著 者 アレグザンダー・ケント
翻訳者 高橋泰邦
出 版 早川書房 1980年1月
初 読 2020/07/26
どおりで、小学生のころ主人公の冒険にワクワクしてページをめくった気持ちを思い出したわけだ。
若きリチャード・ボライソー16歳、士官候補生時代の活躍。提督を祖父に、勅任艦長を父を持つリチャードは、16歳とはいえ12歳から船に乗り込み、すでに4年のキャリアを持つ士官候補生。自ずと艦長を観察し、上に立つ者の姿勢と責任を学んでいる。直属の海尉に理不尽にしごかれても冷静に対処出来るが、まだ幼い候補生が虐められるのは見過ごせない正義感は、公平な指導者の片鱗を見せている。
そして、退っ引きならない状況で海戦を指揮する事になった途端、現れるリーダーの資質。決断と剛胆さ。
アレグザンダー・ケントはダグラス・リーマンの別ペンネームなので、まあ、艦長に女は付きものであるらしいのだが、さすがに主人公が子供だし、ジュニア向け作品なので、今回は「艦長の女」は登場せず(笑)、純粋な冒険活劇の仕上がり。
若きボライソーの造形が、これまで読んできたリーマンの主人公達でいえば、『リライアント』のシャーブルック艦長の若い頃といった感じかな? ケント=リーマンを実感する。
彼、リチャードとこれから長い海路を共にするのだ。
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