原 題 「Project Hail Mary」2021年5月
著 者 アンディ・ウィアー
翻訳者 小野田 和子
出 版 2021年12月
文 庫 上巻:328ページ 下巻:320ページ
初 読 2023年12月9日
ISBN-10 上巻:4152100702 下巻:4152100710
ISBN-13 上巻:978-4152100702 下巻:978-4152100719
読書メーター 上巻 https://bookmeter.com/reviews/117619687
下巻 https://bookmeter.com/reviews/117637628
Amazonあらすじ:未知の地球外生命体アストロファージ――これこそが太陽エネルギーを食べて減少させ、地球の全生命を絶滅の危機に追いやっていたものの正体だった。人類の英知を結集した「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の目的は、ほかの恒星が光量を減少させるなか、唯一アストロファージに感染していないタウ・セチに赴き、その理由を探し出すことだ。そして、〈ヘイル・メアリー〉号の乗組員のなか、唯一タウ・セチ星系にたどり着いたグレースは、たったひとりでこの不可能ミッションに挑むことになるかと思えた……。
まさにあらすじ通りなんですが。いや〜、ウワサに違わず面白かったです。小説はどこまで面白くなれるか、にチャレンジでもしてるのか? 覚えのない環境で目覚めたらまったく自由に動くことすらできず、記憶もない。唯一の会話の相手は今ひとつコミュニケーション不全なコンピュータ。そして同じ室内には、おそらくミイラ化した同僚の遺体。そんな状況から、現状と過去が交互に差し込まれ、だんだん主人公、ライランド・グレースの置かれた状況が明らかになっていく・・・・。
大小の、今ここにある危機の波状攻撃。最大の危機は地球かと思いきや、それは14光年を隔てた異星文明の危機でもあり、極限状態でのファーストコンタクトであり、物理学や生物学であり、友情と信頼であり・・・・・「面白さ」の全てがぎゅっと詰まってました。いやはや。
なによりも、グレースの性格が良い。最初はストラットに使い走りに使われる科学者?って感じでしたが、だんだん、ストラットの横に常に従う、プロジェクトのNo.2になってるし。きっとストラットはグレースに、研究面以外でも助けられていたに違いないんだよ。最後は問答無用で最前線に叩き込んだけどね。ストラットが歴史学を専攻していた、っていうのも良かった。科学者が科学の粋を極めていくように、彼女は人類の歴史を知っているからこそ、見えてくるものをたじろがずに見詰めていたんだよ。
読み終わった後も、「地球はどうなったんだ〜〜〜!!」と気になってしょうがない。ストラットは? ディミトリは? 各国は? 気候変動はどこまで行ったんだ? 戦争になってしまったのか? 誰がビートルを受け取った? 27年か28年後の世界。その間に地球では何があったのか。苛烈で愛情深いストラット、皮肉が素敵なディミトリ、マッドなサイエンティストたち。彼らは生き延びて、万に一つの朗報に触れることができたのか。そして、地球の科学を学び、英語を学んだ異星人達は、いつの日か地球を訪れるのだろうか。
なんだか、エルトゥールル号から始まった日本とトルコの関係を思い出してしまった。
いつか訪れるかもしれない異星文明とのファーストコンタクトが、こんな幸せなものだったら良いな、と思う。
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