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2024年5月4日土曜日

0485 OBLIVION<矢代俊一シリーズ25>

読書メーター https://bookmeter.com/reviews/120522799   

Amazonより・・・「矢代俊一が渾身の力を込める新アルバムのレコーディング合宿が河口湖のスタジオで開始された。しかし、俊一の父は合宿所に何者かがいるといい始め、その夜にはさらに奇怪な現象が発生するが……明け方に目覚めた俊一は取り憑かれたように曲を書き始める。著者逝去により中断した表題作を収録した矢代俊一シリーズ最終の第25巻。栗本薫が生前に自分の作品をもっとも理解していると信頼していた円城寺忍による解説付き。」

 矢代俊一シリーズ最後の本である。
 薫サン2008年12月の筆。翌年の2009年5月に死去。1章から7章まで、未完。
 なにはともあれ、故人の冥福を祈る。 
 
 矢代俊一グループは、新しいアルバムの収録に富士河口湖畔のホテル兼スタジオを貸し切って臨む。収録にはコアメンバー5人(俊一、サミー、英二、晃市、木村)の他にピアニストの松本弓彦、和太鼓の社中なども参加し、純一の父も参加する予定になっている。新アルバムは『雨月物語』をテーマに、人間の業と救済を表現する。そしてそのホテルで心霊現象に遭遇・・・で、ここからというところで絶筆。

 おそらくシリーズ中、もっとも読みやすい普通の文章。どうした薫サン、なにか憑き物でもおちたような、普通の文章だ。それが曲がりなりにも小説家に対する褒め言葉か、と思うとなんとも言えん気分になるが、事実だ。
 おそらく前巻でついに金井と切れて、変に俊一に絡みつく男どもがいなくなっているせい。透はついに良に捨てられ、いまや俊一への愛一筋に生きているし。ひっそりと完璧に日陰の身に徹して、すくなくとも修羅場を演じて俊一をかき乱すことはしないし。透の人格の変遷についても、言いたいことは山ほどあったような気もするけれど。これで決別である。

 ついでながら、透について言えば、個人的には、『嘘は罪』に2回ほど出てきたときの透ちゃんが、自分の中では一番だった。あそこが透の最高到達点。まあ、『ムーン・リヴァー』は別格として、こちら、矢代俊一シリーズに登場する透は、薫サンにおもちゃにされた哀れなキャラとしか思えない。今西良もしかり。外伝の方は読んでないのだけど、推して知るべし。

そんなこんなではあるが、薫さん、さようなら。ご冥福をお祈りします。ここまで読んだ私は、まあ、お疲れ様でした。
(ここまで執念で読んで、感想をアップし続けた結果、このブログ内で「栗本薫」の比重が比較的大きくなってしまったのが、非常に不本意ではある。)

栗本薫〈矢代俊一シリーズ1〜25〉総評


最初に、1冊目の『YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS 恋の味をご存じないのね』の冒頭に配された、栗本薫の御夫君であり、以前はS-Fマガジンの編集長でもあった今岡清氏の前書き 「矢代俊一シリーズ電子版刊行にあたって」から抜粋。

栗本薫の個人レーベル(同人誌)である天狼叢書の出版について、今岡氏は以下のように語っている。
・・・また、『真夜中の天使』、『キャバレー』などの作品が、作家としてデビューする以前に出版するあてもなく、書きたいという衝動だけにせかれて書かれていたことへの回帰ということもあったのでしょう。編集者の意向や読者の要望などに影響されずに、思うがままに書いていきたいという気持ちから書き始められたのが『YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS』以降の矢代俊一シリーズの作品でした。

シンプルな表紙を取ったとこについては、
・・・いつまでも語り継がれるよう、矢代俊一シリーズの表紙はずっと変わらずにいるようにとあえてこの形をとりました。最後に、電子版配信にあたって天狼叢書として出版された版と多少の違いがあることをお断りしておきます。まず、編集者としての私から見て明らかな矛盾や事実誤認については訂正をしました。もちろん内容や表現に関する部分には、一切手を加えてはいません。訂正は、栗本薫に納得してもらえると私に確信の持てる部分に限っています。

 シリーズが巻数を重ねるにつれて趣味的要素が強くなりすぎ、読者が減っていったこと、プロの編集者の目から見て、(編集・出版の)プロの目が介在しなかったことによる瑕疵が気になるところでもあった、と今岡氏は語るのだけど、それは薫サン自身が望んだことなんだよね。他者の意見を聞き入れる精神を持ち得なくなった作家が、周囲の批判や意見から耳を塞いで居心地のよい環境に逃げ込んだだけにしか思えず、そのような創作環境を、プロの編集者の目をもつ夫の今岡氏はどのように受け止めていたのか、とか、考え始めるといろいろと気になってしまう。それでも、今岡氏は「いつまでも語り継がれる」価値があるとは考えているわけだ。(だからこそ、この電子書籍シリーズが今も刊行中なわけだけど。)

 先に、電子全集に『トゥオネラの白鳥』が収録されてしまったがために、『東京サーガ』の行き着く先が、栗本薫の同人レーベル非読者にも明かされてしまったのは、私にとっては、不幸な出来事だった。少なくとも私の心中には、とんだ東京焼け野原が出現することになってしまったが、しかしあの『トゥオネラの白鳥』に含まれる、〈毒〉はいったい何なのだろう。その〈毒〉ゆえに、栗本薫は闇落ちした、と私は確信したのだが、そんな薫サンの軌跡をたどる、同人レーベル〈矢代俊一シリーズ〉正伝25巻、外伝18巻(未完作品を含む)を、いまから辿ってまいりますよっと。


◆「東京サーガ/矢代俊一ブランチ 作品一覧」◆
角川書店 「野性時代」1983 年掲載
角川書店 1983年
角川文庫 1984年
角川春樹事務所/ハルキ文庫 2000年

『死はやさしく奪う』(矢代俊一シリーズの登場人物金井恭平のエピソード)
角川文庫 1986年
カドカワノベルズ 1990年

『黄昏のローレライ キャバレー2』
角川春樹事務所/ハルキ・ノベルス 2000年

『身も心も 伊集院大介のアドリブ』(伊集院大介シリーズに矢代俊一登場)
講談社 2004年
講談社文庫 2007年

『流星のサドル』
成美堂出版/クリスタル文庫 2006年

以下は天狼プロダクション刊 〈矢代俊一シリーズ〉
  1. 『YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS 矢代俊一シリーズ1』 2007
  2. 『朝日のように爽やかに Softly,As In A Morning Sunrise 矢代俊一シリーズ2』 2008 
  3. 『CRAZY FOR YOU 矢代俊一シリーズ3』  2008 
  4. 『NEVER LET ME GO 矢代俊一シリーズ4』 2009 
  5. 『BLUE SKIES    矢代俊一シリーズ5』 2009
  6. 『ROUND MIDNIGHT    矢代俊一シリーズ6』   2009
  7. 『THE MAN I LOVE    矢代俊一シリーズ7』   2010
  8. 『WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE   矢代俊一シリーズ8』 2010
  9. 『GENTLE RAIN    矢代俊一シリーズ9』2010
  10. 『CARAVAN    矢代俊一シリーズ10』  2011
  11. 『亡き王女のためのパヴァーヌ    矢代俊一シリーズ11』 2011
  12. 『LOVER FOR SALE    矢代俊一シリーズ12』2011
  13. 『SUMMERTIME    矢代俊一シリーズ13』   2012
  14. 『SOUL EYES    矢代俊一シリーズ14』 2012 
 で、ここまで(14冊目まで)の感想だが、失礼ながら、以外にも、面白かった。
 やはり好きなものを、好きなように書いているからだろうか。エロ描写がふんだんに散りばめられているためか、脳内流出ぐだぐだトークが相対的に少なくなっていて、比較的読みやすいし、展開がスピーディーだ。『キャバレー』の矢代俊一がこうなり、『死はやさしく奪う』の金井がああなる。そしてその二人がそうなる。この点のみ、ぐっと飲み下すことができれば、このシリーズは読める。少なくともここまでは。キャラ劣化の兆しは見えてはいるものの、まだ、そう酷くはない。しかし、たとえば黒人キャラクターに与えた役割や、HIV感染の話など、センシティブな事柄に対する無神経な取り扱いにはドン引きする。実在のタレントを彷彿とさせる当て字で、あそこの穴がゆるゆる、とかやるのも勘弁してほしい。こういう思慮のなさは、もともとの薫サンなんだろう。
 透はやっと13作目での登場だが、なにやら婉容なセックスマシーンみたいなキャラになっているが、まあ、私的にはまだ、許容の範囲内。このあとの続刊を坐して待つ。

