2020年4月11日土曜日

0196 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。

書 名 「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」 
著 者 Jam 
出 版 サンクチュアリ出版 (2018/7/7) 
初 読 2020/04/11 


  職場のビルで営業している本屋さんの、入り口正面の棚に平置きで鎮座しているこの本。やるな、本屋さん。そして気晴らしに本屋に入る度に立ち読みするワタシ。もう買っちゃえよ。とささやくワタシの中の本の虫。「恋するように嫌なヤツのことを考えるのやめよう・・・・」至極名言。そうだよ、そんなこと、そんなヤツのためにワタシの貴重な時間を費やすくらいなら好きな本でも読もうぜ? でも、ネットでお仕事されている方なので、“嫌なこと”が弱冠SNSに偏ってるかな。離れるという選択は、逃げじゃなくて知恵。これも名言。猫絵がかわいい。

2020年4月5日日曜日

0195 The Hunters of Vermin A TALE OF ENSIGN MAX ROBICHAUX

書  名
The Hunters of Vermin2017年11月
著  者 H. Paul Honsinger 
出  版 H. Paul Honsinger(Kindle)

 『栄光の旗のもとに』の前日譚『Deadly Nightshade』の後編。
 主人公マックス・ロビショー16歳。先進種族ヴァーハに偵察戦闘艇ナイトシェードごと、自力では帰還も叶わぬ宇宙の彼方に拉致されたマックスだが、ヴァーハのお眼鏡にかなったのか一方的に「訓練」を施され、ホーンマイヤーの任務部隊に帰還するまでの話。
 前話では母の思い出が語られたが、この巻ではジノファージ攻撃わずか二日前の父との最後の思い出が。マックス、お父さん似だ。両親の優しい記憶で胸の底を温めながらひたすら闘うマックスに落涙必至。
 マックスの父は、宇宙艦の設計技術者だったが、飛行機黎明期のプロペラ機のレプリカを手作りすることを趣味にしていて、手製の空力飛行機の操縦もする。この時には、8歳の息子を自作の飛行機に乗せて操縦させている。もちろん、普通に操縦席に座ったのでは前が見えないので、座席に台を置き、そうすると足がフットレバーにも届かないので、補助具を置いて。そして、飛行中のトラブルでエンジンが止まっても、そのまま息子に対処させてる。大胆だな、おい。
 マックスの無謀なほどの大胆さは父親譲りだと確信した次第。
 この優しい父子が二日後に見舞われる悲劇を思うと、胸に迫るものがある。
(ちなみに、このマックスの幼少期から培われた空力飛行機の操縦技術は、第2巻で遺憾なく発揮されており、同乗者のブラムを絶叫させている。)

 さて、本作冒頭、マックスの返還を要求するために、外交官であるミドルトンの兄がヴァーハに電文を送り、それにヴァーハが返答するくだりがある。ヴァーハの価値観や若者の育成に対する考え方が見えて面白い。
 “母も父もいない若いロビショーは、宇宙軍がその代わりとなって道を示さなければならいのに、親代わりであるはずの宇宙軍は未熟な彼を一人で危険な任務に送り出した。我々が助けなければ、彼はクラーグの獲物になっていた。したがって、宇宙軍は若いロビショーについて、返還を求める権利はない。ロビショーはわれわれとともにいる” といったことをヴァーハは主張するのだ。ヴァーハは、若い戦士を慎重に育成する文化を持っており、またいくつもの後進の文明を庇護下においてもいるらしく、自分たちの価値観を問答無用で相手に適用する。ホーンマイヤーのマックスへの仕打ちは彼らの逆鱗に触れ、マックスに対して庇護者として振る舞うことにしたらしい。とはいえ、宇宙最強の戦士種族ヴァーハのトレーニングは、人間のマックスにとっては、相当に過酷だったのだが。
 この、マックスが人類側に帰還するまでのヴァーハ戦士との交流が、後の人類対クラーグの戦局に大きな影響を与えることになるのは言うまでも無い。マックスは、名誉の戦いを重んじるヴァーハ文明において、名誉を伴わず、ヴァーハ戦士の手を煩わす必要のない“害虫駆除”を行ういわば、外人部隊としての訓練を受ける。この体験が、後に、ヴァーハに「獲物を分け合う」戦士として認められ、ヴァーハ名を与えられる原点になるのだ。