2026年6月30日火曜日

0597 アルファは飢えても主を摘まず(上)

書 名 「アルファは飢えても主を摘まず(上) 」
著 者 佐伊    
出 版 新書館  2026年6月
単行本 352ページ
初 読 2026年6月22日
ISBN-10 4403221599
ISBN-13 978-4403221590
読書メーター   
 


 『竜王の婚姻』『君を転生させないために』『精霊の宿る国』の佐伊さんの、新作(紙本)。
 『小説家になろう』サイトですでに読了済みながら、紙本で出版されるのを心待ちにしていた。
 オメガバース設定のBLではあるが、王政内部の政治抗争や、宗教(教会)との利害の対立、隣国との紛争・・・・が綿密に描かれて、中世〜近世くらいの西洋風歴史ファンタジーとして、非常に非常に骨太な物語になっている。そこに、隠れオメガの国王エイドの深い苦悩や、まやかしの宗教裁判で姦淫の罪に問われて、還俗させられてしまった修道騎士ヴァルトルがエイドに寄せる敬意と愛、ヴァルトルの叔父であるメソルトの困難な立場、王太后の思惑・・・・とキャラ立ちしている上に複雑な人間関係が絡みに絡み、とっても濃厚。読み応え抜群である。
 
 私は、「素手で殺せます」とか「素手で行います」(刺客を殺す)とか、なにかと物騒で、周囲の思惑に忖度することなく、我が道を突っ走るヴァルトルの造形が素晴らしいし、その庇護者であるメソルトも、難しい立場にいるにも関わらず、なかなかに軽やかな言動が好ましい。ヴァルトルと聖騎士団の仲間の関係性も嬉しいし、とにかく美味しいところだらけ、というか美味しいところしかない。個人的にはアゼルも大のお気に入りである。

 物語は紆余曲折あるが、上巻は、メソルトの血を吐くような告白まで。
 国王エイドに忠誠を捧げるヴァルトル、(もう最後までネット上で読んじゃってはいるんだけど)これ以上、ヴァルトルに苦難が降りかかりませんように!と願いたくなる。下巻は7月中旬発行。ただひたすら待ち遠しい。

0596 サイモン・フェキシマルの秘密事件簿 (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「サイモン・フェキシマルの秘密事件簿 」
原 題 THE SECRET CASEBOOK OF SIMON FEXIMAL」2015年
著 者 KJ・チャールズ
翻訳者 鶯谷 祐実    
出 版 新書館 2021年12月
文 庫 363ページ
初 読 2026年6月27日
ISBN-10 4403560482
ISBN-13 978-4403560484
読書メーター 

 19世紀末から20世紀初頭のイギリス(主にロンドン)を舞台にした、ゴシックロマン+M/M。霊能者のサイモン・フェキシマルとその相棒で著述家のロバートの物語。19世紀後半のオカルトに覚えがあれば、面白さはたぶん倍増する。当時の神秘主義の流行や、諸々の作品群へのオマージュに溢れてる。

 耳なし芳一みたいに、躰の上を経文ならぬルーン文字の呪文がのたくっているサイモンと、自身の幽霊事件がきっかけで彼に出会って恋をした新聞記者のロバート。2人の出会いの物語から、かずかずのおどろおどろしい事件、2人の関係が恋愛の上でも、仕事の上でも、そして霊的な結びつきの上でも深まる。密やかに愛情深い関係を築き、しかし、第一次世界大戦が始まる。霊能者たちももれなく戦争の道具として利用され、遂に2人も行方不明となった由。しかし、2人のこれまで語られなかった冒険と、秘められ、大切に温められてきた愛を綴った、ロバートの手によるサイモンの事件簿の原稿を手にした、ロバートの長年の友人である編集者のヘンリーは、2人が密かに南欧あたりの人里離れたコテージに居を移し、満ち足りた愛の生活を営んでいることを夢想する。

