2019年10月7日月曜日

0187−89 特殊作戦群、追跡す! 上・下

書 名 「特殊作戦群、追跡す! 上」「特殊作戦群、追跡す! 下」 
著 者 大石 英司 
出 版 中央公論新社 (2017/1/19) 
初 読 2019/10/07


 東急田園都市線たまプラーザ駅から事件は始まり、東名厚木インター、川崎インター、246やら横浜港、氷川丸とやけに土地勘のあるエリアが舞台となって話が始まる。
 土地勘ありすぎて、かえって没入できず最初はもたもたした。なにしろ小説の内容がぶっ飛んでるんで、あそこでこの事件が?というイメージのすりあわせに弱冠手間取る。上巻、いやなかなかどうして骨太い展開になってきたよ。北朝鮮の工作員が出てくるかと思いきや、半ばSFな人造ハイパー兵士が相手の攻防とは。軍事オタクの高校生は出来すぎだが、空挺かっこよい。司馬小隊長おもしろす。部下に与えられた命令が「隊長が虐殺しないよう容疑者を守ること」だといわれちゃう戦闘狂らしい。

さて、下巻。 ううーん面白いっちゃ面白いけど、AAとSFとFTのちゃんぽん?て感じになってきた。
 軍事オタクの高校生はやりすぎ。いくら知識豊富ったって所詮はネットと軍事雑誌と基地見学くらいしか情報源がなかろうに、スクーターで通りすぎただけで敵の人数から装備から把握して偽装見破るだけじゃなく、トンネル天上に貼り付けられたものがC4だと見破るし、挙句「あの量ならトンネル崩壊まではしないから半日で復旧できる」、とか言っちゃうのはやめ給え。
 自衛官らしい自衛官の矜持や、公安らしい公安。結構なスケールの話になっているはずなのに、なんだかちんまりと収まってるのがまあ、日本らしいと思う。
 マッドサイエンティストもあまりにステレオタイプで、かえって可笑しくなる。話の展開はおおよそ想像したとおりで、特に意外性もなく。とりあえず空挺が格好良いから許す、という程度であった。
 タダの遠足のハズが引率者の想定外の事態が起こって大惨事、という初心者登山で起こりそうな事件でした。でもまあ。辛口レビューになったけど、一気読み出来る程度には十分面白かったです。

2019年10月3日木曜日

0185−86 エンジェルズ・フライト 上・下

書 名 「エンジェルズ・フライト 上」「エンジェルズ・フライト 下」 
原 題 「Angels Flight」1999年 
著 者 マイクル・コナリー
翻訳者 古沢嘉通 
出 版 扶桑社 (2006/1/1) 
初 読 2019/10/03 
 ボッシュは、内心ではタムに関するエドガーの結論に異論をいだいていたものの、・・・おいボッシュ!貴様ァ!
 アクは強けれど私の中では正義の人の範疇だったアーヴィングがついに暗黒面に落ちるか。
 一方ずっと反目しあってたチャスティン、彼は意外に良い奴なのか?
 これは良い演出だ。これから絆が生まれるのかやっぱりいけ好かない奴のままになるのか。わくわく。そして、エレノアとの破局はやっ!
 現場のバス停にはイーストウッド主演「我が心臓の痛み」の広告。
 「ほら、ちっともイーストウッドに似てないじゃない」とはキズの弁。
 それ言わせるのか!それ書いちゃうのかww やるなぁコナリー。 

 それと、登場人物一覧は結構なネタバレ感なので見ないほうが良い。

 下巻になって、めっきり出番が少なくなってどうした?と思っていたヤツが、まさか!な展開となる。今回は「皆殺し」の二つ名をコナリーに献上したい。そして、暗黒面に落ちるかと思ったアーヴィングはまだ、崖っぷちに屹立してる。このあたりが大物と小物のちがいかねえ。なんにせよ面白かった。やっぱりボッシュはいいねえ。

2019年9月28日土曜日

0183−84 わが心臓の痛み 上・下

書 名 「わが心臓の痛み 上」「わが心臓の痛み 下」
原 題 「Blood Work」1998年 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 扶桑社 (2002/11/1) 
初 読 2019/09/28 


 大分前に読み始めてから放置してた。
 マッケイレブ、好きなキャラなのになんでのめり込めないんだろう?まさかこの本がマイクル・コナリー読破計画の前半の峠になろうとは。
 例によって女性キャラがいけ好かないからか。映画を先に見ていたせいか、表紙への違和感はあまり無い。ただし読書中は表紙の男を10歳は若返えらせ(大病・術後の老け込みを差し引き)した人物像(なぜか若い頃のイーストウッドの顔にはならない) で。
 FBI捜査官のテリー・マッケイレブ。心身をすり減らすような仕事に身を置き、心臓発作で倒れてリタイア。心臓移植しか助かる道はなく、珍しい血液型故にそれも難しいと思われていた。だがしかし、運良く適合するドナーが現れ、彼は病院の外に戻ってくることができた。
 しかし、そのドナーの姉が現れ、実はドナーは犯罪により殺されていたことが判り、しかも、その事件を解決してほしいとの願いに、マッケイレブは困惑するが。

