2019年3月29日金曜日

0170 奪回者

書 名 「奪回者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 講談社 (2000/11/15) 
初 読 2019/03/29 

 今回も痛い痛い、いたぁぁぁい!
前作は心が痛そうだったが、今作はとにかく肉体的に痛い。作者のドSぶりが光っている。
 エリカの言葉使いはもう少し何とかならなかったものか?前作では気にならなかった翻訳も、ん?と思うところあり。でも読み易さにはさほどの影響はなし。今回もぐんぐん読ませてくれる。国防総省の諜報用裏資金“スーパーブラックマネー”を原資に、SAS上がりの傭兵を抱き込んで、壮大な夫婦喧嘩がマンハッタンで勃発。
 父親も母親も大概だが、ロバートがスマートでプロフェッショナルなのがわたし好みだ。頑固なところも良し。

 それにしても、アティカス、グダグダなくせに女にモテすぎだ。ダメな奴だから愛されるのか?女だけでなく、男にもモテてるしなあ。まだまだ発展途上なところが良いのだろうか。ところで、ときどきブリジットがレヴィと被るんだけど、わたしのイメージ力が貧困なんだろーか。。。

2019年3月21日木曜日

0169 守護者

書 名 「守護者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 講談社 (1999/3/12) 
初 読 2019/03/21 

 いやあ、アティカスど真ん中💕 細縁眼鏡に弱いとは、先般ケラーさんで自覚を深めたところだ。
 かなりスキルが高いのに、淡々とした一人称だからあまりそれが目立たず、プロのボディガードの仕事が着々と進行していく。セリフの一人称が俺で、地の文の一人称が“わたし” なのが最初は気になったがそのうちに慣れた。
 可愛いケイティの死に衝撃を受ける。それなのに、親友までもか。このラストの無常感がものすごい。作者の非情っぷりが際立つが、これが長編処女作とのこと。若書きとか訳が、等の若干の批評もあるが自分的には気にならず。相性が良かったと思う。

 アティカス、こんなにいたぶられているが、まだシリーズ一作目。これからどれだけ大きな男になってくれるのか、期待が高まる。 主人公を痛ぶり倒す鬼畜っぷりは、うーん、ロバート・クレイスに相通じるものを感じるな。好みである。

2019年3月16日土曜日

0168 アリスマ王の愛した魔物

書 名 「アリスマ王の愛した魔物」 
著 者 小川 一水 
出 版 早川書房 (2017/12/19) 
初 読 2019/03/16 

雪風といい、トーレンの正義といい、わたしはやっぱり健気な機械が大好きらしい。

短編の第1話「ろーどそうるず」
自意識をもったバイクの一生。やんちゃな口のききようと裏腹に純情真面目なバイクの魂は、人間からみたらノイズでしかないのか。めちゃくちゃ切なかった。シンギュラリティが近いらしいが、いつかどこかで、AIに魂が宿るときが来るのだろうか、などと考えつつ。

「ゴールデンブレッド」
ヤマトとカリフォーニャの文化逆転をどういう話に持っていくのかと思ったが。

「アリスマ王」なんとなく、ナウシカ原作に出てくる黒くて四角いやつを連想した。

2019年3月13日水曜日

0167 殺し屋ケラーの帰郷

書 名 「殺し屋ケラーの帰郷 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 二見書房 (2014/10/21) 
初 読 2019/03/13 

 妻がミーハー過ぎてちょっとイヤ(笑)。夫の仕事を楽しみ過ぎてないか?
 「帰郷」と「海辺」では、目撃者が多すぎる気がして心配になる。高価な酒の出荷元から販売店が特定されたりしないんだろうか?混入されたクスリの成分から、どのエリアで闇売買されているクスリか、バレるとか。タクシーの運転手も、証言できそうだ!
 もうちょっと慎重になってくれないと、軽いミステリーがファンタジーになっちゃう。ニューヨークなだけに、もしリンカーン・ライムがいたら一発でバレるな、などと思ったりもして。

 とはいえ、「副業」はよかった。
 それにしてもうわー。この最後の終わり方!これで終わり?本当に終わり?ローレンス・ブロックって、人の悪いおっさんだわ(笑)ああ〜〜。もだもだしちゃう。

2019年3月10日日曜日

0166 殺し屋 最後の仕事

書 名 「殺し屋 最後の仕事 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 二見書房 (2011/9/21) 
初 読 2019/03/10 

 今回はさすがにハードなアクションが加わるか、と思いきや、やっぱりケラーさんはケラーさんであった。どこまでいっても、ほろ苦くもほのぼの。

 思索多め、アクション少なめ。合衆国を東へ西へ、の逃避行も速度遵守、安全運転。決して爆走したりはしない。

 髪を刈り込んで、細縁眼鏡を加えたところで、イメージはこれまでの無表情でやや不気味な男から一転してハンサムでナイスなインテリ風に。やだモロ好み♪ 

 余談ではあるが、ドットが30歳前に総入れ歯になったいきさつが、語られないだけに壮絶なものを感じさせられて、そら恐ろしい。これ、絶対病気とか事故とかじゃないよね?マフィアに拷問されたりとか、してるよな?

2019年3月2日土曜日

0165 殺しのパレード

書 名 「殺しのパレード 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹
出 版 二見書房 (2007/11/27) 
初 読 2019/03/02 

 1人の殺しのために3人殺したケラーさん。すこし情緒不安定ぎみか?心配。

『鼻差のケラー』
 結局勝ったのはどっちなの!ギャンブルよりも深く切手収集にのめり込みつつあるケラーさんが、かなり心配になる。

『ケラーの適応能力』
 9.11はケラーさんの精神にも深い打撃を与えたようだ。なにもかも、以前とはちがうのだ。いよいよ情緒不安定なケラーさん。独り言が止まらなくなったので、話相手に犬のぬいぐるみを買う。さすがはケラーさん。てか心配でしょうがなくなる。でもじっくり落ち込んだあと、復活は一瞬だった。さすがはケラーさん。 高級住宅の玄関に防犯カメラが24時間で作動してる、、、なんてことは無いのか。なにしろ塀の警備がしっかりしているから、内部は油断で一杯なのかな。

 相変わらず、ケラーさんの事件には警察のけの字もなし。のどかである。

 そして、例によって表紙は違うと思う。ケラーさんは銃を使わないでしょ?

 ケラーも仕事が長くなってきて思うところが多くなり、ついターゲットに関心を持ってしまう。その結果仕事はイレギュラーな流れになり、だんだん危うくなってきて。いよいよ大転換点が近づいてきているようなフラグが不気味である。ドッグキラーのラストが切ない。

 母の記憶が蘇るバスケットゴール、切手収集家のターゲットとつい仲良くなってしまって・・・。切手収集家の最後を自分に重ねたのか、ドットに遺言までするケラーだが、ついに自分が稼業から抜けられないことを自覚する。

とにかく全編を通じて、ほのぼのよりも切なさが際立つ。