 同性愛即犯罪だった生きにくい時代と、戦争の世紀に突入した世相が、汚水の悪臭漂うロンドン下町の埃っぽく薄暗い汚さ、ゴシックロマンの濃厚な闇と交じりあって、2人の人生に苦難の色を添えている。その中にあって、不器用で実直で有能なサイモンと、直情で陽気で行動力のあるロバートのパートナーシップは最高。暗い世相の中でキラキラと光るような、2人の気持ちを愛おしく感じる。

2026年6月20日土曜日

0595 狼の見る夢は (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「狼の見る夢は」
原 題 「With Abandon」2011年
著 者 J.L.ラングレー    
翻訳者 冬斗 亜紀    
出 版 新書館 2015年6月
文 庫 481ページ
初 読 2026年6月14日
ISBN-10 4403560229
ISBN-13 978-4403560224
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/136022876

 『狼の遠い目覚め』で登場した、ジェイクの探偵事務所の事務員バイトのマットと、キートンの兄オーブリー。
 マットがジョージア州立大学に入学して、オーブリーの自宅のゲストルームに居候することになる。マットとオーブリーは初対面で“メイト”であることを悟るけど、オーブリーはゲイであることが許されない超保守的な南部で一族代々のホテルチェーンを経営し、代々続く家系や財産や、群れの“アルファ”までも継承しなければならない身で。“跡取り”は必須、いずれ結婚して子どもを作って、家を継ぐことが自分の務めと信じている。当然、ゲイだなんて、親にも打ち明けられないし、母親には結婚して子供を作ることを求められるし。
 メイトとの熱く手放しがたい恋、だけどとてもじゃないがカミングアウトなんてできない長男の責任感と苦悩。所詮、オーブリーの独り相撲って言ってしまったら身もフタもない話なんだけど、オーブリーの悩みは真剣。そこはお気楽な次男(キートン)がさっさとカミングアウトして、家を出てしまったりしたものだから、いっそう雁字搦めになってしまっていて。
 もちろんM/Mなだけに、あっちこっちSEXまみれ(笑)なんだけど、自分の生き方に悩む、しごく真面目なゲイ小説であった。

 マットについては、ヘンテコな色使いの服を着る天然、って感じの初出だったが、実は赤緑色盲で、マットなりに悩んでいたり、ちょっとヌケた感じだと思っていたのが、純真無垢で、努力家で家族思いの長男だったりと、相当イメージアップした。
 あとは、無理やり人狼化させられちゃったカーソンがかなり憐れではある。これからどうなるのかは相当気になるものの、カーソンとボスキーの恋物語を読みたいとは思えない(笑)。さすがにボスキーは強引すぎるだろ。この件に関しては、終始一貫してカーソンがかわいそう。
 マットの兄弟たちはこれからも苦労が多いだろうけど、長兄マットや次兄のローガンがしっかりしているし、ジェイク以下、群れの大人達も頼りになるし。レミ贔屓の私は、一番下のエディとダレンは、レミとジェイクが養子にして育てたらいいんじゃないか、と密かに思っているのだけど。(レミとエディの組み合わせサイコー!)

2026年6月14日日曜日

0594 狼の遠き目覚め (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「狼の遠き目覚め」
原 題 「With Caution」2008年
著 者 J.L.ラングレー
翻訳者 冬斗 亜紀    
出 版 新書館 2014年5月
文 庫 436ページ
初 読 2026年6月12日
ISBN-10 4403560172
ISBN-13 978-4403560170
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/135897720

 「狼を狩る法則」ではかなり嫌みな登場の仕方をしたあげくに、人狼に襲われて死にかけて、ジェイクとチェイの血によって人狼となったレミは、実は、16歳年の離れた弟のスターリングを父親の暴力から守り、父親代わりになって育ててきた良い奴だった。天真爛漫に育ったスターリングを見れば、傷を負ったレミが、どれだけ努力奮闘してスターリングを守ってきたか、分かろうというもの。とにかくレミが健気すぎて心が痛い。心からスターリングを愛してきたレミは、子供の遊び相手も上手で、読んでいる途中から、だんだんレミの印象が性別を超越してきた(笑)。同性愛嫌悪のように見えた言動も、父親から自分と弟を守るために創り上げた鎧のようなもの。メイトであるジェイクが側にいることで感じる安心感で、少しづつレミが安らいでいく様子に絆される。