 下巻に入ってからの動きと展開がスピーディー。どんどん引き込まれる。だが、献血に気づくシーンがちょっと強引かなと思う。コーデルの献血手帳だかカードだかで血液型に気づく、くらいのスモールステップが入った方が良かった。
 病院のPCのスクリーンセーバーがフライングトースターで、懐かしさのあまりフライングトースターの歌が脳裏で止まらなくなる。
「マイクル・ヘイラー・ジュニア」が名前だけ登場。
 そして最高潮に達した時にマッケイレブの口から飛び出す「おわかりか」。私の中の何かが昇天した・・・

 全般的に、マッケイレブの感に頼りすぎだよなあ。せっかくのプロファイラーなんだから、もうちょっと理詰めでも良かったのに。特にラストの対決と誘拐された2人の救出が・・・
 カノーリを忘れるな、のオチが付いていないような気がするんだが、あれは何だったんだろう。

 ああ、例によって文句たれてますが、面白かったです。
 特に下巻の疾走感が良いです。ウィンストンがブレないのがまた、いい。これから先出てくる事あるのだろうか?

2019年9月22日日曜日

0182 放課後地球防衛軍 2  ゴースト・コンタクト

書 名 「放課後地球防衛軍 2 ゴースト・コンタクト」 
著 者 笹本祐一 
出 版 早川書房 (2019/3/20) 
初 読 2019/09/22 

 なんと、この本にずいぶん時間をかけてしまった。目がすべるんだよ。予想を裏切らない展開なんで、ついうっかり2ページくらい読み飛ばして、気付いて戻る、を繰り返し。ペースに乗り損ねた。
 それにしても、著者、笹本サンの宇宙愛が炸裂する一冊である。こんなこと考えながら、民間宇宙船飛ばそうとしてるんだなあ、とニヤニヤ。岩江高校の文化部の連中が自分の出身校の文化部連中(電気部とか、化学部とか、写真部とか、図書委員会とか・・・・)とまるっと重なってこれもニヤニヤ。お約束のような「大変だ〜!」で、次巻へ続く。待ってます。

2019年9月3日火曜日

0180−81 暗殺者の追跡 上・下

書 名 「暗殺者の追跡 上」 「暗殺者の追跡 下」 
原 題 「Mission Critical (Gray Man) 」 
著 者 マーク・グリーニー 
翻訳者 伏見 威蕃 
出 版 早川書房 (2019/8/20) 
初 読 2019/09/03


 今作はイギリス舞台なせいか、比較的静かでこぎれいな感じ。例によってもらい事故的な巻き込まれ。

 どんどんスーザンが嫌いになっていく(笑)早く殺されてしまえ!スーザンはダメだと思うんだよ。性根の部分って、変わらないし、致命的だと思うの。せめて華々しく、惨〜く退場させてあげるのが良いと思うんですけどね。銃撃戦の周辺にいて、グレイマンたちが一戦交えた後ふと振り返ったら蜂の巣になって脳みそぶちまけてて、こうなっちゃ美人も台無しだなぁ、とザックに言われちゃう、ってシチュエーション希望。 

 さて、そんなことよりジェントリーとゾーヤだ。ゾーヤとの距離がだんだん縮まって、レーザーポインターでサインするあたりで、ジェントリーと一緒にばくばくする。ボクサーに一方的に伸されたジェントリーに不満そうなゾーヤ、圧倒的にグレイマンを信頼してるようだ。

 今回はこれまでになかった細菌戦。なにはともあれ世界最強のアセット二人がそろったところで、下巻へ。ポイズン・アップルとはまた絶妙なネーミング。スーザンが、毒林檎を持った老婆に化けた女王様に見える。
「鏡よ鏡。CIAで一番偉くなるのはだ〜あれ?」
「それは女王様、ではありません」うっき〜!殺してやる〜!! ホント自意識過剰な女は怖いよ。
 こんな毒蛇を身内に飼い続けるハンリーは勇者なのか愚者なのか?それにしてもコート、大悲劇になるところを紙一重で回避して、なんとかゾーヤとも次回に繋がりそうでよかった。途中、普通の生活とか語り出した時には絶対死亡フラグだと思っただけに、まだシリーズ続きそうでホっ(^_^;) 

