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2025年3月2日日曜日

0549 空を駆けるジェーン

書 名 「空を駆けるジェーン」
原 題 「JANE ON HER OWN」1999年
著 者 アーシュラ・K. ル・グウィン
絵   D・S・シンドラ- 
翻訳者 村上 春樹    
出 版 講談社 2001年9月
単行本 54ページ
初 読 2025年03月02日
ISBN-10 406210895X
ISBN-13 978-4062108959
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/126424231

 「どうして私達は翼をもっているんだろう?」小さなジェーンの疑問。それは空を飛ぶため! なんて簡単でシンプルな答え!
 翼は持っていないけど、彼らの仲間のアレキサンダーは、どうやらお父さん似ののんびりぐうたらで寝るのが大好きな成猫に育ったもよう。

 ジェーンは元気いっぱいな若猫そのもので、我が家の猫たちにも、「あと2年位したら、置物みたいになってくれるかしら」と遠い目になってたことを思い出す(笑)。さすがの運動量のうちのアビシニアンも、7歳になってさすがに置物に近くなってきたところ。やれやれ。(アビシニアンは、「イエネコ」というよりは小型のネコ科肉食獣って感じの、かなりハゲシイ猫なのです。)

 閑話休題。

 さて、前作で、私はきっとアレキサンダーとジェーンはカップルになるんだろうと思ったのだけど、大間違いでした。ジェーンはもっともっと、自立した(自立したい?)女でした。
 安全だけれど変化の少ない田舎を飛び出し、都会に単身飛び込む、現代っ子。もちろん、悪い男にも騙されたし、危険な目にも遭いましたが。
 そこで頼ったのは、実のお母さん。
 なんだかニンゲンも身につまされる話でした。なにはともあれ、都会の女ジェーンは、母と同居しながら、田舎とも行き来をし、アレキサンダーとも程良い距離を保ちながら、自由に暮らした模様。
 それにしても、翼の生えた黒猫じゃあ、悪魔狩りに遭わなくてよかった・・・と思います。

 余談だけど、なぜこの本だけ、サイズが小さいんだろう・・・。本棚に収まりが悪いじゃないか。

0548  素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち

書 名 「素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち」
原 題 「WONDERFUL ALEXANDER AND THE CATWINGS」1994年
著 者 アーシュラ・K. ル・グウィン
絵   D・S・シンドラ- 
翻訳者 村上 春樹    
出 版 講談社 1997年6月
単行本 60ページ
初 読 2025年03月02日
ISBN-10 4062081504
ISBN-13 978-4062081504
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/126422643

 なんと、イラストがオールカラーです。やった〜!
 空飛び猫の三冊目。主人公のアレキサンダーは、羽は生えてない普通の猫だった。お母さんは明るい茶色の長毛種(ペルシャのハーフ)で、アレキサンダーもふさふさのしっぽを受け継いでいる。お父さん猫はいつも寝ている(笑)。エネルギー過多で妹たちにもウザがられているようだけど、本人は無自覚。(こういう子っているよね。) ついに家族の家を飛び出して冒険に出てしまったアレキサンダーだが。
 道路でトラックに挽かれかけ、犬に追いかけられて逃げ、やみくもに逃げて木の梢に登って降りられなくなり!定番コースです。そこに助けにきてくれたのが黒猫ジェーン。子猫のときの恐怖体験のトラウマで失語症状態だったジェーンだったが、アレキサンダーはジェーンに怖かったことを話すように促し、彼女の回復を助ける。いずれはラブラブなカップルになる未来を感じさせたお話でした。

0547 帰ってきた空飛び猫

書 名 「帰ってきた空飛び猫」
原 題 「CATWINGS RETURN」1989年
著 者 アーシュラ・K. ル・グウィン
絵   D・S・シンドラ- 
翻訳者 村上 春樹    
出 版 講談社 1993年12月
単行本 59ページ
初 読 2025年03月02日
ISBN-10 4062058812
ISBN-13 978-4062058810
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/126408087

