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2023年12月30日土曜日

ジョシュ・ラニヨンは良い。



 日本でモノクローム・ロマンス文庫から出版されている、ジョシュ・ラニヨンの作品(冬斗亜紀さん翻訳)はどれも素晴らしいのだが、表紙の美しさと、主人公の恋心の切なさがピカイチなのはこの「殺しのアート」シリーズ。
 強面・鈍感・傲慢・鉄面皮なのに内実は素朴で恋愛に不器用なFBIのプロファイラー、サム・ケネディと、FBIロス支局に勤める美術品犯罪の専門捜査官のジェイソン・ウエストの恋愛と犯罪捜査。ミステリー、サスペンス、ロマンスの黄金比。美術を専門とするジェイソンは感受性が豊かな一方で頑固で無鉄砲なところもあり、ジェイソン1人でもなかなか危なっかしいのに、そこにサムという巨大は不安定要素が加わるものだから、ジェイソンのメンタルの振り幅も自ずと大きくって。サムとの関係での葛藤と、それを凌ぐ愛情が濃くて細やか。ジョシュ・ラニヨンの作品はどれも切なく優しく繊細で、それなのに強く逞しく、癒やし効果も抜群なので、落ち込んでるときの心に効く。
 
 そんなこんなでこの2023年の年末、新刊の「ムービータウン・マーダーズ」刊行をきっかけに、つい、再読モードになってしまった。
 
 なにより、ミステリーとしてもサスペンスとしてもとても練れていて、途中に濡れ場が挟まってもダレずにラストまでテンションを上げていくストーリーテラーっぷりが素晴らしい。
 これから先、ジェイソンのストーカー殺人鬼との対決がどのように展開していくのか、ドキドキしている。

2023年12月3日日曜日

0451 殺しのアート(5)ムービータウン・マーダーズ

書 名 「ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 」
原 題 「The Movie-Town Murders : The Art of Murder 5」2022年
著 者 ジョシュ・ラニヨン    
翻訳者 冬斗 亜紀
装 画 門野 葉一   
出 版 新書館 2023年9月
文 庫 336ページ
初 読 2023年12月3日
ISBN-10 4403560571
ISBN-13 978-4403560576
読書メーター
    

 何と言っても、この表紙の美しさ。イラストは門野葉一氏。このシリーズの表紙が私をBLの門に誘ったのは間違いのないところです。しかし、今回、変装?偽装?の為とはいえ、ジェイソンがスキンヘッドになっちゃったのは、絵的にはいただけない(爆) 米国のM/M的にはアリなのか?たぶん。なにしろ、これら米国産M/Mのペーパーバックの表紙ときたら、もう。アレがあちらの理想型なんだよね。うん。ムッキムキの裸体バーン! 濃い眉、扇情的な青い瞳、整った鼻、もの言いたげな唇。割れた顎。そして割れた腹筋。めっちゃ男臭さい。なんだかリアル過ぎて、ファンタジーがかった日本のBLファンはドン引きしそう(笑)

 で、中身の方ですが。
 前作、『モニュメントマン・マーダーズ』で失職の危険を冒し、サムとの関係まで破綻したかに思えたジェイソンでしたが、そこは無事に乗り越えたところから、本作はスタート。
 数日であれ、サムに見限られた、と思えた時間がジェイソンの心に残した傷はまだ生々しく、ジェイソンは自分の抱えた事件を、なかなかサムに相談することができない。サムも、それが自分がジェイソンに付けた傷のせいだと判っている。しかし、ここをちゃんと会話で理解しあい、乗り切ろうとするところが、さすがの米国人クオリティ。日本人にはマネできないところ。まあ、遠距離恋愛なので、とりあえず電話で語り合うしかない不自由さ故でもあるのだが。

