NV)感想
25歳の若造ジェントリーが生意気で(笑) 現在と12年前の交互進行。誰もが誰かを騙している。感想は下巻で。
読了日:10月29日 著者:マーク・グリーニー


『ババヤガの夜』日本人初受賞 世界最高峰のミステリー文学賞 英国推理作家協会賞(ダガー賞) (河出文庫 お 46-1)『ババヤガの夜』日本人初受賞 世界最高峰のミステリー文学賞 英国推理作家協会賞(ダガー賞) (河出文庫 お 46-1)感想
ダガー賞受賞の帯に引かれて読む。ヤクザ物のバイオレンス。あまり深くはない。ちょっとした叙述トリック。最初の違和感はちゃんと帳尻があう。だが失礼ながら、ダガー賞?よほど翻訳が上手かったんだろうか、それとも最近欧米で大はやりと聞く日本っぽさ(ヤクザ)が目を惹いたのか、とちょっと意地悪い感想も抱いた。なにしろあっという間に読めるので、血生臭いのが大丈夫ならちょっと隙間時間に読んで見てもよいのでは。ラストはちょっとファンタジーっぽすぎるかなあ。全編血生臭さと腐臭ただようが、その実メルヘンだと思った。
読了日:10月19日 著者:王谷 晶

竜の医師団4 (創元推理文庫)竜の医師団4 (創元推理文庫)感想
4巻は一気に事態が動く。イズルに降り立ったいつもの面々、竜医療最先端の地は、しかし苛烈な血統主義に支配される国家だった。そして、密かに蔓延りつつある優生思想。自分の出生についての暗い思いから、それに揺さぶられるリョウと、カラカラと笑い飛ばしながら蹴散らかす〈赤の人〉ニーナ氏(女性だということを、読んでてしょっちゅう忘れる)。優生思想についてはだいぶデフォルメされているかな、と思ったけど、医療者の熱い思いは存分に伝わった!
読了日:10月17日 著者:庵野 ゆき

竜の医師団3 (創元推理文庫)竜の医師団3 (創元推理文庫)感想
カランバスの上空に新たな竜が現れた!が2巻のラスト。しかし若い竜はディドウスの巣に孵化直前の卵を置いて遁走、なんと最長老の古竜ディドウスおじいちゃんは捨て子ならぬ托卵の仔竜の子育てをすることに!この仔竜に先天性の障害があり、竜の医師団は右往左往(笑) 。なんと言っても仔竜のチューダが可愛い。今回の医療テーマは先天性関節脱臼と◯◯◯。仔竜の治療法の開拓のために、リョウの移植された竜の目をダシに、ニーナ氏ともどもイズルに入国することが認められ、次巻へGO!
読了日:10月11日 著者:庵野 ゆき

ダンシング・ゼネレーションsenior 1 (マーガレットコミックス)ダンシング・ゼネレーションsenior 1 (マーガレットコミックス)感想
奥手でお堅い50代が社交ダンスに乗り出すって、なかなかきっかけが難しそうだが、こういう流れか。半強制でキラキラ(ぎらぎら?)な世界に飛び込むやり手女性誌編集者エリカさん。夫は定年退職済み、絵に描いたような濡れ落ち葉? にしてもエリカさん53歳にしちゃ老け顔すぎんか?表現するのも難しいお年頃よね。ほうれい線描くといっきにババア化しちゃうし。でも今時の50代ってもっと若くみえるような気がする。ってところに違和感アリアリでいまいち乗り切れなかった1巻目だが、タンゴのリズムに乗って疾走していってほしい。
読了日:10月08日 著者:槇村 さとる

フェア・チャンス (モノクローム・ロマンス文庫)フェア・チャンス (モノクローム・ロマンス文庫)感想
再々読。タッカー失踪で崩れそうなところを、耐えきるエリオットが強い。そのエリオットを守りきらんとするタッカーも男前。スカルプターはどうなる?これで完結なのか? FBIに管理官として復帰したエリオットと、バリバリ仕事する格好いいエリオットに相好を崩すタッカーを見てみたい、と欲を搔き立てられる終わり方。何回読んでも良いものは良いなあ。今回、プライベートで負担過多な折、隙間時間にストレスフリーな読書を求めてか、他の積ん読本を差し置いてついついシリーズ読了。ジョシュ・ラニヨンの新刊が読みたい。
読了日:10月07日 著者:ジョシュ・ラニヨン

読書メーター

2025年11月8日土曜日

0569 アリアドネの声

書 名 「アリアドネの声」
著 者 井上 真偽  
出 版 幻冬社  2023年6月
単行本 304ページ
初 読 2025年11月5日
ISBN-10 4344041275
ISBN-13  978-4344041271
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131345317

 最後まで読めば、納得の面白さです。読んでいる途中で感じた様々な引っ掛かりはおおむね伏線として最後にきちんと回収される。むしろ、結末を導くための作りこみがすごい。(むしろ過ぎている。)
 なお、以下のレビューはネタバレを含むので、未読の方は読んではならぬ。


