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2021年11月17日水曜日

0307-08 ハンターキラー 東京核攻撃 上・下 (ハヤカワ文庫NV)

書 名 「ハンターキラー東京核攻撃 上」 「ハンターキラー東京核攻撃 下」 
原 題 「Dangerous Grounds」2021年
著 者 ジョージ・ウォーレス/ドン・キース 
翻訳者 山中 朝晶 
出 版 早川書房 2021年10月 
文 庫 上巻352ページ/下巻352ページ  
初 読 2021年11月18日 
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/102625713  
ISBN-10 上巻4150414874  /下巻4150414882 
ISBN-13 上巻978-4150414870/下巻978-4150414887
 潜水艦の姿を表示したいがばかりに、シリーズ3作、表紙画像を貼り合わせた。
 遠景に、本作に登場するアーレイ・バーク級駆逐艦〈ヒギンズ〉の姿もあれば良かったのにな。
 
 で、ハンターキラー3作目です。今回は日本の横須賀が前線司令部として登場する。そして、今作ではワードの家族がそろって苦難に見舞われる。
 ワードの息子はアナポリスの海軍兵学校の4年生で、初めての潜水艦乗艦実習。乗り組むのはグアムを母港とするロサンゼルス級原子力潜水艦〈シティ・オブ・コーパスクリスティ〉、むろん実在する艦である。この長い名称の由来は、話中で副長が2人の少尉候補生(1人はワードの息子ジム)に語っている。さて、初の乗艦実習、将官を父に持つジムの苦労やいかに。
 子供が手を離れたワードの妻のエレンは大学で植物学の研究に戻り、野生の蘭の植生を調査するために学生を引率してタイの山奥に向かう。
 フィリピンではイスラム超過激派の武闘集団と宗教指導者が世界を核戦争に導く事を画策し、北朝鮮では老軍事指導者がイスラム過激派をペテンにかけ、自らも核戦争を仕組む。これにアジアの麻薬王の親子の確執が絡み、麻薬捜査官キンケイドも麻薬密売ルートの解明と摘発のためにフィリピンで隠密捜査中。
 数多の思惑がアジアの西から極東まで複雑に絡み合う。北朝鮮の内情とか、イスラム過激派の描写とかの敵側が陳腐なのはいつも通りではあるのだが、関係性が複雑になってスピード感と面白さは、前作よりはかなりアップしている。

 ロシアから盗まれて北朝鮮に密輸された旧ソ連の核魚雷の存在が米国の知るところとなり、捜索・破壊作戦が立案され、司令官にはジョン・ワード准将が任命される。副官はSEAL部隊長のビル・ビーマン。この2人が、SEAL北朝鮮潜入作戦の前線指揮を執ることに。お互いに相手を老兵呼ばわりして皮肉を言い合う老兵2人(笑)。司令部が置かれたのは横須賀米海軍基地。横須賀基地内にある旧大日本帝国海軍司令部だった洞窟が米軍の司令部に転用されている描写に心がざわめく。

 一方、ジョンの息子のジムは、心躍る潜水艦乗務なのに困難に見舞われる。海軍の高官を父にもつ候補生を快く思わないのか、かつて父のジョン・ワードとなにか因縁があったのかは知らないが、案の定、〈コーパス〉の艦長に露骨にいじめられる。が、そこにはちゃんと助けてくれる叩き上げの乗組員達もいて、若いころお父さんと同じ艦に乗り組んだ、という先任伍長が優しくも厳しい助けの手を差し伸べる。

 日本の近海で、訓練よろしく同盟国である米の原潜を追尾する日本の“ディーゼル潜水艦”が米原潜に鬱陶しがられているのも面白い。

 にわかに騒然とし始めた太平洋で、訓練航海だったはずの〈コーパス〉も騒乱に巻き込まれる。妻のエレンの方は、タイの山奥で寄宿したのがなんと麻薬王の邸宅、というこれまた突飛な巻き込まれよう。
 北朝鮮に渡った二発の核弾頭の行方はようとしてしれず、前線司令部に詰めるワードの元に、次々と悪い知らせが届く。息子ジムの乗り組んだ潜水艦〈コーパス〉が消息を絶った。そしてエレンは麻薬絡みの戦闘に巻き込まれてタイの山中で行方が分からなくなる。さらに、海賊にシージャックされて核魚雷を積み込まれ、東京に向かった可能性のある〈コーパス〉には、発見次第撃沈せよとの大統領命令が下されるのだ。