【以下、追記】

◆ 2022.7.30 15冊目の『WILLOW WEEP FOR ME 』が刊行されたので、レビューを追加。
 執筆時期の薫サンの体調の影響か、はたまた、他の活動の影響か、作品の質にかなりのバラツキを感じるのは気のせいかな。15冊目はなんだか俊一の方向性というか、姿が定まらない感じで心許ない。
◆ 2022.9.22 16冊目の『SKY LARK 』が刊行されたので、レビューを追加。
 透の人物像に相当な劣化を感じるようになった。また、アクションパートが終了したため、全体的に、薫サンの〈脳内ダダ漏れぐだぐだトーク〉と私が形容している、冗長で繰り返しの多い無駄な文章が増え、目が滑る率が高まる。どの登場人物も同じような言葉回しをするため、セリフによる各人物の書き分けが曖昧。小説の質的な劣化が見られる。
 しかし、『テンダリー』を三分割して、61ページ分を550円、91ページ分を770円で頒布する、という価格設定は暴利というか無謀ではないか?同人誌価格なのか?さすがに私は買わないよ、これ。
◆ 2022.11.30 17冊目の『IT AIN'T NECESSARILY SO』刊行
  結構、読むのがツラい代物になってきた。透が完全に闇落ちしましたね。もやは、『朝日のあたる家』や『嘘は罪』や『ムーン・リヴァー』の透とは別人に成り果てました。
◆ 2023.2.20 18冊目『MORE THAN YOU KNOW』 刊行。
 薫サンの脳に沸きいずる言葉をただただ、だらだらと書き綴ったのだな。ひたすら俊一が己の二股の恋を思い悩む。そうはいっても、そんなに深いものにはなりようがない。残り、本編6冊。
◆ 2023.4.20 19冊目 『ボレロ』刊行
  待ちに待った、俊一と父、万里小路俊隆の父子リサイタル。薫サンの音楽描写は悪くないと思っているし、クラシックを織り交ぜたコンサートの構成とか、それを薫サンがどのように描写するか、とかそれなりに(結構に)楽しみにしていたんだよね。でもって、期待値を上げすぎて惨敗する、という、なんだろう、己に負けたような残念感だったりして。詳細は個別のレビューのほうへどうぞ。
◆ 2023.6.20  20冊目 『DEVIL MAY CARE』刊行
 もはや期待のひとかけらも持たずに。それでも発売日に惰性でダウンロード。スマホの画面を10回スライドさせて1行読むくらいのペースで読み飛ばした。その程度で十分な希薄さなのだ。読むべきものも、評価すべきものもないと思う。
◆ 2023.9.1   21冊目     『AS TIME GOES BY』刊行
 惰性であることは重々理解しているが、とりあえず、隔月で出るので、いちおう目を通す。出だしは悪くないかも?と思ったのだけど、すぐに俊一がグダグダしだして、ウンザリ。この巻はステージもないので、ほんと、金井と寝て、英二と寝て、透に犯されて、寝込む。だけ。それが大ステージ控えたプロのミュージシャンのやることか? 深海より深く反省しやがれ。
◆ 2023.10.22   22冊目 『SENTIMENTAL JOURNEY』刊行
 前々から決まっていた全米ツアーの一部始終。俊一を嫌う在米の日本人ジャズピアニストが寄ってきて、つまらぬ嫌がらせの数々。俊一は英二に焼き餅をやき、痴話喧嘩の一方で、やはりニューヨークに来た金井と寝るし、風間を全力で誘惑するし。でもまあ、ステージの描写は悪く無かった。  
◆ 2023.10.22   23冊目 『ANGELEYES』刊行 
 ニューヨークから帰国したのちも、晃市の音楽性問題は継続中。金井が交通事故で重症を負う。金井と俊一の関係を案じ、また透の先行きも案じる風間は、俊一と透の関係は知らぬまま、俊一の愛人として、透を勧める。 
◆ 2024.2.25  24冊目 『MY ONE AND ONLY LOVE』刊行  
 ピアニストの松本弓彦(ユミー)が登場。晃市のピアノ問題の音楽性の問題は継続中。金井が交通事故で足を骨折したあと、仕事もできず九州で困窮しているとの黒田からの連絡があり、ついに俊一は金井にまとまった金を渡して決別することを決意。 
  透は手紙で良から、出所したらイギリスにいって永住するかもしれない。透の所には戻らない。と別れを告げられ、いよいよ俊一に傾倒。
◆ 2024.4.25  25冊目『OBLIVION(未完)』刊行 
 2008年の年末に書かれた章で、絶筆。びっくりするほど、読みやすい。金井との二股が解消し、透との秘めた恋愛は、透がすっきりと影に潜んでいるので俊一を悩ませることはなく、この最後の巻は音楽性の話題と、心霊現象のみ。俊一の内心の一向に進歩のないぐだぐだトークがないだけで、これほど文章がすっきりするのかと。
 薫サンが亡くなったのが2009年5月。なにはともあれ、故人の冥福を祈りたい。

◆ 『トゥオネラの白鳥       矢代俊一シリーズ未完作品集2』   2016(栗本薫・中島梓傑作電子全集28【JUNE Ⅱ】収録)


《矢代俊一シリーズ 外伝》
  1. 『テンダリー』 2009(晃一)
  2. 『明るい表通りで』 2009(晃一)
  3. 『酒とバラの日々』 (金井)
  4. 『SMILE――獣人の恋――』 (黒田)
  5. 『GEE BABY,AIN'T I GOOD TO YOU 』 2010(渥美) 
  6. 『聖夜—サイレントナイト』 2010(金井×俊一)
  7. 『VERY SPECIAL MOMENT』 2010(俊一×メンバー)
  8. 『Bei Mir Bist Sheon—素敵な貴女—』 2011(風間・黒田)
  9. 『EIJI29歳』 2011(俊一×英二)ニューヨーク後
  10. 『ラ・ヴィ・アン・ローズ』 2013(透)
  11. 『悪魔を憐れむ歌』 2014(銀河)
  12. 『レイジー・アフタヌーン』 2014(透)
  13. 『夜のタンゴ』 2015(透)
  14. 『タンゴ碧空』 2015
  15. 『アリヴェテルチ・ローマ』 2015
  16. 『牧神の午後への前奏曲』 2015
  17. 『BLACK ROSES』 2016
  18. 『ブルーレディに赤いバラ』 2016
※なお、『栗本薫・中島梓傑作電子全集28【JUNE Ⅱ】』に収録されている、矢代俊一年譜から書き起こした東京サーガ年譜はこちらへ。



2024年1月8日月曜日

栗本薫《毒を喰らわば皿まで》企画・読了(未了)後記———結局、毒性の強い麻薬みたいなもん。


 この本↑の中身とはさして関係ないものの、タイトルに気持ちを仮託して。

 さて、一昨年の2022年5月に、薫サンの没後に発表された『ムーン・リヴァー』を読み、いたく感動したところから始まった、今更ながらの栗本薫追い。若き日に読んだ『翼あるもの』がこのように展開していたとはついぞ知らず、『ムーン・リヴァー』→『翼あるもの』再読→『朝日のあたる家』と深追いし、読み友さんの〈キャバレーを見届けろ〉企画を追走。そして栗本薫、本当の絶筆『トゥオネラの白鳥』を読んでしまい・・・・・・このあたりの衝撃は当ブログ記事「0358 トゥオネラの白鳥(栗本薫・中島梓傑作電子全集28【JUNE Ⅱ】収録)」をご参照いただきたく。
 そして、栗本薫よ、なぜそうなった?という今更な嘆きとともに《毒を喰らわば皿まで》企画として、読メで、かつて同人誌として頒布された『矢代俊一シリーズ』を追いかける、という暴挙に出た。
 そこら辺の感想についても、関心のある方はこれまでの記事をご覧いただくとして。
 この間、栗本薫についてアレコレ考えてはみたが、正直、往年の大ファンであらせられる浜名湖うなぎさんの論評に優るものはない。すべてにおいて浜名湖うなぎさんに禿同なので、あっちを読んでくれ!
 浜名湖うなぎさんのブログはこちら