 特殊な状況下で特殊な対象者(被災者)をドローンで救助する、という極めて特殊な状況を作り出すために、状況設定を作りすぎていて、現実味が薄くなった。具体的には、地下に広がる実験都市、ドローンだけが使用する搬送路、居合わせたドローン技術者、大規模災害発生なのに、要救助者はたったひとりの重度障害者・・・・・という舞台設定が、読んでいる私にリアリティがあるものとして感じられなかったのはちょっと残念だった。だけど、比較的行間が広くて薄め(軽め)の本でさらさらと読めるので、引っ掛かりはあれど、読むのは苦痛ではなかった。
 ただ、若い作者であろうからか、言葉の選択が軽いなあとは思った。たとえば、墜落したドローンに対して「冥福をいのりつつ」は、かなり引っかかった。大規模災害の状況として、死傷者が多数でていて、冥福をいのらなければならない悲惨な被害者が実際にいると思われる状況で、電池切れで動けなくなったドローンに「冥福をいのる」という言葉を用いるのは思慮がたりないし、軽率だ。その軽さがあだになって、ストーリーへの没入をやや妨げられた。

 主人公やその友人も、悲劇が盛り盛りで、「悲しみ」や「鬱屈」が飽和している。
 こういう「過去の哀しみ」を背負った草食系男子っぽい主人公って、きっちり類型にはまっていて、最近では少々食傷ぎみだ。主人公の気持ちに感情移入できれば、ふつうの男の子が思わぬ重荷を背負って、それでも地道に一生懸命生きている、という状況も共感が高まるんだけど、言葉の使い方に微妙な違和感があると、その都度「違和感を感じている現実の自分」に返ってしまうので、感情移入を妨げられる。しかしこれは著者と、読者としての私とのジェネレーションギャップも影響しているので、必ずしも作品のせいではない。著者と同年代の読者で、難なく没入できる人もたくさんいるはずで、その人にとっては、ものすごい作品だときちんと感じられるはずだ。
 
 特殊な状況を演出するための舞台装置については、若干の違和感を感じる。


 例えば、住民や来訪者にまですべてIDが発行され、位置情報が管理される都市が、現代でありうるのか。 個人のプライバシーの観点から、たぶんそこまでの管理体制は許容されないのではないかな。
 途中、地下 5 階から 4 階に上がったところで、彼女は空気マスクを外すのだが、彼女はどうやって二酸化炭素濃度が安全域であると知ったのか。
 さらに気になったのが、WANOKUNIはどこにあるのか。
 まず「県」であること。主人公と所属する小さなスタートアップ企業が密接に参画できてい
ることドローン講習に参加した消防士が人事異動しているくらいだがら、東京からあまり離れてはいなさそうだ。しかも、地下鉄が稼働している。県知事の力が強く、市長が腰ぎんちゃく呼ばわりされているくらいだから、政令指定都市ではないような気がするんだけど、どうだろう?
 現在、地下鉄がある日本の都市は札幌市、仙台市、東京23区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市らしい。
 そんなことを考えたのは、そもそも地下 5 階に地下鉄駅を作る必然性がないからだ。地下鉄路線が入り組んでいて後発の路線が大深度にならざるを得ない東京だって、都営大江戸線が地下 5 階の深さになっているところは少ない。一番深いのが六本木駅の地下 42メートル、新宿駅が36.6メートルだそうで、例えば新宿駅のJRの線路のレベルを地上2階だとすると、JR改札フロア地上1階、丸の内線改札フロアB1、大江戸線へのアプローチの地下道フロアB2、大江戸線改札フロアB3、大江戸線プラットホームフロアでB4。
 WANOKUNIが地方都市であるとしたら、ここまで深く地下鉄を掘る必然性がまるでない。例えば、近くの鉄道駅からWANOKUNI線として支線を引き、WANOKUNIに入る手前で地下に入る、という設定もありだが、それならせいぜい地下1階か2階だろう。まあ、べつに鉄オタではないし、ここでリアリティにこだわる必要はないのかもしれないが、地下鉄駅を地下 2 階か 3 階に設定し、地下鉄駅から地上への避難誘導路は完備されていて、なんらかの事情で最下層に取り残された被災者を地下鉄駅まで誘導する、とかの設定だったらもっと気分的に盛り上がったのに、とちょっと(ごく個人的には)残念だったりする。
 海で死んだ兄の「無理と思ったらそこが限界」という言葉の意味が、主人公の中で鮮やかに裏返ることとか、最後に現れる真相なんかは、ものすごく良い。だから、最後まで読めば、読後感はすごく良い。著者は良くここまで考えたな!と純粋に感心できる。
 だけど、一方で、最後の反転に結びつけるために、あれこれ細部を作りすぎだとも感じてしまう。
 ドローンのカメラが壊れたこと、熱分布マップを利用できたこと、被災者が「声が出せない」という設定。これらはすべて作中では「偶然」の産物で、数々の偶然の積み重ねで結末にたどり着いた・・・・・と思えれば、作品として成功。しかし、ああ、この結論作るためのこの設定だったのね、と読者に思われたら失敗。
 そういう意味では、この作品、どうなんだろう。私的には、やや、もやもやする。単純に、だまされた!面白かった!ってなり切れないのは、たぶん私がひねくれているからなんだろうけど。
 でも、まあ、いろいろケチはつけることはできたとしても、間違いなく面白い作品だった。

2025年10月31日金曜日

0567〜8 暗殺者の回想 上・下 (ハヤカワ文庫NV)

書 名 「暗殺者の回想 上」「暗殺者の回想 下」
原 題 「SIERRA SIX」2021年
著 者 マーク・グリーニー    
翻訳者 伏見 威蕃    
出 版 早川書房 2022年10月
文 庫 上巻:464ページ/下巻:448ページ
初 読 2025年10月31日
ISBN-10 上巻:4150415005/下巻:4150415013
ISBN-13 上巻:978-4150415006/下巻: 978-4150415013

