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2018年9月30日日曜日

0144 IQ

書 名 「IQ 」 
著 者 ジョー・イデ 
翻訳者 熊谷 千寿 
出 版 早川書房 (2018/6/19) 
初 読 2018/09/30 
 
「アイゼイアは怒りも感じていたが、何より感じたのは圧倒的な悲しみだった。」「赦されたわけではないかもしれないが、勘弁くらいはしてほしいね、とアイゼイアは思った。」

 底辺の、黒人、ギャングスタ、ドラッグ、クラックにまみれてメンツと金の為に他人を巻き込んで殺し合い、スラングとセックスまみれで汚泥のような。。。。。

 人生に抗えずに巻き込まれていくのに、なにこのさわやかさ。一冊丸々アイゼイアの若き苦悩の書だけど、面白いのはこれから!て感じが満々。これから兄を殺した犯人捜しが始まりそうだし、ドッドソンも可愛げがあるし。意外にも、料理で読める。ドッドソンのケイジャン料理が美味そう。『料理の鉄人』ってあっちでも放映してたのね(笑)
それにしても、今ブログにレビューを登録していて、これを読んだのが2年も前だということに、愕然としている。私、2年間なにをしていたのかな〜?

2017年12月21日木曜日

0077−8 ファイナル・ターゲット 上・下

書 名 「ファイナル・ターゲット 上」「ファイナル・ターゲット 下」 
原 題 「The Enemy: (Victor the Assassin 2)」2012年 
著 者 トム・ウッド 
翻訳者 熊谷 千寿  
出 版 早川書房 2013年3月 
初 読 2017/12/21


 読み友さん方から、「ビジネス書のタイトルだったら『仕事の9割は段取りで決まる!』(暗殺者編)」とか、「超絶イカしたお仕事小説」との評を得ているこのシリーズ。とにかく、これだけ集中して徹底的に準備できたら、なんだって上手くいくのでは、と思える偏執狂的周到ぶりである。 

 さて、 死闘から7ヶ月にしてヴィクターが仕事を再開。「殺すにはいい朝だった。」超クールと思いきや?びっくりの展開でつかみはOK。
 これまでフリーランスで生き延びてきたヴィクターは、やむを得ぬ経緯でCIAを雇い主として受け入れることになった。しかし情報を与えられず、不利な条件での仕事を強いるハンドラーへの苛立ちは募る一方。
 次々と標的を与えられ、この仕事の後は解放するという餌でつられるが、無理を強いられた挙げ句準備時間不足で不確定要素の強い作戦に第三勢力が乱入。「疲れた。(略)最悪の結果になった。ヤムートは逃げ、第三者の監視チームを殲滅し、その際、傷を負った。」 仕事道具=銃器その他諸々、微に入り細を穿つ執拗な(笑)描写がイカしてます。いや、私は好きだけど。
 街に溶け込む服装の選択はジェントリーより洗練されてる。本人も都会的なセンスのいい服装が好みだと自覚あり。でもセンス良すぎるとかえって目立つからそこは地味目で上品なチョイスで。
 今回は彼女(?)も登場。でも彼女にするまでに何ヶ月も身辺調査をする当たりがやっぱり偏執的。ちょっとヴィクターの寂しさもうかがえるエピソードではある。前作の不器用ぶりはどうした?と思わないでもない。 
 ヴィクター、はっきり言って好みだ♪ どっちかっていうと、ツッコミどころ満載のジェントリーよりも好きかもしれない!他の皆様も書かれてますが、ビジネスへの徹底ぶりは見習いたい部分あり。準備にこれだけ徹底すれば、さぞかし仕事は楽に回るのだろう、とふがいない我が身を省みる。さて、ここまでが上巻。でも下巻を読み終わってしまったら、続刊が翻訳されないシリーズをまた一つ抱えて、ツライ日々を送ることになるのだ。