 ジョン・ワードには相当気の毒な展開だが、核弾頭を追ってサウジアラビアまで出張ったSEALの若きリーダー“カウボーイ”ウォーカーも、全編通して非常に憐れである。ウォーカーと同じチームになったダンコフスキー、カントレル、マルティネッリも一蓮托生。ああ、これまでがんばってきたのに(涙)。とくにマルティネッリは、映画『潜航せよ』ではSEALのルーキーとして登場し、負傷しつつもスナイパーとして抜群の技倆を見せたりして良い味だしていたのでまことに残念だ。

 後書きによれば、まだ翻訳出版されていない4作目では、ワードの息子ジムがSEAL隊員として登場するとのこと。ドルフィンマーク(潜水艦乗務員記章)も取得したジムだが、初めての乗務で乗員や同期の士官候補生を目の前で殺される、という経験が、彼を近接戦闘技術の獲得に向かわせたのだろうか。
 何はともあれ、はやく次巻を読みたい。早川書房様、次作の出版もぜひよろしくお願いします。簡単にシリーズ見捨てないでね!

2021年11月15日月曜日

0305-06 ハンターキラー潜航せよ 上・下 (ハヤカワ文庫NV)

書 名 「ハンターキラー潜航せよ 上」 「ハンターキラー潜航せよ 下」 
原 題 「FIRING POINT」2012年
著 者 ジョージ・ウォーレス/ドン・キース 
翻訳者 山中 朝晶 
出 版 早川書房 2019年3月 
文 庫 上巻425ページ/下巻426ページ  
初 読 2021年10月30日 
ISBN-10 上巻4150414491  /下巻4150414505 
ISBN-13 上巻978-4150414498/下巻978-4150414504 
 つい気になってしまった誤訳と、誤訳か誤植か迷うケースについて。
その1。
SASを『空軍特殊部隊』と訳す痛恨のミス。SASはSpecial Air Serviceの略称だが空軍ではない。『陸軍特殊空挺部隊』である。各部隊から志願し選び抜かれた陸軍の超エリート部隊。よって、小説に登場するシーンも多いのだが、軍事オタクではないが多少詳しく知りたいという人には、イアン・ランキンのリーバスシリーズ一冊目『紐と十字架』およびギャビン・ライアルのマキシム少佐シリーズをお薦め。いずれも現役のSASではないのだけど、雰囲気は伝わる。ガブリエル・アロンの親友ケラーも元SAS。アティカス・シリーズにも格好良い元SASが出てきた。
その2。
The young junior officer を「若い下士官」と訳してある。彼は大尉なので、決して「下士官」ではない。そもそも下士官なら、Petty officerだと思うんだよね。ここは下級士官と当てるところだろう。下士官と下級士官。誤訳か脱字か迷う。

 だがしかし。そんなことは置いておいて、潜水艦が氷海を潜り、海上艦は波濤を割って駆け、有能な司令官が指揮をとり、部下の乗組員たちは各々の技量の限り奮闘する。真っ当な海洋軍事小説である。つまりは面白い。『最後の任務』でスタージョン級原子力潜水艦〈スペードフィッシュ〉の艦長を務めたジョナサン・ワードが准将に昇進して、大西洋潜水艦部隊の司令官になっている。スペードフィッシュが退役した時点では中佐だった。あの麻薬撲滅作戦の勲功で大佐に昇進したにせよ、短期間(およそ2年ほど)の間に准将になっているっていうのは、超スピード出世なんじゃないか?あいかわらず、ワードは好男子だ。今回主役のロサンゼルス級原子力潜水艦〈トレド〉の艦長は、前作でワードの副長だったジョー・グラス。艦長となった今も、グラスとワードが見せる厚い信頼関係が読み手にも心地よい。北極海の氷の下からイギリスのファスレーン海軍基地に帰還した〈トレド〉とグラスを迎えたワードの会話。早くパブに行きたいというグラスに対し、ワードが言う。