 そのレミが、群の集会で他の“アルファタイプ”の狼たちに襲われそうになったことで、“オメガ”であることが判明、メイトがオメガであることが分かったジェイクは、これまでの群から独立して、新たな群を率いることになる。

 レミとジェイクがパートナーとして親密さを増して高まっていくこと、アルファに従属的で闘争力は弱いが、その共感力で群の連帯を強めるオメガとして、レミの能力が開花していくのと、レミが虐待親と対決し過去の傷を乗り越えていくという、レミの成長三本立てのストーリーである。

 アルファ気質で支配欲のあるジェイクがSMの性癖があるとか、ちょっとうへぇ、と思わないでもなかったけど、SMといっても、父親から惨い身体的虐待を受けてきたレミに対しては、ジェイクもそんなに大胆なことはできず、描写はごくソフトでした。

 結局、レミとスターリングは両親を喪うことにはなるのだけど、そもそも機能不全家族だったし、レミとスターリングには、群という新たな家族ができ、おまけにスターリングが、ジェイクの副官(ベータ)のリースのメイトなのが分かったり、その上、スターリング三形態の人狼ってことは、優秀で力のある個体であることは間違いなさそうなので、幸せな将来の予感がたっぷりでよかったです。

0593 狼を狩る法則 (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「狼を狩る法則」
原 題 「Without Reservations」2006年
著 者 J.L.ラングレー
翻訳者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 2013年10月
文 庫 414ページ
初 読 2026年6月13日
ISBN-10 4403560148
ISBN-13 978-4403560149
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/135915673

 最初に「遠い目覚め」の方を読了してしまったのだが、こちらが1巻目。米国発M/M小説。冬斗亜紀さん翻訳(好き)。
 日本でいうBLカテゴリで、表紙イラストもそんな感じであるが、(いつもつい書いてしまうのだが、ボーイズラブってよりも、ゲイ・ラブロマンス。私の感覚が古いんだろうが、BLっていうとどうしても「少年愛」寄りな語感を感じてしまって。M/Mはもっとオス臭いっていうか、ガチムチ寄りっていうか、大人の恋愛寄り(当社比)。) そして、人狼(ワーウルフ)物でもある。
 人狼の群れを統率する概念として、アルファ、ベータ、オメガが出てくるが、これは狼の群れのヒエラルキーの話。いわゆるオメガバースはこちらが本家。アルファが群れのボス。ベータは副官。オメガは群れの調和者で、集団の維持の要になる、という設定。

 もっとも、この狼のヒエラルキーは、かつて人工での集団飼育下で観察されたもので、現在では、自然界における狼の群れは家族単位で構成されており、父(リーダー)、母、子供達で構成され、それほど厳格なヒエラルキーはないことが分かっているそう。この作品における「オメガ」の設定は、かつての狼ヒエラルキー概念における「最弱者」(集団のガス抜き役)と、現在の狼の群れの概念の「母親」(母性)がミックスされたような感じかと。 「人狼もの」の設定はいろいろあるらしくて、読み比べてみると楽しそうな気がする。

