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2018年5月24日木曜日

0112−13 ホステージ 上・下

書 名 「ホステージ 上」 「ホステージ 下」 
原 題 「Hostage」2001年 
著 者 ロバート・クレイス 
翻訳者 村上 和久 
出 版 講談社文庫 2005年 
初 読 2018/05/24


 クレイスの作品中ではかなり硬質。元SWAT交渉役のタリーは自分の交渉失敗が原因で少年が殺害された事件がトラウマとなり、現役を退くように田舎の警察署長をしている。
 ところが重大事件なんて年に数件も怒らないような片田舎で籠城人質事件が発生。しかもその家は、マフィアも注視する家だった。。。
 とてもスリリングで、犯人との交渉がリアル。犯人の青年3人はそれぞれ親から虐待されて育ち、人格に重大な問題を抱えている。主犯格は自己中心的で場当たり的に人を殺してもその事実を直視できず事態を悪化させる。
 犯人、警察、マフィアがそれぞれに事態をコントロールしたいと画策し、タリーはその中心で絡め取られていく。
 実に面白いんだけど、先に映画の方を見ていたので、イメージが映画に引っ張られて、自由に想像する楽しみは今ひとつ。やっぱり原作モノは先に読まないとダメだ。ま、ブルース・ウィリスのタリー署長はイメージに合ってた。

 映画の方は尺の関係でさっくり終わってた気がするが、様々な思惑が錯綜し、誰の思った通りにもならずに曲折しながら終局へ。
 終盤のどんでんにはちょっと驚いた。さすが脚本家出身のクレイス、初めから映画化を意識していたか?というテンポの良い展開で最後まで一気に読まされた。面白かった。

2018年5月16日水曜日

0110−11 破壊天使 上・下

書 名 「破壊天使 上」 「破壊天使 下」 
原 題 「Demolition Angel」2000年 
 著 者 ロバート・クレイス 
 翻訳者 村上 和久 
出 版 講談社文庫 2002年8月 
初 読 2018/05/16


 舞台は定番のロス市警。主人公スターキーは爆弾事件で恋人を失い、傷跡と後遺症で重いトラウマを抱えって設定だが、とにかくキャラがイタい。
 主食はアスピリンと制酸剤。上巻でまともに口にしたのはレーズン一箱だけ。ちょっとしたことに怒りで拳を振るわせてるところなんか、全然感情移入できない。
 他人が自分の思いを汲んでくれないと怒りが湧き起こるなんて、実に自己中である意味アメリカ的?
 特別捜査官のペルの行動もまだ底が知れなくてこわいが・・・このペルも明かになにかのトラウマもち。どうにも彼に惹かれるが、スターキーがターゲットになっていることを隠しているのは、彼女を囮に使いたいから? 何をしようとしているのか、ちょっと得体が知れないところが不安をさそう。
 チェンとスターキーはこの後C&Pシリーズにも登場していて、スターキーはコールを好きになっちゃったりもしてるが、残念ながら本邦未訳。チェンは『天使の護衛』にも登場。この作品世界のどこかにC&Pもボッシュもいるのかと考えると面白い。ボッシュなんか、市警の廊下ですれ違ったりして、と妄想する。
 上巻ラストで以外な展開があり下巻への期待値が一気に高まる。
 さて、下巻にさしかかると、共感しづらい女性キャラN0.1のスターキーが、捜査の進展につれてどんどん普通になっていくじゃないですか。
 ペルももっと怪しい奴かと思ったら、存外にいい人だった。凝ってひねくったストーリーではないのはいつものクレイス。本質的に悪い奴があまり出てこないのも、やっぱりクレイス。その代わりにスピーディーに読ませてくれて楽しい。
 『容疑者』と同じく、上司のケルソーや副本部長もそのお付きのメン・イン・ブラックも、良い感じに身内感が漂っていて、職場の連帯感みたいなの?が感じられるのが良いところ。 

 それにしても、このタイトル、何とかならなかったんだろうか。ロサンゼルスに、エンジェルが掛詞になってるのかな?にしても、この邦題は。。。。

2017年8月10日木曜日

0048 天使の護衛

書 名 「天使の護衛」 
原 題 「Stalking the Angel」 1992年 
著 者 ロバート・クレイス 
翻訳者 村上 和久 
出 版 武田ランダムハウスジャパン 2011年8月
初 読 2017/08/10

 C&P11作目。
 三人称で語られることでCとPの輪郭がいっそうはっきり立ち上がる。
 正直、本当の意味で、コールの格好良さに気付いた。コールは前作(The Forgotten Man)でショットガンで撃たれて重傷を負っており、本作ではまだ自宅で療養・回復中の身である。にもかかわらず、自由にならない体をおして、パイクの為に活動する姿が実にタフで有能でクールで格好よいのだ。
 一方のパイクは父に虐待された生い立ちから、「家族」というものに抱くあこがれのような特別な感情、ラーキンへの思い、コールとの友情などが、スリリングな事件の展開と絡み合いながらパイクらしくハードに表現される。「愛している」は蛇足だ、とは思ったけど、それも込みでパイクなのかも。とにかくこれまで邦訳されたシリーズでは、ターミネーターの印象しかなかった(笑)パイクの印象を改めることになる一冊。

 ストーリーとしては、ラーキンとパイクのあれこれがメインのはずなんだけど、脇を手堅く固めるコールがいぶし銀のごとく輝いていて、ラーキンがかすむ。。。。。やっぱり、コール&パイクだよねえ。
 解説等ではパイク主役のスピンオフってことになってるが、紛れもなくC&Pの11作目だと思う。

 蛇足ながら、不思議と痛くないやりかたで殴られるって、それ痛くないんじゃなくて解離してるだけだから!虐待から心理的に逃避してるんだよ?
 悲惨な育ち方で、身近に守ってくれるものがなかったからこそ、人として正しく行動し、他人を守れる人間になりたいと願うパイク。しかし世間の標準とはちょっと価値基準がズレてるので、組織の中では上手くいかない。結局パイクが選択した自分の正しさを実践できる生き方は傭兵だったのだ。
 コールの存在は、パイクにとって最も価値あるもののうちのひとつなのだろう。
 「自分がコールの背後を掩護していなかったら、たぶんコールは殺されるだろう」というのがコールのパートナーをやってきた理由。だから前作の負傷を引きずり、自分の身をまもるのもおぼつかないであろうコールに危険を持ち込んだ事を悲しんでもいる。そんな2人の友情と共闘が胸熱である。