原 題 「Network Effect: (The Murderbot Diaries)」2020年
著 者 マーサ・ウェルズ
翻訳者 中原 尚哉
出 版 東京創元社 2021年10月
文 庫 540ページ
初 読 2021年10月15日
読書メーター
ISBN-10 4488780032
ISBN-13 978-4488780036
仏頂面の弊機はともかく、この“女の子”は誰なんだ、とカバーイラストが公表されたときから違和感しかなかった3冊目。この女の子は、どうやら弊機の後見人(?)であるメンサー博士の娘ということらしい。
とにかく人間嫌いな“マーダーボット”こと自称弊機は、今回も1行目からぶっとばしております。いやあ、中原さんの翻訳、相変わらず素晴らしい。
これも、ネタバレになることはあまり書きたくないな。とにかく相変わらずひねくれいじけ虫な弊機は、いろいろとこじらせつつも、誠心誠意人間の友人たちのために奔走。心を分ける機械知性であるART(の機体)に拉致され、当のART本体(知性)は存在がつかめず、どうやら削除=殺害されたようだと判断したところで、情緒的に破綻。メンサーの娘のアメナは、最初はマーダーボット弊機を嫌っていたものの、若者らしい柔軟さと情緒で、弊機と心を交わす存在になっていく。そしてまた、相変わらずARTが良い。後半登場する警備ボットの3号の一人称が「本機」なのが、弊機とは性格が違うことを感じさせる。これ、元からなの?それとも、原作はどちらも「I」で、翻訳で「弊機」と「本機」を訳し分けてるのか? 英語で原文を読んでる方に教えてほしい。(で、教えてもらいましたが、原文ではどちらも"I"だそうです。これを『弊機』と『本機』に訳し分ける中原さん、凄し。そして、日本語の表現力に感嘆する。文体から弊機と、マーダーボット2.0と、3号の性格の違いがにじみ出ている。)とにもかくにも、今作も翻訳の勝利! ああ、面白かった。
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