2017年11月13日月曜日

0070 ブラック・ハート 上・下

書 名 「ブラック・ハート 上」「ブラック・ハート 下」
原 題 「The Concrete Blonde」1994年
著 者 マイクル・コナリー
翻訳者 古沢 嘉通
出 版 扶桑社 1994年5月
初 読 2017/11/13

【コナリー完全制覇計画No.3】
 裁判と事件捜査の同時進行。4年前ボッシュが市警本部から更迭される原因となったドールメーカー事件と、その模倣犯の仕業とおぼしき殺人。新たな殺人はボッシュを被告とする裁判に絡みながら過去の事件に新たな局面をもたらしていく。
 陪審員制度は被告原告双方が希う『正義』(真実とは異なる)をどちらか一方のみに与える不完全な仕組みでしかなく、その仕組みを巧みに操った方が『正義』を手に入れる。そんな法廷闘争で無傷ではいられないものの、ボッシュは自分が求める“殺人被害者の救済”という正義をひたすら追いかける。 
 社会の底辺で生きる女達にとことん寄り添っていくボッシュの揺るぎなさ。なぜならそれがボッシュにとって唯一の正義だから。そんなボッシュの辛い過去まで報道陣や傍聴人の前で暴きたてるショーアップされた陪審員裁判。

 前作で恋人になったシルヴィアは、ボッシュの心の奥底まで理解したいと要求するが、一方でボッシュが決して目を背けまいと自らに命じている殺人事件の犠牲者達の写真からは目を背ける。それはボッシュから目を背けるのと同じなのに。自分が理解し得ないことを理解しないところはエレノアに通じるものがあるか。なんかこういう女は嫌いだ。
「うんにゃ」も「おわかりか」もいいんだよ。それが「誰か」の口癖なら。でもいろんな登場人物がのべつまくなしに、「うんにゃ」とか「おわかり」とか言ってしまうとヘンだよね? 

 今回はボッシュ、事件と裁判の両方に苛まれてその合間にはシルヴィアの家に参じるため、家でゆっくりジャズを聴く暇もなく、BGMのジャズ要素は乏しかった。

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