読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131246661  

 新刊から丸々3年以上寝かせてしまった(汗)。すでにその後、2作が刊行されている(汗)。その上、12月には新刊が出る!(大汗)。 ここで遅れを取り戻さねば、と慌てて手に取る。
 今作は、12年前と現在の交互展開。"冷酷な目をした暗殺者”なのに、どうしても子犬に見えるのはどうしてだ? ジェントリーと教官だったモーリスの信頼関係もよい。だがしかし、久しぶりに登場したカーマイケルは相変わらずクソだ。
 ジェントリーはザックのチーム〈ゴルフ・シエラ〉の4人目のシエラ・シックスだった。生意気千万の25歳。根っからの単独行動者。長期間の潜伏にも耐える粘り強さと比類無き技倆を持ち、そして口のきき方を知らない(笑)。

 ただ、口のきき方は知らないが、自分がそういう人間だということは承知しているし、得手不得手も承知している。そして、望まれるなら、努力もできる。若ジェントリーは生意気で変わった奴ではあるが、見所はある。そんなジェントリーを鍛え甲斐のあるやつと見込んだザック。ジェントリーが弟以外では初めて持ったチームであり、上官。スタッグの組み方もジェントリーはザックとそのチームに叩き込まれたのだ。
 そして、これまた甘酸っぱい、高校生みたいな恋。その結果は推して知るべし。

 そして、ジェントリーが胸の痛みを知ることになった、惨憺たる結果になったパキスタンでの作戦から時が過ぎること12年。
 再びCIAのおたずね者になったジェントリーは、ある民間請負の仕事であり得べからざる男を発見する。それは、12年前の事件の首謀者。そこから始まる追跡劇。
 
「俺はあんたのシックスでいたい」

 もはや、恋の告白のような言葉で、ザックの永遠の弟分ポジションが確定した若造ジェントリーであった。

2025年10月19日日曜日

0566 ババヤガの夜  英国推理作家協会賞(ダガー賞)

書 名 「ババヤガの夜」
著 者 王谷 晶
出 版 河出書房新社 2023年5月
文 庫 208ページ
初 読 2025年10月19日
ISBN-10 4309419658
ISBN-13 978-4309419657
読書メーター    

 書店の平積みになったダガー賞受賞の帯に「ほう?」と気が惹かれて読んだ。だが大変に失礼ながら、ダガー賞を受賞するほどなのかなあ。よほど翻訳が上手かったんだろうか、それとも最近欧米で大はやりと聞く日本風味(ヤクザ)が目を惹いたのか、などど、とちょっと意地悪い感想も抱いてしまった。
 任侠ではない、「暴力団」って感じのヤクザもの。そのヤクザの組長宅に、一匹狼の、やたらと喧嘩が強くて暴力が大好きな大柄な女が、自分の意志とは関係なく引きずり込まれる。
 年代を特定するヒントが少ないなかで、なんとなく現代だと思って話を読んでいくと、途中で、え?となる。徹頭徹尾、血生臭さと腐臭と汚臭が漂うバイオレンスだが、あまり深くはない。ちょっとした叙述トリックがあり、途中でちょっと戸惑うものの、理解してしまえばなんということもない。最初の方で感じた芳子のつれあいの言葉遣いの、違和感というほどでもないひっかかりは、ちゃんと帳尻があう。
 なにしろあっという間に読めるので、血生臭いのが大丈夫ならちょっと読んで見てもよいのでは、とオススメしたい。しかし、ラストはちょっとファンタジーっぽすぎるかなあ。全編血生臭さと腐臭がただようが、その実メルヘンだと思った。

 個人的には、柳がどうなったのかが気になる。ヤクザの若頭補佐をつとめようという男が、ちょっと甘すぎるんじゃないか、とは思って、そこにもかるくひっかかった。
 韓国釜山と下関を結ぶ国際フェリー就航が1970年。柳は家族を連れて韓国に渡ることができたんだろうか。

2025年10月18日土曜日

0565 竜の医師団4 (創元推理文庫)

書 名 「竜の医師団4」
著 者 庵野 ゆき   
出 版 東京創元社 2025年3月
文 庫 352ページ
初 読 2025年10月17日
ISBN-10 4488524133
ISBN-13 978-4488524135
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/130985144

 人物紹介のクズリがグズリになっとるぞ!どうした東京創元!

 そして、極北の地の弱小竜医師団の最強メンバーは、イヅルの地へ至る。
 最高峰の竜医療、竜に医療を施すことに特化した国作りをしているイヅルには、あまり外部には知られていない血の法則があった。
 それは「見える」ことに最高の価値を置いた、国家を挙げた血統主義。竜人〈ズメイ〉が持っていた特異能力である「熱を見る力」が、イヅルの医療の根幹を成していたのだ。
 そのイヅルでも最高峰の「見る」力と、外科の執刀能力を持つクズリは、実は極端な優生思想を抱いていた。クズリは留学生にその思想を吹き込んで、世界中に密かに優生思想を伝播するとともに、己の後継者として、リョウを取り込みにかかる。

 クズリのカリスマ性と、「優るる生」という魅惑的な思想に翻弄されるリョウであるが、そこはちゃんとニーナ氏がフォロー。医療者の熱い思いが語られるのだった。

 まだまだ続きがありそう。だけど、可愛いチューダの翼の治療だけでもリョウの一生かかるよなあ。

2025年10月13日月曜日

0564 竜の医師団3  (創元推理文庫)

