2022年4月24日日曜日

とにかく本が読みたい。


はっと気がついたら、今年の第一四半期は終わっていた。ココまでに読んだ本。
✓ 柴田よしき     『聖なる黒夜』上・下/『私立探偵・麻生龍太郎』
✓ P・D・ジェイムズ『死の味』上・下/『女の顔を覆え』
✓ ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ』全6冊
        『タッカー&エリオット(フェア)シリーズ』全3冊
        『サム&ジェイソン(マーダーズ)シリーズ』全5冊
✓ その他のMM 『イングランドを想え』
✓ ジョセフ・ノックス『エイダン・ウェイツシリーズ』 全3冊
✓ テメレア戦記1 上・下 
✓ ワニ町『ハートに火を付けないで』
✓ 東江さんの翻訳作品『ハイラム・ホリデーの大冒険』上・下
✓ アンドリュー・ヴァクス『グッドパンジイ』
以上30冊。番外で、『囀る鳥は羽ばたかない』他、多数。

以下は速やかに読みたい本。
 ✓ アンドリュー・ヴァクスの未読3冊。『嘘の裏側』『鷹の羽音』『バッドマン 究極の悪』
 ✓ 積んでるディーヴァー5作10冊
 ✓ ザ・プロフェッサー〜最後の審判   4冊
 ✓ コールド・コールド・グラウンド
           〜レイン・ドッグズ 5冊
 ✓ 天使と嘘
   上・下
 ✓ 天使の傷   上・下
 ✓ 生か、死か  上・下
 ✓ 夜に生きる  上・下
 ✓ ストーンサークル/ブラックサマー  2冊
 ✓ 自由研究には向かない殺人
 ✓ テメレア戦記2,3,4・・・
 ✓ J・ハーヴェイ 血と肉を分けた者
 ✓ 柴田よしき RIKOシリーズ 3冊
 ✓ ハナちゃんシリーズ 5冊
 ✓ 所轄刑事・麻生龍太郎


2022年4月23日土曜日

0341 私立探偵・麻生龍太郎 (角川文庫)

書 名 「私立探偵・麻生龍太郎」著 者 柴田 よしき         
出 版 角川書店 2011年9月
単行本 464ページ
初 読 2022年4月23日
ISBN-10 4043428103
ISBN-13 978-4043428106

 位置づけ的には、RIKOシリーズのスピンオフ『聖なる黒夜』のさらにスピンオフ? 時系列的には、『聖黒』からRIKOシリーズにつながる隙間をつなぐ本書。
 山内練にまつわる冤罪事件(世田谷事件)の情報を追っていることを内々に咎められ、外勤(交番つまり制服組)への異動の内示をうけた麻生龍太郎が、警察を辞職し、私立探偵事務所を開いたところから、麻生が、“こちら側に戻ってこい”と懇願する山内練が、ついに裏社会で生きる(春日組の杯を受ける)ことを決めるまで。

 春日の杯は、練にとっては、麻生の前に置いた大きな踏み絵だっただろうな、と思う。条件付きの自分ではなく、過去も現在もひっくるめた俺の全てを受け入れてほしい。冤罪で人生を破壊された可哀想な俺、ではなく、それも込みで清濁合わせた今の俺は受け入れられないのか、という練の心の声が聞こえてきそう。悪い夢で済ませるには練の過ごしてきた10年間は重すぎるしリアル過ぎる。麻生がきれいさっぱり忘れていた間の練は、韮崎が生かしていたのだ。世の中の暗い面は確かに存在するし、その中でしか生きていけない連中も確かに存在する。正義とか罪は社会秩序を維持するためのシステムでしかないし、すでにそのシステムに裏切られている練の立場では、いまさらそれに自己の存在を委ねる気にはなれないのも道理だ。
 あくまでも社会システムの内側で「正しく」生きていこうとし、その生き方を練と共有したい麻生と、麻生を好きでいながら、そのシステムの内側にはもはや入れないと思い定めている練と、それぞれの揺らぎの書である。

1 OUR HOUSE
 開設間もない麻生の探偵事務所(兼ねぐら)に、いかにも良家のマダム風の美しい女性が調査の依頼に訪れる。依頼内容は子どものころに埋めた「タイムカプセル」を探すこと。なんとも牧歌的な依頼にもかかわらず、不穏な胸騒ぎを感じる麻生。しかして「タイムカプセル」の捜索は、恵まれない幼少期を過ごした一人の女性の、復讐の最初の一投だったのか。
 一連の「韮崎殺人事件」で警察に逮捕拘留されていた練は、捜査二課の梶原からの執拗な取り調べも躱し(?)、銃刀法違反+経済犯で数ヶ月の実刑となった模様だが、判決がでるまでの拘留期間を差し引くとさして日数も残らなかったため、小菅(東京拘置所) から釈放されてきた。練は「出迎えにもこなかった」麻生に不満げ。麻生も、練の更生を願ってるなら、ちゃんと釈放のスケジュールを確認して迎えに行ってやりゃあいいのに。世田谷事件からなにも学んでいない麻生に(怒)。  

