著 者 ユッシ・エーズラ・オールスン
翻訳者 吉田奈保子
出 版 早川書房 2012年10月
初 読 2018/01/09
清濁併せ呑むといった言葉が相応しい渋い大人のミステリー。誘拐監禁パートの陰湿さと予期される凄惨さに比して、捜査パートはややもすればとっちらかった感じだでどこか長閑さを感じる。
初めて読む北欧ミステリーなのだがこれが文化の違い?国や文化にも年齢や性格があるなら、最近読んでるアメリカミステリーは青二才って感じだが、こちらは壮年期をとうに過ぎて多少くたびれた老獪さと愉快さを感じさせる。
ライムなどのキレッキレの推理と比べたら、こちらの初期捜査のショボさにはがっくりくる(笑)が、その後の捜査手法もとにかく地味!資料を読み、調べ、電話し、現場に立ち、話を聞く。脅したりすかしたりもごく穏やかに。科学捜査何ソレ美味しいの?警察の分析班よりシリアの旅券偽造屋の方が腕がいいなんて、そんなのアリなのか(笑)
登場人物はホモカップル、レズカップル、オタクに偏屈と多様を極めるが、それが渾然一体となった均質感もまたある。一方で、正に異質なアサドに目くじらを立てつつも、なんとか穏便に取り込んで行こうとするカールの懐の深さと辛抱強さに感心する。これが文化か〜。アサドはまだまだガードが堅くて、謎が多いので続くシリーズで何が明かされていくのか楽しみが残る。どのキャラクターをとっても、一筋縄では行かないのが現実味があって良い。もっと文化的背景を知りたくなる。国の歴史とか、地理とか。
子供のしつけに甘いのも文化なのかな?16歳♂と14歳♀が自宅でエッチを試みてたら私は絶対にゆるさんぞ。自動車の後部座席でふざけまくる16歳も論外だ。この点だけは同情できない。
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