合わせて、年譜2種類も作成
 ◆栗本薫 年譜+作品一覧(一部省略)
 ◆栗本薫自作の矢代俊一年譜をベースにした「東京サーガ」年譜
 
 で、この《毒を喰らわば皿まで》企画であるが、12月30日に、矢代俊一シリーズ23巻がKindle版で発行され、残すところあと2冊とはなった。だがしかし。
 2023年のラスト一冊を、この本で飾る気には到底ならず、2024年の最初の一冊にもする気にはなれなかった。なんなら、読みたいという気にすらなれなかった。25巻まで読んだところで、完結しないのは判っているし、そのうち気を取り直して読むことができたなら、レビューは書き加えよう。そうしよう。ひとまず、この企画はおしまい! なにしろ、12月はたっぷりととっても素敵で上等なBL(M/M)を堪能したのだ。今更、矢代俊一には戻れない。無理無理。そんなこんなで、尻切れトンボではあるが、この企画については終了宣言する。
 残り3冊については、今後読んだらレビューをアップして、リンクはつなげる予定。

 さて、肝心の考証については不十分ながら以下に。 
考察① 栗本薫よ、なぜにこうなった?
 きちんとプロットを立てて、言葉を取捨選択して、前後関係を考証して、書いたら読み直して推敲する。そんなプロとして当たり前な仕事を、なぜ薫サンは出来るようにならなかったのだろう。絶大なファンがいらっしゃるということは承知の上だけど、やっぱり、グインサーガは原因の1つではないかと思う。あれ、100冊書く、じゃなくて100冊で完結させる!ってすれば良かったのに、と今更ながら思う。
 長く書くことだけが目的化したグインサーガのせいで、だらだらと書くことが肯定されてしまったんじゃないか?と思う。自分も最初の20巻かそこらは追いかけていたけど、記憶に残ってるのはスカールがノスフェラスに行って、放射能障害で苦しむあたりまで。ある巻で最初から最後まで会話だけ、みたいなのがあって、そこで見捨てた。このシリーズが100冊だか、200冊だか本棚に並んだときに、価値のあるものになるとは思えなくなったから。当時持っていた本は古本屋に売っぱらったので、手元にはない。

考察② 検証:『トゥオネラの白鳥』の展開には合理性があったのか!?
 これは、検証未了。
 矢代俊一シリーズ16巻以降で、明らかに森田透が別人化して、人格的に劣化の一途を辿るが、このあたりの透視点のスピンオフが何点かある。しかし、販売価格がカンに触って、私は読んでいない。また、良が出所後、透を捨てて英国に武者修行に行ってしまう、というくだりも結局読めていない。それにしても、透の品格が著しく低下したのは間違いなく、透のファンとしては腹立たしいことこの上ない。薫サンて、自分の創出したキャラクターに対する愛が全然感じられないのよ。どうしてなのか、薫サンの作品からは自己愛しか感じられない。読んでいてなぜ、そう感じてしまうのか、文章に人格が滲み出すって不思議なことだと思う。
 それでも、『矢代俊一シリーズ』については、私個人的には、14巻くらいまでは、それなりに面白かった。冒険活劇の側面があって、そこそこスピーディーに展開したからだ。
 だが、「トゥオネラの白鳥」に至る展開に合理性があるのか、ないのか、ということに関しては、結局のところ薫サンが気分の赴くままにかき回しているだけなので、「お前にとっては合理的なんだろうよ、お前にとってはな」としか言いようがない。結論としては、考えるだけ時間の無駄。

考察③ 矢代俊一シリーズの興醒めポイント 
 ひとまず大前提として、『キャバレー』のつっぱり小僧、矢代俊一君が、病弱・姫キャラ・BL受けになっちまったこと、ハードボイルドを地でいってた『死はやさしく奪う』の金井が、俊一にメロメロな絶倫巨根キャラになっちゃったこと、この二人がデキちゃったこと、は受け入れるとして、だ。(←そもそも、コレがダメな人だって沢山いるだろう。)
① 愛情の喩えが「聖母マリア」やら「殉教者」に終始するあたり、発想も表現も貧困。
② 努力と天才の孤高の人だったはず俊一を、実は国宝級天才ピアニストの実子だった、という事にしてしまった。あの才能は実は高貴なお血筋故、となってしまったがっかり感は半端ではない。虐げられた女の子は実はお姫様でした、っていう、低年齢向け少女漫画レベルの幼稚さ。
③ その父親と俊一が似たもの親子で、べたべたと俊一を溺愛する描写がとにかく気持ち悪い。
④ 『翼あるもの』『朝日のあたる家』『ムーンリヴァー』で、自身の不遇を受け入れることで、透徹した美しさを醸した透が、卑猥でうすら暗い絶倫エロキャラと化した。
⑤ とにかくひどいのは文章の劣化。腐った脳みそがだらだらと溶け出てるんじゃないかっていうような、つまらない思考が延々ループ。それが文字起こしされているだけの冗長な文章。推敲すれば1/10の文字数にすらならないだろう。商業出版どころか、同人だって読むに耐えるかどうか、というレベル。
 その他、細かいところでは、黒人キャラの使い方とか、HIV感染についての極めて思慮のない取扱い。だが、書く勢いに思慮が追いつかないのは薫サン、昔からって話もある。
 あと、アメリカツアーに和太鼓を持ち込み、黒の振り袖羽織ってステージに上がるとか、あざとすぎて、音楽で勝負したいと思っている人間の所業とはとても思えん。ここ一番でこういうステージを書いてしまう感性が、薫サンなんだな、と思う。聴衆、観客、読者を舐めてる。


 さて、いろいろと書いてしまったが結局のところ、イヤなら読まなければよい。それだけの話だ。それでもつい読んでしまう中毒性の強さが、結局のところ「栗本薫」なのだ。ドラッグみたいなものだ。

 もとより、私はさほど熱烈なファンでもないし、あの膨大な作品群を読破しているわけでもない。私は『翼あるもの』と、『朝日のあたる家』と、『ムーンリヴァー』に感動して、森田透というキャラクターに入れ込んだだけの、コアな栗本薫ファンからしたらただの“一見さん”だ。(グインサーガの初期と、魔界水滸伝第一部と、ぼくらシリーズとか、レダなんかのSFとか、印南薫くんのとか、伊集院大介もそこそこ読んではいたが。)それでも、この間、こき下ろしレビューを書かずにはいられなかったこの鬱憤は、栗本薫本人とその遺作を管理する御夫君にも責任があると確信している。

 デビュー当時の栗本薫が才能ある作家だったのであれば、なぜ、その才能を育てられなかった?育てるなんて大仰なものでなくてもよい。プロの作家としてあたりまえの、読み直して修正する、推敲する、考証する、という習慣を付けさせることは出来なかったのか?
 まあ、出来なかったのだろうな。出来たらやってるでしょうしね。
 作品を通してさえ、これだけ強烈な個性だ。そばで巻き込まれた人にとっては、それどころではなかったんだろう。
 ただ、一言だけは言いたいね。
 人にみせたら恥ずかしいものは、きちんと家の中にしまっておけよ。御夫君は、〈矢代俊一シリーズ〉1巻冒頭で述べていた最低限の修正くらい責任もって貫徹しろよ。


 さて、2年に渡った栗本薫の今更追っかけレビュー企画については、ひとまずここで終了とする。
 未読の何冊かについては、いずれ読んだり、刊行された時点でレビューをアップし、リンクは繋げようと思う。ラストは、浜名湖うなぎさんも推す、栗本薫のハードボイルド処女作とも言うべき『行き止まりの挽歌』で締めることにしよう。さようなら、栗本薫。

