著 者 ジェイムズ・P・ホーガン
翻訳者 池 央耿
出 版 創元SF文庫 1981年7月
それにしてもタイムパラドックスまでぶち込んできたのには恐れいった。でも、ランビアンの好戦性をあの連中に帰結させるのはちょっとチープな感じがするし、地球人悪くなーい、っていうお気楽史観に今となっては安易さを感じてしまう面もある。
それでも、時代背景を考えれば著者が人間性に全幅の信頼を置いているのは救いかもしれない。なにはともあれ非常に面白い。最後の一文で第1部に回帰するところも感動。
《再読》
じっくり再読したところで、あらためて。ガルースとハントの友情が良い。それにゾラックとハントも。ソ連スパイの哀愁漂う背中にぐっと掴まれ、米国人とロシア人が手を取り合う展開にまた、書かれた時代を思いつつ胸熱。書かれたのが1981年だから、当時の米ソは冷戦まっただ中、ソ連はブレジネフ、米はレーガン、中曽根は83年からか。子供心にこの頃の新聞紙面は怖かったような気がする。そんな中で描かれた米ソの協力と世界融和。平和な未来。SF作家の未来への希求がぎゅっと詰まってる。
ついでにジェヴェックス、ヴィザー、ゾラックのそれぞれの戦いも見物。
ヴィザーに手玉にとられるジェヴェが若干哀れを誘うけど。ゾラックの「タリ・ホー」もじつに良い。
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