  ところで解説氏!「彼女とジェントリ ーとのやりとりはユ ーモアにあふれていて 、緊張感の続く物語のなかで清涼剤のようになっている 。」あんたの感覚には同意しない!(笑)

2019年8月24日土曜日

0179 ミニスカ宇宙海賊 2  黄金の幽霊船

書 名 「ミニスカ宇宙海賊 2  黄金の幽霊船」 
著 者 笹本祐一 
出 版 KADOKAWA (2018/12/25) 
初 読 2019/08/24 

ミニスカ・パイレーツ。海賊船船長修行中の茉莉香さん、危機になればなるほど腹が据わって判断が速くなるのが船長たるところ。
今回は由緒正しき王家のお家騒動?に巻き込まれ、王家の宝である「黄金の幽霊船」を探す旅、という趣向。
まあネタはどうでも良い。ただひたすら宇宙船を飛ばす蘊蓄を、宇宙大好き宇宙船大好きな笹本サンが垂れ流す、これ、そういう本というかシリーズである。
良家の子女が集う名門女子高➕クルクル縦ロールの元気娘➕海賊コスプレミニスカート ➕王家のお姫様➕海賊船➕幽霊船➕艦対艦戦 で破綻せずにまとまってるところに力技を感じマス。

2019年8月20日火曜日

0178 ミニスカ宇宙海賊 1

書 名 「ミニスカ宇宙海賊 1」 
著 者 笹本祐一 
出 版 KADOKAWA (2018/12/25) 
初 読 2019/08/20 

朝日ノベルズ版は2008年、こちらは角川版2018年もの。
『幼女戦記』と同じく、表紙とタイトルが誤解(?)を招く系。中身は立派なスペオペ・・・って言ったってミニスカでパイレーツな訳だが。

 旧式の電子戦闘艦(電子戦特化した海賊船)しかも帆船を女子高生達が飛ばす、「宇宙船が飛ぶ」ことに関してのうんちくが詰まった一品。さすがの笹本サン。軽いノリで読みやすいが、なにげに本格派。最近角川から再販されましたが、単行本だったのが残念。文庫本化したら、全巻買うわ〜。今回はKindleにて。

2019年6月14日金曜日

ラバーガンとアサシン


 息子がどこぞでラバーガンとナイロン製のホルスターを入手してきた。ホルスターからラバーガンを抜く時に、しゅっというかざっというかの擦過音がするので、その音が嫌だ、と言ったら、それアサシンの発想、と息子に指摘された。
 すまぬ。母の頭の中は暗殺者かもしれない。しかし、戦場ではそんな細かい音は気にならないというお主は何者なんだ?

2019年5月12日日曜日

0177 指名手配 (創元推理文庫) —コール&パイク17

書 名 「指名手配」 
原 題 「The Wanted」2017年 
著 者 ロバート・クレイス 
翻訳者 高橋 恭美子 
出 版 創元推理文庫 2019/05/11 
初 読 2019/05/12 

 まず登場人物欄をチェック。スコットとマギーは登場しない。知ってたけどやはり残念。これは念願の待ちに待ったC&Pの新刊である。と思いきや、なんだか訳ありそうな二人組がいきなり登場、その名もハーヴェイ。今回は2対2か?

 かつては電話が仕事道具だったコールも今や事務所のウェブサイトを持っている。フェイスブック、ツイッターなんて言葉も出てくる。コールが時代の変化にちゃんと乗っかっていて嬉しい。
 可愛げ皆無な同居人(猫)も健在。
 前作から関係が続いているヘスにご飯をねだられ、せっかく厚切り子牛肉を仕込んでいたのに突然の予定変更。料理の手順も肉を焼く音も完璧!しかしご相伴はいつもと同じやぶにらみの猫。ワクワクのディナーが一人メシに転じて、コールの人恋しさはひとしお。自ずと依頼者の母子家庭と自分の境遇を重ねて物思いが募る。

 私は子供が好きで、いい父親になれると思っていたが、自分の子供はいない。ルーシーの息子ベンは息子のように愛しい、「やっぱりあの父親を殺しておくべきだった」
 おいおい。まあ、C&P9作目『The Last Detective 』(日本未訳/創元さんお願い!!)の経緯を考えればいたしかたない。「私には子供がいない。猫が一匹いる。」いきなり序盤にこんな叙情たっぷりなシーンをブチ込んでくる著者クレイスの鬼畜っぷりは健在。コールファンとしては胸が掻きむしられるところ。

 最終章ではそのベンが登場、これは読者サービスかな?
 ベンはルイジアナ州立大学の大学生になっていて、背丈はもうコールと同じくらい。コールの影響を受けてかは知らないが、武術を習っている。親子にはなり損ねた二人が重ねてきた時間をしばし想像する。
 
