2018年1月27日土曜日

0084-5  特捜部Q―Pからのメッセージ―  上・下

書 名 「特捜部Q ―Pからのメッセージ― 上」 「特捜部Q ―Pからのメッセージ― 下」 著 者 ユッシ・エーズラ・オールスン  
翻訳者 吉田奈保子 
出 版 早川書房 2013年12月 
初 読 2018/01/27


 前作のモヤモヤが一気に払拭されるスピード感あふれる展開でノンストップで読了。
 マーク側と犯人=被害者側、過去と現在が交互に差し込まれるストーリー構成はこれまでと同様だが、それぞれのパートが有機的に絡み合い、疾走感と緊張感あふれる展開は前作をかるく凌駕した。
 ローサ、ユアサ姉妹の秘密には結構早いうちに気付いてしまったが、このキテレツな女性や謎の多いシリア人助手を相変わらずゆる〜い手綱捌きで使いこなすマークに感心する。このシリア人助手アサドの万能感が半端ない。絶対に、秘密があるに違いない。
それと、今回はラストに救いがあってホッとした。

2018年1月16日火曜日

0083 特捜部Q キジ殺し

書 名 「特捜部Q キジ殺し」 
著 者 ユッシ・エーズラ・オールスン 
 翻訳者 吉田奈保子 
 出 版 早川書房 2013年4月 
 初 読 2018/01/16 

 前作同様しつけの悪い人間達。上流階級の子弟が集う寄宿学校で、つるんだ若者達が反社会的人格を肥大させ、暴力や殺人を繰り返しつつ平然と社会の立役者になっている、という設定に思わず首を傾げる。
 これだけざっくり罪を重ねてバレないものなのか?この小説が違和感なく成立するくらいにデンマークの階級社会って腐ってるのだろうか?上流階級の悪徳ってこんな感じなの?というところでなんだかモヤモヤ。

 個性的というより非常識なローサの振る舞いにマークに同情しつつ、彼の懐の深さに感心する。
 このマークの性格が素敵なんで、次も読みたくなるんだよね。

 冒頭の逃亡シーンの人物がまさか!でびっくりだが、単にストーリーを切り貼りして冒頭に持ってきただけで、それ以上でも以下でもなく。これが構成の妙だとは到底思えない。1作目も同様だが、犯人側(被害者側)と捜査側のストーリーを細かく切って交互に挟みこんだだけで、構成で読ませるというには不満が残るし、ストーリーで読ませるというには読者を(というよりは私を)引き込む力が足りない。この作品に限っては、登場人物の造形もなんだかなあ。面白くないわけじゃないんだけど。でもこれからの大化けを期待して、きっと続きも読む。

2018年1月9日火曜日

0082 特捜部Q 檻の中の女

書 名 「特捜部Q 檻の中の女」 
著 者 ユッシ・エーズラ・オールスン 
翻訳者 吉田奈保子 
出 版 早川書房 2012年10月 
初 読 2018/01/09

 清濁併せ呑むといった言葉が相応しい渋い大人のミステリー。誘拐監禁パートの陰湿さと予期される凄惨さに比して、捜査パートはややもすればとっちらかった感じだでどこか長閑さを感じる。
 初めて読む北欧ミステリーなのだがこれが文化の違い?国や文化にも年齢や性格があるなら、最近読んでるアメリカミステリーは青二才って感じだが、こちらは壮年期をとうに過ぎて多少くたびれた老獪さと愉快さを感じさせる。

 ライムなどのキレッキレの推理と比べたら、こちらの初期捜査のショボさにはがっくりくる(笑)が、その後の捜査手法もとにかく地味!資料を読み、調べ、電話し、現場に立ち、話を聞く。脅したりすかしたりもごく穏やかに。科学捜査何ソレ美味しいの?警察の分析班よりシリアの旅券偽造屋の方が腕がいいなんて、そんなのアリなのか(笑)

 登場人物はホモカップル、レズカップル、オタクに偏屈と多様を極めるが、それが渾然一体となった均質感もまたある。一方で、正に異質なアサドに目くじらを立てつつも、なんとか穏便に取り込んで行こうとするカールの懐の深さと辛抱強さに感心する。これが文化か〜。アサドはまだまだガードが堅くて、謎が多いので続くシリーズで何が明かされていくのか楽しみが残る。どのキャラクターをとっても、一筋縄では行かないのが現実味があって良い。もっと文化的背景を知りたくなる。国の歴史とか、地理とか。
 子供のしつけに甘いのも文化なのかな?16歳♂と14歳♀が自宅でエッチを試みてたら私は絶対にゆるさんぞ。自動車の後部座席でふざけまくる16歳も論外だ。この点だけは同情できない。

