2025年4月18日金曜日

アーシュラ・K・ル=グウィン  略歴と著作(邦訳・代表作のみ)



アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula Kroeber Le Guin)  1929年10月21日生 2018年1月22日没

・アメリカの小説家でSF・ファンタジー作家。
・1929年10月21日、カリフォルニア州バークレー生まれ。
・父親はドイツ系の文化人類学者のアルフレッド・L・クローバーで、1901年にコロンビア大学でアメリカ合衆国初の人類学の博士号を取得し、カリフォルニア大学バークレー校でアメリカで2番目の人類学科を創設した。
・母親は、夫が研究で係わったアメリカ最後の生粋のインディアン「イシ」の伝記を執筆した作家で文化人類学者のシオドーラ・クラコー・ブラウン。
・ル=グウィンが生まれた日は、カトリックの聖女である聖ウルスラ(Saint Ursula)の祝日で、彼女は聖ウルスラに因んで、アーシュラ(Ursula)と名づけられた。

・子供時代は、バークレーで育つ。大学はラドクリフ・カレッジ(ハーバードと提携関係にあった名門女子大学。のちにハーバードと合併)に進学、フランスとイタリアのルネサンス期文学を専攻し、コロンビア大学で修士号を取得。1953年にフルブライト奨学生としてパリに留学し、フランス人の歴史学者チャールズ・A・ル=グウィン(Charles Le Guin)と結婚。帰国後に夫は州立ポートランド大学の教授となり、自身はマーサー大学、アイダホ大学などでフランス語を教える。1957年長女を出産、その後オレゴン州ポートランドに住む。1959年次女、1964年に長男出産。

・1958年頃から雑誌の書評欄や、現代の架空の国オルシニアを舞台にした短編を書き始め、1961年にその一つ「音楽によせて」(An Die Musik)を『ウェスタン・ヒューマニティズ・レビュー』誌に発表し、初めての商業誌掲載となった。
・1962年に『ファンタスティック』誌9月号に短編「四月は巴里」(April in Paris)が掲載されて本格的に作家デビュー、定期的に作品が雑誌に掲載されるようになる。
・その後『ロカノンの世界』『辺境の惑星』「幻影都市』の3長編を出版したが、注目されなかった。
・1968年に長編『影との戦い』を出版。
・1969年発表の『闇の左手』でヒューゴー賞、ネビュラ賞を同時受賞し、広く知られるようになった。
・2018年1月22日、ポートランドの自宅で死去。

作品一覧(邦訳)
《ハイニッシュ・サイクル》Hainish Cycle
・ロカノンの世界 (1966年)  サンリオSF文庫
             ハヤカワ文庫(別訳)
・辺境の惑星   (1966年)    サンリオSF文庫、ハヤカワ文庫
・幻影の都市  (1967年)        サンリオSF文庫、ハヤカワ文庫
・闇の左手  (1969年)         ハヤカワ文庫(新版)
・所有せざる人々  (1974年)    ハヤカワ文庫
・世界の合言葉は森  (1976年)   ハヤカワ文庫
     アオサギの眼  (1978年) を併録
・言の葉の樹   (2000年)  ハヤカワ文庫

《アースシー》(ゲド戦記) 岩波書店 
・影との戦い A Wizard of Earthsea (1968年)
・こわれた腕環 The Tombs of Atuan (1971年)
・さいはての島へ The Farthest Shore (1972年)
・帰還 - 最後の書 Tehanu: The Last Book of Earthsea (1990年)
・アースシーの風 The Other Wind (2001年)
・ゲド戦記外伝(ドラゴンフライ) Tales from Earthsea (2001年) - 短編集

 ・どこからも彼方にある国(1976年) あかね書房

《オルシニア》  架空の国を舞台にした非SF作品
・オルシニア国物語   (1976年) ハヤカワ文庫
・マラフレナ   (1979年)                サンリオSF文庫(上・下)

《空飛び猫》(絵本)
・空飛び猫  (1988年)
・帰ってきた空飛び猫 (1989年)
・素晴らしいアレキサンダーと空飛び猫たち  (1994年)
・空を駆けるジェーン - 空飛び猫物語  (1999年)

《西のはての年代記》 
・ギフト Gifts (2004年)
・ヴォイス Voices (2006年)
・パワー Powers (2007年) 

・天のろくろ (1971年) - サンリオSF文庫、ブッキング(改訂復刊)
・始まりの場所   (1980年) - 早川書房「海外SFノヴェルズ」
・オールウェイズ・カミング・ホーム   (1985年) - 平凡社(上・下)

《中短編集》
・ラウィーニア  (2008年)    河出書房新社 のち文庫
・風の十二方位   (1975年)  ハヤカワ文庫-主に初期作品集
・コンパス・ローズ   (1982年)  サンリオSF文庫、ちくま文庫 
・内海の漁師   (1994年)     ハヤカワ文庫(一部が《ハイニッシュ・サイクル》)
・赦しへの四つの道   (1995年)  早川書房「新ハヤカワ・SF・シリーズ」
・なつかしく謎めいて  (2003年)  河出書房新社(連作短編)
・世界の誕生日 (2002年)     ハヤカワ文庫(全8篇)
・現想と幻実 ル=グウィン短篇選集   (2012年)    青土社(全11篇)

《エッセイ等》
・夜の言葉‐ファンタジー・SF論   (1979年)  岩波同時代ライブラリー、(改訂)岩波現代文庫
・世界の果てでダンス  (1989年) - 白水社(新装版刊)
・文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室   (1998年)  フィルムアート社
・ファンタジーと言葉   (2004年)   岩波書店
いまファンタジーにできること   (2011年)   河出書房新社、河出文庫
・暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて - 河出書房新社
・私と言葉たち (2022年) - 河出書房新社

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