 さて、作品の舞台はニューメキシコ。
 ネイティブアメリカン(アパッチ)の居留地に程近いエリアに住む獣医のチェイことチェイトン・ウィンストン(ネイティブアメリカン)の元に、怪我をした白狼が運び込まれるところから。チェイは人狼で、このエリアの人狼の群れに属している。(おもにネイティブアメリカンで構成されているよう。そこに運び込まれた白人で白狼のキートン。
 チェイは、この白狼が自分の“メイト”(=伴侶。運命の恋人)であることを直感するのだが。
 なんとこの白狼が雄だった。自分はストレートだと確信していたチェイは大混乱。そしてストレートだった恋人に手酷く裏切られた過去のある生粋のゲイのキートンも、チェイを誤解して、断固拒絶・・・・・からの、急接近。運命には逆らえない♥️
 ほぼ最初から最後まで、全編ゲイSEX描写が全開だけど、とにかく明るく、前向きで健康な大人の恋愛って感じであるので、思うほどイヤラシくない。

 まあ、男女の恋愛ものだと、どうしてもジェンダーを感じて、自分的に陰にこもった感じになっちゃうので、男/男のほうが、他者的に(あるいみ無責任に)楽しめる、という個人的な感覚の問題もある。
 
 キートンが命を狙われたり、最初はホントに嫌なヤツだったレミが、瀕死の重傷を負って人狼の仲間になったり、とか物語の起伏も面白いし、人間だと、チビでやせっぽちで童顔のキートンが、狼としては最強だったりとか、登場人物もキャラ立ちしていて良き。読んでいて楽しかった。

 子供の頃、最初に買ってもらった本格的な読み物としての本が『おおかみ王ロボ』と『名犬ラッシー』(ポプラ社)で、依頼、オオカミの物語には特別な憧憬を感じる。人狼ものってなんだか特別なロマンがあるわ。そこに人種や同性愛、虐待、差別なんかの人間としての葛藤も加わって、物語としても面白い。

2026年6月3日水曜日

2026年5月の読書メーター

 4月からの人事異動ですこしポジションが変わって、難易度はともかく、多忙。もともと多忙だけど、心安まる暇がない(T-T)
 2月半ばに引き込んだ怪しい喉風邪が4月頭にやっと治ったと思ったら、5月1日に再び喉に異変・・・・からのまるまる一ヶ月、ずーーーーっと喉風邪。なんだか「謎風邪」とやら流行しているそうなんですね。まさにソレ。
 仕事を休めるほどの発熱はないけど、ずーーーっと不調を引きずり、怠さも続くし、なんなら週末になるたびに発熱し、月曜日には熱が下がる社畜体質。いやはや。

 あまりにもやばやばな案件をどうにかボヤ程度に済ませることができたのは幸いとして、この巻、まともな読書はできず、活字への渇望は、アルファポリスやらpixivやらで満たし、せめて読了登録ぐらいは・・・と思っていたら、ついにこんなことに・・・・(汗)

 登録本、ほぼ全部がBL+ラノベ・・・(大汗)
 『アポロ18号の殺人』の下巻にはついに手が伸びなかった。(読もうとは努力したんだけど)
 ひたすら愛と癒やしと幸せな気分を求めてお気軽読書に走ってしまった5月であった。

5月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3296
ナイス数:391

【全1-8セット】拝啓、地獄の王の花嫁候補に選ばれまして【イラスト付】 (ブルームーンノベルズ)【全1-8セット】拝啓、地獄の王の花嫁候補に選ばれまして【イラスト付】 (ブルームーンノベルズ)感想
ここ一週間くらい、墨尽さんの作品に埋没していた。文章がとても情景的で良い。主人公のボケが絶妙。地獄の主(獄主=閻魔大王的な)の数千年に一度の花嫁選びになぜがノミネートされた主人公(死後)。花嫁選びなだけに昼間っからイチャイチャが止まらない。綺麗な魂なのになにかの間違いで地獄に落とされ、あろうことか地獄の花嫁候補に並べられた聡一朗。咎人だらけの地獄のなかで紅一点ならぬ清一点で、無差別に発揮される清らかなやさしさに、地獄を統べる鬼たちがかたっぱしから骨抜きに。そこは獄主すら例外ではなく。
読了日:05月30日 著者:墨尽

