6月末頃から、母の認知症が進んできたかな、と思い始め、結局それは気のせいではなく、この三年間、超低空飛行とはいえなんとか維持してきた母の独居も、もはやこれまで、と観念した。(私が)
とにかく、きちんとご飯が食べられないのはダメだ。
母が独りでいるときに口にするのは、木村屋の蒸しケーキやミカンだけになってしまった。そういえばカットパインも食べたかも。・・・・って、全然食事の足しにはならない。
体重が少し落ちた。
言葉が拙くなり、聞く力も読む力もガクンと落ちた。確認行動が酷くなって、寝る前の戸締まりや電源の確認が延々終わらないので(確認したそばから忘れるから、エンドレスになってしまう。)入眠に影響がでてきた。
極めつけは先日の「焦げ臭い」事案。結局原因不明なんだけど、電子レンジの中も焦げ臭かったので、きっとここで何かがお焦げになったんでしょう。ちなみに先日購入したばかりの、オーブン機能などない、単機能レンジ。あたためスタートしかできないやつ。いったい何をどうチンしたら、お焦げになるんだろう。謎だ。
初めは、もう一回ホームヘルパーの導入にチャレンジして、朝夕の食事の世話をお任せすることができれば、何とかなるのでは、と思ったのだが、一週間一緒にいてみて、そうではないと気付いた。見守りは常に必要。見守るだけだとしてもだ。
とうとう、母を一人にできない日がやってきたのだ。
その日が来てしまえば、案外、決断はすんなりつくものだ。というか選択肢がないので、決断というよりは諦念に近い。しかし、この決断を、私は自分の家族にちゃんと相談したろうか、と思うと反省すべきところがあるなあ。
職場には介護休暇の取得を相談し申請し、そして周囲に協力を仰ぎ(迷惑をかけ、ともいう)、長期の休暇に入ることとなった。期間は「母が施設に入るまで。」
グループホームは一ヶ月前に申し込みしてある。しかし、まだ待機順は繰り上がっていない模様だ。あと2ヶ月、3ヶ月で入所できるだろうか。
母はデイサービスには通っているので、母がデイに行っている間は、時間があるといえばある。テレワークとの組み合わせも検討できる。しかし、フルタイム稼働は無理。
デイに送り出すのが9時半。戻ってくるのが17時。その間に、家事や買い物を済ませる必要もある。自分の自宅は別にあるので、そちらにいる家族も完全放置はできない。実家から職場までは2時間弱かかるので、どう工夫しても通勤は無理。それは早々にあきらめた。なにしろ、やったとしても私の体力が続かないのは明らか。夜間に起こされることもあるので、昼寝も必要になりそう。(だが、してみたら夢見が悪くて閉口した。)
そんなわけで介護休暇に入った訳だが、盲点が一つあった。母がデイサービスに出かけた後の家の中の静けさがもはや暴力的だった。一日目で早々に私のメンタルが参った。
なにしろあまりにも静かだったのだ。近隣も静かで、集合住宅なのに近所の人の気配が皆無。なんだか世界中に自分しかいないような気がしてきて、「自分はいったい何をしているんだろう?」となんだか存在の根源が揺らぐような気分になって、ずんずん落ち込んだ。これでは早々に鬱になる。
かなりの危機感を感じたのだが、そんな私の孤独を慰めてくれるアイテムを思い出したので、急遽入手に走った。
右の写真のデスクオーナーメントは国際ディスプレイ工業の「amaoto」という製品。光発電で台座に仕込まれた電磁石で重りがゆらゆら、そのゆらゆらに台座の中のハンマーが反応して、これも台座の中に仕込まれたベルを叩く。こん、カラン、ろん、ててん、リン、ろらん。
実はこの製品、新宿のブックファーストの文具売り場に展示されているのを、8年位前から知っていた。ずーーーと、この店舗に行くたびに、心落ちつく音色に耳を傾けていた。
ただ、絶対に猫との同居は無理だと思ってたんだよね。入手することはないと思っていた。しかし、母宅に猫はいない! まあ、母がちょっかい出す可能性は大いにあるが・・・・
かなり値も張るし、結構な買い物だったのだが、しかし、効果は絶大。今も、この「雨音」に慰められながら、この文章を書いている。
・・・・ついでにいえば、母はいま、夕食の後の台所の片付け中で、ずーっとエンドレスに独り言を言っている。これは、、、なんだっけ? ああやだ、これは・・・こうですよ。そしてぇ、これは。えい。やあ。よいしょ。よいしょ。ええと、これはどこだっけ。どこですか? そしたら、そしたら〜、ええと、これか。そしたらこれですか。やんなっちゃうなあ、もう。・・・・・ごしごし、がさごそ、がちゃがちゃ・・・・
母は、食事の支度はできないけど、食器洗いは辛うじてできる。片付け魔なので、台所の始末もする。(食器は洗い直しが必要な場合が多い。)実況中継的に、ひたすら独り言を言いながら。とにかく、一見とてもキレイに片付けるが、片付け方はめちゃくちゃなので、母が寝てから、全部戸棚を開いて、場所を直すのだけど。でも出来ることはできるだけやらせたいので、母にやってもらっている。
あと、おなじ団地内で、同じく実母さんの介護をしている友人と宅飲みした。介護情報の交換は建前で、とにかく話して、飲んで、ストレス発散。これ大事よ?
左の青いラベルのスパークリングワインは、友人が持ってきてくれたヤツ。花火のラベルが素敵なカヴァ。右は私が自宅から持参したなんと厚岸ウイスキー〈花ぐわし〉。夫が頂いたものを、有り難く頂戴した。
まあ、介護を大変がっても鬱になるので、今できる楽しいことを探そう。そうしよう。
0 件のコメント:
コメントを投稿