 ところで彼の同居猫がコール35歳の時にはすでに貫禄のある成猫だったことはシリーズ愛読者公然の秘密♪あと数年生きれば立派な猫又です。

2019年5月9日木曜日

0176 ロンリー・ハート

書 名 「ロンリー・ハート」 
著 者 ジョン ハーヴェイ 
翻訳者 夏来 健次 
出 版 社会思想社  現代教養文庫(1992/5/1) 
初 読 2019/05/09 

 携帯も、ポケベルすら無く、コンピュータは有益な情報をはき出させるにも多大な手間が必要で、刑事達は足でひたすら聞き込みをし、モノをいうのはデカの直感。

 孤独な男女はSNSなど無い時代、雑誌や新聞の1行広告で出会いを求める。

「当方、○○歳女性、独身。ハンサムで知的で優しい男性を求む。お手紙ください。」

 孤独な女性がロンリーハートという広告欄に投稿し、そして無残な死体となる。

 4匹の猫にかしづくやもめの警部が、黙々と捜査。部下を案じ、猫を首に巻き、家にいる時は常に猫の数をかぞえつつ。
 大事なアパートに被害が及んだのは気の毒だが、猫に害がなくてよかった。次の巻、彼はこのアパートに住んでいるんだろうか、とそこが心配。
 気配のない猫を家中探し歩いたら洗濯物カゴの中で寝てたり、夜中に重い!と思ったら胸の上に猫が座ってたりの猫飼いの日常がいちいち腑に落ちて楽しい。
 完璧有能ハンサム美意識高いスポーツマン上司(警視)が、能力だけではなく人間的にもすごい人設定。上司に恵まれないボッシュにレンタルしてあげたい。
 イギリス警察の警視、って一つの小説のスタイルなのかな。「警視の○○」シリーズも積みつつあるので、読まなければ。あれ、レズニックの家はアパートじゃなくて戸建てだったかな?勝手にイメージ作ってたっぽいが、どっちだったっけ?

2019年4月27日土曜日

0175 回帰者

書 名 「回帰者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 飯干 京子 
出 版 講談社 (2010/8/12) 
初 読 2019/04/27

 アリーナが携帯で「アティカス」と呼びかけて思わず驚いた。そうだこいつ、アティカスだったっけ!
 それくらいの変貌ぶり。 
 複数の偽造パスポートを使いこなし、黒海を中心にグルジア、トルコ、ドバイ、ロシアと駆け回り、次の日にはアメリカに飛びその次はアイルランド。
 もはや世界を股にかける裏世界の住人となったアティカス。でも「守る」という信念だけは変わらない。鉄板のいい人であることも。

 恋人の妊娠中絶から始まった彼の物語は大きならせんを描き原点に回帰する。
 アリーナが身ごもり、人身売買の犠牲となったグルジアで隣家に済んでいた少女を助けだし、アティカスの守るべき家族は3人となる。安息の地をカナダに求め、本当にこれから、家族を守って平穏に暮らしていけるか心底心配。こんなに先行きが心配になる主人公も珍しい。

 回帰、といえば、シリーズ一冊目では「守るべき者を守りきれなかった」守護者は、今作ではついに、味方に一人の死者を出すことも無く、少女の奪還を果たした。無傷で、とはいえず、これからも守り続けなくてはならないとはいえ。
 祖国への回帰、出発点への回帰、守護者への回帰と、邦題限定とはいえ、良いタイトルを選んでいる。これでアティカスとお別れなのが寂しい。こんな大河ドラマになるとは、最初の一冊では思いもよらなかった。いやあ、堪能した。

2019年4月18日木曜日

0174 哀国者

書 名 「哀国者 」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 飯干 京子 
出 版 講談社 (2008/9/12) 
初 読 2019/04/18

 大切な友の死と、負傷と潜伏を経て、寡黙なボディーガードが暗殺者になる。

「俺は今までは連中がどう思おうと警護者だったが、あんたのためにテンの一員になってやる」

 と、アティカスにトレントに向かって言わせたかったな! 自分が餌になったり、トレントを◯したり、アティカスの作戦はリスクの方が高くつきそうでイマイチ納得出来ないのだけど、まるでバレエのグラン・パのような、アリーナとアティカスの作戦行動は手に汗握る展開。

 一生懸命だけどスキだらけだった初期のアティカスが懐かしいほどの全方位戦闘態勢。さて次が最終巻。名残惜しい。

2019年4月12日金曜日

0172−73 逸脱者 上・下

書 名 「逸脱者 上」 「逸脱者 下」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 飯干 京子
出 版 講談社  (2006/1/13) 
初 読 2019/04/12