書 名 「竜の医師団3」
著 者 庵野 ゆき   
出 版 東京創元社 2025年3月
文 庫 336ページ
初 読 2025年10月11日
ISBN-10 4488524109
ISBN-13 978-4488524104
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/130868542

 カランバスの上空に新たな竜が現れた!が2巻のラストだった。
 新たな竜の登場に、竜の医師団の面々だけではなく、私だってワクワクだったんだけど。
 しかし飛来した若い竜は、なんと古老ディドウスの巣に直滑降したかと思うと、孵化直前の卵を置いて遁走、なんと最長老のディドウスおじいちゃんは捨て子ならぬ托卵されてしまったのだった。
 子供も孫もひょっとしたらひ孫も大量にいるはずのディドウスとはいえ、最後の子だったドーチェだって、生まれたのはなんと2000年前! もはや自分が動くのも面倒くさいディドウスおじいちゃんが、よっこらやっこら、仔竜の子育てをすることになるとは!

 この仔竜に先天性の障害があり、老竜しか治療したことのないカランバスの竜の医師団は右往左往する。竜の主治医のニーナ氏は、チューダを手放さず、竜の小児科をカランバスに招致しようと苦心惨憺するが。

 なんと言っても仔竜のチューダが可愛い。その仕草、可愛さ、やさしさに頬が緩む。
 今回の医療テーマは先天性関節脱臼と◯◯◯。仔竜の治療法の開拓のために、リョウの移植された竜の目をダシに、ニーナ氏ともどもイズルに入国することが認められ、次巻へGO!
 

介護日記的な・・・その27一応の最終回 家の片付け


 母がグループホームに入居して、主(母)が留守になった家で私がしたかったこと。それは大掃除。

 なにしろ、母は窓を開けたがらず、カーテンは締めっぱなしになりがちだった。なにかしらの恐怖観念があったようだ。
 とくに、母の寝室は空気の入れ換えもままならず、常に湿度が高い状態で、おそらくダニなども発生していた。(たまに、母がかゆがっていた。)
 母の寝室だけでなく、押し入れで捜し物をした折は、私もダニに喰われたので、とにかく全面的な掃除・除虫は必須な状況だった。

 そして、母はため込み系の「片付け魔」だった。

 一見して、室内はキレイそのもの。きちんと整理整頓されている。だがしかし、今回、母の入居準備でシーツやタオルや、着替えなど押し入れの中を色々と探したが、60年は前のシーツが糊とアイロンが掛かった状態で保管されていたり、いろいろと、さすがにこれはもう、捨てたほうがよいだろう、というアレコレを発見。
 大切に使っている飛騨の家具の応接セットは、座面のゴムが経年劣化で断裂しているし、父の大切にしていたスピーカーは、ウレタンが劣化してボロボロになっている。修理に出したかったが、母は私があちこちいじることに難色を示した。いろいろと判らないことが増えてきていたのに、いじられてもっと判らなくなったら、と不安だったのだと思う。私は、いつかちゃんと修理に出そうと、虎視眈々だった。

 その他、母がため込んだ新聞・雑誌の切り抜き、プリントアウトしたメール、手紙、写真、昔の書類のあれこれ。手芸や洋裁の好きな母がため込んだ、大量の着分の毛糸、あまり糸、洋裁用具、着尺の高級ウール、昔仕立てた洋服の端切れ、一時期はまったパッチワーク用の用具、大量のパッチワーク用布、キルト綿、洋裁本、編み物本、レース本、パッチワーク本・・・・・
これも一時期母が熱中した書道用具、大量の反故紙、お手本・・・・・
なにより、もう着ない大量の服。
 
 家具の修理を手配し、壊れた家具や、使用しない大型家具、なぜかリフォームの際に処分せずに取ってあった建具などを、2回にわけて粗大ゴミで出し、とにかくゴミ・不要品を排出。
 基本母のものなので、極力捨てない方針で臨んだものの、最終的には、45リットルゴミ袋40袋以上を消費。新聞回収袋4袋分の紙類。不要衣類・シーツ・布類は45リットルで6袋。 燃やすゴミ、プラスチックゴミ、陶器・ガラス・金属・ビン・カンに分類し、1週間でそれぞれのゴミ回収日に効率よく排出。古本買い取りに3箱。

 ベッドを移動し、本棚を移動しながら、掃除・除虫を繰り返し、毎日何回も掃除機かけても、なぜか掃除機のゴミカップ一杯になるホコリ。

 もう、気がふれたように掃除し、片付けた。一週間みっちり。朝から晩まで。

 まだ、出し切れていない資源ゴミが残っているし、写真と手紙類は丁寧に見ようと思って、今だ、居間の真ん中に小山になっている。
 それでも、室内は「キレイ」な状態に現状復帰したし、細かいところは私の趣味で古すぎる台所用品なんかは多少、買い換えた。

 過重労働のおかげで、右手の肘を筋と手指の関節を痛めて、いまだにあちこち痛いけど、ひとまず、私と母の在宅介護はこれにておしまい。今後は、母の家を維持しつつ、面会にいって、母の入居生活を後方支援していく。

 あとは、この2ヶ月ほぼ放置状態だった、自分ちの掃除片付けだな。そんなこんなで、自宅に戻ったのは先週だったのだけど、本日は一日掃除に勤しみ、腕の痛みがまた、悪化しましたとさ。

 そうそう、母宅にいるあいだに、読書が出来ないならなにか一つくらいは終わらせよう、とちくちく修理していたウォルドルフ人形は、こんな感じになりました。



 

