2020年8月23日日曜日

0218  燃える魚雷艇

書 名 「燃える魚雷艇」 
原 題 「A Prayer for the Ship」1958年 
著 者 ダグラス・リーマン 
翻訳者 中根 悠
出 版 徳間文庫 1988年2月

 記念すべきリーマン処女作。さすがに若い頃の作だからか、翻訳の違いなのか、描写が丁寧。
 主人公クライヴ・ロイス中尉、志願予備役でなんと任官3ヶ月目の20歳!このまだ未熟な中尉が魚雷艇に着任するところから始まり、一人前の魚雷艇艇長に成長するまでを、もちろん恋愛付きで、懇切丁寧に描写してます。
 彼が尊敬するハーストン艇長もまた若い。23歳。ですがすでに歴戦の勇士の貫禄を備え、ロイスを導き、艦を指揮する。小さな魚雷艇のこと、士官は艇長と先任の二人のみ。あとは下士官と水兵。つまり、ロイスは初心者なれど先任士官なのだ。激しい戦闘の中で、ハーストン艇長がロイスに艇を託して絶命。その後ハーストンには一人妹がいたことが判明。もちろん、ロイスにとって忘れられない女性となる。後任の指揮官はカービー少佐でこれが教条主義のイヤなやつ。カービー指揮下で闘う中で、ついに被弾し艇を喪う時がくる。ドイツ軍トロール船を道連れにしたものの、ロイス自身も重傷を負って死にかける。ここまでが前半。
 救助→治療→回復の過程の描写も丁寧で、後のリーマンが用いる、断片的に情報を提供して読者の想像にぶん投げる手法はまだ見えない(笑)。

 さて、後段は、百戦錬磨の魚雷艇乗りとして自艇を操るロイスの活躍と、恋愛模様。大尉に昇進し、殊勲賞を受け、最新のフェアマイル型魚雷艇を預かる艇長としての成長が語られる。
 ハーストン艇長の妹ジュリアと恋仲になり、クリスマスにジュリアを乗せてちょっとした冒険もしたりして。ドイツ駆逐艦やEボートとの激しい戦闘。港への帰還。突堤で入港してくる艇隊を見つめるジュリア。再会と抱擁。
 処女作とはいえ、やはりリーマンの全てが詰まってました。(正し、不倫と未亡人をのぞく(笑))。なにしろ主人公達が若いから!青春モード全開でした。

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