「まあ、当分先だな。今度の作戦の戦術司令官は本当に人使いが荒い、 
冷酷非情なろくでもない男だからな」 
「誰です?」 
「わたしだ」

著者の一人のジョージ・ウォーレスが元潜水艦艦長で、それこそスタージョン級の〈スペードフィッシュ〉では副長をつとめ、ロサンゼルス級では艦長を務めた人。潜水艦管内の描写が精緻を極めるのは当然で、その分、陸上の陰謀のあれこれが相対的にかすんで見えるのは致し方のないところ。大勢の登場人物をからめ、さまざまな思惑が錯綜するが、総じて敵役がしょぼく見えるのは前作と同様。でもいいのだ。これは潜水艦の本なのだ。ないと話にならないから敵役も必要だが、私は海のシーンだけで満足だ。だがひとつ、気がかりなことがある。この巻に出てくるUSS〈マイアミ〉も〈トレド〉もロサンゼルス級の実在の潜水艦。〈マイアミ〉は2014年に退役したようなので、この本が米で出版された時ににはまだ現役だったはずなんだけど、良かったのか、沈めてしまって? 験を担ぐ海の男的にさすがに撃沈はまずいのでは・・・・と、まったく人ごとながらかなり心配になった。うーん、恨まれないだろうか?〈マイアミ〉関係者に。と、(繰り返すが)まったく人ごとながらまことに不安。

 で、ここからは下巻の感想です。
 米国証券市場を舞台とした民間パートの、コンピュータープログラム改竄による証券取引詐欺と市場テロの策動、ずっと軍事パートと交互にやって来たが、まさか最後までストーリーがほとんど交わらないとはびっくりだ。これ、民間パートをバッサリ削っても十分ストーリー成り立つよね、と書いてから、そういや映画はそうだったよな、と。
 軍事クーデターは兎も角、愛国主義とは別物の拝金主義者の魑魅魍魎が蠢く腐った資本主義市場は、老獪とはいえ単純な海軍軍人が泳ぐにはヘドロすぎる。一方、海上でイージス巡洋艦〈アンツィオ〉から指揮を執るジョン・ワード、その弟子たるジョー・グラス、そして小生意気だったのにどんどんグラスに感化されていくグラスの副長エドワーズ。ついでにこちらもジョンに感化される〈アンツィオ〉の艦長、海軍パートはとにかく読んでいて気持ちがいい。
 潜水艦のコースは途中何回も地図で確認。海上の視線から見るヨーロッパの地形は面白い。デンマークは海の要衝。かつて海洋国家として栄えたのもうなずける。で、普段メルカトル図法の地図ばかりみていると特に極地は距離感が狂うので、グーグルアースも活用。今回ロシア潜水艦隊はバルト海と白海の二手に展開したわけだが、モスクワを狙うとして、危険を冒してバルト海に潜り込む価値はあったのかな、とちょっと疑問に思った。モスクワまでの直線距離はバルト海、白海いずれも1000キロ超で似たり寄ったり。仮にバルト海からのモスクワ攻撃が成功したとしても、そのあと西側諸国の軍に囲まれるのは目に見えているわけで、素直に白海から攻撃仕掛けたほうが勝算はあったのでは?
 フィヨルドの戦闘、そしてバルト海の戦いは、映画に比べてもちょっとあっさり風味だったけど、十分堪能できた。面白かった。

 映画の方の『ハンターキラー潜航せよ』は尺に合わせて証券詐欺パートはバッサリ削り、潜水艦もロサンゼルス級ではなく、バージニア級〈アーカンソー〉に変更。 細かいところは良く分からないが艦尾のスクリュー周りのデザインがかなり違う。ロシア駆逐艦〈ヤヴチェンコ〉が単なる敵艦ではなく、ラストに乗員の意思でアーカンソーを守ってクーデター派に対抗するなど、渋い展開となる。私はこの映画が大好きだが、アメリカではあまり受けなかったらしい。ジェラルド・バトラー演じるグラス艦長が、かなり抑制の効いた役作りで、派手な戦闘好みの米国人には静的すぎたのだろうか?
 私は、何度見ても飽きないんだけどね。
 ところで、映画の中に登場するフィスク少将は、胸に潜水艦乗員徽章を付けている。彼は潜水艦隊司令官だったのか。小説ならドネガンとワードを足して割ったくらいの役回り。この潜水艦乗員徽章(ドルフィンマーク)、ドルフィンと言いつつ金のしゃちほこに見えてしまうのは私だけ?だって鱗あるし。。。。こういうことを、手軽に検索できるインターネット時代が本当に有り難いと思う。

2021年11月8日月曜日

0302-03 ハンターキラー最後の任務 上・下 (ハヤカワ文庫NV)