2023年10月22日日曜日

0444 SENTIMENTAL JOURNEY<矢代俊一シリーズ22>

読書メーター https://bookmeter.com/reviews/116766094   

Amazonより・・・アメリカ・ツアーでニューヨークを訪れた矢代俊一はバンドメンバーと別行動でかつての恋人と会い、また金井恭平との逢瀬を時を持つ。しかし、ツアーの歓迎パーティ会場に現れたニューヨーク在住のピアニストとのトラブル、懸念されていた森晃一の力不足が露呈するなど不穏な要素をはらみつつデトロイト、ロサンゼルスとツアーは進んでいく。それはグループにも矢代俊一本人にも先送りにされていた問題の総決算を予感させるものでもあった。矢代俊一シリーズ第22巻。

  相変わらず良く書けてるなあ。Amazonのリード。
 ものすごく美しくまとめるとそんな感じです。

 読み始めて改めて思ったのは、俊一が人を判断する基準が「自分を心配してくれるか否か」「自分のわがままを聞いてくれるか否か」「自分を中心に動いてくれるかどうか」になっている、ということ。俊一は、自分が居心地悪いと機嫌が悪くなり、それをいいよいいよ、と受け止めて甘やかしてくれる強い男を自分の周りに引きつける。そして自分を囲わせる。風間いわくセイレーン。美形の天才だからそれが許される。甘やかす者と甘やかされるもの。このキャラクターを嫌味なく、違和感なく書いちゃう薫サンにびっくりだよ。しかも薫サン、魔性の女だか男だか、奔放な性やら情熱やらを描こうと思って、こう書いているわけではない、という気がする。いやこれ、やっぱりなんの悪意もなく素で書いてるよね。だから薫サンも素でこんな感じだったんじゃないか?想像してしまうのだけど。

 それにしても、俊一の忙しいこと。
 俊一を敵視するゲイの三流ピアニストに気持ちを掻き乱され、英二にやきもちを焼き、風間をしつこく誘惑し、そうこうしているうちに俺はミューズに愛されてるんだ!と何100回目かの気付きを得て、恭平との別離を覚悟するかと思えば、その恭平との一夜の契りで熱烈に愛を語らう。でも、英二と一緒にいれば英二に絆されて、恭平との別れを強く決意。そして俺はミューズの使徒なんだ!と何101回目の気づきと喜び! 傍目でみれば、単にその場の状況に流されてるだけなんだが、そこは薫サンが臆面もなく書き抜いてる流れで、なんとかストーリーの体裁になっているような、・・・いやなっていないだろ。

 まあしかし、読者不在であることは間違いない。
 自分の、自分による、自分のための・・・・「小説」ともいえないような言葉の羅列だ。
 これが小説だと思えないのは、エンターテイメントではないから。初めから「読者」がいない。作品を通じて相対する者の存在は、求められていない。この点は、初期の作品とは明らかに一線を画しているとは思う。この一連の作品が同人誌で発表されたことが表しているように、これは教祖が信奉者に垂れた高説みたいなもので、ありがたがる人がありがたがれば良い、金色に塗られた壺とか泥人形みたいなもの。私はそれを見せられて「こんなの仏像じゃない!」と怒ってる勘違い人間なのだと思う。
 それは、たとえば贋作だって買う方が本物だと思えば芸術作品さ、といって高値で売りつける悪徳美術商か、もしくは贋作を真作だと思い込んで売ってる鑑定眼のない古物商みたいなもんで、これを「小説」だと言って世に出して、読者はこれを「小説」と勘違いして読んでいるのだ。

 作中でベーシストのサミーが俊一に語る。
 『———カネ(金井)も晃市も、なんといったらいいか———地上に生きる、形而下の種族なんだ。それは決定的なことだ———どれほど魂が深くなっても、ついにかれらは地上にしか生きられない。だがお前は———あえて云わせてもらうなら俺もまた、そしてお前の父上ももちろん……我々は、地上には生きない。地上の価値や成功は我々にはどうでもいい。宇宙の神秘、ひとの心の不思議と悲しみ、運命と摂理の偉大さ、この世がこのようであること———その悲しみと歓喜と狂おしさ、それが我々の心をとらえ、そして表現へとおもむかせる。———その深い思いはついにかれらは知ることがない。かれらを幸せにするのは簡単だ———不幸にするのも簡単だ。簡単に幸せになれる心は、結局———簡単にしか生きられないんだ」』

 我らは芸術の使徒たる人種なのだとベーシストのサミーに語らせる薫サン。なぜこの台詞がいっこうに感動的ではなく、あまりにも陳腐なものになってしまうのか。それは、彼らが芸術の使徒であっても、薫サンがそうではないからだよ。

 本当に表現に魂を捧げた表現者であるならば、あんな駄文の数々を世に送り出したりしないはずだからだよ。

 今回、晃市のピアノの「浅さ」問題が作中で表出しているんだが、奇しくも今回辛い目をみた晃市が、案外薫サンと同類なのかもしれない。頭がよくて、要領が良くて、早わかりして、早弾き(早書き)が得意だけど、実は自分に自信がなくてコンプレックスの塊で、自分の望む容姿はしていなくて。・・・・でも、はるかに晃市の方が謙虚だ。なにしろ晃市は努力してるから。

 でも、私自身も一体なんでこんなに駄文メーカーの栗本薫に執着してるんだろうな、とは思う。

 各章の末尾に、作品を書いた年月日が付されているんだが、今回最後の数章には、「2007年●月●日 昭和大学病院1617号室にて」と、記されている。病床でこれを書いて、薫サンにも思うところがあったんだろう、人生とか命とかにしみじみと言及している文が結構ある。でも作品のなかに、書いた人間の状況を滑り込ませてくるって、あざとさを感じるよね。自分が批判していることが、なんだか悪いことをしているような気持ちにさせられるもの。 

 人の妻であり人の母であった一個人を、こうやって貶めることになんの意味があるのか。もしかしたら、私の「思慮のない駄文」で不愉快になったり、傷つく人も、怒るひともいるかも知れない。 
 でも、この「小説」みたいな何かを「小説」やら「作品」として世に出すことに意味を見いだしている人たちがいて、それで収益も得ていて(しかも、私も金を払ってる!)るんだから、この「小説」とは思えない何かを私が「作品」として扱って批判することもまた、正当なことだと思うのだ。 

 そうはいっても、今作。前2冊と比べると、格段に読みやすくはあった。
 おそらく、舞台がアメリカツアーに移って、形容するものが沢山あったからだと思われる。例の脳内ダダ漏れグダグタが、相対的に減って、普通の情景描写が増えているのが、読みやすい原因。あと、俊一父の出番が減って、あの気持ち悪い父子の交わりってか語らいが減ったのもその理由の1つ。ただし、前述のとおり、内容は推して知るべし。

2023年9月4日月曜日

0438 AS TIME GOES BY <矢代俊一シリーズ21>



読書メーター https://bookmeter.com/reviews/115881905   

Amazonより・・・勝又英二と暮らしながらも金井恭平への思慕を捨てきれずにいる矢代俊一だが、俊一の父は金井を快く思っていないばかりか、森田透からも金井との関係は無理があることを指摘されて俊一の苦悩は深まっていく。しかも俊一自身もまた、金井恭平への思いが次第に変わってきてることに気づかざるを得なくなっているのだった。アメリカツアーを目前にして俊一をめぐる錯綜した人間関係は否応なしに変化する兆しを見せていくが……。矢代俊一シリーズ第21巻。

 Amazonの解説がぜんぶ語ってる。これ以上の事はとくにない、のだけど、一応感想的な。
 ニューヨーク渡航前の数日間を俊一の心象で語る。それにしても、たぐいまれな才能を持ち、希有の美貌を持ち、芸術の神ミューズに選ばれ愛されている・・・・・と薫サンが力説すればするほど、俊一が陳腐で曖昧な存在になっていく。
 東京サーガを通じて割りを喰っていた風間サンは俊一専属のプロデューサーとなり、俊一の“最大の理解者”ポジに納収まって幸せいっぱい。そのプラトニックな立ち位置を堅持しようとする風間を、俊一が「寝てもいい」とか言って煽る煽る。
 かつての島さんとの愛憎の日々をディスりつつ、金井を追い落として俊一の愛人ポジを狙い、俊一の籠絡を図る透は、寄生昆虫かなにかに内部を喰われたゾンビみたいで気持ち悪い。今となっては『朝日のあたる家』が名作に思えるレベルで暗黒面に墜ちている。
 金井は、俊一を追いかけてニューヨークに行き、俊一とジャズマンとしての再起の二兎を追うつもりとな。
 英二と父は相変わらずで、きしょい。
 音楽シーンがほぼないので、ツライ一冊。次作はやっとニューヨーク。あと3冊かあ。。。“毒を喰らわば皿まで喰う”つもりで始めたこのシリーズのレヴューだが、 こんな罵詈雑言ばっかり書き続けて良いのか、とさすがにためらいを感じるが・・・・・とはいえ、ねえ。『真夜天』で、『翼あるもの』で、そして『朝日のあたる家』で『ムーン・リヴァー』で、人の心を動かした責任っつうものがあるんではないか?と問わずにはいられない。