 今回、ジェイソンに割り当てられた任務はUCLAへの潜入調査。といっても、自殺とも事故とも不明(ただし殺人ではない。)な映画学の准教授の背後関係の再調査。なぜなら死んだ准教授の祖父が、有力な元上院議員だったため。たいした成果は求められておらず、ただ、有力者の気持ちを慰めることがその主要任務。ジェイソンもそこは理解している。ジェイソン自身も上流階級の身で、UCLA出身でもあり、老元上院議員を宥めるのに適任と見做されたことも判っている。失職を免れたあとの失地回復のためのリハビリとしては異論ない、と思っている様子。
 だがしかし、それほどノリノリでもなく調査を開始したにもかかわらず、自殺にも事故にも思えない。となれば殺人。故人が発見したという稀少フィルムを巡り、いったい何があったのか・・・・は、本編を読んでいただきたいところ。

 一方で、サムの親友であり、恋人であったイーサンを殺害したとされる“ロードサイド・リッパー”の捜査にも新たな展開が。そしてイーサンその人にも謎が生まれたのか? サムの心情も気になるところ。

 そして例によってラスト。ジェイソンをストーキングする殺人鬼カイザーが、ジェイソンのバンガローの隣の空き家に住み着いていた、だと? 残されたのはジェイソンの家族がジェイソンの為に置いていたガードマンの死体と、ジェイソンの心に打ち込まれた恐怖のみ。こちらももうそろそろ解決してくれないと、ジェイソンの神経も、読者の心臓もちそうにない。これってミステリーじゃなくてホラーだったのか?ってか、カイザーと決着を付けるであろう最終刊は確実に、サスペンスになりそう。次巻はいつになるんだろう?待つのがツライ。

2022年2月6日日曜日

0325 殺しのアート(4)モニュメンツメン・マーダーズ

書  名 「モニュメンツメン・マーダーズ」  
原  題 「The Monuments Men Murders: The Art of Murder 4」2019年 
著  者 ジョシュ・ラニヨン 
翻  訳  者 冬斗 亜紀 
イラスト 門野 葉一 
出  版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫)  2020年12月 
文  庫 286ページ 
初  読 2022年2月5日 
ISBN-10  44035604748 
ISBN-13  978-4403560477 
 ジェイソンに大いに影響を与え、彼に芸術作品の保存・保全の道を歩ませる道標となった尊敬する祖父ハーレイ。
 戦時中「モニュメンツメン」の副長として、ナチスが略奪したヨーロッパの美術品の捜索と保護にあたった祖父の名誉に関わる事件にジェイソンが挑む、という硬派なお話です。そこに泥くさーいアメリカの田舎の人間関係と、頑固一徹でプライド超高!な二人の恋人の行き違いのお話(笑)。

 ナチスがヨーロッパで略奪したフェルメールの名画の行方を追うジェイソンがド田舎モンタナ州に。今作は美術犯罪班の捜査官であるジェイソンのお仕事が中心の流れ。だがしかし、その美術品を終戦後すぐにドイツから米国に私的に持ち出し隠匿した犯罪に、ジェイソンの崇拝するグランパが関わっている可能性が。

 サムは別件で同じモンタナの支局で活動中だが、そこに、サムのかつてのセフレ(?)が登場し、前作から危険なストーカーにも悩まされているジェイソンは、不安からくる不眠にも悩まされ、どうにもストレス高めな状況となっている。
 それなのに、なんとしても真実を明かしたいジェイソンと、身内が関わる犯罪捜査に関与する、というジェイソンの倫理綱領違反を問うサムが激しく対立する。
 原理原則については超硬派なサムと、自分の行動の理由や考え方を理解してもらいたいジェイソン、大いにすれ違ったまま関係破綻の危機となる。

 二人の関係については、どっちもどっち・・・・というよりは、やっぱジェイソンが悪いんじゃないか、と思わんでもないが、ひとまずお互いに赦しあうってところまでこぎ着け、なんとか次作へ持ち越し。それに、前作ラストで背筋を寒くさせられた一件は、今作では微動だにしなかった。こちらも次作に持ち越し。
 この二人、今後もどうせぐだぐだするんだろうが、まあよい。初対面からゲイだって判ってた、って言い放つ相棒J・Jが良い感じに育ってきて、今後も良い感じに活躍してくれそうで期待が持てる。

