書 名 「SIS 丹沢湖駐在 武田晴虎」
著 者 鳴神 響一 出 版 角川春樹事務所 2021年5月
文 庫 288ページ
初 読 2022年10月16日
ISBN-10 4758444080
ISBN-13 978-4758444088
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/109628827
すこし前、武田が指揮をとった人質立てこもり事件で部下が重傷を負い、指揮官としてその責任は問われなかったものの、部下を指揮して危険に晒すことに自分はこれ以上耐えられないと感じたからだった。
第二の警察官人生を、地域の住民の安全な生活のために捧げようと、なんのてらいもなく、単身住み込みの駐在所での勤務に臨んだのだったが。
赴任して3ヶ月。
大事件など起こるはずもない、平和な山奥の温泉で、突然誘拐事件が発生する。
地元警察地域課の駐在員(おまわりさん)ながら、持てる経験と知識で人質救助の役に立ちたいと思う武田だが、捜査陣から見れば、しがない駐在員でしかない。前線本部が立ち上がり、指揮には管理官(警視)が派遣されてきた。そこに、かつて自分が指揮をとったSISの小隊も実働部隊として派遣されてくる。晴虎にできるのは、本部設営の手伝いにお茶出しくらいだが、捜査を進め、かわいい元部下たちの役に立つため、地元の状況を把握するものとして、煙たがられても必要な意見具申は行う。しかし元部下たちは自分を慕ってくれてはいるが、自分はどうみても捜査に協力を求められていない。
まあ、そんな感じで、結局、命令無視して1人で活躍しちゃう、っていうアレだけど。元部下がみんなついて来ちゃうのもお約束なんだけどさ。そういう予定調和っぽいのも、安心して楽しめるので悪くない。
犯人の動機が怨恨で、元自衛官で、習志野の空挺の、だから特殊部隊で・・・・って始まったときには、『ゴルゴタ』を最近読んだせいもあるが、(またこれかよ・・・)と内心思ったのは事実だが、まあ、それもそれで良い。米国ならどの部隊もよりどりみどりだけど、日本でこの役どころは習志野の空挺しかないもんね。ただ、犯人が動機を語りだしたあたりから漂う小芝居感・・・っつか、学芸会っぽい感じになってきた。
そうはいっても、武田のキャラはなかなかよい。第一線を退いた男の感慨や、それでも現役で頑張りたい気概が、わりあいドライに描かれていて、ちょっと枯れかけてきてはいるものの、まだまだ活きのいい中年男が良い塩梅なのだ。かなり好みだし、(元)部下たちとの掛け合いも気持ちよい。一巻目は人物紹介と心得て、二巻目に期待しよう。
最初の事件が横浜市瀬谷区で発生とか、丹沢湖・美保ダムとか、林道抜けると津久井郡とか、元・横浜市民にはとても懐かしさ溢れる舞台設定もよろしかったです。
(そういえば、小学校の社会科見学で美保ダムと丹沢湖に行ったわ。うん。)
ああ〜〜〜。なんだか丹沢に住みたくなった。おもわず丹沢移住情報サイトにアクセスしてしまった。温泉行きたいな♪
0 件のコメント:
コメントを投稿