 「帰ってきた」のは、元の都会の街へか、ジェーン・タビーお母さんのところへ、か読者の元へか。
『空飛び猫』の続刊です。今は田舎の農場で安全に、幸福に暮らす4匹の空飛び猫の兄妹たちですが、だんだん、元いた街で暮らしているはずのお母さんが気になり始めて。
 話し合いの末、ハリエットとジェームズの2匹が故郷の都会の街の「ゴミ捨て場」に戻ってみることになる。ところが、長旅の末戻ってみると、ゴミ捨て場は無くなり、下町の路地には再開発の波が押し寄せている!
 しかも、廃屋になったビルの屋根裏には、なんと子猫の空飛び猫が一匹、取り残されていた。もちろん、彼らの弟(もしくは妹)でした。ジェーン・タビーお母さんとも無事再会、妹もつれて、田舎の農場に戻ったのでした。羽を痛めたジェームズが大旅行が出来るまでに回復していて一安心。
 なお、この本は巻末の村上氏の翻訳話も面白いのだけど、「HATE! HATE! HATE!」という子猫の鳴き声を「嫌いだ!嫌いだ!嫌いだ!」と村上氏訳。個人的には、猫の鳴き声に寄せて「ヤ、ヤ、イヤー!」なんかでも良かったな。なんて、ちと図々しいか(笑)

2025年2月24日月曜日

0542 空飛び猫

書 名 「空飛び猫」
原 題 「CAT WINGS」1988年
著 者 アーシュラ・K.ル=グウィン   
翻訳者 村上 春樹    
出 版 講談社 1993年3月
単行本 50ページ
初 読 2025年02月24日
ISBN-10 4062058804
ISBN-13 978-4062058803
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/126276547


 2月半ばから、にわかにル=グウィン月間に突入したので、以前から気になりつつ読んでいなかったこの本も入手。絵が素敵な本はやっぱり文庫本よりは大型の本よね、と思い、マケプレで状態の良い単行本を探した。
 こういう、状態の良い古書を手に入れやすくなったのは、Amazonの恩恵だと思う。
 いろいろと書店業界の現状に思うところはあれど、Amazonについては現状ではありがたさの方が勝ってるかな。もちろん街の書店さんも大事にしている。ちなみに、マケプレ出店しているオンライン古書店では、一番信頼が置けるのがバリューブックスさん、絶対に使わないのはブックオフ。ブックオフの『非常に良い』はバリューブックスさんの『良い』か『可』ぐらいのレベル感である。・・・とは話が逸れすぎだ。

 背中に羽が生えた子猫が生まれてきた! お母さんねこもビックリである。だけど、何しろ自分の産んだ子猫だし、せっせと舐めて世話して、一人前になったと見極めたら世界に送り出す。母の愛は偉大だ。 個人的には彼らの羽に生えているのは羽根なのか、毛なのかが猛烈に気になる(笑)。フクロウに虐められたジェームズがなんとか飛べるまでに回復して良かった。村上春樹氏の翻訳には定評があるが、巻末の訳注も楽しい。
 今作は、羽の生えた子猫たちが、ニンゲン(世の中では下僕とも呼ばれているが。)に出会うところまで。空飛び猫たちの次なる冒険が楽しみだ。

2024年8月26日月曜日

0495 小公子(羽田 詩津子訳/角川文庫版)

書 名 「小公子」  
原 題 「Little Lord Fauntleroy」1886年
著 者 フランシス・イライザ・ホジソン・バーネット(バーネット夫人)    
翻訳者 羽田 詩津子    
出 版  KADOKAWA 2021年1月
文 庫 288ページ
初 読 2024年8月26日
ISBN-10 4041095255
ISBN-13 978-4041095256
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/122711518  