2018年1月7日日曜日

0081 帰還兵の戦場 1

書 名 「帰還兵の戦場 1」 
著 者 ギャビン・スミス 
翻訳者 金子 浩 
出 版 早川書房 2016年5月 
初 読 2018/01/07

 ジェイコブの造形がまんまバトーさん。サイボーグのボディとかうなじのプラグとか攻殻機動隊そのもの(笑)モラグが黒髪のショートボブでこちらもそのまま草薙少佐で召し上がれ。これはあれだ、オマージュだよね?
 感覚がブーストして戦闘がスローモーションで知覚される描写は映像的で分かり易い。が、どこかデジャブな感じが漂う。先達のレビューを読ませていただいたら、やはり素敵なジャパニメーション的ガジェットが満載されているらしいが残念ながら私には良く分からず。まあこういう作品世界は堪能すれば良いのだ。不思議なのは、こういった類似が“オマージュ”として受け止められるか、ただの二番煎じ、と鼻で笑うことになるかの差。そこはやっぱり根っ子となる世界観を確立できているか、とか、作品としての完成度だろうな。この作品は上々の出来。

 モラグは電脳化していよいよ素子化が進むし、ネット世界に内在する神って発想もどことなくイノセンス。皮下に装甲を入れるなら、表皮も不燃化したほうが良くなかったか?とか細かい突っ込みどころはあるが、自分で自分の行動が信じられない思いで巻き込まれていくジェイコブの自問自答が面白くてついつい読んでしまう。
 だがしかし。面白いと感じるにも関わらずこの読みにくさは何だ?
 とにかく文章に入り込みにくい。戦闘シーンが映像的で読みやすい反面、世界観や宗教観がとにかく重い。これで3分冊の1冊目なのがトホホ。面白くなるのはこれからだけどちと休憩。


2018年1月3日水曜日

0080 チェイシング・リリー

書 名 「チェイシング・リリー」 
原 題 「Chasing The Dime 」2002年 
著 者 マイクル・コナリー 
翻訳者 古沢嘉通・三角和代 
出 版 早川書房 1996年6月 
初 読 2018/01/03

【コナリー完全制覇計画No.12】
 ピアスが学者バカで浅慮な行動を繰り返すんで、こっちまで心臓に悪い。
そこに触るな!指紋を残すな!無意味に動き回るな〜!!と何度叫びたくなったことか。
 ピアスが暴漢に襲われて以降は早かった。
 何故彼は衝動に突き動かされるのか?姉と義父に絡む彼の負い目が早い段階でもっと深く話に絡んできたらもうちょっと読みやすかったのに、と思わんでもない。
 しかし終盤ピアスの巻き返しは見事。ラボでの逆転劇は圧巻。
 それにレンナー刑事がちょい渋で格好良い。実際には大して活躍していないのにピアスを喰ってて役得だ♪ 

“ すぐさま温かみと理解が体中にあふれ、胸をくすぐった。” ———暴行されて重傷を負ったピアスに救急隊が鎮痛剤か鎮静剤を注射するシーン。この表現は素晴らしい。ああ、本を読んでいて良かった、と思う瞬間。
 レンナーさんとのラストの会話も素敵だった。 しかしこの話、ピアスを陥れるためにリリーを殺すってのはリスクの方が高くつくのでは?という気がするのは言わぬが花なんでしょうかね。。。。

2018年1月2日火曜日

過日のおみくじ


 自分で考え、事を実行するに良いとき。
 但し試練あり。
 過信せず他人の
 意見聞き和をもって行け。
 無茶をせず程良きが
 成功の秘訣。

自分で考えたことと、他人の意見が無茶をせずとも程良く調和していたなら、
きっと悩んだり、おみくじ引いたりはしないんだろうな。と思ったこの神意。

私は、そこそこ不器用であるので、波風立てずに行動するなんて器用なことは出来そうにないのだ。

ええ、背中を押してくれて有難う。
自分で考えて実行してみようじゃないか。
試練がありそうだけど、まあ、乗り越えられないものを試練とは言わない。試練とは乗り越えるものである。