2022年4月17日日曜日

0339 聖なる黒夜 上(角川文庫)

書 名 「聖なる黒夜 上」
著 者 柴田よしき       
出 版 角川書店 2006年10月
文 庫 668ページ
初 読 2022年4月17日
ISBN-10 4043428081
ISBN-13 978-4043428083

『囀る鳥は羽ばたかない』つながりで、読み友さんからおすすめされた。たしかに、ほとんど同じ世界観で読める。てか、『囀る鳥』のベースになってるのが『聖黒』なのか。
 韮崎が三角さんで、山内が矢代のイメージでほぼほぼいける。まあ、文字を読んでイメージをふくらませるのが小説読みの楽しみなのだから、お手軽に他の作品のイメージを拝借するのは邪道なので、ここは韮崎は韮崎だし、山内は山内で、自分の中にイメージを作っていったほうが良い、とは思う。それにしてもこの話。新宿、府中、武蔵小金井・・・・と土地勘ありすぎてやたらとリアル。しかもその描写に違和感がないのが有り難い。

 で、もってだ。「感謝する」!!!!そうくるか。麻生さんよ。そりゃあそれしかないよね、ベストアンサーだよね。
 山内だって泣くよ。ページめくったらこれだもん、まさかページの切れ目まで計算してたのか?!

 さて、これはヤクザ小説なのか、警察小説なのか、はたまた・・・・?

 人間関係の錯綜ぶりがすごいです。
 麻生−及川の関係性
 麻生の家庭問題
 麻生の恋愛関係(槙の過去?)
 世田谷事件関係・山内兄関係?
 韮崎が起こした過去の交通事故関係
 韮崎が殺した(?)北村の関係
 山内と韮崎
 長谷川環
 韮崎の愛人
 ・・・

 上巻だけで、でてくる線はこれくらいか?いやあ絡まる絡まる。きちんとメモしていかないと途中で訳わかんなくなります。
 ざっとあらすじを押さえると、
① ヤクザの大物、韮崎誠一が新宿の一流ホテルで殺害され、その捜査に、警視庁捜査一課(殺人課)の麻生と、捜査四課(マル暴)の及川があたることになる。この二人は過去に公私にわたる因縁がある。
② 殺された韮崎には男女の愛人がいたが、そのうちの一人で企業舎弟でもある山内練は、かつて麻生が扱った傷害強姦未遂事件の犯人として実刑判決を受け、裏社会に堕ちた人間だった。
③ 韮崎の殺害関係は怨恨によるものである可能性が高いが、その線の捜査は難航。
④ 韮崎が過去に起こした事件(一般人を巻き込んだ交通事故、その他の殺人事件も)も絡んでいそうな。
⑤ 麻生が山内と関わる中で、かつての事件(世田谷事件)は冤罪だったという可能性が浮上。
⑥ 韮崎と関係の深い赤坂のクラブのライターを握りしめたホステス(?)が黒焦げ焼死体で発見される。
⑦ 山内は韮崎が殺した可能性のある北村の娘の存在を提示。
⑧ 新宿署から逃げ出したおばちゃんはいまだ発見されず。

上巻ではここまで。

登場人物が非常に入り組んでいるので、登場人物一覧表と時系列を作ってみた。
しかし、登場人物一覧だけでも、ネタバレ臭が漂うので、これからわくわく読書を楽しみたいかたは、これ以下はご覧にならないほうが良し。

時系列(韮崎殺害の当日)
 午後3時頃—————韮崎が女連れでホテル・グランクレール東京にチェックイン
           (女の身元は後の捜査で判明)
 午後6時頃—————韮崎が組事務所を出る
 午後7時過ぎ————赤坂の料亭「司」に入る。武藤組組長・幹部と会食
 午後9時半頃————「司」をでて、六本木のクラブ「華座」に向かう。山内と落ち合う。
  (30分程度)
       ————山内のマンションに向かう。(裏付けはなし)

 午後11時50分——ホテルに戻る。
 午後11時55分——内線電話を使用。

時系列(全体)
 1985年夏    世田谷事件(練が麻生に逮捕される。)
 1986年4月  練・府中刑務所で服役中
 1986年7月    〃 
 1987年4月  練・仮釈放
 1987年8月  練・武蔵小金井の保護司の元を飛び出して新宿に。
 1988年     田村出所

 1989年2月  練が韮崎に拾われる。

 1989年5月  これよし少し前に路子が子どもを抱いて韮崎の車の前に飛び出してはねられる。
        子どもが死亡し、韮崎の弁護士が示談工作。
 1989年9月       練は韮崎の住まいに居候している。
 1995年10月     韮崎がホテルで他殺体で発見される。



 

登場人物
麻生龍太郎 本庁捜査一課(殺人課)の警部。妻に逃げられたヤモメ男。

及川    本庁捜査四課(対暴課)の警部 麻生の大学時代(剣道部)の先輩。
       オシャレで潔癖症のゲイ。
宮島静香  麻生の部下。捜査一課の紅一点。 
山背(山さん)   麻生の部下 
相川    麻生の部下 
山下    麻生の部下 
有田(キンちゃん) 麻生の部下 
茂田(シゲ) 麻生の部下
榎本一郎  現・町田署捜査二課長。元世田谷署 
川口孝吉  現・柴又署捜査一課長。麻生の以前の同僚。
 
韮崎誠一  被害者 ヤクザ 関東連合春日組のNo.2。

山内 練  韮崎の恋人、件企業舎弟(パートナー) イースト興業社長
      東工大の元大学院生で卒業間際の頃、婦女暴行と強姦未遂で麻生に逮捕された。
      一度は自供したものの、裁判で無罪を主張し、有罪・実刑判決となった。
      その後、底辺を這うような経緯ののち、鉄道自殺しようとしたところを 
      韮崎に助けられる。
長谷川環  練の秘書。謎の過去の女。練に金で縛られているらしい。

金村皐月(芸名 久遠さつき) 元ジャズシンガー 韮崎の女No.1 
      一時期、韮崎から練を預かっていた。
野添奈美  内科の開業医 韮崎の女No.2 アリバイあり。
皆川幸子(芸名 篠原ゆき)  元アイドル歌手 韮崎の女No.3
      恋人がいて、韮崎が殺されたホテルで愛人と密会していた。
生田咲子  元アイドル歌手 韮崎の女No.4
      韮崎とホテルにチェックインした女。

江川達也  韮崎の男娼 東中野で囲われている。
黒田ゆり  ススキノのソープ嬢。江川達也の元カノ 
      韮崎の目を盗んで江川達也が付き合っていたため、売り飛ばされた。

塚原富子  東新宿(?)の下町のおばちゃん。
望月路子  赤ん坊(真子)を韮崎に轢き殺された女性。韮崎に裁判を仕掛けていた。
      夫の死後、保険金を持って行方がしれなくなった。
高山春子  新宿のデパートのブティックの店員。(=望月路子)
春子と喫茶店であっていた品のない女 
須山知美  高山春子が務めるブティックの店長

新藤洋次郎 高安法律事務所弁護士。春日組側   


槙     麻生の恋人。過去は謎。

藤浦勝人  練の世田谷事件の際の国選弁護人
香田雛子  練の姉 
田村             錬の府中刑務所での同房  武藤組
北村    同上 湯川組若頭(春日組と対立)、稲村芸能オーナー、韮崎に殺された 
伊藤、尾花、井野、宮田、高岡  錬の府中刑務所での同房 
諏訪    春日組若頭 組長春日の娘婿

岩下圭吾  錬の従兄弟 


 

0 件のコメント:

コメントを投稿