出 版 アルファポリス 2020年9月
単行本 304ページ
初 読 2026年2月4日
ISBN-10 4434278754
ISBN-13 978-4434278754
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133260505
引き続き野原耳子さん作品。
これまた異色も異色なBLでビックリ! 有り得なさそうなものを取り合わせてブッ込んで面白くしました!って感じだけど、これがとにかく面白い。
なにしろ、無骨な傭兵だ(現代の)。AK47抱えてジャングルを縫い、手榴弾放り投げる傭兵。元自衛官。既婚・子供あり。(ただし訳あり)
そんな、男臭く、汗臭く、ジャングルの泥まみれ、砂漠の砂まみれみたいな迷彩服の男が、なんと異世界に飛ばされる。それも女神として!! つーか、異世界側に女神がやってくるというお告げ?に従いお出迎えしたら、現れたのがこいつ、尾上雄一郎だった。もう、名前からして男臭い(笑)。尾上(おがみ=男神?)は女神に掛けてるのかナ?
雄一郎の抵抗も虚しく、女神として召喚されたんだから、男だろうがおっさんだろうが、お前は女神なんだ、と異世界側には強弁(笑)される。お前のこの世界での使命は、軍を率いて「正しき王」を勝利させること、そして「正しき王」の子を産んで国母となること(!)。自衛隊上がりの傭兵だから軍を率いて・・・の方はなんとかなるにしても、「国母となれ!」は37歳中年男に無茶振りもいいところである(笑)。
しかもこの異世界は王位簒奪戦の真っ最中で、自分の目の前のひ弱な少年が王位簒奪の憂き目にあっている正当な王位継承者「正しき王」であると言われ、なにもかもが腑に落ちないうちにいきなり砲撃にさらされ、やむを得ず戦闘開始。
技術的には連発銃が戦力になりつつあり、大砲は戦力化されており、航空機以前の世界観。ドライセ銃からスペンサー銃をイメージすればイイ感じかな? 世界史年代的にいえば19世紀中頃、アメリカ南北戦争くらいの軍装を思い浮かべればだいだい合ってる? まるっきり甲冑、ロングソードってわけでもなさそうなところが、元陸自・傭兵の尾上雄一郎が戦闘指揮能力を発揮できそうな絶妙な塩梅である。
そしてあれよあれよというまに、元の世界に帰るためにもとりあえず「王の子」を産むことを納得させられ、夜ごとの3Pになだれ込む。激しい。いろんな意味で激しい。
一巻目は、異世界召喚からの戦闘。雄一郎が初夜(?)で犯され、徐々に「正しき王」ノアと「仕え捧げる者」テメレアに絆されつつ、まずは反乱軍に侵攻された王城を奪還するところまで。昼は過酷に戦い、夜は夜とてベッドの上で男2人に侵略される、男・尾上雄一郎37歳の戦記である。(こんなBLがあるとは・・・・目から鱗が落ちそうな一冊である。)
書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界2」 2021年7月
単行本 299ページ
初 読 2026年2月7日
ISBN-10 4434291106
ISBN-13 978-4434291104
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133284932
反乱軍の居場所を探るために偵察に出した兵とテメレアが戻らない。唯一戻った女性士官のイヴリースの背中には矢が突きたっていた。
書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界2」 2021年7月単行本 299ページ
初 読 2026年2月7日
ISBN-10 4434291106
ISBN-13 978-4434291104
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133284932
反乱軍の居場所を探るために偵察に出した兵とテメレアが戻らない。唯一戻った女性士官のイヴリースの背中には矢が突きたっていた。
その方面には、女神を信奉する部族の街があったはずなのに、なぜ? テメレア奪還のために出撃する雄一郎である。そして、なんと雄一郎の他にも、もう一人の「女神」がこっちの世界に現れていた。ノア側とノア兄側、それぞれが「女神」を擁し、隣国の最新兵器も登場して戦局はいよいよ厳しい。そこで、雄一郎側は、ノア兄側と同盟している隣国ゴルダールの内乱を誘発する策にでる。