眠れる淫花はアルファ王の愛に咲く【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】 (ショコラ文庫)眠れる淫花はアルファ王の愛に咲く【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】 (ショコラ文庫)感想
王道ハーレクインのBL版。愛されるべき主人公(Ω)が、微妙にすれ違いつつも、求められ、結婚し、愛されて、愛し合う。なにも考える必要なし。主人公の純情万歳!愛って麗しい。
読了日:05月30日 著者:高月紅葉


静かな朝食 孤島の兄弟静かな朝食 孤島の兄弟感想
野原耳子さんの純文学的作品。仲が良かったはずの隣人に両親を殺された兄弟。年の離れた兄は弟を守り育て、弟も高校生になった。かつては高校野球部のエースだった兄は変わってしまった。その兄が背負っている罪は? 兄と弟の静かな理解と赦しと再生がリリカルに胸に染みます。
読了日:05月30日 著者:野原耳子

Ω令息は、αの旦那様の溺愛をまだ知らない3 (アンダルシュノベルズ)Ω令息は、αの旦那様の溺愛をまだ知らない3 (アンダルシュノベルズ)感想
出るとは思ってなかった3巻目。ご褒美みたいで嬉しい。廃嫡されたオメガの第一王子の嫁ぎ先は砂漠の王国。現王太子妃であるアデルと侍従長のユーリス,護衛のギルベルトがヴィルヘルムの招待で、彼が嫁いだ砂漠の獣人国を訪問。今まであまり露出がなかったヴィルヘルムの物語であることもご褒美感がある。ユーリスのたおやかな強さも、剛健一途なギルも堪能した。
読了日:05月19日 著者:仁茂田もに

捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです4捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです4感想
4巻が発刊されているのに気付かず、本日入手。オンラインで読了済みも、紙本を手にするのは嬉しい♪ メルフィーナのエンカー地方経営に、ちょっと曲者の執政官2人が参戦。それと、武闘会とか、村の拡張とか、村の作物の販路拡大とか・・・・そして、セドリックがお家の事情でカーライル家の爵位を継承するために、公爵家から離れなくてはならなくなる。愛馬リゲルとの別れもちょっと切ない。再会の時を待とう。
読了日:05月09日 著者:カレヤタミエ

死んだはずのお師匠様は、総愛に啼く (2) (アンダルシュノベルズ)死んだはずのお師匠様は、総愛に啼く (2) (アンダルシュノベルズ)感想
最近BL本を読了登録するのにほとんど抵抗がなくなってきた。完全に表紙買いの2巻目。中華(和風混じり)BL?っていうには性的描写は少なめ? ただただ、若返りした主人公が、周囲から愛でられる話。疲れて荒んだ心に染みいる潤いや良し。
読了日:05月09日 著者:墨尽


死んだはずのお師匠様は、総愛に啼く (アンダルシュノベルズ)死んだはずのお師匠様は、総愛に啼く (アンダルシュノベルズ)感想
色がめっちゃ綺麗な表紙買い、Kindle→紙本。和風混じりの中華系BLではあるが、主人公が病弱を極めてるため、溺愛描写過多、性的描写はほぼ皆無。ただただ主人公が回りの人に猫っかわいがりされる本。主人公の強さと心の傷も見え隠れするところに、心がくすぐられる。疲れて枯れ果てつつある心に潤いをありがとう。
読了日:05月09日 著者:墨尽

アポロ18号の殺人 上 (ハヤカワ文庫SF)アポロ18号の殺人 上 (ハヤカワ文庫SF)感想
苦節●年。やっと上巻を読了。実在のアポロ計画は17号まで。この本は実在しなかったアポロ18号が対ソ連の純軍事ミッションを担っていたとの仮想の上に、あり得たかもしれない陰謀を描く。錯綜する状況はまだ全容が見えていないが、最初の殺人の犯人は・・・。宇宙船のハッチの縁を掴んでいた手のシーンはほとんどホラー。発射前にステーキを喰ったチャドのやらかしがヒドい。どうしてもソ連側が陳腐に描かれるのは、米国小説の宿命か? さて上巻は打ち上げ前のトラブルから宇宙へ。そしてソ連軍事衛星への接近。想定外の事態だらけのまま月へ。
読了日:05月06日 著者:クリス・ハドフィールド