 小公子を読み比べ中。この翻訳は羽田詩津子さん。
 私的には早川文庫の『シャム猫ココ』シリーズでお馴染みの翻訳家さん。前回読んだ川端康成訳『小公子』は、読んだタイミング(『カメレオンの影』を読んだ後だった。)も悪く、また文豪川端康成氏のやや古くて固い翻訳ぶりにもいまいち興が乗らず、けっこう酷評気味だったと自覚あり。
→ 0242ー43 小公子・小公女 (新潮文庫)
 やはりバーネットの翻訳であれば、女性の手になるほうが良いかも。次に控えているのは、西田佳子さん翻訳の本だけど、ぱらぱら捲った限りでは、この西田さんの翻訳もとても良い。伯爵の上流階級的な言葉遣いなどは、西田さん訳が一番素敵な気がする。
 
 で、今回はちょうど同時進行で読んでいるダグラス・リーマン『緋色の勇者』が同時代な気がしたので、時代背景も意識しつつ、読んだ。
 著者のフランシス・ホジソン・バーネット女史は、イギリスで生ま
れ、アメリカに渡って成長し、作家・劇作家になった人。
 作品の時代は1880年ごろ、イギリスはヴィクトリア女王の時代(在位:1837年6月20日 - 1901年1月2日)。ダグラス・リーマンの『緋色の勇者』が1850年。同じヴィクトリア女王の治世でも30年の歳月は大きく、リーマンの作品中では、まだ海軍の主力は大砲を並べた戦列艦(大型帆船)で、やっと作中に外輪の蒸気フリゲートが登場しているが、セドリックと母は、蒸気客船で大西洋を渡っている。おそらくスクリュー船だと思われる。
 出版当時、この作品は大評判となり、セドリックスタイルの黒のベルベットと白レースの子供服が大流行したんだとか。

 ドリンコート伯爵の跡取りを示す「フォントルロイ卿」はイギリスの儀礼称号と言われるもの。
 イギリスでは正式な貴族は当主一人のみなのだが、その家族は自分が所属する身分に従った儀礼的な称号を名乗ることができる。たとえば、伯爵家の長子は、伯爵が持つ従たる爵位を名乗る。つまり、ドリンコート伯爵は、この場合爵位は子爵なのか男爵なのかわからないが、フォントルロイという爵位も所持しており、その爵位を儀礼的に跡取りである直系男子に名乗らせているわけだ。なので、この小説の原作タイトルは「リトル・ロード・フォントルロイ」なのだが、日本で最初にこの作品が紹介された1890年(明治13年)、最初の翻訳者である若松賤子はこの作品名として「小公子」という名訳をあてた。それ以来、130年、日本では「小公子」というタイトルが不動のものになっている。

 驚いたのが、1886年にアメリカで出版されたこの小説が、4年後の1890年(明治13年)には翻訳されて日本で出版されていたこと。現在の出版スピードと大して変わらないのでは。翻訳者が女性というのも、素敵だ。翻訳者の若松賤子については、ぜひwikiを読まれたし。会津藩士の長女に産まれ、横浜の英語塾(後のフェリス女学院)でアメリカ式の教育を受け、後にはフェリスの教師も務めながら、翻訳を世に送り出した。日本の男女平等思想と女子教育の先鞭を付けた人である。

 ちなみに、自分が子供の頃、最初に読んだのは、こちら、偕成社の字の大きな、児童書。
 この表紙にだまされて(?)ドリンコート伯爵の犬はセントバーナードだと思い込んでいたが、実際にはマスチフだと今回再確認した。マスチフを手なずける7歳児の方がインパクトはあるな。もう、この本は手放してしまって手元にないのだが、良い本だったと思う。何度も読みかえしたものだ。もういちど読んで見たい気がする。

 感想はあまり書いていないけど、まあ「小公子」なのでいいよね。


2024年7月28日日曜日

0493 絵本 この本をかくして

書 名 「この本をかくして」
著 者 マーガレット・ワイルド  絵 フレヤ・ブラックウッド  
翻訳者 アーサー・ビナード     
出 版 岩崎書店     2017年6月
初 読 2024年7月27日
ISBN-10 4265850561
ISBN-13 978-4265850563
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/122135008   

