2024年1月1日月曜日

2023年12月の読書メーター

 2023年の心残りといえば、「BLの教科書」に着手していたのに、まだ第1章で止まっていて、最後まで読めていないこと。昨年くらいから、〇十年ぶりくらいに、BLを読み出したが、さて、自分はBLをどう言う文脈で読むのか。無責任に楽しい、ドキドキする、でももちろん良いのだけど、なぜ〈男×女〉や〈女×女〉じゃダメなのか?ってところが自分的には凄く気になって。元々恋愛ものはさして好きではないので、男×女は別に読みたいと思わない。男が書いたラブロマンスもエロも別に読みたいと思わないし、女が書いた女のエロもロマンスも自分にはフィットしない。BLやM/ Mは自分にとって「ファンタジー」だから読めるのか? それなのに癒やされたり感動したりしてるんだよな、などと思うところがあって、自己分析的に読みたかったのだが、まだまだ途中。さて、年末最後の月に読んだ本は、そんなこんなでBLばっかりでした。「ロイヤル・フェイバリット」は実に良かった。英国文化にも英王室にもさほど詳しくない自分がリアリティを感じられる程度には真実味があった。それにしても、こういう本が認められるほど英国は「民主的」なのか、日々タブロイド紙になぶられているだけに? それともこういう本なぞ歯牙にかけないほど、王室が超越的なのか。本物の階級社会なだけに? それとも米国発だから問題ないのかな? なんて考えながら読んでました。

12月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:4738
ナイス数:868

ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)ロイヤル・フェイバリット (モノクローム・ロマンス文庫)感想
表紙絵の鏡に映る像は角度的にちょっと疑念があるが、バルコニーの腰壁に隠れた2人の手が、後ろのガラスにはしっかりと手を繋いで写ってる、って趣向は良い。ジェイムスがカミングアウトを決意、ベンがジェイムスへの愛を自覚してジェイムスとともに自分との関係を公表することを覚悟した翌朝から。2人はマスコミ(パパラッチ)の荒波と、伝統的宗教的価値観との闘いに乗り出す。どんなに打ちのめされても、ジェイムスを守るという一点において強固なベンジャミンがどんどん良い男になっていく。クラブにお忍びで遊びに行くシーンがお気に入り。
読了日:12月31日 著者:ライラ・ペース

ロイヤル・シークレット (モノクローム・ロマンス文庫)ロイヤル・シークレット (モノクローム・ロマンス文庫)感想
ケニアのサファリリゾートで、記者のベンがスコールの中出会った青年は取材対象の英国皇太子だった。そしてチェスの勝負を仕掛けて駆け引きするうちに、相手が(も)ゲイであることに気付く。一度だけの火遊びが二度目の出会いで熱い恋になり、やがては深い情愛になる。純で熱くて、癒やし効果も抜群。それにしても英国王室、皇太子をネタにこの話が書けるのか、と驚愕。老舗の成熟した民主主義だから為せるのか?日本の皇室でこういうのはたぶん書けないだろう。うん、書いたら生命の危険を感じるような気がする。そういう意味でも一読の価値あり。
読了日:12月30日 著者:ライラ・ペース

YOOICHI KADONO Sketches:門野葉一 スケッチ集YOOICHI KADONO Sketches:門野葉一 スケッチ集感想
やはりカラー画集が欲しくなり。自分へのクリスマスプレゼント(最後・笑)と思ってポチっとな。最初の男性の絵でノックダウン。素敵すぎる。一コマごと、一つの風景ごとに物語が押し寄せてくるような気がする。線一本でこんなに人体を表現できるもの? つい、私もこんな絵が描けたなら、と思ってしまう。
読了日:12月30日 著者:門野 葉一