今更愛を告げられましても契約結婚は終わりでしょう?<電子限定かきおろし付>【イラスト入り】 (ビーボーイノベルズ)今更愛を告げられましても契約結婚は終わりでしょう?<電子限定かきおろし付>【イラスト入り】 (ビーボーイノベルズ)感想
『トカゲではない。彼はマルクスさんだ』 読書量の水増し・・・って訳でもないか。実際読んでるし。オメガバース、虐げられた長子(異母兄)、愛のない契約結婚・・・でコレ系ライトノベル役満って感じではあるが、主人公がぼーっとしているし、草喰ってるし。昆虫を捕まえるし。なにしろ主人公の愛するパートナーがカナヘビの「マルクスさん」。あまりに意外性のあるキャラに、勇猛果敢な公爵様が振り回されているのが面白い。ちゃんと、主人公が公爵邸を出て海辺の暖かい街で「マルクスさん」と二人暮らしを始めるのもよし。ほんわか心が暖まる。
読了日:05月02日 著者:SKYTRICK

番外編集 俺の妹は悪女だったらしい番外編集 俺の妹は悪女だったらしい感想
4月の読書量があんまりだったので、水増し・・・・ってわけじゃないが、耳子さんのKindle新刊は、『俺の妹は・・・』番外編集。あらかたなろうサイトで読了済みであるが、ラストの一作は書き下ろし?そう来たかーーーー!!! てっきりダイアナの相手はロキだと思い込んでいたからな。なるほど〜〜!幸せになれよ〜〜!
読了日:05月02日 著者:野原耳子

読書メーター

2026年5月6日水曜日

0591〜92 アポロ18号の殺人 上・下

書 名 「アポロ18号の殺人」
原 題 「THE APOLLO MURDERS」2021年
著 者 クリス・ハドフィールド   
翻訳者 中原 尚哉   
出 版 早川書房 2022年8月
文 庫 上巻:384ページ  下巻:‎ 384ページ
初 読 2026年5月5日
ISBN-10 上巻:4150123756   下巻:4150123764
ISBN-13 上巻:978-4150123758 下巻:978-4150123765
読書メーター 上巻:https://bookmeter.com/reviews/135145196
       下巻:


 上巻を読むのにあまりにも時間が掛かりすぎたために、伏線をほとんど忘却する、という事態に。人様のレビューを読んで、あわてて再チェック。
 3人の正規クルーと3人のバックアップの中に、ソ連側のスリーパーが存在した。それは誰なのか。
 アポロ18号の打ち上げ1ヶ月前にして、船長であるトムが訓練機の操縦ミスで墜落死。果たして事故なのか(んなワケない。)では、犯人は誰なのか。
 打ち上げは、バックアップクルーの中からチャドが繰り上げになって続行。
 そのチャドの、打ち上げ前の最後の食事でステーキを喰うやらかしがヒドい。

 そして無人だと思っていたソ連側偵察衛星は実は有人で、しかも、アポロ18号の悪意ある接近を待ち構えていた。なんなら手に手に武器を持って。

 自己過信強めの(よくある)アメリカ側の迂闊と、ソ連側の野蛮が宇宙空間で計算ずくの遭遇を果たすが、その結末は想像を超えた。だけど、その直接的な原因が、いかにもアメリカ野郎が考えたソ連のやらかしっぽくてかるく失笑。

