5月は積読消化の雑食の月でした。しかし、依然積み上げるスピードの方が速い。クィネル、チェスブロを長年温めていましたが、読めてよかった。ハーヴェイ、ダグ・アリンや、東江さん翻訳のハードボイルドも続けてよみたい。ハードボイルド・ダークファンタジーが新たな発見だった。7月・8月は第二次大戦もの、および海洋ものに当てたいので、6月は引き続き、積読消化にあてる所存。
読んだ本の数:10
読んだページ数:4172
ナイス数:1036
レンブラントをとり返せ -ロンドン警視庁美術骨董捜査班- (新潮文庫)の感想
軽めのミステリかと思いきや、結構濃厚。名門パブリックスクール出身、大学で美術史を学んだ上で、スコットランドヤードの刑事を目指すという変わり種が主人公、しかも弁護士一家の長男。頭も育ちも性格も良いので周囲からもかわいがられ(イジられ?)、小さな失敗もしつつ、これからでっかく育っていく模様です。流血や暴力は極力すくな目、そして意外(?)にもイギリス法廷モノの趣もあり。法廷での父や姉との一騎打ちも今後の見どころか? コージーに近い味わいではあるけれど、本格ミステリの範疇と思われる。
読了日:05月31日 著者:ジェフリー・アーチャー
サンドマン・スリムと天使の街 (ハヤカワ文庫FT)の感想
これぞB級エンタメ。悪魔に天使、非天使、堕天使、人間に魔法使いが入り乱れての大混戦。あまり深く考えずに主人公スタークの絶妙な弱さとしぶとさと切なさを血の味とともに楽しむべし。これ、面白かった!映画化する時には、アリエタは4K 大写しのアップにも耐える肌のキメの細かい浮世離れした美人でお願いしたい。(『コンスタンティン』のガブリエルはちょっとお肌の劣化が残念だったので!)
読了日:05月27日 著者:リチャード・キャドリー
フラジャイル(20) (アフタヌーンKC)の感想
新キャラは、ちとステレオタイプっていうか、もはや叩き潰してくれと言わんばかりのやる気と熱意と自意識過剰。最近岸先生丸くなってない?MS–ハイの顕微鏡での診断にゾクゾクする。
読了日:05月25日 著者:恵 三朗
燃える男 (新潮文庫)の感想
かつて超一流の傭兵だった男が燃え尽きて人生の斜陽をむかえつつあったとき、親友に勧められて少女のボディーガードを務めることになる。といっても、腕を期待された訳ではなく保険対策のお飾りとして。しかし警護対象の少女に絆され、次第に彼は生きる意欲を取り戻していく。少女との心の交流が鮮やかなだけに、その後の展開が辛い。彼女は誘拐されて死に、クリーシィは銃撃戦で瀕死の重傷を負う。傷を癒やしてするべきことは一つしかない。クリーシィがあまりにも無双・無敵だが、彼を支援する男達がこれまた格好良い。
読了日:05月23日 著者:A.J. クィネル
摩天楼のサファリ (扶桑社ミステリー)の感想
こりゃ、ヴェイルに惚れるねえ。1988年の作品で、これが2006年にもなって日本で翻訳出版されたのって、奇跡に近いのでは?テイストはファンタジーとAAのミックス、微妙に非現実よりかな。コミカライズするなら篠原烏童さんで。純白の血とか、ファサードとか・・・ヴェイルの設定を造り込み過ぎてるのが非現実に寄る原因だけどそれはいい。だって格好良いから。問題はレイナ。一昔前のハードボイルドにありがちな、扱いにくい子猫的な女は好みじゃない。過去のトラウマ告白した次の瞬間に誘うありえなさ!こういう女がいいのか?ヴェイル?
読了日:05月17日 著者:ジョージ・C. チェスブロ
もう過去はいらない (創元推理文庫)の感想
とにかく、若い頃のほうのバックの暴力が酷い。あまりにも人を殴って傷つけるのでいささか閉口したが、終盤のバックの語りに全部もって行かれた。抵抗する手段を持たない女子どもを守る。地域社会の弱者を守る。ユダヤ人社会が二度と迫害を被らないように守る。そのために、迷い無く暴力を振るう。13歳になる息子ブライアンの思春期の鋭利な批判にも耐えながら。強欲な銀行家、非道な泥棒、ユダヤ人が格好よく描かれているわけでもないのがある意味リアルかも。読者層が高齢化しているからなのか、とにかく最近は、老人ハードボイルドが多いよね。
読了日:05月14日 著者:ダニエル・フリードマン
もう年はとれない (創元推理文庫)の感想
WWⅡに一緒に参戦した旧友が今際の際に、かつてバックを殺そうとしたナチ将校が実は生きていた・・・・と告白する。すでに刑事を退職して35年、87歳にして望んでもいないのに直面させたれた過去の因縁。それにしてもこの親友、一本もらった金の延べ棒はいったいどうした?というのは作中では明かされなかったのでおいておいて。ナチの金塊探しにバックが乗り出すと踏んだ、欲に駆られた小物たちがバックの周りで勝手に踊り出し、そして片端から残酷に殺されていく。浅ましい人間の中で、バックが老人らしく憮然・毅然としている。
読了日:05月08日 著者:ダニエル・フリードマン
接続戦闘分隊: 暗闇のパトロール (ハヤカワ文庫SF)の感想
面白い。間違いなく面白いんだけど・・・・・またかよハヤカワ!3部冊の一冊目で、続刊の刊行がない。しかも、1冊目で軽く完結すらしていない。本当の序盤。これからストーリーがどう転がっていくのかすら、想像がつかない。サイバーパンクな近未来戦争SFです。埋め込み型や装着型のガジェットでネットワーク接続し、地球の反対側にいるハンドラーと軍事ドローン経由で接続している小隊、LCS(リンクド・コンバット・スクワッド)の指揮官シェリー中尉の捨て身の活躍。中原尚哉氏の翻訳が光る。本当に、作品の雰囲気を訳し出すのが上手い。
読了日:05月06日 著者:リンダ ナガタ
暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)の感想
伝家の宝刀「ラングレー直通電話」を繰り出したのに、援助ではなくお迎えを派遣されてしまうジェントリー。CIAとCIAに追われていると思われているCIA元工作員と人身売買組織の戦闘員・・・の三つ巴にドキドキする。トラヴァーズが相変わらず良いやつ、スーザンは相変わらず嫌な女。早く殺されればいいのに(と心の声)。ザックの悲哀とロートル達の大活躍。やはりナム世代が格好よいよね。そしてなによりショーンだ。あんたの未来に良いことがありますように。上巻出だしはどうなることかと思ったが、終盤のスピード感は絶好調。
読了日:05月03日 著者:マーク・グリーニー
暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)の感想
我らがコート・ジェントリー君に送る言葉。「下手の考え休むに似たり」 まあ、ジェントリーの制御不能な暴れ馬的良心が選んだ道は休むどころではないが。ともかくもグリーニーの実験にお付き合いするこの巻。書くのも今更感があるがジェントリーの一人称現在型。ジェントリーの思考が何の役にも立っていないのに冗長だ(笑)。おまえもう黙って働け。PITを2ページにも及ぶ解説はいいにしても内容がwww 俺はCIAでコレを習った。その後も自分で習熟した。おれなら出来る。やるんだジェントリーっ。いいから黙ってやれや(笑)。
読了日:05月01日 著者:マーク・グリーニー
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