2017年2月12日日曜日

0027 老人と宇宙(そら)

書 名 「老人と宇宙(そら)」 
著 者 ジョン・スコルジー 
翻訳者 内田昌之 
出 版 早川書房 2007年2月

 こういうもっともらしい作り込みで始まるSFだと、つい制度設計の実現可能性とか気になってくるんだが、コロニー側の人的資源獲得と地球側の老人医療費削減は案外ウィンウィンで上手くいきそうな気がする。
 それにしても片や地上核戦争レベル、片やスキップドライブ可能な宇宙戦艦にハイブリッドクローン戦士って、地球とコロニー側で科学技術に差がつき過ぎなのが一番ありえない感じがするが、この技術格差は追々説明されるのだろうか。
登場人物の殆どが前半は75歳のじいさん・ばあさんで、後半は緑人間なのは若干想像力を試される。それにしても、主人公が冷静でいい男すぎて惚れる。中の人はじーさんなのに(笑).人間、どのように年をとるかって、こうなってくると更に重要だよな。偏屈で偏狭な年寄りにだけはなるまい。

2017年2月9日木曜日

0025-26 任務外作戦

書 名 「任務外作戦 上」「任務外作戦 下」
著 者 ロイス・マクマスター・ビジョルド
翻訳者 小木曽絢子
出 版 創元SF文庫 2013年3月

 退役後、すこしおしゃべりになったイリヤンが、エカテリンにマイルズへの思いを語る。毎回マイルズを任務に送り出すたびに胃が縮む思いで無事を願っていたのは、パパ国守だけじゃなかったらしい。
 そのパパ国主ももう75歳位?気が付けばかつてのピョートル老位のお年に。マイルズはお嫁さんを見つけて親孝行できて本当に良かったと思う。グレゴールは相変わらずの苦労人で、良い人だ。子供への思いやりと、マイルズへの兄弟愛と、君主としての懐の深さが際立っている。これも、養母の努力のたまものか?
 しかし、一方の養母殿。大佐どのは相変わらず非道である。因縁のある古いカウチを図書室に持ち込んでコウとドロウを座らせるなんて、なんて攻撃だ。コウも気の毒に。
勝てない戦は仕掛けるべきじゃない見本である。