0324 殺しのアート(3)マジシャン・マーダーズ

書  名 「殺しのアート(3)マジシャン・マーダーズ」 
原  題 「The Magician Murders: The Art of Murder Book III 」2018年
著  者 ジョシュ・ラニヨン
翻  訳  者 冬斗 亜紀
イラスト 門野 葉一
出  版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫)  2020年12月
文  庫 358ページ
初  読 2022年2月5日
ISBN-10  4403560458
ISBN-13  978-4403560453
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/104270603
 バージニア州クワンティコ近郊のFBIアカデミーで定期的に行われる研修に参加しているジェイソン。研修中はクワンティコからもアカデミーからもほど近いスタッフォードのサム・ケネディのアパートで恋人同士の幸せな時間を過ごしている・・・・ハズだったのに、最後の日をサムの部屋でゆっくりと過ごしたいと二人の夕食を買いに出たジェイソンは、近所の中華レストランの外で何者かに襲撃され、薬物を注射される。目的は誘拐か。意識が朦朧とする中、なんとか逃れた先の道路で、ジェイソンは車にはねられる。

 意識を取り戻したのは病院で、サムがベッドサイドに付き添っていた。幸いにもサムが打たれた薬は、酷い害の残るものではなく、交通事故の方も、薬物のせいで体から力が抜けていたのがかえって幸いしたのか、酷い捻挫と打撲や擦り傷で済んだのは、不幸中の幸い。しかし、なぜジェイソンが狙われたのか。

 ジェイソンに恨みを持つもの、サムの敵、サムとジェイソンの関係を知り、ジェイソンを攻撃することでサムの弱体化を狙ったもの、そしてジェイソンに付きまとうストーカー、今は姿を消したDr.ジェレミー・カイザー・・・・。あらゆる可能性を考慮しつつ、ジェイソンを守るという固い意志を見せるサム。強引に傷病休暇を取らせたジェイソンを隠すためにサムが選んだ場所は、サムの母の家だった。そこで発生した、マジシャン絡みのアート作品や骨董品の盗難事件に、アドバイザーとしてジェイソンは協力することになるが。

 で、ひとつ問いたいのだが、車にはねられて、あちこち傷だらけ、腹部も腰も皮下出血が酷く、乗り物の振動も耐えがたいっつう怪我人のジェイソンなのに、サムとは激しく愛し合ってしまうのだよな。・・・大丈夫?出来る?余計なお世話か?
 今作もサムの不器用な愛が炸裂している。なんか愛されるって良いなあ・・・と羨ましく思ったりもする不器用どうしな恋人たち。
 それにしても、ラストが怖すぎ。次作でどうなってしまうのだろう?

0323 殺しのアート(2)モネ・マーダーズ

書  名 「殺しのアート(2)モネ・マーダーズ
原  題 「The Monet Murders: The Art of Murder Book 2 」2017年
著  者 ジョシュ・ラニヨン
翻  訳  者 冬斗 亜紀
イラスト 門野 葉一
出  版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫)   2019年12月
文  庫 441ページ
初  読 2022年2月5日
ISBN-10  4403560393
ISBN-13  978-4403560392

 前作、『マーメイド・マーダーズ』から数ヶ月後です。
 前作ラストでなんとかサムとデートの約束まではこぎ着けたジェイソンでしたが、その後友達以上・恋人未満でデートはまだ出来ておらず、2人の関係を繋ぐのは深夜の長電話、な遠距離関係をずっと続けていた模様。しかし、ロスで発生したアート・ディーラー殺人が、サムが追っていたシリアルキラー事件との関連を見せ、サムから、美術業界に詳しいジェイソンに名指しで協力依頼が。
 大事な親族関係の社交上のパーティーをすっぽかしてタキシードの上にFBIジャケットを引っかけ、殺人現場にかけつけたジェイソンだったが、しかし、そこでのサムとの出会いはどうも心温まる感じではなく・・・・・