書 名 「ハンターキラー最後の任務 上」 「ハンターキラー最後の任務 下」 
原 題 「FINAL BEARING」2003年
著 者 ジョージ・ウォーレス/ドン・キース 
翻訳者 山中 朝晶 
出 版 早川書房 2020年8月 
文 庫 上巻415ページ/下巻415ページ  
初 読 2021年10月30日 
ISBN-10 上巻4150414688  /下巻4150414696 
ISBN-13 上巻978-4150414689/下巻978-4150414696 
『ハンターキラー東京核攻撃』が出版されたので、あわててこちらに着手する。国内の出版順では、『ハンターキラー潜航せよ』→『最後の任務』→『東京核攻撃』だが、時系列的にはこちらの本が先。『ハンターキラー潜航せよ』で主役の艦長をつとめるジョー・グラスが、この巻では信頼あつい(とはいえまだ発展途上の)副長である。SEALのビル・ビーマンは全部の話に出ているようだ。
 
 この本の主役は攻撃型原潜(ハンターキラー)〈スペードフィッシュ〉。スタージョン級で、実際にジョージ・ウォーレスが副長を務めた艦だというから、思い入れも多かろう。作中では6ヶ月後に退役を控えた古参の艦である。艦内各部の老朽化は如何ともしがたく、機器は故障につぐ故障で機関長を忙殺し、ときに艦長に冷や汗をかかせている。手のかかる艦だけに艦長ジョン・ワード中佐の愛情はひとしお、そして若手の乗組員にとっては厳しい鍛錬の場ともなっている。
 そんな〈スペードフィッシュ〉は、折しも、悪意に満ちた査察に苦しめられていた。危険な査察の続行に抵抗したワードは査察官である大佐と対立。母港のサンディエゴに帰港したのち、艦隊司令官と部隊司令官の前で申し開きをすることになる。維持修理に金も手間もかかる〈スペードフィッシュ〉の退役をあわよくば早めようという官僚的な部隊司令官(大佐)の悪意に思わず激高しかけるワードであるが、艦隊司令官であるドネガン大将が間に入り、おそらくはこれが最後であろうという実戦任務が〈スペードフィッシュ〉に割り当てられることになる。
 (このドネガン大将という人、ジョン・ワードとはずいぶん親しそうな様子なのだが、続巻の『ハンターキラー潜航せよ』(ここでは、ジョン・ワードは准将に昇進している。)では、ドネガン大将は、ジョン・ワードの父の親友で、父と早くに死別したワードの父親代わりともいえる人物だと明かされている。)
 さて、そのドネガンがワードに命じた任務とは、南米コロンビアで麻薬栽培と密輸を原資に反政府闘争を繰り広げるゲリラ組織の壊滅と麻薬撲滅だった。
 国際共同麻薬禁止局(JDIA)の指揮の下、ワードの親友で麻薬捜査官のキンケイドはシアトルでコカインの売人の動向を追い、これも親友で戦友の海兵隊SEALのビル・ビーマンの部隊が、現地アンデス山地に潜入して麻薬栽培地とコカイン精製工場の位置を探り出し、〈スペードフィッシュ〉は発見されたコカイン精製工場に洋上からトマホークを打ち込む、という最後の任務にふさわしい大型の作戦に、思わず心躍るワード艦長である。

 映画『ハンターキラー潜航せよ』の、展開のテンポの良さを期待して読み始めると、著者の濃厚な人物と情景の描写に足をとられる。
 敵方の麻薬組織の指導者の行動やら心情描写やら、現地の情勢や情景にもねっとりじっとりと筆数をかけており、おまけにどれだけ字数をかけても到底その心情に共感できるものではない、という軽快とはいいがたい滑り出し。麻薬王のページに入るたびに、早く潮風をかぎたくなる。それでも、きっと下巻にいくころには良いペースになるに違いないと信じて、我慢の読書である。敵方、味方それぞれの陣営にどうやらスパイが潜入しており、どちらの計画も水がもれている気配がある。麻薬組織側のスパイ《エル・ファルコーネ》の正体にピンときてしまったが、さて、これが当たっているかどうか。下巻を読んでのお楽しみだ。

 で、下巻である。
潜水艦パート、麻薬王パート、現地潜入のSEALパート、シアトルの麻薬密売人パート、密輸ルートパート、麻薬捜査官パート、とと細かく交互に刻んでくるが、さすがに後半に入りテンポアップして、面白さも加速。とはいえ、はやり麻薬王がちょっとしょぼいかなあ。これで敵方が見応えあるとさらに面白いんだが、さすがにこのストーリーでは、こいつを暗黒のヒーローに仕立てるのは無理か。《エル・ファルコーネ》は最初の見立てどおりの正体。これに騙される反政府指導者のしょぼさがやはり際立つ。敵側を悪し様に書かないと、先進国で軍事大国のアメリカが最新鋭の武力で小国のゲリラにトマホークをブチ込み一方的に殺戮する話になってしまう。小説の仕立てとしてはこうなってしまうのは致し方ないところか。


