2023年8月29日火曜日

父の蔵書編5 筑摩世界文学大系 全89巻91冊


 実家にある父の書籍をいつか読みつくすのは私の大望なのだけど、あれ、ひょっとして無理じゃないか?もう時間切れじゃね? と思いつつある今日この頃。なぜそう思ったかというと、むかし父が、家に届いた筑摩世界文学大系を、「重いし、三段組みで字は小さいし・・・」とこぼしていたのが、もしかして今の私の年頃だったんじゃ・・・・? と気付いたからだ。
 そして、以前から気になっていて、いつか確認しようと思っていたのが、先の手塚治虫漫画全集同様、この我が家(実家)の文学全集、最後まで収集できているのか?ということ。
 最近は母の介護で、実家に週末ごとに通っているので、本棚の整理がてら、順番に並べ直してみた。なお、参考にさせていただいたのはこちらのHP
        → https://ameqlist.com/0ta/chikuma/zen_tai2.htm
 筑摩書房のHPにもリストが見当たらなかったため、自分でリスト化しようかと思っていましたが、も、こちらの雨宮孝様のリストで十分!素晴らしい精度です。有難うございました。

 そして今日、本棚をいじっていて、ちょっと古い新聞記事の切り抜きを発見。本当はまるっと掲載しちゃいたいところだけど、25年前の記事とはいえ著作権が・・・・なので、引用させて戴きます。

 毎日新聞 1998年(平成10年)9月4日(金曜日) 18面

『これが最後?世界文学全集』
 古代オリエントに始まる3000年の文学の集大成『筑摩世界文学全集』(全89巻・全91冊、筑摩書房)が刊行開始から27年かかってようやく今年5月に完結した。・・・・・

 1回配本は1972年2月の『トルストイⅠ』だった。(中略)91年9月に第89回配本の『名詩集』がでてから、最後に同時刊行された第90回配本『ジョイスⅡ、オブライエン』、第91回配本『セリーヌ』までに約7年の歳月が流れた。(後略)
 

 私が物心ついた頃に父はたぶん収集を始めていて、毎月2冊くらい家に届いていたと思うので、多分最初は、刊行済みのものを追いかけるように注文していたのかな、と思う。そして、最後の2冊については、父が亡くなる2年前に漸く刊行されている。この頃は、父は体調が悪化して本を買うどころではなかったように思うし、事実、本棚を確認したら、『ジョイスⅡ』と『セリーヌ』は未入手だった。それ以外に抜けていたのは、『ロマン・ロラン1,Ⅱ』『プルーストⅢA』の計5冊。このうち、プルーストについては、ⅢAの一つ前のⅡBがなぜか2冊あり、おそらくは発注ミスではないかと推測する。なんにせよ、このたび欠落分をなんとか古書で買い求め、ついに全集の完成をみることになった。しかしさて、私、これを読めるのか(笑)

先に引用した毎日新聞の記事の続きであるが、

 各出版社とも世界文学全集の新しいシリーズの刊行は途絶えている。各出版社の編集は「日本の住宅事情を考えると、全集を家具のように揃えておく時代は去った。 (中略)「『大系』が最後の世界文学全集になるかもしれない」という声も聞こえてくる。(後略)

 なるほど、キレイに箱に入って一揃いの文学選集は調度品だったわけか。

 父は常々、「本は財産だ」といっており、私もまたそれを信奉しているので、読書の折には、本に手垢・手汗をつけないように、とカバー掛けに余念がない。この全集、外箱は分厚くカッチリしているものの、表面は柔らかな手触りのいかにも手汗を吸いそうな和紙っぽい紙で装丁されていて、父が読んだ本と読まなかった本は、外箱の変色の度合いが違うのではっきり判ってしまう。いやもちろん保存よりは読むことを考えるべきなのはわかっちゃいるが、それにしてもこの外箱を汚損しないように保管したいもの。

 なお、父が揃えていた頃の各冊の値段は、2600円。むろん、消費税はない時代。最後に私が購入した『ジョイスⅡ』の定価は6300円となっていた。
 刊行に27年。収集にたぶん20年(+今回不足分を揃えるまでにはさらに25年くらい)かかった貴重な全集。定価からも、その表記からも時代の変遷を感じる。今回入手した『ロマン・ロラン』(古書)には、1300円の定価表示があった。
 たしかに、個人の蔵書としては、私はよくても、さらに私の子供の代になったら扱いに困るのだろうな、と思うし、とにかく本を大切にしたい私は、自分の老後にこの本たちがどのように処遇されるのかも心配ではあるが、今はとにかく、この父の遺産(?)をどうやって読むかを考えないと。なにしろ、文庫本のように手軽にどこででも読める、という代物ではない。じっくり腰をすえて、なんなら書見台に載せないと、手首も痛めそうだから。

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