 アポロ宇宙船のハッチの縁に掛かった人間の手(手袋)は、ほぼ、ホラー映画のノリである。

 そして乗り込んで来たのはソ連の女性宇宙飛行士。

 なにしろ著者が宇宙飛行士ってことで、微に入り細にわたる細かい描写を丁寧に読んでいくと全体がスローモーションみたいになってしまい、致命的に自分の文字を追うスピードと物語のペースが合わない。これが、読書に着手して3回も中断、放置になった理由。宇宙船が打ち上がったあたりからやっと面白くなってきて、読書スピードを上げることに成功し、上巻を(そして大気圏を)脱出。なんというか、やっと一段目のロケットの切り離しに成功した気分である。
 上巻ラストで、ついに件のスリーパーが誰なのか、そして、なぜイラリオン修道士が冒頭から登場していたのかがつながり、あろうことかアポロ18号に乗り組む生者3人のうち、2人までもが“ソ連側”であることが判明。だがこの2人とて、手に手をとって協力する様子ではない。だがしかし、本当に彼が“スリーパー”なのか?わかりやすすぎやしないか。もしや“スリーパー”は別にいて、さらにストーリーが錯綜する可能性すら残っている。しかし、この2人がこれからどう動くのか。そして、地上に置き去りな主人公のカジミエラス・ゼメキスはどう動くのか。個人的には、隻眼のカズは超好みである。

 そして、ここからが下巻。





2026年5月3日日曜日

2026年4月の読書メーター

先の記事にも書いたように、まったく読書が捗らなかった4月。
まったく活字を読んでいないわけではなく、なろうやpixivのお気に入りの連載なんかは毎日チェックしていたし、なんならBLなんかも読んではいた。4月に想定外の人事異動を喰らって、職場で文字通り仁王立ちの日々。だって、立たないと、新人まで目が届かないんだもん。手抜き厳禁な仕事まで引き取って、八面六臂って感じである。もうちょっと本が読みたいな〜。なんなら早期退職したいな〜、と願う日々。


4月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:866
ナイス数:166

ダ・ヴィンチの密命 (ハーパーBOOKS)ダ・ヴィンチの密命 (ハーパーBOOKS)感想
多分ガブリエル73歳。背中の痛みは慢性化しているし、髪はついに全体的にグレーになった模様。だが、子供達はまだ小学生で、アイリーンは過激な環境保護主義者に、ラファエルはこの巻でついに絵を描くことに目覚めた!めでたい。今作はヴァチカンから盗み出されたダ・ヴィンチの未発見の真作を巡る事件で、教皇ドナーティと共闘。巻末のノートは必読で、ヴァチカンに蔓延る金満主義が単なる創作でないことが分かる。もはやシルヴァはイスラエルには目を向けないことにしたのかな?作中時間は、ちょうどイスラエルがガザに侵攻を開始した頃である。
読了日:04月05日 著者:ダニエル シルヴァ

フラジャイル(31) (アフタヌーンKC)フラジャイル(31) (アフタヌーンKC)感想
岸センセーもアメリカへ。岸センセーの牙城病理がほんわかガーリーな空間になってしまった! そして、米孤軍奮闘する日本軍(?)は、彼の地で新しい世界を見せることができるのか!? ちょっと次巻がたのしみです。
読了日:04月05日 著者:恵 三朗

軍人婿さんと大根嫁さん 8 (芳文社コミックス/FUZコミックス)軍人婿さんと大根嫁さん 8 (芳文社コミックス/FUZコミックス)感想
誉さんの少年時代の思い出が切ない。だけど、それがかわいい嫁さんの膝枕での思い出話であって良かった。異母弟初登場だが、こちらも良い人。思い合う兄弟で良かった。ラストがちょっと不穏な空気。これから時代はいよいよきな臭くなっていくようだ。
読了日:04月05日 著者:コマkoma