2023年6月20日火曜日

0432 DEVIL MAY CARE <矢代俊一シリーズ20>


読書メーター https://bookmeter.com/reviews/114436781   

Amazonより・・・父親とのコンサートの翌日、俊一は情報屋野々村の電話で渥美公三に強姦された際のビデオの上映会が行われていたことを知る。渥美の息子銀河にその件を押さえることを提案され、野々村の事務所に渥美のマネージャー山口、アシスタントの沢村、渥美銀河を呼び200万円でビデオを買い取ることに。その帰路、俊一は銀河のマンションに連れ込まれかけ、その場に黒田が来たことでなんとか逃れたたものの、絶えず黒田に盗聴されていることに気づき、俊一は金井に会って相談するが、なし崩しに納得させられる。矢代俊一シリーズ20巻。」

 まあ、Amazonの解説以上のことはなにも・・・・。渥美による俊一の陵辱ビデオの上映会が裏で行われ、写真が出回っているという。コンサートの翌日に野々村からの電話で知らされて、事態の収拾もできずオロオロするばかりの俊一。そんなお姫様を守る男たち、父、英二、金井、黒田、銀河に風間。俊一に風間を取られた形になり俊一に嫉妬する野々村・・・・って時点ですでに醜悪。それが例によってだらだらだらだら、抑揚もなく腐った脳みそが垂れ流されるみたいに延々と続くのだ。なんとなく、クロトワさんの「腐ってやがる・・・」ってセリフが頭のなかでリフレイン。
 内側から腐った巨大な肉体が壮絶な腐臭をはなってぐずぐずと崩れている様が脳裏から離れん。
 あ〜〜〜〜『毒を喰らわば皿まで』と称して最後まで読んでやるつもりだったけど、も、ムリかも。なんか今日は熱が出たし、これ以上はカラダに悪いかもしれん。

 

2023年4月21日金曜日

0420 ボレロ <矢代俊一シリーズ19>




読書メーター https://bookmeter.com/reviews/113274539   

Amazonより・・・みずからもジャズ・ピアニストとして活動していた栗本薫が、音楽への強い思いを込め圧倒的な描写力を駆使して描き出す万里小路俊隆・矢代俊一父子デュオリサイタル。大成功のうちに終わったリサイタルの後のパーティでは矢代俊一グループによる演奏も行われ、評論家の絶賛を浴びつつ終了した。しかし、その翌日、情報屋の野々村からの電話があった。勝又英二も金井恭平も事務所の社長北原も同席しないという条件で話があるというのだ。しかも、会って話すというばかりで内容については一切口にしようとはしないが……矢代俊一シリーズ第19巻。

 amazonのリード「しかし、その翌日」以降は最後のほんの数ページ。メインはもちろん父子コンサート。・・・・なんだが。

 この巻まるまる、俊一と父の父子コンサートの一部始終。実は、ものすごく楽しみにしていた矢代俊一シリーズ本編19冊目『ボレロ』。だがしかし、期待値を上げすぎて敗北。
 正直なところ・・・・・いや、この巻はさ、たぶん最初から最後までコンサートだろうから、俊一の二股グダグダもあまりないだろうし、人格崩壊した透の出番もあまりないだろうし、音楽シーンだけなら結構読めるのが薫さんだから、久しぶりにいいもん読めるのではないかと、ほのかに(いや大いに)期待していたわけだ。だがしかし、だよ。

 冒頭の当日朝の自宅シーンでの俊一のセリフは、これ誰?ってレベルでイメージ崩壊しているし、(誰、っていうか薫サンご本人にしか思えない。読んでいて「中島梓」の声と絵で脳内再生される。)音楽シーン(演奏)は、すでに何回も読んだことあるような表現の羅列、大トリの『ボレロ』にいたっては、前回の自宅でのボレロ演奏を上回る近親相姦モードで、「やらしい」ってより、ただひたすら気持ち悪い。

 気持ち悪いよ、薫サン。セリフ回しや地の文も、一回でも読み返して推敲する習慣がこの人にあったなら、と、もはや言わずもがなの駄文。書かれたのは2007年初旬。ろくに後ろも振り返らずに書き飛ばしてたんだろうな。この人(薫サン)の晩節に奇跡は起こらかった。そういうことだ。
 なお、コンサート後の打ち上げの矢代俊一グループの余興ジャズ3曲につきましては、良い出来でした。

2023年2月21日火曜日

0417 MORE THAN YOU KNOW <矢代俊一シリーズ18>


読書メーター https://bookmeter.com/books/20867375   

Amazonより・・・「クラシック音楽界の重鎮である父との父子リサイタルを控えて俊一の焦慮は募るばかりだった。さらに金井恭平との密会や渥美兄弟との会食でさらに彼の運命は行き詰まっていくのだったが……2日間はピアノに触れてはならないと父に厳命された俊一は英二と横浜へ小旅行に行く。そして英二の生まれ育った貧民街を訪れたり、アマチュアのセッションに参加するのだったが、そこで彼は行き場のない運命への光明を見いだすのだった。矢代俊一シリーズ第18巻。」

 相変わらず、amazonのリードが素晴らしい。基本、上記でしっかり要約されています。それ以外の事といえば・・・恭平にヒイヒイ言わされたり、透にあんあん言わされたり、ですかね?
 さて、奇数月の月末に発行されているこのシリーズですが、やや遅れての刊行でした。間に外伝がざくざく発行されているせいかな。外伝は「BL桃色図書室」というレーベルから出ていますが、同人誌価格なのか量が少なくて高いし、内容が晃一視点や渥美センセ視点の本編焼き直しなんで、ほとんど興味が持てないです。(電子書籍の無料お試しページだけ読んでるけど。)
 我ながら、レビューが酷くなってきているのは自覚しているんですが、いちおう、隔月で楽しみにはしてるんですよ。音楽演奏のシーンはそれでもけっこう良いので。特に次巻『ボレロ』は楽しみですね。父との二人リサイタルの巻ですから。さぞかしや聴かせてくれると期待しています。
 
 で、本作、読み始めて最初に目がついてしまったのが「なかなか」、という言葉。「なかなか」というの言葉が全編で31箇所!使われていますよ。薫サンのクセかね。
 なかなか楽しい、なかなか卑猥、なかなかけっこう、なかなかいろいろ、なかなか珍しい・・・・etc.
 べつに良いんですが、さすがに最初の数ページで1ページ一回の割で出てくると、目についてしまって、つい、数えてしまいました。こういうところ、電子媒体ってイヤですよね。すぐ検索出来ちゃうから。
 内容はもう、だらだら・だらだら、ひたすら夏バテででろんとした俊一が恭平のこと、英二のことを引き合いに“自分のこと”を考えつづけます。ここがポイント。結局自分の事なのよ。悲しいのも苦しいのも、全部自分です。愛だの、情だの、文字数だけは沢山、語ってますが、そもそもの出所(薫サン)が浅薄なんで、それ以上に内容を湛えたものになんぞ、なるわけがない。
 もはやこれ小説ではないよね、というのが率直な感想。かろうじて読むに耐えるのは、音楽シーンだけです。

 父とのリサイタルのプレッシャーで精神的に煮詰まった俊一は、ついに父にピアノ練習を禁止されて、気分転換に英二と横浜の一泊旅行に向かいます。英二の育ったスラムを歩き、英二の過去を思い、老舗ライブハウスで若手登龍ライブに飛び入りして、音楽を思い出し、また、英二の音楽性を再確認する。その夜はホテルで二人で過ごして・・・。という部分はそこそこ面白い。だけど、全体的にはホントダメ。

