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2021年10月6日水曜日

0299ー0300 大統領失踪 上・下 (ハヤカワ文庫 NV)

書 名 「大統領失踪 上」「大統領失踪 下」 
原 題 「The President Is Missing」2018年
著 者 ビル・クリントン,ジェームス・パタースン 
翻訳者 越前 敏弥, 久野 郁子 
出 版 早川書房 2020年12月 
文 庫 上巻:388ページ 下巻:366ページ 
初 読 2021年10月6日 
読書メーター    
ISBN-10 上巻:4150414742/下巻:4150414750 
ISBN-13 上巻:978-41504147401/下巻:978-4150414757
面白い。
実にスリリングで、まず間違いなく面白い。
 なのにちょっと笑いがこみ上げてきてしまうのは、やはり著者があのビル・クリントン氏だから。
 実際、大統領経験者ならではの、公邸や執務室内での描写とか、ぎりぎりの判断や決断を示すシーンとか、シークレット・サービスや主席補佐官や、政府内の各長官たちとの信頼と丁々発止などのシーンは、実にリアルで臨場感マシマシ。
 知っていなければ書けないだろうと読み手に思わせる。
 だけど元特殊部隊員で湾岸戦争ではイラクの捕虜になって拷問にも屈しなかった、とかプロ野球選手だったとか、そして現在は血液難病で紫斑と痛みに脅かされ、いつなんどき脳内出血で倒れるかも知れず、貧血と闘い、輸血をうけつつ、恐るべきサイバーテロと孤独に戦い、と設定もマシマシだ。アハハ・・・・。ついでに言うと、超愛妻家で、ガンで亡くなった亡き妻の事を今も涙目で想ってる、って、さすがにオイコラ!
 もう少し謙虚でもいいんでないかい?と、奥ゆかしい日本人としては思ってしまうよね(笑)。
 因みに先頃読んだ某暗殺者と同じく一人称現在形だ。これは疾走感があって悪くない。というか、なかなか良い。翻訳者は、かの越前敏弥氏と久野郁子氏・・・はお弟子さんかな?  

 この本、覆面作家で出版すればよかったのになあ。いや、面白いですよ。下巻が楽しみ。裏切り者はあいつだけではないよな。あれがブラフだよな、という予感がする。どーする、大統領?と、下巻への引きもなかなかのもの。いや、単純にAAとして中々の出来ですよ。読み友さん達には是非手に取ってもらいたいです。

【メモ】
“今日ではツイッター、スナップチャット、フェイスブック、二十四時間垂れ流されるニュースが、有権者の王道を左右しているように見える。現代人は最新のテクノロジーを利用して、原始的な人間関係へと回帰している。”

 “ギリシャ様式の柱を具え、長い階段をのぼりきった先に堂々たる大利石像が鎮座するリンカーン記念堂は、違和感を覚えるほどいかめしく、謙虚さが身上の大統領よりも神そのものを崇める場所にふさわしい。だが、その矛盾こそがいかにもアメリカ的だ。自由と独立と個人の権利の上に築かれた国家でありながら、他国のそれは平気で蹂躙する。”


 で。さて下巻だ。
 難局をのりきるために、米合衆国大統領は秘密裏に同盟国、および敵国の首脳を招集する。ドイツ、イスラエルの首相はともかく、ロシア大統領(実際に来たのは首相だったけど)もこんな風に呼び寄せることができるのかな? それともこれは小説だからだろうか? もし、こんな風に各国首脳が直接会ったりしてるんだったらスゴイな、と思った。
 合衆国のあらゆるコンピューターにばらまかれたウイルスが特定できて、いよいよ駆除の段階からがおもしろい。焦点は裏切り者の特定へ。上巻の舞台設定が派手だった分、いくぶん尻すぼみな感はなくもない。また、大統領「失踪」といいつつ、大統領が緊急事態で危機管理センターに籠もっただけで、実際に失踪したわけではなかったのも肩すかしな感はあるかな。しかしまあ、面白くはあった。アメリカの権力構造をどれだけ正確に描写しているのかはわからんけど、十分に楽しめた。
 主要な登場人物の少なさからすれば、まあ、真の裏切り者はそうだよなあ、と。
 ストーリーの一方を牽引した暗殺者“バッハ”は、キャラ立ちしていただけに、完全にお仕事が空振りしたのがちょっと残念でした。もっと活躍しても良かったのに。東欧の民族紛争の悲劇が見え隠れするストーリー立てや、サウジアラビアの関わりも、なんだか使い方が勿体ないなあ。そしてやっぱり悪いのはロシアなのね。本当に、この人達(米国人)、ロシアが嫌いなんだなあ。。。。。

2021年3月6日土曜日

0260 ねみみにみみず(作品社)

書 名 「ねみみにみみず」 
著 者 東江 一紀 (著)、越前 敏弥 (編集) 
出 版 作品社 2018年4月 
初 読 2021年3月7日 
単行本 272ページ 
ISBN-10 4861826977 
ISBN-13 978-4861826979
長らく積んでいてごめんなさい。
そして、リアルタイムで著書を買わなかったばっかりに、いまになって古本で集めていて(→翻訳者の印税の足しにならない。)ごめんなさい。

失われた干支2周分の歳月が恨めしいやら口惜しいやら。
私、本が大好きだったことを長らく忘れていたのだ。
今から取り戻せるかどうか。数周回遅れで、1990年代くらいからの「新刊」を必死で追い求める日々です。翻訳小説って足が速いの。あっというまに絶版になるの。どんどん手にはいらなくなっていく、と思うと、読むスピードが遅い、という事実はとりあえず本棚の上の猫しか上がらない隙間に放り投げて、まずは積むべし!(こちらはもちろん本棚の上ではなく、棚板の上に積むのだ)となる。とにかく手にいれるのだ。読むのはそれからだ!その結果の794冊。えええ?半年くらい前にこのブログを立ち上げた時には600冊強とか書いていなかったか?半年で100冊増えたのか?まさか!? そう、この本を読んでいる数日の間にも10数冊増えた。だって、東江さんが紹介してくれるんだもの。
 翻訳者としての覚悟やら、自覚やら、苦しさやら、そしてなにやら隠微な喜びやら、懇切丁寧に教えていただきました。お弟子さんや同業者とのやりとりも面白おかしく、そして、越前敏弥さんの後書きに泣きました。仕事は人格。人としての品格。
 
 それにしても、2000年から2020年までの20年って、私のなかで完全にエアポケット化していて、記憶が薄い。何をしていたかといえば、仕事と子育て。この間の読書で印象に残っていることといったら、息子の授乳に退屈して、鬼平犯科帳全巻を読み尽くしたことと、娘の添い寝に退屈して、赤毛のアンシリーズを読破したこと?くらいだ。気付いたら今年、上の子が二十歳になっていて、我に返った。そして、1990年代の新刊本が、実は二十数年前の刊行だと、いまだに毎日、性懲りも無く驚いている。この間仕事はどんどん忙しくなってきて、今や一日15時間職場にいる日々。おや、これだけは東江さんと一緒だ。椅子に座っている体力(?)だけなら、自宅懲役状態の東江さんと並ぶかも?

《覚え書き》楡井浩一、菜畑めぶき、川合衿子、梁山泊・・・ではなくて泊山梁、だ。すべて、東江さんの別ペンネーム。