 狙撃シーンの冴え渡る描写、クールなのにどこか人間味を感じさせる会話。追い詰められるほどにヴィクターは格好良くなっていく。プロクターの詰めの甘い計画のせいで某世界最恐組織の人間を殺害する羽目になり、恨みを買ってしまう。数少ない友も敵の手に落ちる。まさに八方塞がりだが、自分を狙う殺し屋チームには冷静・冷徹に対処。手の内を明かさない調教者に対しては強引かつ超強気な手法で揺さぶりをかける。(ここ、好きだ。)
 ここに至ってやっとプロクターとそこはかとない信頼関係も見え始めて、今後の展開が実に気になるところだ。 それに加えて、傷つき敵に追われて無防備にも長距離バスの後部座席で疲れ果て眠りにおちるラストときては、次作が気になること甚だしい。あちらではすでに7作(多分)が出版されているが、本邦では2013年以降刊行が途絶えている。続きを出す気ないのかハヤカワ!!がんばれハヤカワ!!できたらグレイマンと、ヴィクターを半年間隔で交互に出版しくれると、グレイマンファンもヴィクターファンも必ず買うので、WINーWINだと思うのですが、如何でしょうか?

2017年12月14日木曜日

0075ー6 パーフェクト・ハンター 上・下

書 名 「パーフェクト・ハンター 上」「パーフェクト・ハンター 下」 
原 題 「The Hunter (Victor the Assassin Book 1)」2010年 
著 者 トム・ウッド 
翻訳者 熊谷 千寿  
出 版 早川書房 2012年1月 
初 読 2017/12/14



 いきなり訳もわからないままに、パリの町中で熾烈な銃撃戦。冷徹な凄腕の殺し屋にさらに暗殺集団がけしかけられたことしか判らない。いきなり引き込まれる。
  この男、毎年少なくとも年末までには懺悔をすると決めているらしい。かなり敬虔なカトリックらしい。
 「この先ずっとCIAのターゲットのまま生き続けるのだけは、死んでもいやだった。」これは、コートランド・ジェントリーへの当てつけか?いや、案外敬意かもしれん。
  そのコート・ジェントリーが直感と直情の人であるなら、ヴィクターは論理と理性の人。尾行をまく手順も戦闘能力も同等だが、ヴィクターはまるで精密機械。
  それが隠れ家にアンティークのグランドピアノを置き、ショパンを弾いて緊張を解すなんて粗雑なアメリカ男にはとても真似できまい(笑)。殺し屋の性格にもお国柄が現れてる。
  そのピアノも、敵の襲撃で木っ端微塵になってしまうところがアクション映画そのもので映像的。ご多分に漏れずSVRやらロシア人が登場して、いよいよ混戦の模様を呈するあたり既視感があるが、こういうのは、面白ければ良いのだ。そして、十分に面白い。
  ロシアパートが一番好きだ。ヴィクター(ヴァシーリー)はロシア生まれの暗殺者なのか?元KGBの工作員なのかな?この話だけじゃ回収しきれないであろう伏線たっぷりでシリーズ化の意欲を感じる設定チラ見せ(笑)。そそられる〜〜〜♪ 

 完璧主義、冷徹無比、暗殺者という職業に徹して何カ国語も駆使し自分を消し、徹底して無感動・無表情なヴィクターが、レベッカとの関係の中でだんだん人間味が出てくる。職業的本能と思いきやただ不器用なだけなのか?
「これしかまともに出来ることがなかった」とはたしか、ジェントリーも似たようなこと言ってたような?ついグレイマンと対比してしまうのはやむを得まい。
 ただ生きる為に自分の技量を用いて来た男が、その能力を賭けて主体的に欲したものは、復讐。
 3人の敵対する男が極小のエレベーター前空間であり得べき事か鉢合わせ。
 ぶん殴られ、ぶん回されるアニスコヴァチが見事なざまあ見ろ的小物ぶり。その後のカーチェイスの疾走感が凄くて映像がありありと脳裏に浮かぶ。殺し屋とヴィクターがお互いに敬意を示すシーンにこれ、映画で見たいわ〜。

 アルヴァレズが良い味出してる。有能で勤勉で、報われても報われなくてもベストを尽くす苦労人。アルヴァレスとヴィクターは気が合いそうな気がするんだけどなあ。この二人の共闘を読んでみたい。続編に期待する。