 上巻冒頭、ボディガードとして有名になり、一流と認められた代償として、ろくでもない仕事もこなさざるをえないアティカス。依頼者にぶち切れるところからスタート。次の仕事は、英国の社会活動家の警護。そして、“ドラマ”が忍び寄る。
 上巻後半は殆ど姿の見えない“ドラマ”とアティカスの一騎討ち、というよりワンサイドゲーム。
 ひたすら指示に従っているようで、何か確かな繋がりを紡いでいるような展開。令嬢を間に置いた仲間達とのジョークの応酬や心温まるひとときもこれで見納めとなる予感をひしひしと感じる。
 一方でブリジットとの破局の仄めかし。ココがホントのターニングポイント。下巻新章からは、アティカスは向こう側にいってしまうのだろう。

 さて下巻は、上巻とはまったく違うステージ。
 “ドラマ”ことアリーナに拉致されたアティカス。そして、アリーナの依頼は、自身の警護だった。アティカスとの戦いで“テン”からも狙われることになったアリーナは、ボディーガートというよりは、仲間を欲していた。だからといって、アティカスがこういう風に巻かれるのか、と思わないではないが。
 アティカスはアリーナの隠れ家で、アリーナと暮らすことになる。最初は不本意に、そしてやがて、アリーナに心惹かれて。で、そこに、踏み込んでくるブリジットとクリス。
 暗殺者を題材にする危険に無自覚に踏み込むクリスの軽さ。
 殺し屋を引き連れて隠れ家に意気揚々と攻め込んでくるブリジット。
 おいおい、勘弁してくれ!不公平って何が?クリスの死の責任はスルーか?これは痛い。アティカスがアリーナ側に飲み込まれる展開がいささか説得力に欠ける気がするし、こっちをエピソード盛り盛りにして、ドラマティックに仕立ててくれてもよかったのにと思わないでもない。それに、アリーナの動きが封じられてしまったのもちょっと残念。

 銃とは切ってもきれぬ縁とは言え、善良な市民であったはずのアティカスが、分不相応?な敵と渡りあったせいで、手に負えない凶運ともいうべきものに巻きこまれていく、その事に無自覚無抵抗な所が、ナタリー父に忌み嫌われる所以。
 本人が被害に遭うだけならただのアクションだけど、きっちり周囲の人間を巻き込んで死人を量産するところがルッカのドSなところだ。
 さあアティカス、お前は明日、何処に行くのか?

 私の読みが足りないのかもしれないけど、アティカスがCIAに開帳した闇金の動きを何処で入手したのだろう?アリーナの情報だけじゃ足りない気がする。
 もうひとつ。アリーナとの共同戦線で、遠距離射撃で仕留めるつもりがなければ、なぜ危険を冒してアリーナに現場を下見させたのか。
 私は初めからアリーナが狙撃するんだと思ってたんだけど、それをアティカスが考えていなかったってのが理解できん。
 限界を超えても信念を譲らない青臭いアティカスに小一時間くらい小言を垂れたいとは思うが、まあ、それも魅力のうちなのだから仕方ない。

2019年4月3日水曜日

0171 暗殺者

書 名 「暗殺者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 講談社 (2002/2/15) 
初 読 2019/04/03 

 暗殺者“ドラマ”登場。出てきた瞬間からキャラが立つ。これまでガサツな口をきく女ばかりが登場してきたが、穏やかで美しい言葉使いの“ドラマ”、大きくはないのに、良く通る綺麗な声が聞こえてくるよう。いきなりフラグ立ってる?立ってるよね?

 怒濤の展開だけではなく、仲間内のウィットに富んだ会話がめちゃくちゃ楽しい。今回一番笑ったのは、この台詞。アティカスとナタリーの濡れ場を写真に撮られ、それを見たがるデイル。
「おまえはホモなんだぞ、忘れたのか?」
「その写真にはあんたも写ってるんだろうが、鈍感め」
「許してくれ、あのときのおれは許しがたいほどの異性愛者だったんだ」いい。すごくイイ!デイル最高!!


2019年3月29日金曜日

0170 奪回者

書 名 「奪回者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 講談社 (2000/11/15) 
初 読 2019/03/29 

 今回も痛い痛い、いたぁぁぁい!
前作は心が痛そうだったが、今作はとにかく肉体的に痛い。作者のドSぶりが光っている。
 エリカの言葉使いはもう少し何とかならなかったものか?前作では気にならなかった翻訳も、ん?と思うところあり。でも読み易さにはさほどの影響はなし。今回もぐんぐん読ませてくれる。国防総省の諜報用裏資金“スーパーブラックマネー”を原資に、SAS上がりの傭兵を抱き込んで、壮大な夫婦喧嘩がマンハッタンで勃発。
 父親も母親も大概だが、ロバートがスマートでプロフェッショナルなのがわたし好みだ。頑固なところも良し。