 

介護日記的な・・・その26 同居見守り開始から母GH入居までの記録


母のGHの部屋に飾るために仕立てた造花の花籠です

 さて。令和4年9月に発覚した母の認知症と、そこからスタートした、母の介護も、この9月の母のGH入居をもって、一つのタームを終え、次の「施設での生活を支える」タームに入った。
 この間の流れを、忘れないうちにまとめておこうと思う。

6月末  母の認知症の進行を感じる。これまでの、朝夕の決まった時間に冷蔵庫からご飯と惣菜を取り出して食べる、ということが出来なくなって、体重も落ち始めた。

    介護日記16 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/06/blog-post_29.html

デイサービスからは、認知症高齢者GHを勧められる。私自身も、選択肢の一つとは思っていた。施設入居するまでの間、介護休暇を取っての同居介護することを念頭に、職場で根回しを始める。

7月初旬  デイサービスと同じ法人さんが運営するグループホームを2カ所見学する。正直、施設内が片付いていないとか、壁の飾り物が雑然としている、とかに目が行き、第一印象はパッとしなかった。しかし、施設長の言葉は的確で、「きちんとケアしてもらえる」という感じを受けた。このGHに入所の申し込みをするが、その時点で、「いつ入れる」かは不明だった。数人待機している状況とのこと。この時点では、毎週末の金〜土の泊まりと、火曜日の日帰り介護を継続。

レンジがついに昇天。

母が使えそうな、単機能レンジ(あたためスタートボタンが壊れたレンジと同じ場所にあるもの!)を購入。母はかなり覚束なかったがなんとか使えるようになった。

介護日記17 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/07/blog-post.html

 

これまで担当してくれていたケアマネさんが、体調不良で退職し、介護事業所を変更しなければならなくなる。ケアプランの見直しを迫られているなかで、結構な痛手。

721日 介護日記18 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/07/blog-post_21.html

722日(祝/代休) 実家近くの中学時代からの友人と食事。友人もお母様と2人暮らしで介護をしており、介護情報の共有とか、お互いの介護のアレコレを語り合う。この人間関係にかなり助けられる。

725日(金/深夜) 実家の粗大ゴミ出し。壊れたレンジを出すついでに、納戸と化した部屋に溜まっていた壊れたテレビ台やら扇風機やら、コミック用の本棚やら、使っていないインクジェットプリンターやら。母が寝た後の実家に仕事が終わってからそ〜〜〜〜〜っと入り込み、母が寝ている間にそ〜〜〜〜っとまるでドロボウのように、密やかに搬出して、粗大ゴミ指定場所に運ぶ。

介護日記20 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/07/blog-post_27.html

72930日  母をショートステイ(1回目)に送り出すため、仕事を休んで前日夜から母宅へ。

7月末  職場に8月から介護休暇を取得する旨、正式に申請。(不在中フォローすることになるであろう係のメンバーに感謝)

88日 実質的に介護休暇突入。(最初は夏休から)。前日7日の夜に母宅に来たところ「焦げ臭い」案件が発生していた。

介護日記21 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/08/blog-post.html

ボヤを出す前でよかった。ぎりぎりのタイミングで同居介護に踏み切ることができたことに感謝する。

だがしかし、母不在の日中、あまりの静かさに、いっとき鬱る。

介護日記22 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/08/blog-post_14.html

81112日  ショートステイ(2回目)  12日は職場に出勤。

814日(木) 新しい介護事業所のケアマネさんと初回面談。契約。

815日(金) 母の咳がだんだん悪化し、看過できなくなったので、内科に通院。誤嚥なども案じたが、結果は上気管支炎。朝昼夕眠前の処方。薬をこれまでの薬袋管理から、お薬ボックス式に変更。

816日(土) 精神科(認知症外来)通院同行。GH入所方向であることを伝える。

818日(月)ごろ  申し込みをしていたGHが、デイケアで本人面接。入所可の判断となり、9月中の入所の目処が提示される。

823日(土) 内科で咳の再診と、入所に向けた健康診断。

82627日  ショートステイ(3回目)  27日は母から手が離せるので、職場に出勤。打ち合わせなどをこなす。

830日(土) 健康診断書と診療情報提供書を内科で受領

91日(月)  GHの入居予定の部屋の見学、ホーム長との打ち合わせ、持ち込むものの確認など。

介護日記25 https://koko-yori-mybooks.blogspot.com/2025/09/blog-post.html

92日(火)  終日在宅勤務で、研修受講

93日(水)  日帰りで自宅に帰る。家事やら、家の手入れやら。

94日(木)  団地で高齢化/孤独死対策に取り組む母の友人の旦那様が来訪。我が家の介護/見守りについて情報提供する。(見守りカメラや家族の関わり方など)

95日(金)頃  精神科に、GH入所が本決まりになったことを電話連絡。次回受診のときに診療情報提供書の発行を依頼する。

96日(土) 母を美容院に連れて行って、ヘアカットしてもらう。その帰りに、メガネ屋に寄って、メガネの調整をしてもらう。

98日(月) 自分の内科通院

9920日  この間、母のGHに持ち込む家具、寝具、衣類、日用品の調達。寝具については、マットレスやマットレスパッドをどうするか、など相当に悩む。

     室内に造花を持ち込むつもりで、造花の花の種類などについても、かなり悩んだ。

     マットレスは購入せず、パラマウントのベッドパッドを購入。シーツは家にあるものを使えないかと思ったが、想像以上に古く、これもパラマウントで介護ベッド用のボックスシーツを購入。羽根枕は昭和西川のネットショップで購入。居室に持ち込むタンス、一人用テーブルなどは、母宅に置いてある飛騨産業の穂高シリーズや、昔、購入したことのある越後民芸家具のタンス(比較的軽くて、扱い安い)などを、メルカリで探して購入。