 この人の絵、別の絵本も読んだはずだけど、どのお話だったかは思い出せない。優しい筆致と色合いで描かれた、破壊された町並みが悲しい。

 生まれ育った街が、戦争で破壊される。
 敵が攻めてくる。
 大切な図書館にも爆弾が落ちて、蔵書は粉々になって、吹雪のよう散った。だけど、おとうさんが図書館から借りていた、赤い表紙の本は無事だった。おとうさんが、何度も何度も読んだ本。自分達が何者で、どこから来たのか、教えてくれる大切な本だった。お父さんが宝物だと息子に教えた本。おとうさんは、息子を連れて、本を大事に鉄の箱に入れて、避難民の列に加わる。何日も何日も野宿をしながら歩き続けて、次第におとうさんは痩せて衰弱して・・・・。
 ページをめくって衝撃を受ける。・・・おとうさん、痩せた!

 おとうさんが亡くなって、山を越えて、海を渡り、新しい国にいってからも、孤児院で暮らし、苦労したろう。そして、戦争が終わって、国にもどり、本を図書館に戻す。沢山の人が、この本を、かつてのおとうさんのように、何度も読むだろう・・・・

 絵が、とても美しい。

2022年1月10日月曜日

0314ー15 ハイラム・ホリデーの大冒険(上・下)ソフトカバー単行本

書 名  「普及版 ハイラム・ホリデーの大冒険 上・下」
著 者 ポール ギャリコ  
翻訳者 東江 一紀  
出 版 復刊ドットコム 2014年4月 
文 庫 上巻/197ページ 下巻/225ページ        
ISBN-10 上巻/4835450515     下巻/4835450523  
ISBN-13 上巻/978-4835450513 下巻/978-4835450520
初 読 2022年1月10日 
読書メーター    
“人間は誰でも、程度の違いはあるが、二重の人生を営んでいる。自分の頭の中にある自分の人生と、友人や同僚の目にうつった自分の人生だ。”
 東江一紀さんの翻訳による児童書、ということで目を引いた作品。主人公は冴えない小太りの中年男でこの冒険譚!しかも1939年の出版でこの内容。よくぞ書いたり。

 東江さんによる「訳者あとがき」は必読。この作品が書かれた時代背景が簡略に述べられていますが、あの当時の情勢を、アメリカで創作活動をしていたポール・ギャリコが的確に捉えていたのはすごい慧眼だと思う。さすがは記者、というか、ギャリコの父はイタリア人、母はオーストリア人で、アメリカに移民したというから、父祖の地の当時の情勢に人一倍敏感だったのかもしれない。(このあたりの事情は下巻の解説に詳しく書いてあった。)
 見栄えもしない冴えない中年の米国人であるハイラム・ホリデー氏に連れられて、イギリス、フランス、チェコスロバキア・・・・(ここまでが上巻で、下巻ではドイツからオーストリアを経てイタリアに向かう。)とヨーロッパを股にかけた冒険を追いかけつつ、ハイラム氏とともに、ナチス・ドイツの暗雲がヨーロッパを覆い尽くすのをひしひしと感じる。その危機感を大西洋を挟んでまだまだ暢気な米国に伝えたようとしたのだろう。アメリカが参戦するのはここから3年後の1941年。日本による真珠湾攻撃を待つことになる。
 下巻は、いきなりハイラム・ホリデーの死刑宣告?! と刺激的な展開となる。ハイラムは、ベルリンに入った当日に“クリスタル・ナハト”を目撃する。目撃するだけでなく、ガマンしきれずに衝動的にSS(?)に殴り掛かり、居合わせた血に飢えた群衆になぶり殺しにされそうになる。そこに助けに割り込んだ絶世の美女。ハイラムは勢いにまかせて・・・・・大人の世界に突撃だ!(これ、児童書だったよな??)
 その後のオーストリア編では、これはサウンド・オブ・ミュージックの原型では?と思えるような、民謡を聴かせるレストランからの逃亡劇して教会の墓所へ身を隠し、決死のアルプス越え。いやすごい。重ねていうが、1939年の作品なのだ。
 そして、ローマ編。ハイラムは、彼の命を奪わんとするファシスト達の陰謀で、後に引くことのできぬ決闘に引き込まれる。。。。。