 それにしても、アティカス、グダグダなくせに女にモテすぎだ。ダメな奴だから愛されるのか?女だけでなく、男にもモテてるしなあ。まだまだ発展途上なところが良いのだろうか。ところで、ときどきブリジットがレヴィと被るんだけど、わたしのイメージ力が貧困なんだろーか。。。

2019年3月21日木曜日

0169 守護者

書 名 「守護者」 
著 者 グレッグ・ルッカ 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 講談社 (1999/3/12) 
初 読 2019/03/21 

 いやあ、アティカスど真ん中💕 細縁眼鏡に弱いとは、先般ケラーさんで自覚を深めたところだ。
 かなりスキルが高いのに、淡々とした一人称だからあまりそれが目立たず、プロのボディガードの仕事が着々と進行していく。セリフの一人称が俺で、地の文の一人称が“わたし” なのが最初は気になったがそのうちに慣れた。
 可愛いケイティの死に衝撃を受ける。それなのに、親友までもか。このラストの無常感がものすごい。作者の非情っぷりが際立つが、これが長編処女作とのこと。若書きとか訳が、等の若干の批評もあるが自分的には気にならず。相性が良かったと思う。

 アティカス、こんなにいたぶられているが、まだシリーズ一作目。これからどれだけ大きな男になってくれるのか、期待が高まる。 主人公を痛ぶり倒す鬼畜っぷりは、うーん、ロバート・クレイスに相通じるものを感じるな。好みである。

2019年3月16日土曜日

0168 アリスマ王の愛した魔物

書 名 「アリスマ王の愛した魔物」 
著 者 小川 一水 
出 版 早川書房 (2017/12/19) 
初 読 2019/03/16 

雪風といい、トーレンの正義といい、わたしはやっぱり健気な機械が大好きらしい。

短編の第1話「ろーどそうるず」
自意識をもったバイクの一生。やんちゃな口のききようと裏腹に純情真面目なバイクの魂は、人間からみたらノイズでしかないのか。めちゃくちゃ切なかった。シンギュラリティが近いらしいが、いつかどこかで、AIに魂が宿るときが来るのだろうか、などと考えつつ。

「ゴールデンブレッド」
ヤマトとカリフォーニャの文化逆転をどういう話に持っていくのかと思ったが。

「アリスマ王」なんとなく、ナウシカ原作に出てくる黒くて四角いやつを連想した。

2019年3月13日水曜日

0167 殺し屋ケラーの帰郷

書 名 「殺し屋ケラーの帰郷 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 二見書房 (2014/10/21) 
初 読 2019/03/13 

 妻がミーハー過ぎてちょっとイヤ(笑)。夫の仕事を楽しみ過ぎてないか?
 「帰郷」と「海辺」では、目撃者が多すぎる気がして心配になる。高価な酒の出荷元から販売店が特定されたりしないんだろうか?混入されたクスリの成分から、どのエリアで闇売買されているクスリか、バレるとか。タクシーの運転手も、証言できそうだ!
 もうちょっと慎重になってくれないと、軽いミステリーがファンタジーになっちゃう。ニューヨークなだけに、もしリンカーン・ライムがいたら一発でバレるな、などと思ったりもして。

 とはいえ、「副業」はよかった。
 それにしてもうわー。この最後の終わり方!これで終わり?本当に終わり?ローレンス・ブロックって、人の悪いおっさんだわ(笑)ああ〜〜。もだもだしちゃう。

2019年3月10日日曜日

0166 殺し屋 最後の仕事

書 名 「殺し屋 最後の仕事 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 二見書房 (2011/9/21) 
初 読 2019/03/10 

 今回はさすがにハードなアクションが加わるか、と思いきや、やっぱりケラーさんはケラーさんであった。どこまでいっても、ほろ苦くもほのぼの。

 思索多め、アクション少なめ。合衆国を東へ西へ、の逃避行も速度遵守、安全運転。決して爆走したりはしない。

 髪を刈り込んで、細縁眼鏡を加えたところで、イメージはこれまでの無表情でやや不気味な男から一転してハンサムでナイスなインテリ風に。やだモロ好み♪ 

 余談ではあるが、ドットが30歳前に総入れ歯になったいきさつが、語られないだけに壮絶なものを感じさせられて、そら恐ろしい。これ、絶対病気とか事故とかじゃないよね?マフィアに拷問されたりとか、してるよな?