読書メーター

2026年4月29日水曜日

日々雑感 


 ぜんぜん読書がすすまん。
 それもこれも、「アポロ18号の殺人」のおかげ。
 大好きな、中原尚哉さんの翻訳なのに!である。
 どうにも、文章のリズムと自分の読書速度が合わん。
 いかにも業界の人っぽく緻密に細分化して描かれた航空機や宇宙船の操作手順は、それなりの早いスピードで読まないと、まるでスローモーションのような描写になってしまう。そして私の文字を追うペースは遅い! そんなで、なかなか読書スピードが上がらず、物語に乗りきれず、数行読んでは失速し、数ページ読んでは中断し。

 実は、この本に取り組むの三回目だ。今回は、ついにアポロ18号が離陸するところまでは到達した。物語はこれから。ここまで約1ヶ月。今月の読書量はほぼ0冊。

 そして、新年度である。
 体制が変わり、新人が入り、業務が変わり、仕事が追いかけてくる。というか襲いかかってくる。毎日が仁王立ちの日々。ときおり、お守りの破魔矢を握りしめ、振りかざし、「悪霊よ去れ!」と念じる。念の為、ごく真面目で無宗教な職場であることを申し添える。

 ゴールデンウィークもちっとも心安まらないけど、とりあえず好きなことの一つくらいは取り組みたいもの。

2026年4月6日月曜日

0590 ダ・ヴィンチの密命 ガブリエル・アロンシリーズ

書 名 「ダ・ヴィンチの密命」
原 題 「AN INSIDE JOB」2025年
著 者 ダニエル・シルヴァ    
翻訳者 山本 やよい    
出 版 ハーパーコリンズ・ジャパン 2026年3月
文 庫 576ページ
初 読 2026年3月25日
ISBN-10 4302115939
ISBN-13 978-4302115938
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/134486452

 この巻は、時期を推測する記述が乏しいが、事件の端緒となった水死体の発見・・・・・ヴェネツィアの運河に浮かんでいたところを、ガブリエルが発見・・・・が秋とのこと。前作のコーンウォールの事件が2023年の始めだったので、おそらくは、2023年秋〜翌年にかけての事件だと思う。
 
 冒頭、ガブリエルとキアラは、双子が通う公立小学校の校長室に呼び出されている。
 双子の片割れ、過激な環境保護主義者に育ちつつあるアイリーンが全校生徒をそそのかし、授業をボイコットして地球温暖化に反対するデモを企画している!とのことで、保護者が呼び出されたのだ。デモ行進のチラシを校内に張り出したアイリーンに、ガブリエルは教育的指導を行う。曰く「こちらの手の内を敵に知らせるなど、もってのほかだ」
 アイリーンの行動を大目に見る代わりに、校長先生は、小学校の生徒に美術の指導を行うことをガブリエルに要求。願ったり叶ったりのガブリエルは、しかつめらしく承諾。(本当は、美術教師をやってみたかったらしい)
 ・・・そんな、いささか大胆ながら、微笑ましい子育てをしつつ、やはり事件から絡んでくるのがガブリエルの新しい日常のようで、正体不明の女性の遺体の身元捜索から、新たに発見されたダ・ヴィンチの若い女性の肖像画の盗難事件へと話は進む。

 今回のモチーフとなった絵は、有名な右の素描で、作中では〈若き女性の頭部〉と言われているもの。〈岩窟の聖母〉に登場している大天使のための素描と言われていて、例えば〈モナリザ〉のような単独の肖像画は存在していない。この素描を元にした、若い女性の肖像画が、平凡な聖母子像の宗教画の下に隠されていたのを、イギリスからヴァチカンに研修にきていた若い修復師の女性が発見した。そしてその女性が水死体で発見される。発見したのはガブリエル。死んだ女性が働いていたのは、ヴァチカンの美術修復部。なぜ彼女は殺され、そして盗まれた絵はどこに行ってしまったのか。そして、事件はヴァチカンの深部の金満汚染へと繋がっていく。
 今回は、久しぶりの教皇ドナーティとガブリエルのタッグ。この二人の絡みが好きな人には良い一作である。
 そしてボーナスは、ついに双子の片割れラファエルが絵を描くことに目覚めたことかな。