 下巻の解説を読めば、ハイラム・ホリデー氏が著者ポール・ギャリコの、かくあれかし、という夢の人格であることが判る。まさに冒頭の、“人間は誰でも、程度の違いはあるが、二重の人生を営んでいる。自分の頭の中にある自分の人生と、友人や同僚の目にうつった自分の人生だ。”という一文のとおり。


【第二次世界大戦 概略(アメリカ参戦まで)】
  1936年11月25日ドイツと日本帝国による防共協定
1937年7月7日日本が中国に侵攻(盧溝橋事件・日中戦争)
1938年3月13日アンシュルス(ドイツがオーストリアを併合)
9月29日ミュンヘン協定(ドイツ、イタリア、英国、フランス)。チェコスロバキア共和国の
スデーテン地方のドイツへの譲渡(※作中P.28の「ゴーデスベルグの会談」がこれ)
11月9日クリスタル・ナハト(水晶の夜)
1939年3月14日〜15日スロバキアは独立を宣言、スロバキア共和国を結成。ドイツはミュンヘン協定に反
してチェコの残りの領域を占領し、ボヘミア・モラビア保護領を結成
3月31日フランスと英国がポーランドの国境を保障
4月7日〜15日  イタリアによるアルバニアの侵攻および併合
8月23日独ソ不可侵協定および秘密議定書の調印。東ヨーロッパの分割
9月1日  ドイツのポーランド侵攻。ヨーロッパにおける第二次世界大戦が勃発
9月3日  英国とフランスがドイツに宣戦布告
9月17日ソ連が東からポーランドに侵攻
9月27日〜29日ワルシャワ降伏。ポーランド政府はルーマニアに亡命。ドイツとソ連は両国間で
ポーランドを分割
11月30日
〜翌3月12日
ソ連のフィンランド侵攻(冬戦争)。フィンランドは休戦を求め、ラゴダ湖北岸
と北極海沿いの海岸線地帯をソ連に譲渡
1940年4月9日
〜6月9日 
ドイツがデンマークとノルウェーに侵攻。デンマークは即日に降伏。ノルウェー
は6月9日まで抵抗
5月10日ドイツがフランスおよび中立の低地帯諸国を攻撃。ルクセンブルクを占領
5月14日オランダ降伏
5月28日ベルギー降伏
6月22日フランスが休戦協定に調印。これによりドイツはフランスの北半分と大西洋海岸
線地域全体を占領。ヴィシー政権樹立
6月10日イタリアが参戦。イタリアは6月21日に南フランスに侵攻
6月14日〜ソ連がバルト海沿岸諸国を占領、8月にはそれらの国をソ連に併合
9月13日イタリアがリビアから英国支配下にあるエジプトに侵攻
9月27日ドイツ、イタリア、日本が三国同盟に調印
10月28日イタリアがアルバニアからギリシャに侵攻
11月 スロバキア、ハンガリー、ルーマニアが枢軸国に加盟
1941年2月ドイツが北アフリカにアフリカ軍団を送り、イタリア軍を援護
3月1日ブルガリアが枢軸国に加盟
4月6日〜6月 ドイツ、イタリア、ハンガリー、ブルガリアによるユーゴスラビアの侵攻および
分割。4月17日ユーゴスラビア降伏。ドイツとブルガリアはイタリアを支持して
ギリシャに侵攻。ギリシャの抵抗が1941年6月初旬に終わる
6月22日〜11月 ドイツと枢軸国パートナー(ブルガリアを除く)がソ連侵攻。冬戦争の休戦での
領土喪失の救済を求めるフィンランドは、侵攻の直前に枢軸国に加盟。ドイツは、
バルト海沿岸諸国を制圧し、フィンランドと協力して、9月までにはレニングラー
ドを包囲。
12月6日ソ連の反撃によりモスクワ郊外からドイツ軍が撤退
12月7日真珠湾攻撃
12月8日米国が日本に対して宣戦布告し、第二次世界大戦に参戦。
太平洋地域の第二次世界大戦勃発

