原 題 「NAKED IN DEATH」1995年
著 者 J.D.ロブ(ノーラ・ロバーツ)
翻訳者 青木 悦子
出 版 ヴィレッジブックス 2002年12月
文 庫 452ページ
初 読 2026年2月20日
ISBN-10 486332667X
ISBN-13 978-4863326675
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133609416
イブ&ローク1冊目。2050年代、近未来のニューヨーク。冒頭、犯行に使われた旧世紀の銃器〈スミス&ウェッソン〉についてのフィーニーの蘊蓄「・・・銃禁止令が制定され、会社は2223年頃に生産を中止した。」というのは誤訳か誤植か? 21世紀後半に差し掛かるところの物語、と思って読んでいたので、いきなり200年も時代がすっとんで軽く混乱する。
1995年にロマンス小説の女王ノーラ・ロバーツがJ.B.ロブの別名義で描いた21世紀後半は、コンピュータは音声入力、エアカー(航空交通)が一般化して、高級車は陸空両用、銃は規制されて所持するのが難しくなり、銃による殺人は激減(全米で年間100件とな)、警察官は拳銃の代わりにレーザー・ガン所持している。世界最古の職業、娼婦は「公式コンパニオン」という名称で合法化。合法・公認化できちんと(?)教育・管理もされて、いわゆる管理売春は一掃されているようだ。顧客のリスト化、定期健診など?も義務付けられている。SEX産業は人間にとって必要かつ健康的な産業になっているという設定。
キッチンには〈オート・シェフ〉というマシンがあり、なんでも調理して提供してくれるらしい。コーヒー豆は超高級品で、庶民は代用コーヒーを飲んでいる。肉も高級品のようで、イブがレストランで頼んだのは野菜のパスタ。そういったちょっとした舞台装置に慣れちゃえば、あとはごく上出来なロマサス。地の文で突然ロークの心の声が混じるのがちょっと唐突感があるけど、これも慣れれば問題ない。
ちなみにロークは2023年生まれだそうで、現時点(2026年)で2歳になっているハズ。1995年にロバーツが思い描いた70年先の世界は、現在からみた30年先よりはだいぶ先を行っているような気がする。
ミステリアスでハンサムで富豪、有能で庇護欲があって、ちょいワル風味な男ローク。セントラルパークに面した200年前の石造りの4階建て豪邸に、執事に傅かれて済んでいる。フルネーム不明で知られた名前は「ローク」だけ、という謎めいた人物。イブの方は、ニューヨーク警察の警部補で、きわめて有能かつ芯の通った強さで、そうそうロークの思い通りにはならないが、恋愛面ではロークがやや競り勝つ。というこれがあれか、スパダリってヤツか。 もっとバリバリなハーレクイン風味なのかと思いきや、ちゃんとしたサスペンスだし、警察ものとしても、イブとフィーニーのバディぶりも良いし、一癖ありそうな上司ホイットニー良い風味だ。
さすがは60巻まで続くだけのことはある。
そんなこんなで、第1巻目は、イブとロークの出会いから2人が恋に落ちる。
イブは8歳までの記憶がなく、だけど、父親に性的虐対を受けていた過去の傷を抱えている。ロークも少年時代は不遇だった様子が窺える。過去と心に傷を持つからこそ強くなりえた2人が出会い、これから、どのように信頼と愛を深めていくのだろう。
もう、米国ミステリー界は、PTSD持ちじゃない主人公っていないんじゃないかと思うくらい、「被虐体験」「過去のトラウマ」持ちだらけなんだけど、そこをどうやって描いて行くかは腕の見せ所なのかも。
イブに関しては、怒濤のようなラスト(犯人をブチのめす)からの、緊張と恐怖から解放されてほぼ幼児化したイブとイブを心配するロークとの会話になんだか全部もっていかれた。
なにはともあれ、まだ1巻。どこまで息がつづくかわからないけど、とにかく続きを読もう。

