 今作は、恋人だったはずなのに、友達だったはずなのに、夜な夜な電話で語り合っていたときには幸せだったハズなのに、どういうわけか対面ではサムにことさらに無視されているような気がするジェイソンがひたすら、困惑し、悩み続ける(笑)。

 サムにはかつて、幼なじみであり、恋人でもあったイーサン(♂)が、シリアルキラーに残酷に殺された、という過去があったという。イーサンの死に報いるために、犯罪捜査に一生を捧げることを誓ったサムは、自分がどうにも恋愛向きな人間ではない、と深く自覚している。それなのに、ジェイソンに恋してしまって、サムなりに深く悩んだようで。自分の生き方の軌道修正を図るか、この恋を断ち切るか。サムが1人で決断していたのは後者。だが、その選択はジェイソンに混乱と苦悩をもたらした一方では、サム自身にも想像を絶する苦しさだった、、、、と。 この2人、体の相性はバッチリで、実のところ相思相愛。しかも、本当はサムの方がジェイソンにぞっこんなのだ。ついに感情に抗いきれず、愛し合う二人はとても素敵だ。 ついうっかり、こんな風に人に愛されてみたいもの、読者に思わせてしまう手練れが、ジョシュ・ラニヨンである。今回は、サムの生命の危機をジェイソンが救うことになり、遂に二人は、恋人同士に。
 ラストはジェイソンの誕生日パーティー(笑)。弟を溺愛しているジェイソンの姉が企画するレストラン貸し切りの盛大なパーティーに、招待もされていないのに顔を出すサム・ケネディは、衆人環視の中での熱く甘いキスを繰り出すのだった。

 ひと昔、ふた昔前のゲイものだと、こうはいかないよな、と羅川 真里茂氏の『ニューヨーク・ニューヨーク』とかを思い出しながら考える。今、世の中はこんなにオープンな世界になっているのだろうか。いつのまに? と驚いたりもする。それとも創作の中だけなのだろうか?いや、日本ですら同性パートナーが認められ、LGBT法が出来る時代になったのだから。

2022年2月5日土曜日

0322 殺しのアート(1)マーメイド・マーダーズ

書  名 「殺しのアート(1)マーメイド・マーダーズ
原  題 「The Mermaid Murders: The Art of Murder 1」2016年
著  者 ジョシュ・ラニヨン
翻  訳  者 冬斗 亜紀
イラスト 門野 葉一
出  版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫)   2018年12月
単  行  本 387ページ
初  読 2022年2月5日
再  読 2023年12月16日
ISBN-10  4403560350
ISBN-13  978-4403560354

 M/M、というジャンルです。初読でした。英語圏でのゲイ小説のジャンルで、Male/Maleの略、日本でいえばBLですが、ニュアンスは違うような気がします。書き手は女性作家が多い、という点はBLと同様。
 また、たんに興味や趣味の対象として消費するだけではなく、LGBTに関する差別や社会課題にも正面から取り組む作風が多いとのこと。作者のジョシュ・ラニヨンはこのM/Mのジャンルを長らく牽引しているそうです。
 この本は、見てのとおりイラストも大変美しく、冬斗亜紀氏の翻訳は、翻訳小説としても上品で手練れな印象で、上等なミステリ小説に仕上がっていると思います。
 さて、主人公は、FBIの美術品窃盗を専門分野とする特別捜査官のジェイソン・ウエスト。身内には政治家も第二次大戦の英雄もいる、ロサンゼルスの上流社会出身。新聞やマスコミに激写されることもあるFBIの寵児。(と、いう設定は2巻以降で出てくるので、第1巻では優秀な若手捜査官以上の設定はとくに見せられてません。)この巻では金持ちのボンボンなのかな、っていう程度。そして、もう一人は、FBIのプロファイラーで主任特別捜査官のサム・ケネディ。年齢は40代後半。かなりの強面で超絶自信家。強引で、冷血漢っぽい押し出し。しかし、プロファイラーとしては極めて優秀で、これまでにも数々の連続殺人事件を暴いてきている。