 そういえば、風間さんがついにニューオリ(俊一のプロダクション)に入社して、アシスタント・プロデューサーの名刺を持つようになって、俊一のそばに自分の居場所を発見(!)してなんだか幸せそうになっちゃってるし、透は良と喧嘩して、俊一にエロくちょっかいだししてるし、なんだかなあ、という感じが満載です。
 おまけに「良って結城修二のお稚児さんで有名だったんだよ」と透から驚きの暴露。ここにいたって設定後出し?って、これ『真夜天』の方の話だよね。
 まあ、どっちだろうが、薫サンにとってはどうでもいいことなんだろうと思う。浅薄な人がくどくどと愛を語ったところで所詮は薄っぺらいままだし、“愛を知らなかった自分がついに愛を知った”、とか書いたとしても、結局は薫さんの理解の範疇でしかない。
 それでも、一瞬、俊一に投影してついに自分に気づいたか?と考えたけれど、やっぱり薫サンは薫サンのままだったのだろうな。この辺りの本は、薫サン没後の発表作のはずです。生前いつ頃に書き溜めた原稿なのかは知らないのですが、文体劣化は病気が原因?いや、劣化はもう、随分前に始まっていたのだし。考えても意味ないし、その価値もないかな。ほんとに、『嘘は罪』とか14作目くらいの透ちゃんで止まってくれてればよかったのに。というか、ここまでくると『朝日のあたる家Ⅴ』が、もはや名作に思えてくるからね。自分のレビューを見直してびっくりだよ。

2022年12月30日金曜日

栗本薫 年譜+作品一覧(一部省略)ってか、グインサーガは載せてないよ。面倒くさいからね。


 「東京サーガ」年譜に栗本薫と久世光彦も足したらもっと面白い、とのご意見を戴いておりましたが、ちょっと、スペースとテクの問題が解決できなかったので、とりあえず、栗本薫年譜のみ、アップしときます。ちなみにあまりにも面倒だったので、グインサーガは端折っとります。なお、グインサーガ以外もモレはあると思います。該当年における発表順は反映されておりません。勢いで作ったので、まちがいもあるかもしれません。まあ、多少間違えていたって、栗本薫には負けませんけどね。なお、亡くなった2009年より後の出版物はとりあえず載せていません。
 なお、コレを作成するにあたって、最初はWikiとAmazonでシリーズごとに検索しておりましたが、あまりにも面倒くさくなってしまい、先達(浜名湖うなぎ様)のレビューリストを参照させて戴きました。伏してお詫びとお礼を申し上げます。
 薫サン、これだけ脳内から垂れ流してたら、作品毎の考証なんて、ムリだったろうなあ。と、それはそれで納得できる作品量です。
 これも一つの才能ではあったのだろうなあ。
 中学生時代に読んだ頃は、とてもすごい作家さんだと思っていた。思えば、「僕らシリーズ」や、「翼あるもの」や、「魔界水滸伝 (第一部)」をリアルタイムで読んでいたのだ。確かにあの頃の薫サンは良かった。せっかちな中学生にとっては、シリーズを2ヶ月に一冊は出版してくれるのもうれしかった。でも、ン十年ぶりに読みに戻ってみて、こんな駄作メーカーに成り下がっていたは考えてもいなかった。(・・・・いや、違うな。グイン・サーガを見捨てた時点で、見切ってはいたんだった。)今だって、シリーズを通しで読みさえしなければ、一つ一つの作品や章の完成度は高かったりすることだってある。
 「書く」ための才能を、すべて「早書き」に使い果たしてしまった流行作家である。スタッフもいたろうに、誰も止めることはできなかったのか。推敲や査読や考証が必要だとたしなめることのできる人間は、彼女の周りにいなかったのか。そういうことはいっさい耳にはいらないタイプの人だったのかな?そう思ったほうが妥当かな。
 栗本薫の作品世界は、かつては美しい花畑であったものが、災害で荒れ果ててしまったかのような、荒涼感が漂っている。

栗本薫年譜/発表作品(モレあり)
1953東京都葛飾区生まれ。
1975早稲田大学第一文学部文芸科卒業。
1976評論『パロディの起源と進化』(別冊新評『筒井康隆の世界』掲載)で商業誌デビュー
1977『文学の輪郭』(中島梓名義)で第20回群像新人文学賞評論部門を受賞
1978『文学の輪郭』『JUNE』創刊
『ぼくらの時代』第24回江戸川乱歩賞を受賞
1979『ぼくらの気持』
グイン・サーガ第1巻『豹頭の仮面』
『真夜中の天使』上・下
1980『絃の聖域』第2回吉川英治文学新人賞
『セイレーン』『あずさの男性構造学』『幽霊時代』
1981今岡清と結婚。
『優しい密室』『時の石』『女狐』『神変まだら蜘蛛』『エーリアン殺人事件』
『あずさのアドベンチャー`80』『行き止りの挽歌』『鬼面の研究』『にんげん動物園』
『ネフェルティティの微笑』『天国への階段』『魔界水滸伝1』『魔剣1 玄武ノ巻』

『翼あるもの』上・下
1982『魔界水滸伝』2〜4 『メディア9』 『神州日月変』上・下 
『魔剣2 朱雀ノ巻』『黒船屋の女』
1983『魔界水滸伝』5〜6 『レダ』『ライク・ア・ローリング・ストーン』『赤い飛行船』
『シルクロードのシ』『十二ヶ月』『トワイライト・サーガ第1巻『カローンの蜘蛛』
『キャバレー』
『道化師と神―SF論序説―』『ベストセラーの構造』
1984『ゲルニカ1984年』『美少年学入門』『伊集院大介の冒険』『ぼくらの世界』
『トワイライト・サーガ カナンの試練』『魔境遊撃隊』第一部・第二部
『吸血鬼 お役者捕物帖』『猫目石』上・下『火星の大統領カーター』『花陽炎 春之巻』
『魔界水滸伝』7〜8
1985『魔界水滸伝』9〜10『昭和遣唐使3000人の旅』『元禄無頼』上・下
『伊集院大介の私生活』『息子に夢中』
1986初めての歌舞伎作品『変化道成寺』上演。
『魔界水滸伝』11『天狼星』『小説道場』Ⅰ・Ⅱ
『死はやさしく奪う』
『地獄島 お役者捕物帖』『作家の肖像』『マンガ青春記』『真夜中の鎮魂歌』
『双頭の蛇』上・下『グルメを料理する十の方法』
1987 初めて演出を手がけたミュージカル『ミスター!ミスター!!』(中島梓名義)上演。
『魔界水滸伝』12〜13『天狼星 II』『ハード・ラック・ウーマン』『くたばれグルメ』
『ピラミッド・ミステリーを語る』(共著:吉村作治)『さらば銀河』1
1988『朝日のあたる家』Ⅰ・Ⅱ
『魔界水滸伝』14〜15 『アンティック・ドールは歌わない ―カルメン登場』
『わが心のフラッシュマン ロマン革命』 Part1 『滅びの風』
1989『魔界水滸伝』16『小説道場 Ⅲ『魔都ノート―異形の演劇論』
『魔都 恐怖仮面之巻』『パロスの剣』
  乳癌のため入院・手術。翌々年、闘病記『アマゾネスのように』(中島梓名義)刊行。
1990『終わりのないラブソング』第1巻 
『魔界水滸伝』17〜19『紫音と綺羅』上・下
1991『バサラ』第1巻  『終わりのないラブソング 2』
『朝日のあたる家 Ⅲ』
『名探偵は精神分析がお好き(共著:木田恵子』
『コミュニケーション不全症候群』
 『魔界水滸伝』20 『白銀の神話』 信長の巻
『アマゾネスのように』『終わりのないラブソング』4
1992『六道ヶ辻』第1巻『大導寺一族の滅亡』『シンデレラ症候群』
『終わりのないラブソング』3 『まぼろし新撰組』『新版・小説道場』1
FULL HOUSE 2(同人誌)『白銀の神話』蘭丸の巻 『白銀の神話』運命の巻
1993グイン・サーガ第50巻『闇の微笑』『白銀の神話』本能寺の巻
『蝶の墓 天狼星Ⅲ』『終わりのないラブソング』5 『野望の夏』
『里見八犬伝』『バサラ』1『蝦蟇/蜥蜴』『家』
1994『伊集院大介の新冒険』『バサラ』2・3 『さらしなにっき』『あずさの元禄繁昌記』
『終わりのないラブソング』6 『いとしのリリー』『好色屋西鶴』第一部 
『新版・小説道場』3 アンソロジー『名探偵の挑戦状』アンソロジー『密室殺人事件』
『今岡家の場合は―私たちの結婚―』(共著:今岡清)
1995『真夜中の切り裂きジャック』『終わりのないラブソング』7 
『仮面舞踏会 伊集院大介の帰還』『魔女のソナタ 伊集院大介の洞察』
『新・魔界水滸伝』銀河聖戦編1〜2夢『夢見る頃を過ぎても』―中島梓の文芸時評
『好色屋西鶴』第二部 『緑の戦士』『六道ヶ辻 大導寺一族の滅亡』
『終わりのないラブソング』8
『JUNE全集』1 栗本薫/中島梓 『元禄心中記』―天の巻― 『元禄心中記』―地の巻―