2021年9月12日日曜日

0293 ファニー 13歳の指揮官 (児童書)

書 名 「ファニー  13歳の指揮官」 
原 題 「LA VOYAGE DE FANNY」2016年 ※フランス語版
     ※ 初版は1986年スラエル 
著 者 ファニー・ベン=アミ
翻訳者 伏見 操 
出 版 岩波書店 2107年8月 
ソフトカバー 184ページ 
初 読 2021年9月12日   
ISBN-10 4001160102 
ISBN-13 978-4001160109 

 ナチスの迫害を逃れてドイツからフランスに逃げてきていた家族のささやかで平穏な生活が、ある日突然破られる。父がフランス秘密警察に連行されて行方が解らなくなり、母は子どもたちを非難させることに。
 5歳と9歳の妹のいるファニーは、母代わりとして幼い妹達の面倒をみながら、やがて同じく親元を離れて保護されている子どもたちのリーダーになる。そして、強い責任感と意志で、子ども達グループをまとめてスイスへの逃避行を敢行する。

 映画『少女ファニーと運命の旅』の原作本。
 実話です。
 ファニー・ベン=アミさんは、戦後しばらくしてからイスラエルに移住して、現在は娘さんやお孫さんに囲まれ、二人の妹さんも同じくイスラエルで健在、それぞれがホロコーストの記憶を次世代に繋ぐ活動をされている、とのこと。(2017年の映画公開時の情報です。ご存命ならたぶん91歳になられているはず。)
 ファニーさんは、子ども達だけで、フランスからスイスに逃げ、戦争終了までスイスで保護を受け、戦後はスイスで教育を受け続けることが認められずフランスに帰国、といってもそこでもフランスに帰化申請をしなければならなかったのですが。
 ご両親のうち、父は、ルブリン強制収容所で銃殺され、母は1944年にフランスでゲシュタポに捕らえられ、アウシュビッツに送られて殺されたことが、戦後通知されたそうです。彼女が待ち望んだ両親との再会は、ついにかなえられませんでした。

 児童書の体裁とはいえ、大人の読書にも十分耐える読み応えのある内容なので、多くの人に読んで欲しいと思います。

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 今、イスラエルとパレスチナの紛争、とくにガザ地区の惨状を見て、自分達だってあれほど残虐な目にあったのに、なぜパレスチナ人に対して同じように残虐な行為をするのか、という意見をよく目にしますが、事はそう単純ではないと思います。

 ♪人は悲しみが多いほど〜、人には優しくできるものだから〜♪と武田鉄矢が歌った『贈る言葉』は名曲ではありますが、それがきれい事に過ぎないと気付かざるをえないことは、誰もが経験していることでは?

 『人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。』と謳う日本国憲法を、私は崇高なもので、決して失ってはならないものであり、これこそが日本のあるべき姿だと理解していますが、ユダヤ民族は、ヨーロッパ全土で暮らしていた1100万人のユダヤ人のうち、600万人が極めて組織的に効率よく虐殺される、という空前絶後の体験を通して、自分の身の安全を他国や他民族に委ねることは絶対にできない、自分の身は自分でまもらなければならないもの、と骨身に染みているのでしょう。そして、自分の身を守るためには、やられたら確実にやり返すことこそ必要で、そしてこの現代の主権国家の時代において自分自身の身を守るために、国家の主権を維持しつづける、と堅く決意したのでしょう。イスラエル国家は国家の形をとったユダヤ民族の生存権そのものに見えます。
 これは、イスラエルが行っている数々の攻撃を正当化しようと主張するものではありません。ただ、今起きていることを単純化し、遠い地域からきれい事で非難したところで、なんの解決も見ないだろう、と感じます。
 日本人とユダヤ人を引き比べることが公正だとは思っていませんが、それぞれの国民が戦後取った道が正反対であることは、よくよく考えてみたいと近頃考えているテーマです。