 潜水艦パートは安定の面白さ。ダグラス・リーマンにも共通する、艦内の日常と非日常、トラブル対処と潜航・追跡・戦闘がスリリングである。面白いのが、

“映画でよく見る場面とはちがい、実際にはサイレンで寝棚から飛び起き、潜水艦内を走って配置に就く者などいないのだ。”

 という一文。なるほど、静粛性が命の潜水艦内で、どたばたしすぎてるよなあ、とは思っていた。でも、あれがないと、映画では潜水艦内は絵的に静かすぎてつまらないかも。そういえば、吹き替えにも少々違和感がある。英語版の音声だと、艦内の会話は静か(潜水艦の乗組員とはそういうもの。)だが、吹き替え音声だと声優さんが声を張るので、けっこう会話がデカい(笑)。

 潜水艦艦長ワードは部下思いで有能。一糸乱れれぬ艦内の統率ぶりは読んでいてただただ気もちがよい。
 長期間の単独行動をむねとする潜水艦の艦長は裁量の幅が広く、自立心旺盛でクセがつよい、またそれでこそ有能・・・ということで、意に沿わない指令には断固として抵抗も。
 長官からの指令の無線を電波状態が悪いせいにして聞こえないふりで回線をぶち切る、という古典的なバックレもかまして、ひたすら狙った獲物を追跡する。

「わたしの親父もよく言っていた。〝前もって許可を取れなかったら、あとで許してもらえばいい〟と。」

 と言う艦長に、敬服する副長。この副長がのちの『潜航せよ』の艦長だからね。かくして伝統は受け継がれる。

 さて、老朽艦にお約束の重大な機器の故障も部下の決死の奮闘で乗り越えて、最後の務めを果たすハンターキラー〈スペードフィッシュ〉。麻薬戦争はまだ終結を見ていない段階ではあるが、為すべきことをなし、これ以上すべきこともなくなった、と見立てた艦長は老朽潜水艦を母港に向けるのだ。
 
 ラストは、〈スペードフィッシュ〉の退役式。このあと、解体される、とかはとりあえず考えたくない。すべての作戦と任務を終え、母港の埠頭に静かにたゆたう老朽潜水艦。
 ラストで繋留されている〈スペードフィッシュ〉と対照的に、揚々と出港していく最新鋭潜水艦の姿は、ウィリアム・ターナーの『戦艦テレメール号』の絵を思い出したりして、なんとも感慨深かった。ご苦労様。


2021年11月6日土曜日

ハンターキラー・シリーズ(ジョージ・ウォーレス/ドン・キース)

※Amazonのページからのコピペでまとめ。その都度検索するのがめんどいので。書影でAmazonページにリンク。それと、Amazonだと発行日がKindle版の発売日表示になっていたりするので、著作順がいまいちわかりにくい。邦訳がでている版については、原著の発行年はハヤカワNVより。

Final Bearing (The Hunter Killer Series Book 1) (English Edition) 2003

Commander Jonathan Ward and his crew on the old attack sub Spadefish are on one last mission. A US Navy SEAL team is inserted into South America. Their orders are to destroy the secret laboratories of the world’s most notorious drug cartel, and the Spadefish has been sent to provide assistance.But Juan de Santiago, the violent billionaire drug lord, has an entire private army and a futuristic new mini-submarine of his own. He will do anything to protect his empire. 
★邦題『ハンターキラー最後の任務』
 






Firing Point (English Edition) 2012

Below the polar ice cap, an American nuclear submarine moves quietly in the freezing water, tailing a new Russian sub. But the usual, unspoken game of hide-and-seek between opposing captains is ended when the Americans hear sounds of disaster and flooding, and the Russian sub sinks in a thousand feet of water. The American sub rushes to help, only to join its former quarry in the deep.The situation ignites tensions around the world. As both Washington and Moscow prepare for what may be the beginnings of World War III, USS Toledo—led by young, untested Captain Joe Glass—heads to the location to give aid. He soon discovers that the incident was no accident. And the men behind it have yet to make their final move. A move only Glass can stop.
 
