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2024年1月3日水曜日

0455 ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「ロイヤル・フェイバリット」
原 題 「His Royal Favorite」2016年
著 者 ライラ・ペース     
翻訳者 一瀬 麻利
出 版 新書館  2020年12月
文 庫 512ページ
初 読 2023年12月31日
ISBN-10 440356044X
ISBN-13 978-4403560446
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/118037864 


     前作「ロイヤル・シークレット」ラストの翌朝からスタート。上下巻でもいいくらいのつながり具合。昨夜、重大な決意をしたものの、すでに翌朝若干及び腰なベンジャミン・・・(笑)
      タイトルの「ロイヤル・フェイバリット」とは、タブロイド紙が、同性であるがために正式な婚姻(教会婚)はできないので「ロイヤル・コンソート」とは呼べないベンジャミン・ダーハムに奉った呼び名。王の恋人を指す、懐古趣味的な呼び方、とは作中の説明。
     どなたかが読書メーターのレビューで書かれていたが、表紙が壮大なネタバレなので、とにかくここを目指して読んでいく512ページです。
     その道のりはまさに、ジェイムスが王位を目指す大波小波。と同時に、まったく主義ではない、制約だらけで自由のない人生を受け入れることができるのか、というベンの葛藤。タブロイド紙やパパラッチとの攻防なんてメじゃなかった。愛するジェイムスの為、ベンが未知の領域で努力する。真実の愛だからこそ乗り越えられた数々の困難。王位を失うと知った時の、王位継承のために私生活とプライバシーの全てを犠牲にしてきたジェイムスの怒りはかなりリアルに感じる。
     そして、ジェイムスを守るという一点において、ベンは岩盤よりも強固で頼もしい。おとぎ話のような王室恋愛ものではあるのだが、ベンもジェイムスもその苦悩はリアルで、この2人の信頼と愛に、胸が熱くなる。
     前作ではけっこうチャラいしちょっとガサツだし、ジェイムスに対する振る舞いにはいささかいただけないものもあったように思うベンだが、ジェイムズの為に、(不本意なところはあるものの、)どんどん洗練され、どんどん良い男になっていく。なにしろ、上等なスーツが意外にも似合う男なのだ。ダブルのスーツの肩幅胸幅は男らしく、腰のラインはすっきりと、とても初めてとは思えない風格でバッキンガム宮殿に乗り込み、王族とまみえるベンジャミン。もともとは一匹狼だったベンジャミンが、王室の中で控えめながら筋の通った知的な人間として、地歩を固めていくのが頼もしくも心地良い。そしてまた、2人に関わる女性達がチャーミングだ。キンバリーは超有能、カサンドラは逞しく、そして王妃!「私だって現代人になれるのですよ」の台詞に全部もっていかれてないか?
     個人的には、ベンがジェイムスを堂々とゲイクラブに連れ出すシーンがお気に入りです。年末年始をこの本と過ごせて幸せだ。

2023年12月30日土曜日

0454 ロイヤル・シークレット (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「ロイヤル・シークレット」
原 題 「His Royal Secret」2016年
著 者 ライラ・ペース     
翻訳者 一瀬 麻利
出 版 新書館 2019年11月
文 庫 390ページ
初 読 2023年12月30日
ISBN-10 4403560385
ISBN-13 978-4403560385
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/118018746   

 実は、続刊の『ロイヤル・フェイバリット』を先に入手しており、あらかた読んでいたので、こちらはある意味安心してほっこりと読むことが出来た。
 ロイヤル・フェイバリットのベンと比べると、こちらの方はずいぶんとまあ、奔放で野性的である。そしてジェイムスが初心で誠実でなんともいじらしい。こんな繊細な恋人の手を離せるとしたら、そりゃあ人でなしでしょう。

 出会いはケニア。雨期のスコールに降り込められたサファリリゾートのスイートで、雨の中走る青年を呼びとめ、個室に招きいれたベンは、その青年が英国皇太子であることに内心驚愕する。そして、チェスの勝負を仕掛けて、駆け引きするうちに、相手が(も)ゲイであることに気付く・・・・あとは、どうやってベッドインするか??? 一度だけの火遊びのつもりがあらゆる意味で忘れがたい記憶となり、そして、二度目の出会いで熱い恋になり、やがては深い情愛になる。
 相手が英国皇太子でなく、同性でなければ、何の変哲もないごく真っ当な純愛ラブストーリーかもしれないけど、そこは『ローマの休日』と同様、相手が王族なればこそ、の葛藤が。おまけにクローゼット入りの禁断の恋。ベンジャミンときたら、皇太子に向かって「あんた」呼ばわりだし、少々が粗野に過ぎるのでは、とか不躾すぎないか?とか気になるけど、これはおいおい、ジェイムスの立場や高貴さに気付く過程でだんだん(下巻では)改まってくるので、まあよしとしておく。

 なにはともあれ、最後に愛が勝つ的な、素敵なお話である。ささくれた心のための絆創膏。2人の本当の奮闘はこれから。次巻、『ロイヤル・フェイバリット』こそ必読です。