2021年9月11日土曜日

0292 神さまの貨物(ポプラ社)

書 名 「神さまの貨物」 
原 題 「La plus précieuse des marchandises」2019年
著 者 ジャン=クロード グランベール 
翻訳者 河野 万里子  
出 版 ポプラ社 2020年10月 
文 庫 157ページ 
初 読 2021年5月15日 
読書メーター https://bookmeter.com/books/16673522   
ISBN-10 4591166635 
ISBN-13 978-4591166635
Amazonのレビュー(書籍紹介) 大きな暗い森に貧しい木こりの夫婦が住んでいた。きょうの食べ物にも困るような暮らしだったが、おかみさんは「子どもを授けてください」と祈り続ける。そんなある日、森を走りぬける貨物列車の小窓があき、雪のうえに赤ちゃんが投げられた――。明日の見えない世界で、託された命を守ろうとする大人たち。こんなとき、どうする? この子を守るには、どうする? それぞれが下す人生の決断は読む者の心を激しく揺さぶらずにおかない。モリエール賞作家が書いたこの物語は、人間への信頼を呼び覚ます「小さな本」として、フランスから世界へ広まり、温かな灯をともし続けている。
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 大人のための、子どものための、すべての人のための真実を描いた童話。
 ルーマニアから迫害を逃れてフランスに渡り、そこで、医学を修め結婚し、男の子と女の子の双子が生まれたユダヤ人の男。しかし、フランスもナチスの手に落ち、家族ともども強制収容所に入れられる。そして『貨物』となり、東へ。
 やさしい言葉で語られているのは凄惨な事実であるが、 これが「実際にあった話」として語られたならば、あるひとつのユダヤ人家族の、一人の男の、一人の女の子の悲劇として受け止められるだろう。しかし、「本当にはなかった話」として語られたとき、この話は普遍的になる。そんな風に感じた。
 反語で語られる最終章。あったのだろうか。いたのだろうか。そんな問いかけが心の中に不安を誘い、胸にざわめきを残す。もちろんあったのだ。動物とされ、貨物とされ、無学で粗野な森の深奥の木こりにまで “神を殺した呪われた奴ら” “たんまり金をもった泥棒” と蔑まれる、ヨーロッパのすみずみにまで染みわたっている偏見が。その偏見がもたらした民族抹殺という悲劇が。そして、その偏見は、いまでも根強くあるはずだ。
 ここに具体的に登場するのは、ドイツ人ではなく、ヒトラーユーゲントでもない。(ドイツ人は“くすんだ緑の軍服”で表現され、赤軍は“赤い星を付けた”と表現されてはいるが。)具体的な人物として登場するのはフランス人であり、ポーランド人であり、ロシア人であり、彼の地の普通の人々であることが、印象的だった。
 少女がピオネールに加わり、最も模範的な少年少女として、党の機関誌を飾った、というエピソードも受け止め方は様々だろうと思う。私は、どのような国であれ、どのような文化や思想の元であれ、子どもという存在は、愛や、承認や、最高の栄誉にも値するのだ、と思いたい。かの国でも、ユダヤ人は虐げられる存在だと聞いている。貧しい木こりのおかみが女手一つで育てあげたかつて貨物であった少女が(黄色い星ではなく)赤い星を胸につけ、誇りと喜びと健康一杯でプロパガンダの一端を担ったことの皮肉も思い合わせながら。