元いた世界で妻と子供を失い、すべてに絶望し、心なんぞ死滅したような雄一郎の、その実は細やかな心情が描写されるのが良し。死にかけたり・生き返ったり・倒れて寝込んだり、それなのにやっぱり犯され喘がされ、戦争よりもベッドの上が激しい。シャグリラの実という、女体化を促進する実を摂取しているうちに、なんとなくヒゲが薄くなり、体が柔らかくなってきた。そして、2人の夫?愛人?恋人?を求めずにはいられない体になりつつある。しかし、王位継承のための戦争はまだまだ混沌として続く。雄一郎の外套の襟元にとめられたピンの赤い石(サザレ)が不穏。それを留めたゴートはいずこに? まだまだ波乱の気配を漂わせながら、話は3巻へ
書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界3」 2022年5月
単行本 515ページ
初 読 2026年2月8日
ISBN-10 4434303244
ISBN-13 978-4434303241
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133362698
単行本 515ページ
初 読 2026年2月8日
ISBN-10 4434303244
ISBN-13 978-4434303241
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/133362698
隣国ゴルダールの前王の双子の子を見つけだし、現ゴルダール王を打ち破り、ジュエルドとゴルダールに平和な未来をもたらすことを約束したノア一行。行く先々でアオイが現れるが、このアオイの造形とか、アオイの位置づけなんかは結構チープな感じがする。まあ、悪役として分かりやすくはあるが、もうちょっと魅力的な悪役でもいいような気がする。ともあれ、雄一郎の過去の出来事が、ついに雄一郎の口から語られる。そして、ゴートの裏切りによって、腹を刺されて凍った湖に落ちた雄一郎は、再び死線を越えて現代の日本に。
この作品では、戦争が平和な世界を築くための「必要悪」として語られるけれど、第二次大戦の記憶が遠ざかり、そして近隣の大国中国をはじめ、東欧、南米と全世界がキナ臭くなってきた今、戦争や犠牲を、そういうふうに単純化してよいものだろうか、などと読みながら考えたりもする。本当は、妻と子供を爆死という悲惨な形で失った雄一郎の嘆きが全てなんじゃないか? とも思う。
令和が次の殺戮の女神の時代でありませんように、なんて、選挙の野党の惨状を見ながら考える。今が、ヒットラーが国民選挙で選ばれ、ナチスが台頭した時代と同じでないと、だれが言える?
こんな感じで、読んでる自分の気持ちが現実と物語世界を行き来しつつ、「黒の女神」雄一郎の勇姿を追う。
女神隊を鼓舞する雄一郎なんて、ほんとヤバい。せめてもの救いは、雄一郎が自覚を持っていて、戦争に酔っていない現実感覚を持っていることだ。そして、なにはともあれ、大量の戦争の犠牲者の屍を礎として、平和なジュエルドの、ノア王の治世はもたらされた。
私としては、子供を産んでからの雄一郎がかなり好きだ。結果として(番外編までいれると)7人の子持ちになっちゃうわけだが、ちゃんと「俺」なのに「母様」と呼ばれ、子供たちの「母」として振る舞う雄一郎を好ましく思う。なんていうか、戦争が終わってしまえば軍人の出番はなく、内政も外交もノアとテメレア任せで、雄一郎はせいぜい暇つぶしの盗賊退治の他は、「母親業」しかやることなくなっちゃったんだろうな。
番外編については、賛否両論ありそうだけど、ゴートの執着と雄一郎の未練は私的には「アリ」だと思った。『雄一郎がどれだけ自分を憎んでも、疎んでも、それでも僕もテメレアも雄一郎を見捨てない。雄一郎がどんなことをしても最後には許す。雄一郎が好きだから。誰よりも大事だから』というかつての言葉を、ちゃんと守る2人の夫であった。雄一郎に8人目の子が生まれないかどうかは、神のみぞ知る???