91112日  ショートステイ(4回目)。これまでで一番上手くいった。母は落ち着いて工作などにも参加して、終始楽しく過ごせたよう。

    GHと相談し、926日(金)を入所日に決める。

913日(土) 精神科(認知症外来)受診。診療情報提供書を受領。3年間お世話になった先生にご挨拶。

917日(水) ケアマネさん来訪。月1回のモニタリング。

とにかく、睡眠ペースを守り、昼夜逆転に注意して、体調・生活面を整える。

918日(木) メルカリで購入した家具類が納品。清掃、部分的に修理、ワックス掛けなど施したのち、母に見つからないように、カバーを掛けて隠す。

919日(金) アートセッティングデリバリーが、家具と用意の生活用品などの荷物を搬出。

922日(月) アートセッティングデリバリーが、GHに家具・荷物搬入

923日(祝) GHに部屋のセットアップ・片付け、最後の打ち合わせに出向く。

92223日  母、ショートステイ(5回目・ラスト)  前回のショートが良かったので期待していたが、ショートステイでは入眠させることができず、完全に昼夜逆転して23日夕方に母が帰宅。ものすごくがっかり_||○ 

なにしてくれてんの!とショートステイにはかなり腹がたった。ギンギンで夜を朝だと思っている母をなだめすかして、なんとか夜9時半には入眠させ、朝まで熟睡してくれた。なんとか昼夜逆転をリカバリ。もの凄く疲れた。

924日(水) デイケアの連絡帳で、ショートステイの処遇を愚痴る。

925日(木) デイケア最終利用日

926日(金) 14時にGHホーム長さんが、施設の車でお迎えにきてくれる。午前中に、「お泊まりもできる高齢者の集会所みたいな所」にお部屋を見に行く、と母に説明(2回目)。夜に1人でいるのがアブナイこと、私が一緒に居られないときにお泊まりできる場所であること、家の近くであること、災害の時には、高齢で避難所ってわけにはいかないから、高齢者用のお泊まりできるところに避難するんだ、とか虚実ないまぜで母が納得できそうな線でもっともらしい話をする。

認知症の母は、聞いたそばから忘れてしまうし、前後の脈絡はもはや関係ない。おそらく多くの認知症の方に共通するのではないかと思うのだが、今・目の前のこの時に不安がないか、不満がないか、楽しいか、が目の前の状況を受け入れられるかどうかの決め手になる。

そう心得て、施設に向かう車中ではとにかく楽しい雰囲気になるように、途切れなく沢山お喋りをして、母も、送迎の職員さんもケラケラ笑わせ、高揚して楽しい気分のままGHに到着。さあ行こう、と母の気を逸らさないように、一気にお部屋まで連れて行き、母好みの家具を配置した部屋で、1人掛けの椅子に座った母に「なかなか良いお部屋よね〜」などとお話。ここはどういうところか、前述の話を再度はなして聴かせ、幸い母は、毎日通ったデイサービスとも雰囲気が似通っているからか、さほど違和感も抱かず、「わたし、ここに来るの2回目かしら?」とか言い出すので、「そう! 初めてじゃないわよね!」と母の話に乗る私。ちょうど3時のおやつの時間でデイルームに呼んでいただき、他の入所者の皆さんに紹介していただくと、入所者のおばあちゃんのお一人(もちろん認知症)、「わたくしの夫が、昨日、〇〇さんて方がいらっしゃるって、言ってたんです!」と確信を込めて仰るので、内心(おばあちゃんナイス!)と喝采を送りつつ、「そーなんです。どうぞよろしくお願いしますね〜〜〜」なんていって、母をGHに置いてきたのだった。

 自惚れでなく、たぶん最善の状態で母を施設にお任せできたと思う。あとは、職員さんの専門性にお任せする。そう思って、ぐっっっっっったりと疲れて、施設を後にしたのだった。

2025年10月5日日曜日

2025年9月の読書メーター

 この間も書いたが、本当に、もう少しは読めるんじゃないかと思っていた。だけど、そう冷静にもしていられなかった9月。母が入所して以降は、家の片付けが分単位の待ったなしで、そちらも本当に大変。楽しみにしていたはずの新刊の発売日や、ネット小説の更新日すら失念する始末で。しかし、本日自宅に帰還。あすからは平常にもどらなければならない。おりしも読書の秋。いやはや、今年の夏はどこにいったんだか。さて、読書ペースをとりもどさないと。

9月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1317
ナイス数:182
https://bookmeter.com/mutters/287650521

3月のライオン 18 (ヤングアニマルコミックス)3月のライオン 18 (ヤングアニマルコミックス)感想
島田さんと零ちゃんの一騎打ち。島田さんがさらに好きになってしまった。この話が進んでいる途中で藤井君が彗星のごとくに登場し、零ちゃんすら現実の前に霞んでしまったような気すらしたけど、零ちゃんは零ちゃんらしく、一歩一歩成長してきた。ひなちゃんとの関係も暖かくて幸せ。様子をみてクリームシチューをリゾットに変更してくれる。そういう心遣いができる子なのが、また素敵。
読了日:09月30日 著者:羽海野 チカ

