2019年5月12日日曜日

0177 指名手配 (創元推理文庫) —コール&パイク17

書 名 「指名手配」 
原 題 「The Wanted」2017年 
著 者 ロバート・クレイス 
翻訳者 高橋 恭美子 
出 版 創元推理文庫 2019/05/11 
初 読 2019/05/12 

 まず登場人物欄をチェック。スコットとマギーは登場しない。知ってたけどやはり残念。これは念願の待ちに待ったC&Pの新刊である。と思いきや、なんだか訳ありそうな二人組がいきなり登場、その名もハーヴェイ。今回は2対2か?

 かつては電話が仕事道具だったコールも今や事務所のウェブサイトを持っている。フェイスブック、ツイッターなんて言葉も出てくる。コールが時代の変化にちゃんと乗っかっていて嬉しい。
 可愛げ皆無な同居人(猫)も健在。
 前作から関係が続いているヘスにご飯をねだられ、せっかく厚切り子牛肉を仕込んでいたのに突然の予定変更。料理の手順も肉を焼く音も完璧!しかしご相伴はいつもと同じやぶにらみの猫。ワクワクのディナーが一人メシに転じて、コールの人恋しさはひとしお。自ずと依頼者の母子家庭と自分の境遇を重ねて物思いが募る。

 私は子供が好きで、いい父親になれると思っていたが、自分の子供はいない。ルーシーの息子ベンは息子のように愛しい、「やっぱりあの父親を殺しておくべきだった」
 おいおい。まあ、C&P9作目『The Last Detective 』(日本未訳/創元さんお願い!!)の経緯を考えればいたしかたない。「私には子供がいない。猫が一匹いる。」いきなり序盤にこんな叙情たっぷりなシーンをブチ込んでくる著者クレイスの鬼畜っぷりは健在。コールファンとしては胸が掻きむしられるところ。

 最終章ではそのベンが登場、これは読者サービスかな?
 ベンはルイジアナ州立大学の大学生になっていて、背丈はもうコールと同じくらい。コールの影響を受けてかは知らないが、武術を習っている。親子にはなり損ねた二人が重ねてきた時間をしばし想像する。
 
 ところで彼の同居猫がコール35歳の時にはすでに貫禄のある成猫だったことはシリーズ愛読者公然の秘密♪あと数年生きれば立派な猫又です。

2019年5月9日木曜日

0176 ロンリー・ハート

書 名 「ロンリー・ハート」 
著 者 ジョン ハーヴェイ 
翻訳者 夏来 健次 
出 版 社会思想社  現代教養文庫(1992/5/1) 
初 読 2019/05/09 

 携帯も、ポケベルすら無く、コンピュータは有益な情報をはき出させるにも多大な手間が必要で、刑事達は足でひたすら聞き込みをし、モノをいうのはデカの直感。

 孤独な男女はSNSなど無い時代、雑誌や新聞の1行広告で出会いを求める。

「当方、○○歳女性、独身。ハンサムで知的で優しい男性を求む。お手紙ください。」

 孤独な女性がロンリーハートという広告欄に投稿し、そして無残な死体となる。

 4匹の猫にかしづくやもめの警部が、黙々と捜査。部下を案じ、猫を首に巻き、家にいる時は常に猫の数をかぞえつつ。
 大事なアパートに被害が及んだのは気の毒だが、猫に害がなくてよかった。次の巻、彼はこのアパートに住んでいるんだろうか、とそこが心配。
 気配のない猫を家中探し歩いたら洗濯物カゴの中で寝てたり、夜中に重い!と思ったら胸の上に猫が座ってたりの猫飼いの日常がいちいち腑に落ちて楽しい。
 完璧有能ハンサム美意識高いスポーツマン上司(警視)が、能力だけではなく人間的にもすごい人設定。上司に恵まれないボッシュにレンタルしてあげたい。
 イギリス警察の警視、って一つの小説のスタイルなのかな。「警視の○○」シリーズも積みつつあるので、読まなければ。あれ、レズニックの家はアパートじゃなくて戸建てだったかな?勝手にイメージ作ってたっぽいが、どっちだったっけ?