1996個人誌『天狼叢書』創刊。
『グランドクロス・ベイビー』『新・魔界水滸伝銀河聖戦編』3〜4 
『怒りをこめてふりかえれ』『終りのないラブソング Tomorrow』
『あなたとワルツを踊りたい』『六道ヶ辻 ウンター・デン・リンデンの薔薇』
FULL HOUSE 3(同人誌)
1997公式サイト『神楽坂倶楽部』開設。
『緑の戦士 花の騎士るか』『新・天狼星 ヴァンパイア 恐怖の章』
『新・天狼星 ヴァンパイア 異形の章』『レクイエム・イン・ブルー1 蒼の断章』
『レクイエム・イン・ブルー2 銀の序章』『町』『夢幻戦記1『総司地獄変 上』
『新版・小説道場』4 『緑の戦士 緑の星へ!』『六道ケ辻 大導寺竜介の青春』
1998グイン・サーガ第100巻『豹頭王の試練』 『真・天狼星 ゾディアック 1〜6』
夢幻戦記2『総司地獄変 下』 夢幻戦記3・4『総司斬月剣 上・下』
夢幻戦記5『総司夢幻行 上』 『レクイエム・イン・ブルー 3 黒の間奏』
『レクイエム・イン・ブルー 4 紅の終章』 
『タナトスの子供たち ―過剰適応の生態学―』(うなぎさんのレビューが秀逸・必見)
1999膵臓癌で2度目の癌手術
『タナトス・ゲーム 伊集院大介の世紀末』
『夢幻戦記6 総司夢幻行下』 『夢幻戦記7・8 総司西征譜上・下』『六道ヶ辻 墨染の桜』『ローデス・サーガ 1 南から来た男』上・下(同人誌)
『朝日のあたる家 Ⅳ』

2000闘病記『ガン病棟のピーターラビット』(中島梓)
『青の時代 伊集院大介の薔薇』『六道ヶ辻 死者たちの謝肉祭』
『マルガ・サーガ1 凶星』(同人誌)『顔』
『キャバレー2『黄昏のローレライ』
『ローデス・サーガ2―風が丘恋唄1―眠り姫の夜』(同人誌)
2001『早春の少年 伊集院大介の誕生』『夢幻戦記9・10『総司星雲変上・下』
『通信教育講座Ⅰ』(同人誌)『魔獣の来る夜』共著:高河ゆん)
『MU・GE・N ―総司残照―』上(同人誌)
「朝日のあたる家 Ⅴ」
2002『MU・GE・N ―総司残照―』下(同人誌)アンソロジー『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』
『壁』『水曜日のジゴロ 伊集院大介の探究』 『夢幻戦記11『総司乱菊抄 上』
 『接吻 ―栗本薫十代短編集―』『通信教育講座Ⅱ』(同人誌)『指』
2003『真夜中のユニコーン 伊集院大介の休日』『黄昏の名探偵』 夢幻戦記12『総司乱菊抄下』 夢幻戦記13『総司紅蓮城上』
2004『身も心も 伊集院大介のアドリブ』『聖者の行進 伊集院大介のクリスマス』『六道ヶ辻 たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説』『鬼』『とんでもぐるめ―あずさ流極楽クッキング』
2005『陽気な幽霊 伊集院大介の観光案内』『女郎蜘蛛 伊集院大介と幻の友禅』夢幻戦記14『総司紅蓮城下』 浪漫之友 創刊号〜3号(同人誌)『タトゥーあり』『大正浪漫伝説 狂桜記』
2006『逃げ出した死体 伊集院大介と少年探偵』
『第六の大罪 伊集院大介の飽食』夢幻戦記15『総司無明陣上』
浪漫之友 4号〜7号(同人誌)通信教育講座総集編(同人誌)『流星のサドル』
『闇』 『着物中毒』
2007浪漫之友 8号〜11号(同人誌)
大正浪漫伝説『天の陽炎』
『六月の桜 伊集院大介のレクイエム』『樹霊の塔 伊集院大介の聖域』
『YOU DONT KNOW WHAT LOVE IS』上・下(同人誌)
2008浪漫之友 12号〜15号(同人誌)『木蓮荘綺譚 伊集院大介の不思議な旅』
『嘘は罪』 『ガン病棟のピーターラビット』
『朝日のように爽やかに』(同人誌)
『CRAZY FOR YOU』(同人誌)
20095月。膵臓癌のため死去。享年56。
『ムーン・リヴァー』『転移』 浪漫之友16号〜19号(同人誌)
『テンダリー/明るい表通りで』(同人誌)
『NEVER LET ME GO』(同人誌)
『ROUND MIDNIGHT』(同人誌)

栗本薫自作の矢代俊一年譜をベースにした「東京サーガ」年譜


 栗本薫電子全集28の特別付録に、栗本薫自作の矢代俊一年譜が掲載されていたので、これをベースに、「今西・森田ブランチ」サイドの年譜も落とし込んでみる。
 ※紫字が矢代、黒字が透・良サイド
 そもそも矛盾があるのは、致し方ない。
 矢代と良が4歳違い、透が3歳違い、と仮定しておく。(どこかに確定情報があったら、後ほど修正したい。
→ 透が矢代より4歳年下、という台詞を発見したので、全体的に修正した。2023.10.25 )
 基準は矢代と良が初めて絡む2001年。この年に、矢代俊一が今西良に楽曲を提供して2枚目のアルバムを制作(ただし、良の逮捕により未完に終わっている。)(『朝日のあたる家4』)

 ムーン・リヴァーの時空がおかしいのは既知のとおり。ここで島津と野々村だけ急激に年をとる。また、〈矢代俊一シリーズ〉に登場する未亡人で服喪中の透(※1)が、島津さんの死後3、4ヶ月で、「服役中の良のパートナー」だと名乗っているのだが、この時間経過もおかしい。一体いつ良は刑務所を出所して、透を捨ててロンドンに旅立ったんだ!

 もっと大きなところだと、透と良はグループサウンズ全盛期のトップスターという設定なので、この年表よりだいたい15年前くらいの年齢設定が本当なら丁度良い。なにしろ良のモデルの沢田研二は1948年(昭和23年)生まれだ。この年表で言うなら、『朝日のあたる家』あたりでは携帯電話が出てきておかしくない。その『朝日のあたる家』1巻は、1988年の出版なので、やはり15年位ズレてるのが正しいはずなのだ。つまるところ、以下の年表は、矢代俊一ブランチと森田透・今西良ブランチを良への楽曲提供と透とのSEXで絡めてしまったがために、大破綻を来しているのだ。絡めるにしても、透と良を、俊一の年下に設定したのが大間違い。だがそもそも、『死は優しく奪う』だって、作品世界は昭和50年代だからさ。やっぱりおかっしいっちゃあおかしいのだけどね。
(俊一)(透)(島津)できごと 登場作品
1963昭和38年0歳矢代俊一 出生 
1967昭和42年4歳0歳 森田透出生  
1968昭和43年5歳1歳今西良出生 
1969昭和44年6歳2歳 俊一、変質者に攫われて強姦・殺害未遂事件  
1982昭和57年19歳3歳俊一、錦糸町のキャバレー〈タヒチ〉に住み込みジャズ修行 『キャバレー』
1983昭和58年20歳16歳 〈ザ・レックス〉結成 透と良が出会う  
1984昭和59年21歳17歳俊一、単身渡米、ニューヨークでジャズ修行 
1985昭和60年22歳18歳 俊一、モントルー・ジャズフェスで話題をさらう  
1986昭和61年23歳19歳 俊一、ファースト・アルバム発表  
1987昭和62年24歳第一次矢代俊一グループ結成 
1988昭和63年25歳21歳    
1989平成元年26歳22歳「ワナビー」、アルバム2「矢代俊一セカンド」 
結城滉死亡、ニューヨーク渡米 『流星のサドル』
透〈ザ・レックス〉を脱退 
1990平成2年27歳23歳 アルバム3「海ーこの世界の果てまで」