理想の肖像 (モノクローム・ロマンス文庫)理想の肖像 (モノクローム・ロマンス文庫)感想
門野葉一イラスト・冬斗亜紀翻訳。これも門野氏の絵にひかれて補充。短編ながら、凄く真面目なゲイ小説だった。新聞記者で、大成することを渇望しているものの、臆病で“クローゼット”から出ることができないポール。彼が偶然取材したのは事故現場で命がけの救助を行ったヒーローのドリュー。カミングアウトの難しさと怖さ。ポールの心情がリアル。
読了日:12月29日 著者:ベッキー・ブラック

門野葉一スケッチ集「MEN IN SUITS」門野葉一スケッチ集「MEN IN SUITS」感想
殺しのアートシリーズの表紙とイラストが美しいので、もっと「美しい」を補充すべく入手。スーツを着た男たち。スケッチなので基本鉛筆画でモノクロなので、次はカラー画集を見たい!とかえって欲が増したけど、中年男性やカーネルおじさんみたいな体型のおじさんまでいて、それぞれ魅力的。でも一番刺さったのは鉛筆の側面を使った太い線の濃淡で描かれた街中のカラス。無造作な線で生き生きと描かれてて、凄い。
読了日:12月28日 著者:門野 葉一

モニュメンツメン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)モニュメンツメン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
再読。やっぱりジェイソンが悪いんじゃないかとは思うが、終盤のドクとの語らいがとても好きだ。ジェイソン、大好きだった祖父と語っているような気分になっていたのかも? またも突然訪れたサムとの破局は胸が痛いけど、恋人であっても自分と他人は別の人間で、考え方も違えば大切に思うものも違うって言う、現実では当たり前なことをきちんと書いているのがジョシュ・ラニヨンの良いところだと感じる。
読了日:12月27日 著者:ジョシュ・ラニヨン

マジシャン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)マジシャン・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
再読。何が良いって、ジェイソンがサムとの関係に真摯に向き合って、きちんと言葉でコミュニケーションを取ろうと努力すること。人と深く繋がるって事は一筋縄では行かない。だからこそ彼らのSEXも素敵だし、ラストの危機からサムを見つけたジェイソンが言葉に詰まって何も喋れなくなってしまうシーンがむしろ雄弁で。このシリーズ本当に良い。ジョシュ・ラニヨンのまだ国内の紹介されていないシリーズも是非読みたい。どうか国内で翻訳出版してほしい。
読了日:12月26日 著者:ジョシュ・ラニヨン

ブラック・ラグーン (13) (サンデーGXコミックス)ブラック・ラグーン (13) (サンデーGXコミックス)感想
13巻です。5本指娘の話は、けっこうあっさりと終わったな。中指ちゃんがロアナプラの住人になってレヴィに懐くは、姐御に可愛がられるわ。ロックがずいぶんとワルい顔になってびっくりだわ。
読了日:12月21日 著者:広江 礼威

煙と蜜 第五集 (ハルタコミックス)煙と蜜 第五集 (ハルタコミックス)感想
一巻目や二巻目ほどの萌えはさすがに感じなくなったけど、女手ばかりの花塚家を手伝いしつづける文治サマが、相変わらず素敵です。あんな面(ツラ)だけど(^^ゞ、まだ31歳なんだよねえ。この巻では大正の師走の正月支度から年明けまで。初詣の熱田さんでは姫ちゃんが迷子になって不穏な出来事があったけど、真摯な文治サマに惚れ直しますね。さて、その文治サマ、鉄軍曹にどのような教育的鉄槌を考えていることやら次作が楽しみです。なお、年末年始とあって文治サマは私服多めです。時期的にも、この巻を12月に発行するのはナイス。
読了日:12月21日 著者:長蔵 ヒロコ



マーメイド・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)マーメイド・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
5巻目が出たので最初から真面目に再読している。初読時の私のレビュー、本当にすみませんでした(平伏)。一体私、何を読んでたんだ。なんできちんと読んでないんだ???ホント済みません。ナイス戴いた読み友サンには申し訳ない。今更断言するけどこれ、年ベス級に良い本です!ミステリーとキャラクターと、展開と。判りにくいサムにきちんと向き合っていくジェイソンも良いが、サムも良い。じわじわ来る。年の差、経験の差、適性の違いがある上で、指導したり、案じたり、信頼したり、協力しあったり。極上です。
読了日:12月16日 著者:ジョシュ・ラニヨン