 もともと、サムの失点を集めて失脚させたいサムの上司が、ジェイソンをいわば“スパイ”としてサムの捜査現場に送り込んだだけあって、サムの態度は凍りの鉄壁。当初はジェイソンをほぼ無いものとして扱うし、ジェイソンは負傷から復帰したばかりでいささか現場感覚に不安があったり、でとにかく折り合いが悪かった。だがしかし、態度はともかくサムの目は公平で、いささか直情的ではあるものの、ジェイソンが捜査官として頭の回転が速く優秀であることを見いだし、だんだん態度が軟化してくる。ジェイソンをフォローしたり庇ったりもするようになるし、ジェイソンの行動を面白がっているような節もある。
 結局とのところ、サムは頑固で独善的であるが、それが彼の個性なんだろう。おそらくBAU(犯罪分析課)の彼のユニットのメンバーは、きっとサムを信頼している。だからこそ、BAUの他のメンバーにはサムに対するスパイの役は務まらなかったわけで・・・。

 だんだんとジェイソンにも、サムの能力が理解され、またジェイソンの方にはそれなりにサムに付き合う柔軟性もあって。おまけに、どうにもサムには曰く言いがたい魅力を感じてしまうジェイソン。M/Mだと思って読んでるから、もちろんジェイソンとサムが恋に落ちることに異存はないんだけど、ジェイソンがサムがゲイであることに気付くあたりが丁寧に描写され、ジェイソンがゲイだとカミングアウトするくだりもストーリーの中でとても自然で、すごく読者に親切だな、と思う。

 ジェイソンは少し前の潜入捜査で身バレして銃撃戦で負傷しており、ちょっとPTSDっぽいところがある。銃を向けられて体が硬直してしまったり、事件の話題で心臓がバクバクしたり。そんな彼が捜査現場に出るのはまだ早いのでは、と助言しようとするサムは、なんというか彼、本当に判りにくい奴ではあるが、きちんと筋が通っている。犯罪まみれのFBIにいながら、美術品捜査を専門とし、人間性が生み出した最も美しいものを守り、後世に伝えたい、というジェイソンの、実は細やかな感受性にさりげなく配慮したりするところも、サムって懐が深くて良い奴じゃん、とだんだん思えてくる。

 ミステリーと、サムとジェイソンのSEXのバランスが絶妙(ロマンス、と書こうかとも思ったんだけど、もっと直裁なんで、)。その描写も、お花畑すぎないのがいい。かつての連続殺人の模倣犯(コピーキャット)が現れたのか?という捜査の進展もそつがなく、登場人物は広がり過ぎず、きちんとそれぞれキャラ立ちしていて、読み応えがバツグンに良い。再読してあらためて思ったけど、これ、堂々の「年ベス」入りするくらい、出来がよくて面白い小説です。そして、ここから始まるもう一つのストーカー/シリアルキラーの恐怖。その不気味なジャック・オ・ランタン。

 サムが終盤ジェイソンに〈人魚のチャーム〉の調査に行かせたのって、どっちかっていうと危険から遠ざけようとしたのでは、という気がするんだけどそれは穿ちすぎかな。だって、ホンボシはたぶんサムはこの時点で見当が付いている。しかし、それが結果的にはジェイソンを将来に渡って危険な人物と結び付けることになってしまったのが皮肉ではある。(と、いうのは再読だからこそ言えることなんだが。)
 
 『殺しのアート』シリーズ、最初の巻にして、最高傑作なんじゃないか、とすら思うこの本。やっぱり、ジョシュ・ラニヨンは凄い作家だと思う。今後の翻訳刊行が続いていくことを切に希望する。あと、ジョシュ・ラニヨンについては、BLコミックコーナーではなく、ミラブックスとか二見書房の並びあたりに置いてもいいのでは?と思う。ストレートの濡れ濡れ本はちゃんと文庫や文芸書棚にあるのに、ゲイ・ロマンスはBLコーナーってどうなん?LGBT的にはさ?