フェア・プレイ (モノクローム・ロマンス文庫)フェア・プレイ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
一作目に続き、読まずにはいられず、2作目に突入。タッカーがよい男なんだよな〜。ちょっと固いエリオットを包み込む男前。率直でカンが良く、有能なFBI現役捜査官。何回読んでも惚れ直す。
読了日:09月29日 著者:ジョシュ・ラニヨン


フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)感想
3回か4回目の再読。実家訪問中にどうしてもブッシュミルズが飲みたくなり、そういえばスコッチが好きな"ミルズ”っていうキャラが居たな・・・という連想から、Kindleで再読。(ただし、ブッシュミルズはスコッチではなくアイリッシュ)。何回読んでもエリオットは面倒臭い性格なんだけど、やっぱり良い。
読了日:09月28日 著者:ジョシュ・ラニヨン


ヴィンランド・サガ(29) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(29) (アフタヌーンKC)感想
よもや29巻で最終刊になるとは思っていなくて、驚いて慌てて購読。千年の航路。その末に私たちが居るのか。「仕掛けてきたのは向こう」「家族や村(国、町)を守るため」「愛する者を守るため」仕方ない、という言葉でどれだけ思考停止に陥るのか。あまりにも現実的な問題を突きつけられた気がする。考えるのを止めてはいけない。
読了日:09月25日 著者:幸村 誠

読書メーター

2025年9月28日日曜日

2025年8月の読書メーター

 9月が終わりに近づき、8月のまとめもしていないことに気付く。
 施設入居までと期限を定め、8月のお盆前から本格的に母の同居介護を開始し、母は一昨日、無事にGH(認知症高齢者グループホーム)に入居できた。そのうち、顛末をきちんと〈介護日記〉の方にまとめようと思っているが、けっこう大変だった。(私が極限まで精神力を行使しした結果、母は大きな負担なく入居させることができたので、「大成功」といっても差し支えない程度に上手くいったのではないか。)
 さすがに休職するんだから、本を読む時間くらいはあるだろう!と母宅に大量に本を持ち込むも(なにしろ、ボッシュシリーズ全部もって行ったからね!)、ビックリするくらい読めなかった!
 9月初めに入居できる見込みが立ったので、この間母の見守り、食事の世話と並行しGHへの入居の準備を進めてきた。迷うことや一人で悩まざるを得ないことも多かった(というかそれしか無かった)。母を、母が自分で築いた家から出さなければならないことが苦しかった。母との関係をつらつらと振り返る時間でもあった。ただし、母は全部忘却済み! もはや母子間のあれこれは母からは滅却され、残ったのは一方的な私の思いでしかない。

 今は、母の本棚(というか、家全体)を整理しているところだが、母の「呆けない」ための本の数々や、脳を活性化するサプリ、とか全部役に立ってない!

 “お一人様の老後を如何に有意義に過ごすか”とか”脳が若返る”とか、ずいぶん沢山本を読んだようだが、一方で本当の「いざというとき」について考えることからは逃げ回っていた。

 「本当に一人で暮らすのが難しくなったらどうしたい?」という問いかけには、大抵「そうなったら死ぬからいいわ」と話にならなかった。その結果、母は見事認知症となり、施設への入居や、これから先死ぬまでの判断はすべて私が代行することになった。きっとこれからもいろいろと悩むんだろう。

8月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:2850
ナイス数:816
https://bookmeter.com/mutters/287352626

審議官:隠蔽捜査9.5 (新潮文庫 こ 42-62)審議官:隠蔽捜査9.5 (新潮文庫 こ 42-62)感想
実質的には再読。署長が空席となった大森署の一日。奥さんの冴子さんが冴える「内助」、どこか頼りない息子の邦彦、長女美紀の正義感。「仲の悪い」阿久津と平田の両参事官。しかし真骨頂はやっぱり竜崎のおべっか使い!当の竜崎は、必要なことをしただけです、と涼しい顔だけど。おべっかもつかえれば、屁理屈もこねられる。さすが頭がキレる人はひと味違う。この刊は、竜崎のいろんな面が見られてとても好きです。
読了日:08月29日 著者:今野 敏

ウォルドルフ人形の本ウォルドルフ人形の本感想
今日はここ10年以上、ずーーーっとやりたかった事をしている。子供達が赤ん坊の頃、最初のお人形として手作りしたウォルドルフ人形の修理。男の子はムスメに丸刈りにされ😂、総天然素材(ウールと綿)故に虫に食われ😅、お洋服はゴムが伸び、ボタンが取れ・・・いつかいつか、修理して髪を生やそうと、髪の毛用の手紡ぎの羊毛も入手したのが5年は前。手に入れたところで力付き、さらに放置の年月。いつやるの?今でしょ!というわけで、一念発起して、今日は朝から人形を風呂に入れている。
読了日:08月24日 著者:カーリン ニューシュツ

好きだと言って、月まで行って (モノクローム・ロマンス文庫)好きだと言って、月まで行って (モノクローム・ロマンス文庫)感想
SEXの描写はさすがのM/Mだと思った次第。だけど、とにかく主人公2人が繊細で優しく、思いやりがある。いわゆるタフガイとは一線を画する、優しい世界の住人たち。それゆえに苦悩にもあるのだけど。オーストラリアのLGBTQを取り巻く雰囲気もちょっとわかる。雇用契約や権利—義務関係に対する意識の強さがストーリーのキモでもあるんだけど、この感覚は日本人にはちょっと理解が難しい分、よけいにモダモダと感じたかもしれない。あれだけ仲良く暮らしていても1年半、結婚に踏み切っていなかった慎重さ。すごく真っ当な恋愛だった。
読了日:08月17日 著者:N・R・ウォーカー

