2024年5月6日月曜日

0485 BLの教科書 有斐閣(その1 第一部)※ まだ未読了

書 名 「BLの教科書」
著 者 堀 あきこ/守 如子 編     
出 版 有斐閣  2020年7月
単行本(ソフトカバー) 306ページ
初 読 2023年1月9日
ISBN-10 4641174547
ISBN-13 978-4641174542

読書メーター https://bookmeter.com/books/15988418   

 2022年ごろから、突然BLを読み始めまして。
 それまで、全く未経験ってわけでもなく、今にしてこの本などを紐解くと、キャプ翼同人からいわゆる「やおい」が派生して、隆盛を極めたころと、自分が一時期コミケという文化に首を突っ込んだのがピンポイントで同時期。もっとも自分は比較的早く冷めてしまって(熱しやすく冷めやすい)、それでもまあ、そういう世界は知っていた。その後、私が“そういう世界”から遠ざかっている数十年の間に、なんとなく退廃的で仄暗く、耽美な匂いも纏っていたJUNEっぽい世界から、やおい文化はBL(ボーイズラブ)としてスクスク育ち、なんとも明るく健康的な商業BLから、現在はなろうやらNoteやら、pixivなどのネット界に広く深く花開いているようだ。
 「攻め」とか「受け」とかリバとか、私が知らなかった用語ができていたり、海外で派生したオメガバースとかDom/Subなんていう世界観が輸入されたり、現況、なんとも不思議で浅くも深くも、めくるめく二次元世界が構築されている。
 同じく、海外ではM/Mというジャンルで花開いているなんていうのも、この1、2年で知った知識。
 いい歳ぶっこいて(!)再びBLなんぞを読み始めた当初は、なんだか小っ恥ずかしくて、なぜ自分がBLを読むのか、とか言い訳っぽく考察していたが、さすがに最近は慣れてきて、楽しければいいじゃん、という気分になってきた。とはいえ、なんでしょうね、自分は恋愛ものは苦手、という意識があるのだが、確かに女×男は、得意ではない。っていうか、男女の恋愛もので、女に感情移入できたためしがない。女性が書いた小説でも、男性が書いた小説でも、そこで描かれる女性性(ジェンダー)にすんなり馴染めなかったりするのだが、その点、男同士っていう設定だと、自己投影をする必要がないので、自分とは無関係に純粋にLoveを楽しめるような気がしているような。その辺りの機微は、いまだに自分でもよくわからないが、それが自分がBLやらM/Mを読む理由かもしれない。
 ただ、いずれにせよ、仕事で追い詰まったり煮詰まったり、過労死直前に追い込まれたりしていると、重めの小説が読めなくなるので、最近はBL系に逃避している時が多いかな、という気はする。
 そんなこんなで、自分とBLの馴れ初めやら付き合いやらを振り返るために、この本を入手。これはこれで、勉強になる。

第1部 BLの歴史と概論
 第1章 少年愛・JUNE/やおい・BL
  • 1970年代「少年愛」の誕生———“花の24年組” 大泉サロンが大きな役割を果たした。
  • 竹宮惠子『サンルームにて』(改題「雪と星と天使と・・・』)→『風と木のうた』
  • 萩尾望都『11月のギムナジウム』→『トーマの心臓』→『ポーの一族』 
  • 1978年「JUNE」創刊。 
  • 木原敏江『茉莉と新吾』、山岸凉子『日出づるところの天子』
  • 小学館「少女コミック」や白泉社「LaLa」「花とゆめ」、新書館「Wings」「サウス」など、一般商業誌での少年愛や男同士の深い友情を取り扱った作品の連載。そーいやあ、『ツーリング・エクスプレス』とかは、何の違和感もなく楽しく読んでいた。
  • 初耳だったのは「やおい」の起源というか、この言葉の初出が波津彬子さんが主宰する同人誌「らっぽり」の「やおい特集号」であったこと。なんと波津彬子さん起源!?意外すぎた。
 その後1980年代後半にコミケ等の同人誌即売会で「キャプ翼」の“やおい”作品が爆発的に人気を博し、おぼろげな私の記憶ではこの時期、地方コミケ全盛期から全国版コミックマーケットに同人活動が大きく移行した。(ただしこれは神奈川の事情、というか当時の同時代的実感。)“やおい”は「山なしオチなし意味なし」という表向きの意味から、男子同士の性表現に対する隠語となった。(「やめて・おねがい・いやー!」の意とかなんとか。)キャプ翼同人から高河ゆんがプロデビューしたのもこの頃。
 こうしてあらためて自分の黒歴史込みで概観してみると、自分がかなり同時代的に関わっていたのだとあらためて気付く。自分がコミケに行ったのは比較的短い期間でで85年〜86年。それ以降は全国コミケ主流となり開催規模が大きくなりすぎて、下手くそ素人が頑張ってやっていくのが面倒になった。リアルの学校生活が忙しくなってしまった。一緒にやっていた仲間が見事に進学先がばらけたことで、 私自身のコミケ熱はあっという間に鎮火した。そもそも常軌を逸した人混みが嫌いだった。並ぶのも嫌いだった。さて、そして1990年代。商業BLジャンル確立。(以下続く)

第2部 さまざまなBLと研究方法

第3部 BLとコンフリクト

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