原 題 「Strega」 1987年
著 者 アンドリュー・ヴァクス
翻訳者 佐々田 雅子
出 版 早川書房 1995年1月
初 読 2018/08/21
今回は性被害に遭った少年を助ける為にバークが奔走する。だけど、隠れた(いや、隠れてないかも)テーマは、幼少時の性虐待がどれだけその子ども(いずれは大人になる)の人格形成に酷い影響を残すか、という例をストレーガの姿を通して示すこと、かもしれない。
異性関係を支配/被支配でしか捉えられず、自分の肉体を投げ出す事で相手を支配しようとする行動パターン。
自分の価値をセックスにしか見いだせない。
他人と信頼や愛情を交わすことができない。
人間としての成熟を阻害され、幼児性が顕在化している一方で、虐げられたこと、助けてもらえなかった事への怒りがいつも自分の中に渦巻いている。
ストレーガの存在がとても重い。でもふとした瞬間に癒される事もあるのが人間の不思議でもある。男の子を守って癒した事、信頼に値する人間に出会った事がストレーガの癒しになるといいと願う。そして一服の清涼剤のようなミシェルの存在が素晴らしい。あんな女になれたら良いのに。
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