原 題 「Stalking the Angel」 1992年
著 者 ロバート・クレイス
翻訳者 村上 和久
出 版 武田ランダムハウスジャパン 2011年8月
初 読 2017/08/10
C&P11作目。
三人称で語られることでCとPの輪郭がいっそうはっきり立ち上がる。
正直、本当の意味で、コールの格好良さに気付いた。コールは前作(The Forgotten Man)でショットガンで撃たれて重傷を負っており、本作ではまだ自宅で療養・回復中の身である。にもかかわらず、自由にならない体をおして、パイクの為に活動する姿が実にタフで有能でクールで格好よいのだ。
一方のパイクは父に虐待された生い立ちから、「家族」というものに抱くあこがれのような特別な感情、ラーキンへの思い、コールとの友情などが、スリリングな事件の展開と絡み合いながらパイクらしくハードに表現される。「愛している」は蛇足だ、とは思ったけど、それも込みでパイクなのかも。とにかくこれまで邦訳されたシリーズでは、ターミネーターの印象しかなかった(笑)パイクの印象を改めることになる一冊。
ストーリーとしては、ラーキンとパイクのあれこれがメインのはずなんだけど、脇を手堅く固めるコールがいぶし銀のごとく輝いていて、ラーキンがかすむ。。。。。やっぱり、コール&パイクだよねえ。
解説等ではパイク主役のスピンオフってことになってるが、紛れもなくC&Pの11作目だと思う。
蛇足ながら、不思議と痛くないやりかたで殴られるって、それ痛くないんじゃなくて解離してるだけだから!虐待から心理的に逃避してるんだよ?
悲惨な育ち方で、身近に守ってくれるものがなかったからこそ、人として正しく行動し、他人を守れる人間になりたいと願うパイク。しかし世間の標準とはちょっと価値基準がズレてるので、組織の中では上手くいかない。結局パイクが選択した自分の正しさを実践できる生き方は傭兵だったのだ。
コールの存在は、パイクにとって最も価値あるもののうちのひとつなのだろう。
「自分がコールの背後を掩護していなかったら、たぶんコールは殺されるだろう」というのがコールのパートナーをやってきた理由。だから前作の負傷を引きずり、自分の身をまもるのもおぼつかないであろうコールに危険を持ち込んだ事を悲しんでもいる。そんな2人の友情と共闘が胸熱である。
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