フラジャイル(30) (アフタヌーンKC)フラジャイル(30) (アフタヌーンKC)感想
森井君ニューヨークへ。円さんがまさかの危機。おそるべしアメリカ! でろでろに腐っちゃった検体でもできることをやり遂げる病理チーム偉い。その後の恐怖のカンファは推して知るべし。
読了日:08月16日 著者:恵 三朗

幼女戦記 (32) (角川コミックス・エース)幼女戦記 (32) (角川コミックス・エース)感想
『最古参』ショーンズ再び。この巻は危なげなかったかな。ソ連・・・ではなく、あの国の変態は健在。そして、今回あまり出番のなかったメアリー・スーが不穏だ・・・・
読了日:08月16日 著者:東條 チカ


カンツォニエーレ チェーザレ番外編 (モーニング KC)カンツォニエーレ チェーザレ番外編 (モーニング KC)感想
「お前は修道院には行かない。いずれ自分に相応しい相手を見つけ 子供を儲け 穏やかで温かい家庭を築く———」穏やかな表情で仄かな好意を寄せあった少女に語るチェーザレ。ひょっとしたら、この言葉はルクレツィアに寄せる秘めた願いであるのかも、と思ってしまった。ボルジアに生まれた以上、女は政略の駒でしかあり得ないのだけど。チェーザレ最後の自由な青春の日の思い出。アブナイ禁書が出て来たけれど、そちらは深掘りはせず、二人の仄かな恋情とともに暖炉に焼べられた。チェーザレの末の弟のホフレがかわいい。
読了日:08月16日 著者:惣領 冬実

宇宙兄弟(45) (モーニングKC)宇宙兄弟(45) (モーニングKC)感想
次巻で完結。月の周回軌道を漂流するムッタと,地上での必死の救出作戦立案。ヒビトはソユーズの中でその時を待つ。そしてヒビトがムッタに投げた救出ネットをしっかりと掴んでさあ、最終章へ!いやあ引っ張ったね。やっと次で完結。安心して待たせていただきます。
読了日:08月16日 著者:小山 宙哉

夜を走り抜ける 2 (enigma comics)夜を走り抜ける 2 (enigma comics)感想
あの人の愛、この人の愛。愛が錯綜しまくってるけど、主人公以外は大概大人だったのでなんとかなったか。17歳で心が死んでしまった晴生のあまりの不安定さが、周囲を巻き込んだ形。高嶋がありがちなキャラだけど、非常に良い(笑)。ここにも贋作の天才あり。しかし、ユトリロと牡蠣とシジミの組み合わせがシュールだ。街づくりのイメージがガウディってのもどうよ(笑)2巻はあちこちに笑いのツボもありつつ、収まるべきところにピースが嵌まるように収まっていくのが快感だった。兄弟愛が復活したのが良し。主人公カップルはまあ、そのままで。
読了日:08月14日 著者:湖水きよ,菅野 彰

夜を走り抜ける 1 (enigma comics)夜を走り抜ける 1 (enigma comics)感想
主人公を中心に、不穏・不安や思惑が渦巻いている。が、ストーリーがとっても追いにくかった。断片的な書き方だからか、秘密が多いからか。キャラも見分けにくくて・・・・。何かが起こっているけど、どうもよく判らない感じが、作品と相まって、不安感を醸す。でも2巻で全部すっきりするから、安心して2巻にGO!だ。
読了日:08月14日 著者:湖水きよ,菅野 彰

コーンウォールに死す (ハーパーBOOKS)コーンウォールに死す (ハーパーBOOKS)感想
ガブリエル73歳、双子は8歳。パレスチナの惨状を見れば、この作品に対する視線も若干冷ややかになるのは否めない、が。ずっと読んで来て、ガブリエルへの思い入れもひとしおなので、やっぱり新刊は嬉しい。シリーズ全体からみれば、もはや1巻全部がボーナストラックみたいなもの。とにかく、ガブリエルには幸せでいて欲しい。その一念しかない。コーンウォールで警察官になったピール元少年(笑)が登場。コーンウォールの連続殺人魔に端を発し、またも巨匠名画にからんで、巨額な脱法資金洗浄とイギリス政界の汚濁を暴く。巻末のノートは必読。
読了日:08月13日 著者:ダニエル シルヴァ

スモークブルーの雨のち晴れ 7 (フルールコミックス)スモークブルーの雨のち晴れ 7 (フルールコミックス)感想
だんだん顔のデッサンが崩れてきているような気がする・・・・。横顔・・・・。ゲイの心情、プランBで家族の幸せを己の幸せとすること。日々の営み。そして自分の過去も含めて今の糧となることの歓び。少しずつ幸福に実体が伴ってくみたいな感じがして良い。久慈父の遺稿が教え子の未来につながると良いな。翻訳の蘊蓄もとても好き。
読了日:08月01日 著者:波真田かもめ

后宮のオメガ 雪花の章 (ディアプラス・コミックス)后宮のオメガ 雪花の章 (ディアプラス・コミックス)感想
前巻ラストで見たいと思った子沢山のハーリドとイリヤの姿を見られて眼福です。
読了日:08月01日 著者:露久 ふみ

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