モネ・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)モネ・マーダーズ (モノクローム・ロマンス文庫)感想
5巻が出て最初から読み直したくなる。この本、サスペンスの部分をすっぱり忘れ去っているので、きちんとストーリーを読もう、と姿勢を正して(?)読み始めたのに、やっぱり二人のラブラブ、もだもだに絡め取られてそっちに持っていかれてしまった。自分は犯罪捜査に人生の全てを捧げるのだ!って頭でっかちなサムに振り回されたジェイソンが不憫過ぎる。いったい何回、彼は涙ぐみそうになったんだか。でもそんなジェイソンの不屈な恋心に、サムの岩盤のようなガードも崩壊。仕事も愛も喜びも。愛情たっぷり注がれて育ったジェイソンだからこそ。
読了日:12月12日 著者:ジョシュ・ラニョン

プロジェクト・ヘイル・メアリー 下プロジェクト・ヘイル・メアリー 下感想
いや〜面白かった。帯の大傑作に偽りなしです。ヘイル・メアリー号が出発してから、地球はどうなったんだろうね。グレース以上に私が知りたい。あのストラットもディミトリも最後は彼方に置いてけぼりにする思い切りの良さ。ディミトリは好きだったなあ。ストラットは長生きしそうにないけど、最後まで生き抜いて欲しい。下巻中盤以降は、14光年の彼方にありながら微生物を培養する話になって、ちょっと勢いが無くなったかな、と思わないでもないけど、にしてもここまで盛るかってくらいネタと緩急と友情ブチ込んで、究極のエンタメ仕様でした。
読了日:12月09日 著者:アンディ・ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上プロジェクト・ヘイル・メアリー 上感想
まだ上巻なのに、こんなに面白いって何事? 小説はどこまで面白くなれるのかチャレンジしてるのか? その面白さの一端をストラットが担っているとは思うが、発想、展開、意外性、キャラクター、テンポ、全てがあって、全部面白い!下巻にGO!
読了日:12月08日 著者:アンディ・ウィアー

ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 (モノクローム・ロマンス文庫)ムービータウン・マーダーズ 殺しのアート5 (モノクローム・ロマンス文庫)感想
何とかサムと仲直りしたジェイソンはクワンティコに出頭(?)し、上司と面談、叱責をうけつつ、次の任務ーUCLAへの潜入調査の任務を受ける。事故か自殺とされた女性准教授は某有力元上院議員の孫娘で、元議員は捜査に納得していない。ジェイソンの任務は再調査というよりは元議員の気持ちを宥めることだが、いざ調査を開始してみると自殺とも事故とも思えない、となれば他殺。一方ロードサイド・リッパー事件に新たな展開があり、捜査班が再招集される。そしてジェイソンのストーカー、カイザーは遂にその魔手をジェイソンに伸ばし・・・・・!
読了日:12月03日 著者:ジョシュ・ラニヨン

機龍警察 白骨街道 (ハヤカワ・ミステリワールド)機龍警察 白骨街道 (ハヤカワ・ミステリワールド)感想
モサドきたーー! 龍機兵搭乗員3人に直接謀略の魔手が!せめてもの助けにと沖津が放ったのは、百戦錬磨の助っ人、元モサドの男。そして關がまた、登場。どこまで格好いいんだ、この人。ミャンマーの奥地での邂逅とまでくると、ちょっと漫画っぽくなっちゃうけど、それはもう良い。格好いいは正義だ!城木も宮近もがんばれ!關と沖津の間に実は何か関係があるんじゃないかと思うんだけどどうだろう? 今作では姿もかなり鬱屈を溜めてしまったが、そろそろ姿の内面にも迫ってほしい。
読了日:12月01日 著者:月村 了衛

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