2021年1月4日月曜日

0244 ぼくのお姉さん (偕成社)

書 名  「ぼくのお姉さん」 
著 者  丘 修三 
出 版  偕成社  2002年9月  
初 読  2018年6月17日 
単行本  186ページ 
ISBN-10  4036524100 
ISBN-13  978-4036524105

 第一話の「ぼくのお姉さん」で、お姉ちゃんのひろちゃんが初めてのお給料で封筒を出すシーン、涙がこみ上げた。
 ダウン症という障害を得て生まれたひろちゃんを17歳になるまで一生懸命に守り育ててきた家族の、そこまで積み重ねてきた時間の重さ、大切さ。
 でも、この本を読んで思ったことがある。自分の思ったことを、口にできない。正しいと思ったことを行動できない。悪いと思っているのに謝れない。これだって、生きていく上では「障害」ではないか。
 障害は、知恵が遅れていること、しゃべれないこと、歩けないこと、だけではない。人が自分の心のままに、穏やかに、正しく、幸せに生きていくうえで邪魔をするものはすべて「障害」だし、そういう意味では人はみな大なり小なりの障害を抱えている。
 この本に出てくる、嘘をついてしまう子、いじめてしまう子、いじめをもっと弱いものに転嫁してしまう子、みんな苦しい心を抱えている。
 この本で出てくる子の中で、多分一番しあわせをたくさん感じているのはひろちゃんじゃないだろうか。人の「しあわせ」とはなんだろう、ということを考えずにはいられない。 

0242ー43 小公子・小公女 (新潮文庫)

書 名 「小公女」 
著 者 バーネット 
翻訳者 畔柳 和代 
 出 版 新潮社 2014年10月 
初 読 おおむかし 
ISBN-10  4102214038 
ISBN-13  978-4102214039

 子どものころ読んで、実はあまり感銘を受けた印象のなかったこの物語。いわずと知れた名作だけど、改めて読んだら印象が変わるかしら、と思って小公子とセットで入手した。で、読んでみたのだが。
 持ち前の気品と想像力で苦境を乗り越える、という大変に美しいお話であるはずだが、想像力が行き過ぎていてほとんど妄想の域に達してるし、高貴というにはセーラの言動が鼻につくんだよなあ。あと、セーラ父の人物像も気になる。
 昔も気になった気がするが今はもっと気になる。イギリス人で「大尉」で、ダイヤモンド鉱山に出資している相当の資産家。但し中産階級で、貴族ではないようだ。この人インドで何してるの? 軍務やってるのか? ああ、やはり私は素直に読めなかったよ。なぜだ〜!


書 名 「小公子」 
著 者 バーネット 
翻訳者 川端 康成 
出 版 新潮社 2020年6月 
初 読 おおむかし 
ISBN-10 4102214054 
ISBN-13 978-4102214053 

 『小公女』と違って、この本は小学生の頃から大好きだった。これまでも何回も読み返してほっこりしている。
 しかし、川端康成の訳がいまいち性に合わないのか、こちらがだいぶ人間的にスレたのか、どうも今回は素直に話が入ってこない。折しも丁度読んでいた『カメレオンの影』でジャクソンがセドリックのことを

「私に言わせれば、あの少年は退屈な女を母親に持つ、ばかげた格好をした、ただのおべっか使いよ」

と一刀両断(笑)
 前からうすうす思っていたけど小公子って、見た目が7割っていうか、もし彼が金髪の可愛らしいなりをしていなかったら成立しないよね。あれが赤毛の顔色の悪いソバカスガリガリ(赤毛のアン?)だったらどうなっていただろう、ビロードに白いレースカラーのお坊ちゃん服が似合っていなかったらどうなっていたんだろう、とつい考えてしまう。そして、領民に与え尽くして財産なくして没落貴族になる前に、ぜひセドリックには大学で経済学もしくは経営学を学んで欲しい、と切に願う。