書 名 「彼の歌の示す処(はるこん・SF・シリーズ)」
著 者 アン・レッキー
翻訳者 環 望
出 版 はるこん 1916年4月
とりあえず挿し絵は無い方が良かった。
★「ヘスペリアに栄光あれ」異世界転生モノっぽいSF。ヘスペリアは火星にあった王国らしい。ヘスペリアの王子が反逆者に一矢報いるため反逆者の過去に干渉しようとする。だが恐らくその行為が禁忌に触れ、火星の文明は砂塵と帰す。火星の太陽光でどうやって緑の植物が育つのかとか考えちゃ駄目。短篇なんだから色々と大目にみましょうね、という作品。
★「沼地の神々」 これは短篇にも関わらず随分と読み応えがある。村の沼地に住む比較的若い神々と偶然地表に出ちゃった太古の強大な神々の話。人間は神々と契約し、神々は契約相手の人間を害さないように慎重に振舞っている。そんな神々と上手に付き合って難局を切り抜ける女の子。神々の設定が全てなんだけど、多くを説明してないのにちゃんと理解させる所に著者の巧さを感じる。
★「彼の歌の示す処」 地球の先住種族が火星を目指すお話。野生と科学技術がどうやって共存しているのかちょっと不思議。彼らが火星に辿り着いて文明を築いていたら?