著 者 ロバート・ゴダード
翻訳者 北田 絵里子
出 版 講談社文庫 2017年1月
初 読 2018/04/08
元英陸軍航空隊中尉のマックス(マクステッド)が、パリで変死した父の死因を追う。
第一次大戦の戦後処理パリ講和会議の最中、醜聞にも政治問題にもなり得る外交官の死は、各国の思惑から闇に葬られようとするが、真実を求めるマックスは真相究明に立ち向かう。
彼の前に立ち現れてきたのは、大戦を跨いで暗躍するドイツスパイの足跡。
読みやすい文体ですんなり時代に入り込める。戦後の混乱期であっても華やかさを感じさせるパリ、往年の名画を彷彿とさせる表紙の男のシルエット。格好いいとはこういうことさ、と誰かの台詞が浮かんでくる。
面白かった。ただ、何というかタイトル眺めて妄想していたよりずっと普通(?)の冒険ものだった。
上巻からずっと出てくるアップルビーおじさんが何だかとっても良い人である。はっちゃけマックスをまるで息子のように心配しつつ見守っているなあ、と思っていたら、本当に戦死した息子に見立てていたと知り、ちょっとホロリとさせられた。マックス父も、だたの老いらくの恋呆けではない何かがまだ隠されているようだし、まだまだ第一部。とっとと続きを読むべし。謎の大スパイ・レンナーに、なんとなく普通っぽい、というか、かつて読んだアルセーヌ・ルパンを思い出させる俗っぽい “いい人感” が漂うのと、主人公も状況を理解しないうちに、ドタバタと勝手に自体が収束していくので、最後が解説っぽくなってしまっているのが、ちょっと中途半端なで残念な感じもする。まあ、まだ途中だし、今後に期待しよう。
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