2019年10月7日月曜日

0187−89 特殊作戦群、追跡す! 上・下

書 名 「特殊作戦群、追跡す! 上」「特殊作戦群、追跡す! 下」 
著 者 大石 英司 
出 版 中央公論新社 (2017/1/19) 
初 読 2019/10/07


 東急田園都市線たまプラーザ駅から事件は始まり、東名厚木インター、川崎インター、246やら横浜港、氷川丸とやけに土地勘のあるエリアが舞台となって話が始まる。
 土地勘ありすぎて、かえって没入できず最初はもたもたした。なにしろ小説の内容がぶっ飛んでるんで、あそこでこの事件が?というイメージのすりあわせに弱冠手間取る。上巻、いやなかなかどうして骨太い展開になってきたよ。北朝鮮の工作員が出てくるかと思いきや、半ばSFな人造ハイパー兵士が相手の攻防とは。軍事オタクの高校生は出来すぎだが、空挺かっこよい。司馬小隊長おもしろす。部下に与えられた命令が「隊長が虐殺しないよう容疑者を守ること」だといわれちゃう戦闘狂らしい。

さて、下巻。 ううーん面白いっちゃ面白いけど、AAとSFとFTのちゃんぽん?て感じになってきた。
 軍事オタクの高校生はやりすぎ。いくら知識豊富ったって所詮はネットと軍事雑誌と基地見学くらいしか情報源がなかろうに、スクーターで通りすぎただけで敵の人数から装備から把握して偽装見破るだけじゃなく、トンネル天上に貼り付けられたものがC4だと見破るし、挙句「あの量ならトンネル崩壊まではしないから半日で復旧できる」、とか言っちゃうのはやめ給え。
 自衛官らしい自衛官の矜持や、公安らしい公安。結構なスケールの話になっているはずなのに、なんだかちんまりと収まってるのがまあ、日本らしいと思う。
 マッドサイエンティストもあまりにステレオタイプで、かえって可笑しくなる。話の展開はおおよそ想像したとおりで、特に意外性もなく。とりあえず空挺が格好良いから許す、という程度であった。
 タダの遠足のハズが引率者の想定外の事態が起こって大惨事、という初心者登山で起こりそうな事件でした。でもまあ。辛口レビューになったけど、一気読み出来る程度には十分面白かったです。

2019年10月3日木曜日

0185−86 エンジェルズ・フライト 上・下

書 名 「エンジェルズ・フライト 上」「エンジェルズ・フライト 下」 
原 題 「Angels Flight」1999年 
著 者 マイクル・コナリー
翻訳者 古沢嘉通 
出 版 扶桑社 (2006/1/1) 
初 読 2019/10/03 
 ボッシュは、内心ではタムに関するエドガーの結論に異論をいだいていたものの、・・・おいボッシュ!貴様ァ!
 アクは強けれど私の中では正義の人の範疇だったアーヴィングがついに暗黒面に落ちるか。
 一方ずっと反目しあってたチャスティン、彼は意外に良い奴なのか?
 これは良い演出だ。これから絆が生まれるのかやっぱりいけ好かない奴のままになるのか。わくわく。そして、エレノアとの破局はやっ!
 現場のバス停にはイーストウッド主演「我が心臓の痛み」の広告。
 「ほら、ちっともイーストウッドに似てないじゃない」とはキズの弁。
 それ言わせるのか!それ書いちゃうのかww やるなぁコナリー。 

 それと、登場人物一覧は結構なネタバレ感なので見ないほうが良い。

 下巻になって、めっきり出番が少なくなってどうした?と思っていたヤツが、まさか!な展開となる。今回は「皆殺し」の二つ名をコナリーに献上したい。そして、暗黒面に落ちるかと思ったアーヴィングはまだ、崖っぷちに屹立してる。このあたりが大物と小物のちがいかねえ。なんにせよ面白かった。やっぱりボッシュはいいねえ。