2019年3月2日土曜日

0165 殺しのパレード

書 名 「殺しのパレード 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹
出 版 二見書房 (2007/11/27) 
初 読 2019/03/02 

 1人の殺しのために3人殺したケラーさん。すこし情緒不安定ぎみか?心配。

『鼻差のケラー』
 結局勝ったのはどっちなの!ギャンブルよりも深く切手収集にのめり込みつつあるケラーさんが、かなり心配になる。

『ケラーの適応能力』
 9.11はケラーさんの精神にも深い打撃を与えたようだ。なにもかも、以前とはちがうのだ。いよいよ情緒不安定なケラーさん。独り言が止まらなくなったので、話相手に犬のぬいぐるみを買う。さすがはケラーさん。てか心配でしょうがなくなる。でもじっくり落ち込んだあと、復活は一瞬だった。さすがはケラーさん。 高級住宅の玄関に防犯カメラが24時間で作動してる、、、なんてことは無いのか。なにしろ塀の警備がしっかりしているから、内部は油断で一杯なのかな。

 相変わらず、ケラーさんの事件には警察のけの字もなし。のどかである。

 そして、例によって表紙は違うと思う。ケラーさんは銃を使わないでしょ?

 ケラーも仕事が長くなってきて思うところが多くなり、ついターゲットに関心を持ってしまう。その結果仕事はイレギュラーな流れになり、だんだん危うくなってきて。いよいよ大転換点が近づいてきているようなフラグが不気味である。ドッグキラーのラストが切ない。

 母の記憶が蘇るバスケットゴール、切手収集家のターゲットとつい仲良くなってしまって・・・。切手収集家の最後を自分に重ねたのか、ドットに遺言までするケラーだが、ついに自分が稼業から抜けられないことを自覚する。

とにかく全編を通じて、ほのぼのよりも切なさが際立つ。

2019年2月27日水曜日

0164 帰郷戦線―爆走― (元海兵隊員ピーター・アッシュ・シリーズ)

書 名 「帰郷戦線―爆走― (元海兵隊員ピーター・アッシュ・シリーズ)」 
著 者 ニコラス・ペトリ 
翻訳者  田村 義進 
出 版 早川書房 (2018/9/5) 
初 読 2019/02/27 

 タイトルと表紙から、退役帰還兵がぼろいアメ車を駆ってガタピシと合衆国を暴走横断!て話だと思い込んでた(笑)。違った。

 むしろ、PTSDを煩う退役軍人の内省の書って感じです。面白い。そしてミンガスが楽しい。犬は正義、に一票。
 ダイナとどうにかなるんだろうと思ってたら、まさかの伏兵ルイスですか!そして、ルイスの正体はまだ知れず。

 最初から丁寧に描いていたミッデンは仲間に転じ、ジョシーはミッデンとピーターのどっちを選ぶんだ?と、まだまだ、続刊の刊行を待つしか無い。ミッデンの殺人が不問になっちゃうのはどうよ?と思わんでもない。それでいいのか、アメリカ??

 これは、続刊が出たら、読む。

2019年2月21日木曜日

0163 緊急工作員

書 名 「緊急工作員」 
著 者 ダニエル・ジャドスン 
翻訳者 真崎 義博 
出 版 早川書房 (2019/1/10) 
初 読 2019/02/21 

 ノンストップで面白かった。真の黒幕と直接対決以降が若干もやってる気もするし、動機と結果がアンバランスすぎるとか、特権的エリート階級の連中の合衆国万歳🇺🇸が鼻につく、とか、多少の突っ込みどころはあるものの、男どもがクールで滅法格好良いし、それぞれキャラが立ってるのが何より良い。ちょっと、設定やキャラクターの配置に、今後のシリーズ化の色気を感じて、それよりももっと、ストーリーを徹底的に仕上げてほしかった気もしないではないが。
続刊が出るのであれば、個人的には今回あんまり活躍できなかった元SASを次回作でも巻き込んで欲しいと思う。
登場人物の中ではキャリントンが渋くてイチオシ!

2019年2月16日土曜日

0162 悪魔の赤い右手  ー殺し屋を殺せ 2

書 名 「悪魔の赤い右手 ー殺し屋を殺せ 2」 
著 者 クリス・ホルム 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 早川書房 (2019/2/6) 
初 読 2019/02/16 

 だらだら読みだったせいかもしれんが、何時までも序盤のような感じのまま、気付けば終盤まで進んでしまい。
 いよいよ始まったか?ってところで敵がまさかの旧友とか、ベタ過ぎだ。コートみたく行き当たりばったりでも圧倒的不利を凌げる驚異の戦闘力があるわけでもなし、ヴィクターみたく「仕事の成果は段取りが9割(暗殺者編)」みたいな偏執的な周到さがあるわけでもない、どことなく素人っぽいヘンドリクス。
 うーん。丁寧に書かれた作品ではあるんだが、大化けを期待した自分の期待値が高すぎたか?でもまあ、ラスト50ページは十分面白かった。
 でもでも、オブライエンが気持ち悪い。捜査上の対立も、すぐに二人の痴話喧嘩になってぐずぐずベタベタ。レズだから、というのではなくて、とにかく公私混同甚だしいのがダメだ〜。前作でも感じたが、このレズ設定ホントに必要なのか?こういう細かいところからリアリティが削げていくんだよな〜。
 総じて漫画だったらこの程度でも面白く読めるのに、なまじ文章なだけに・・・・。ああ、全然褒めてない。でも、ラスト50ページは面白かったよ!この作品がイマイチなんじゃなくって、グレイマンとパーフェクトハンターがパーフェクト過ぎるんですよ。

