2020年9月1日火曜日

2020年8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:4086
ナイス数:866

砲艦ワグテイル (創元推理文庫)砲艦ワグテイル (創元推理文庫)感想
ついに出た(´∀`)。伝統のアル中艦長!初っ端の危機には、気弱で屈折した退役間際の副長ファローが思いの外いい奴で泥酔したロルフ艦長を渾身で世話してくれたのでホッとした。いやあ、命令書持って参謀が来艦というのにいきなりの艦長ご乱行で、どうなる事かと(汗)。WW2終結後、勢力拡大を図る中国共産党。国民党旧勢力が支配する小島に英国人集落がある。中共の動きが怪しいので事を構えずに英国人を脱出させたい。ロクな港もない小島に接近できるのは、退役間際の河川用砲艦である老艦ワグテイル号。艦長は左遷されてきたアル中である。
読了日:08月30日 著者:ダグラス リーマン
志願者たちの海軍 (ハヤカワ文庫NV)志願者たちの海軍 (ハヤカワ文庫NV)感想
カナダ人の予備役大尉で航海長のフレイザー、警察官から海軍入りして小型艇に乗り組みたかったアイブス、掃海艇乗務から機雷除去のエキスパートになって、聖ジョージ勲章まで受けたアランビー。志願の動機は生き甲斐、やりがい、はたまた生存戦略。3人の男達が集ったのはオールダンショー少将麾下の特殊部隊『ブロザローの海軍』。ハスキー作戦の前哨戦から始まり、Dーdayを経て終戦までを闘い抜く。戦争が日常の男達の群像。どこか薄幸そうだったアランビーは恋人を喪いついに報われず。酷薄な陸軍士官の描写にリーマンの海軍びいきがちょっと
読了日:08月28日 著者:ダグラス リーマン
燃える魚雷艇 (徳間文庫)燃える魚雷艇 (徳間文庫)感想
記念すべきリーマン処女作。さすがに若い頃の作だからか、翻訳の違いなのか、描写が丁寧。主人公クライヴ・ロイス中尉、志願予備役でなんと任官3ヶ月目の20歳!このまだ未熟な中尉が魚雷艇に着任するところから始まり、一人前の魚雷艇艇長に成長するまでを、もちろん恋愛付きで、懇切丁寧に描写してます。彼が尊敬するハーストン艇長もまた若い、23歳。ですがすでに歴戦の勇士の貫禄を備え、ロイスを導き、艦を指揮する。小さな魚雷艇のこと、士官は艇長と先任の二人のみ。あとは下士官と水兵。つまり、ロイスは初心者なれど先任士官なのだ。
読了日:08月23日 著者:ダグラス リーマン
掃海艇の戦争 (ハヤカワ文庫NV)掃海艇の戦争 (ハヤカワ文庫NV)感想
世間の耳目を集める大型の作戦、ハスキー作戦やノルマンディー上陸の影で、味方の艦船の航行のためにひたすら下働きの機雷除去を続ける小型艦。戦闘に向かう攻撃艦や上陸用舟艇のために、まず安全な海路を開かねばならない。小型艇とはいえ80余名が乗る掃海艇の艇長は、イアン・ランサム少佐28歳。年の離れた弟が地中海で戦死したとの報にも、胸が潰れる思いを押し隠し、冷静に艦を指揮する練達の艇長。艇を愛し、部下思いで、個性豊かな乗組員の悲喜こもごもを交えつつ指導育成する指揮官としての姿も読みどころである。
読了日:08月22日 著者:ダグラス リーマン
AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)感想
読むというよりは見る。戦前のモノクロ写真をデジタルと関係者の証言でフルカラー化。とても綺麗で、かつ臨場感を持って甦った戦前ー戦中の写真。圧巻だったのは真珠湾で爆発する駆逐艦。胸につまったのは子供と女性たちの笑顔。モノクロだと歴史の彼方に隔絶された感じがする戦争が、にわかに身に迫ってきた。戦争など遠い昔だとつい感じている人に是非見てほしい。
読了日:08月16日 著者:庭田 杏珠,渡邊 英徳
神の棘II (新潮文庫)神の棘II (新潮文庫)感想
【CNC(Crime Novels Club)参加中】WWⅡ終戦75周年。さて、なぜ、そんな行動を取るのか、上巻でチラリと触れたレジスタンスとの真の関係は何だったのか?アルベルトの行動がイルゼの証言で明らかになる。しかし「自由」になった後も何故武装SSに志願したのか。なぜ戦い続けたのか。ドイツ人としての矜持?責任感?マティアスを尋問する体裁をとりつつ、治療を施しSSが解放せざるをえなくなるまで庇護下においた。アルベルトが本当に守りたかったのは、イルゼとマティアスの二人だけだったのだろうか?
読了日:08月15日 著者:須賀 しのぶ
神の棘Ⅰ (新潮文庫)神の棘Ⅰ (新潮文庫)感想
まずはこのテーマを日本人が書いてよいのか、と驚くとともに、作者に敬意を表する。キリスト教、世俗権力化した宗教、第一次大戦後のドイツ社会の混乱と世相、なぜ、ナチスが生まれたのか、ユダヤ人迫害、レジスタンス。正義はなく、通底するのは人間の弱さ、醜悪さ。そこに切り込んでいった著者の意欲は買う、だがしかし。残念ながらマティアスの造形が軽いのです。もっと深みのある人物にできなかったものか。決定的な事件を目撃した原因が居眠り、というエピソードもにわかには信じられない軽さなのだ。とにかく、行動が浅はかなのが残念至極。
読了日:08月12日 著者:須賀 しのぶ
起爆阻止起爆阻止感想
リーマン御大80歳、35作目の作品で、年寄りの昔語り宜しく筆の遊ぶまま悠々自適な書きっぷり(笑)。細かく時間を刻んで話が前後するので読んでいると迷子感が半端ないが、とまれ面白い。主人公デイヴィッド・マスターズ少佐は老成して見える29歳。時折触れる頬の傷跡。元潜水艦乗り。かつて新造艦の指揮官として出航、港の鼻先で初潜行したその時、触雷して艦が沈没。艦橋のマスターズは海に投げ出されて助かったが、部下は全員が艦と運命を共にした。一人生き残った罪悪感。初めての指揮艦と年若い部下達。港は掃海してあったはずだった。
読了日:08月09日 著者:ダグラス・リーマン
国王陛下のUボート (ハヤカワ文庫 NV (396))国王陛下のUボート (ハヤカワ文庫 NV (396))感想
なんと、英国軍艦Uボートである。とりあえず今回の据え膳、死んだ親友の妻ゲールがダメだ。地中海で夫の指揮する潜水艦が消息を絶つ。おそらくは機雷。後から帰還したマーシャルが弔問に訪れた時にはすでに再婚して転居済み、相手はエリート士官のシメオン中佐。それなのにマーシャルを呼びつけて、死んだ夫ビルと結婚したのはマーシャルが結婚してくれなかったから、今も私、あなたが好きなの。でも私は家庭が欲しかったのよ。それってそんなに悪いこと?だから今の夫と結婚したの。でもあなたがその気なら・・・・って、なんだこの女?
読了日:08月06日 著者:ダグラス・リーマン

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