★邦題『ハンターキラー潜航せよ』 



Dangerous Grounds (The Hunter Killer Series Book 2) (English Edition) 2015

A DEA agent investigating the Asian drug trade stumbles upon a deadly plot. A Navy SEAL team is tasked with finding stolen Russian nuclear weapons in east Asia. And a young Naval Academy midshipman becomes trapped aboard a hijacked submarine. Together, this unlikely American team must battle radical terrorists and criminal drug syndicates in the deadliest waters on Earth. For if they fail, a nuclear armageddon will be unleashed upon mankind...
★邦題『ハンターキラー 東京核攻撃』






Cuban Deep (The Hunter Killer Series Book 3) (English Edition) 

Admiral Juan Valdez is the puppet master behind Venezuela's dictatorship. He has spent years modernizing Venezuela’s military while the poor of his country starved. All the while, Valdez was working toward his grand vision of seizing much of Latin America. Now Admiral Valdez is convinced that Bolivia, Columbia, and Peru are all well within his grasp. And when the time is right, he will strike.
But the real key to his victory lies to the north. With the recent discovery of massive undersea oil deposits, he must take Cuba. For oil is money. And money is power.
The crew of the submarine USS Toledo, along with a handful of SEALs and intelligence operatives, have been sent in to protect America’s interests.
But with Russia’s best technology at his disposal, Valdez’s elaborate plot puts the Americans right in the line of fire.

 

Fast Attack (The Hunter Killer Series Book 4) (English Edition) 

A belligerent Russian president seeks to reunite the Soviet Union—beginning with Lithuania. But before the US can send military support, Russia’s navy forces a dangerous face-off in the Atlantic. As a Russian fleet maneuvers into a blocking position, a pair of spies attempts to sabotage the American navy.
With a hurricane bearing down on the Atlantic and the US fleet ordered to port, two American submarines and a small team of Navy SEALs are all that remain. Together, Commander Joe Glass and his fast attack submarines must defeat the Russian forces, or risk losing the global balance of power for good.





Arabian Storm (The Hunter Killer Series Book 5) (English Edition) 2020/06/16

To US intelligence, he is known only as Nabiin.
But his followers call him the Prophet, and they will stop at nothing to follow his orders—orders that will pit the world powers against one another, and bring about his personal vision of the End of Times.
For skipper Joe Glass and his crew aboard the submarine Toledo, thwarting the seemingly unstoppable terrorist plan becomes their new mission.
Pitted in a race against time before countless civilians are killed, and assisted by a team of Navy SEALs, Joe and his crew must use their submarine, their wits, and their bravery to stop a global war...before it’s too late.





Warshot (The Hunter Killer Series Book 6) (English Edition) 2021/05/25

Trillions of dollars’ worth of gold. Enough to launch an ambitious nation to a position of global primacy... permanently.
It lies on the floor of the Pacific Ocean in hotly contested territory, and it's discovery might be the spark that finally ignites a powder keg of long-simmering political and military antagonism.
China races to claim the territory and the gold, but corrupt leaders within the power-hungry nation commit increasingly brazen acts of violence; willing to risk destabilizing the region, and even a world war, for the chance at finally achieving world preeminence.
Commodore Joe Glass and the US Navy move swiftly to intervene. Submarines and SEALs deploy with haste, bringing cutting-edge technology, naval assets, and highly advanced fighting units into an increasingly tense standoff. Their mission: to prevent a global war and to protect the sovereignty and safety of those caught in the middle of the historic power-grab.

But the enormous treasure lies in some of the deepest waters on the planet. Laying claim is only the first step. The gold must be retrieved. And when disaster strikes, adversaries and enemies must come together for one of the most spectacular and dramatic deep-sea rescues ever attempted.


Silent Running (The Hunter Killer Series Book 7) (English Edition)2022/5/17

Biding its time for decades, China has patiently lain in wait for its chance at global dominance. Long content to needle the West while secretly amassing intelligence, technology, and resources, the war chest is now full and the gears of the colossus are grinding into motion.

New arenas of modern battle emerge as China wages an all-out cyber assault on the West. And the more familiar tactics of brute strength play out in its bold attacks against sovereign neighbors. The scope of the Chinese menace draws the US into the melee.

But then US Naval Intelligence learns the true reasons for, and the vulnerabilities of, the Middle Kingdom’s aggression.

Will the men, women, and submarines of America's Silent Service be able to hang on to a tenuous world order...or have the scales already tipped too far?