2019年1月29日火曜日

0161 なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える

書 名 「なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える」 
著 者 渡辺 一史 
出 版 筑摩書房 (2018/12/6) 
初 読 2019/01/29 

 人の本質は、助け合って感謝の気持ちを交わしたり、もっと深いところで心を揺り動かされるところにある。人と人が助け合うためには、困っている人と助けてあげられる人の両方が必要で、その意味では人に助けてもらうしかない障害者も確かに世の中の役に立っているのだ。
 屋久島の縄文杉も富士山もそれはそれとしてただそこにあるだけ。それから生きる勇気をもらったり、神々しい美を感じたりするのは、人間の側の営み。人間の共感する力の発露である。
 障害者だって同じ。寝たきりの障害者を前にして、それが意思の疎通もできない無価値なものにじるというなら、それはそう感じる本人の共感力や人間性の欠如を告白するものでしかない。

 相模原のやまゆり園事件を導入に、障害者という存在を通じて人と人のあり方を問う。沢山の示唆があり、考えさせられた。

2019年1月19日土曜日

0160 [愛蔵版]いまはダメでも、きっとうまくいく。

書 名 「[愛蔵版]いまはダメでも、きっとうまくいく。」 
著 者 川北 義則 
出 版 PHP研究所 (2018/11/20) 
初 読 2019/01/19 

 職場のビルに入っているコンビニで、ついうっかり購入。マイナスの気持ちを前向きに切り替えるコツの1つ。なんでも「現在進行形で考える」。今お金に困っているとして、「自分は豊かだ」とは思えなくても「自分が豊かになりつつある」と考えることは出来る。好ましい未来の姿に向けて自分の理性と感情を一致させる。未来は今の積み重ね。苦しさを積み重ねても幸せには辿りつかない。

2019年1月3日木曜日

0159 寒い国から帰ってきたスパイ

書 名 「寒い国から帰ってきたスパイ」 
著 者 ジョン・ル・カレ 
翻訳者 宇野 利泰 
出 版 早川書房 (1978/5/1) 
初 読 2019/01/03 

 重く、痛切であり、非情である。
 大戦後の東西の分裂と冷戦の時代。
 東西ドイツの間に厚くて高いレンガとコンクリートと鉄条網の壁があった時代。今思えば冷戦がいつ熱い戦争になるかと、いつも背筋に冷たいものがあった時代でもあった。
 スイッチ1つで何、何万の命を奪う軍拡戦争の一方で、ひとりの人間が孤独に、人間性を削り合う諜報戦で暗躍する。
 ちょうど年末NHKで 「映像の世紀」の再放送をやっていて、ベルリンの壁をめぐる人々の攻防を、万感の思いで見た。 本書に登場する社会主義者達の教条主義的な決まり文句に、「主義」は人を救わないと改めて思う。

 「僕がこの小説で 、西欧自由主義国に示したかったもっとも重要で唯一のものは 、個人は思想よりも大切だという考え方です 。これを反共的な観念だとの一語で片付けてしまうのは 、怖ろしい誤りです 。どのような社会にあっても 、大衆の利益のために個人を犠牲にして顧みない思想ほど危険なものはありません 。」

 現在、自由主義が勝利を納めたというのはあまりに享楽的な考えで、社会主義の失敗は「社会主義」だから失敗したのではなく人間だから失敗したのだと考えてみる。
 「反共的な観念」だと片付けられたくないというカレに通じる。

 「僕は次のような逆説に興味を感じている 。西欧デモクラシ ーは一個の観念によって貫かれている 。個人はいかなる思想よりも価値の高い存在だとの考え方だ (コミュニズムはその正反対の見解を表明している ) 。この小説を書いた僕の意図は 、西欧デモクラシ ー体制防衛のために 、意識的にその主義を放棄した人々の群像を描くことにあった 」『主義』のあるところに人間の幸せはない。教育は『主義』を教え込む場ではなく、自由な思考を育む場でなければならない・・・・人間社会の営みについて、脱線しつつ考えつつ、の読書となったが、それもル・カレの望むところのような気がする。