著 者 ロバート・ゴダード
翻訳者 北田 絵里子
出 版 講談社文庫 2017年3月
初 読 2018/04/19
焦点の大物スパイ、レンナーがどれほど凄いのか、何を狙っているのか、ということが相変わらずよく分からない。彼のスパイ網を網羅するファイルの存在が今回の焦点。ファイルを巡って争奪戦とパリでの策動が同時進行で進んでいく。
面白いけど、諜報物になりきれない冒険活劇だなあと。
1919年という舞台装置に、自分が勝手に大河ドラマ的歴史的壮大さを期待しすぎていたようだ。導入部の長い手紙は不要では。あんな解説的な手紙を上司にしかも暗号で送るのか?とやや興醒めする。マックスが貴族のぼんぼんで世間知らずで詰めが甘いんだよなあ。ヴィクターやジェントリーらの職業人達や、先に読んでる二人のマックス(『鷲は舞いおりた』と『栄光の旗のもとに』)のせいで、つくづく自分の採点が辛くなってるな〜とは思う。こちらのマックスは、退役パイロットで貴族の次男坊で、ただの巻き込まれ型だからね。
下巻になって、やっと本当に面白くなってきた。マックスは相変わらずどこかのほほんとしている。(本人は相当頑張ってるんだけど、あの状況下でサムと酒飲みに行くなよ)。
モラハンとアップルビーおじさんのプロフェッショナルが私好み。職業人は好きだ♪
そしてジョージ叔父が以外やタフさを見せたと思ったら、なんと母ウィニフレッド無双!ときた。
なんて言おうか、お母ちゃんが全部知ってるんじゃないの?それでもあえて突っ張るかマックス?
レンナーの陰謀もやっとその片鱗を見せ、父ヘンリーが為そうとしていた事も少し明らかに。すべての秘密は日本にあり。登場する20世紀初頭の日本人たちがうまく表現されていると思う、でも実際はどうだったんだろうか、と思いながら、やっと大河ドラマチックになってきたとうまうま。
終盤マックスがレンナーに翻弄されて、危機一髪!というところで第三部に続く。これが劇場公開映画だったらバカヤローと叫ぶところだが、ちゃんと第三部も用意してあるからさっさとGO!
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