 『死はやさしく奪う』
     アルバム4「ファンタジア」  
     風間俊介がレックスに楽曲提供・付き合いが始まる。
この頃、透、全裸舞台で逮捕/麻薬不法所持で再逮捕
  
1991平成3年28歳24歳43歳透、男娼に身を落とす 
アルバム5「サイクロプス」 
1992平成4年29歳25歳44歳透が巽竜二に拾われて、一緒に暮らす。〈裏切りの街路〉撮影 『翼あるもの』
1993平成5年30歳26歳45歳巽竜二死亡  『The END of the World』
透、歌手再デビューをリタイア/以降、ジゴロ稼業 
アルバム6「ライブATセントラルパーク」 
1994平成6年31歳27歳46歳アルバム7「エデン」  
1995平成7年32歳28歳47歳テディ・ベイカーと結婚 
1996平成8年33歳29歳48歳デュオアルバム「TWO」  
1997平成9年34歳30歳49歳「グッバイ・ニューヨーク」
日本に帰国、第二次矢代俊一グループ
 
1998平成10年35歳31歳50歳滝川と再会。金井、出所。妻テディ殺害される。台湾マフィアによる輪姦事件により、俊一が長期入院。金井が安田サチと結婚 『黄昏のローレライ』
1999平成11年36歳32歳51歳俊一退院。日比谷野音でカムバックするも、ストーカーに襲われてて殺害未遂事件。滝川が俊一を守る。
「遙かなるエイジア」「隊商都市」
 
2000平成12年37歳33歳52歳透が巽の墓前で良と再会『朝日のあたる家1』
2001平成13年38歳34歳53歳俊一が良に楽曲を提供し、2枚目のアルバム作成(未完)★基準点 
透と良が駆け落ち逃避行。
良が巽の殺人を自首する。透が殴られ負傷し入院
 『朝日のあたる家2〜5』 
2002平成14年39歳35歳54歳脅迫状になやまされた俊一が伊集院大介に依頼 『身も心も』
2003平成15年40歳36歳55歳「オリエンタル」シングル「ワナビーアゲイン」「矢代俊一ベスト」アルバム 
★ここらあたりで、良の判決が確定?(懲役2年4ヶ月実刑) 『嘘は罪』
2004平成16年41歳37歳56歳舞台「ヴァニシング・ローズ」音楽監督を務める。アルバム「火の鳥」  
2005平成17年42歳38歳62歳★島津、自死(ムーン・リヴァー) 『ムーンリヴァー』
 〈矢代俊一シリーズ1〉『YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS——恋の味をご存じないのね 
俊一、英二・晃市と出会う。 〈外伝①〉『テンダリー』晃一視点
勝又英二と同棲開始。ストーカー早瀬充に襲われる。 〈矢代俊一シリーズ2〉『SOFTLY, AS IN A MORNING SUNRISE——朝日のように爽やかに
 〈外伝②〉『明るい表通りで』晃一視点
第三次矢代俊一グループ結成, 〈矢代俊一シリーズ3〉CRAZY FOR YOU
 〈外伝③〉『酒とバラの日々』
 〈外伝④〉『SMILE―獣人の恋―』黒田視点
HIV感染疑惑騒動、俊一がエイズで死ぬなら俺ももろとも、と俊一にキスをした金井と恋に落ちる。 〈矢代俊一シリーズ4〉『NEVER LET ME GO 
金井との恋が深まる。英二との三角関係で英二から暴力を受ける 〈矢代俊一シリーズ5〉『BLUE SKIES 
 〈矢代俊一シリーズ6〉『ROUND MIDNIGHT 
早瀬充死亡。母死亡 〈矢代俊一シリーズ7〉『THE MAN I LOVE 
金井と信仰宗教「神の苑頌霊教団」とのトラブル 〈外伝⑤〉『聖夜』
2006平成18年43歳39歳 写真家渥美公三が俊一に接近 〈外伝⑥〉『VERY SPECIAL MOMENT』
     金井恭平 失踪 〈矢代俊一シリーズ8〉『WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE』
     アルバム「BRUE SKIES」、全国ライブツアー、渥美の写真集撮影開始、野々村マスコミ事務所に行く
★作中では島津がまだ存命している
 〈矢代俊一シリーズ9〉『GENTLE RAIN』
〈外伝③〉『GEE, BABY,AIN'T I GOOD TO YOU』渥美視点
       〈矢代俊一シリーズ10〉『CARAVAN』
       〈矢代俊一シリーズ1〉『亡き王女のためのパヴァーヌ』
     (★LOVE FOR SALE の作中で島津の死が明かされている。)〈矢代俊一シリーズ12〉『LOVE FOR SALE 』
     〈外伝⑦〉『Bei Mie Bist Du Schon―素敵な貴方―』風間・黒田
     渥美に再三の陵辱を受けた俊一を透が助ける 〈矢代俊一シリーズ13〉『SUMMERTIME 』
     渥美のせいでPTSDを再発した俊一が透を訪れ、SEXの手ほどきを受ける 〈矢代俊一シリーズ14〉『SOUL EYES』 
     透のリクエストで『朝日があたる家』を歌う。体調を崩した俊一を父が見舞い、父と英二と3人でボレロを演奏する
渥美が死亡。葬儀で渥美の息子の大地と銀河に絡まれる
 〈矢代俊一シリーズ15〉『WILLOW WEEP FOR ME』
     6月 歌手デビューライブ。銀河に粘着される。
7月 渥美とのスキャンダルをFFされ、荻窪の父の家に避難
 〈矢代俊一シリーズ16〉『SKYLARK』
     8月 大阪の飯島由梨ライブにゲスト。金井に強姦され、寝付く。マイルストーンで晃市と演奏
銀河に懐かれる
 矢代俊一シリーズ17〉『IT AIN'T NECESSARILY』
     8月後半〜10月 父子リサイタルの練習に明け暮れる。英二と横浜で気分転換。ブルードルフィンでライブに飛び入り 〈矢代俊一シリーズ18〉『MORE THAN UOU KNOW』
     父子リサイタルの朝〜ステージ〜終了後まで 〈矢代俊一シリーズ19〉『ボレロ』
     渥美銀河に懐かれる。渥美による陵辱写真や動画が真治の悪意で流出し、野々村のオフィスで談判。画像を200万で買い取ることに。 〈矢代俊一シリーズ20〉『DEVIL MAY CARE』
     英二、金井、透の三人とそれぞれに関係を持ち、ぐだぐだ悩む。 〈矢代俊一シリーズ21〉『AS TIME GOES BY』
     11月〜全米ツアー ニューヨークでは旧友のジムの家に泊まって単独行動を謳歌。金井と密会。風間を全力で誘惑するが、風間が耐えきる。晃一のピアノに限界を見て、1回ステージから外す。 〈矢代俊一シリーズ22〉『SENTIMENTAL JOURNEY』
 <外伝⑧>『EIJI29歳』
2007平成19年44歳ニューヨークツアーから帰国。晃市の音楽性問題を引きずる。 〈矢代俊一シリーズ23〉『ANGELEYES』
交通事故の後遺症で足が不自由で、生活にも困窮した金井にまとまった金を渡し、ついに別れる。 〈矢代俊一シリーズ24〉『MY ONE AND ONLY LOVE』
富士山中湖半のホテル兼スタジオで、アルバム収録合宿中、心霊現象に遭遇 〈未完〉『OBRIVION——忘却」
作家霧島安曇の自宅を透とともに訪ねる。 〈未完〉『トゥオネラの白鳥』