2  TEACH YOUR CHILDREN
 依頼者の男は、私立女子中学校の校長。半年ほど自分の学校に勤めた女性教諭から、身に覚えのない「セクハラ」の訴えを起こされていた。私はいったいなぜ、これほど彼女に恨まれているのか、という依頼者の問い。麻生が調査して判明した事実、そしてあえて余韻の中で語られない依頼者の虚像と実像。

3  DERJA VE
 うっかり風邪をひいて、近所の薬局の世話になった麻生は、その薬局でバイトする薬剤師の青年にデジャブを覚える。当の青年も麻生と会ったことがあるというが、お互いに思い出せない。横浜で女性が死体で発見され、その青年が重要参考人として手配される予定であることを麻生は知るが、どうしても彼が殺人犯だと思えない麻生が動き出す。

4  CARRY ON
 「麻生さん、あんたなんで警察辞めたのさ。あいつの為でしょ?・・・・だったらさあ。あいつが本物のヤクザになろうがどうしようが、とことんあいつの為に生きるっていってやればいいじゃん。あんたがそう言えば、あいつ、あっさり指なんか落としてさ、あんたと二人、どっか海外にでも飛んで死ぬまでのんびり暮らす決心、すると思うんだよね。・・・・」 田村、ホントそうだよ、良いこと言うよな。練に故郷を取り戻してやりたい、という麻生の言い分もずいぶんと自己満足、手前勝手だが、それも田村に看破されている。練ちゃん、ほんとうになんでこんなダメ男に惚れちゃったんだか・・・・ 
 だが、麻生の真のこだわりポイントはそこではなかったんだな。練を陥れた真犯人を挙げる。その為には、たとえ練のためだろうが二人で海外逃亡するわけにはいかないわけだ。 

5  Eplogue
 巻末解説の高殿円氏の言葉を借りれば、「永遠の加害者」である麻生と「永遠の被害者」である練。二人の間のごちゃごちゃしためんどうくささをいったんうっちゃって、自分に正直に、とは本書冒頭の麻生の弁であるが、それなのに、麻生は「永遠の加害者」ポジションを捨てようとはしない。練に正しい生き方に戻れ、と言い続ける限り、麻生は加害者であり、練は被害者なのだ。かつての韮崎の恋人達のように、相手のあり方も含め全存在を愛するとは言えない麻生の弱さと、そんな麻生を愛する練の無情感がたまらないラスト。麻生から傘をもぎ取って練は雨の中を歩き出す。愛車のカウンタックは路肩に置いたまま。麻生は雨の中を歩む練も、(いつか練が戻ってくる)練の愛車も後に走り去ったのだろうか。それとも、雨の中、練を待ち続けたのだろうか。私は後者であることを願う。


 

2022年4月21日木曜日

0340 聖なる黒夜 下(角川文庫)

書 名 「聖なる黒夜 下」
著 者 柴田よしき       
出 版 角川書店 2006年10月
文 庫 591ページ
初 読 2022年4月17日
ISBN-10 404342809X
ISBN-13 978-4043428090

 練が愛おしい。とにかく、愛おしい。むねを掻きむしりたくなるくらいに。そして麻生がウザいのだ。なんだよこのナルシストめ!そして、麻生も及川も、麻生の同期の山背も、どいつもこいつも話しすぎだ。いい年した男どもがぺらぺらペラペラと紙が燃えるみたいにしゃべりやがって、「沈黙は金」ってのを知らねえのかよ!・・・・と、つい練ちゃんみたいなべらんめえ調になる。出てくる男どもがどうにもお喋りで、女々しくて、いやなの〜!基本黙って行動する練ちゃん意外、全員ウザい!!!・・・・でも、面白かったです。滅法面白かったです。当然、RIKOシリーズも、私立探偵、も所轄刑事も、園長探偵も読みますとも。

 しゃべりすぎ、ってのは脇に置いておいて、ラストで麻生と及川が協力して練を追う、この疾走感は良い。なんだかんだで、及川も良い奴なんだよなあ。なんで練ちゃんも及川もあんなのに惚れるんだろうなあ。そして、最後に韮崎の復讐を遂げようとする練が、犯人の女に示す優しさで、また、胸が締め付けられる。練の悲劇、不安定さ、情の深さ、能力の高さ、鋭利な感性、極めつけの不運。人間の人生が、崩れるなんてほんのちいさなきっかけがあればよい。そして墜ちた人間であっても、人間である以上、もがいて生きつづけようとし、その足掻きがさらに、周囲に波紋を及ぼさずにはいられない。
 ストーリー的には、偶然に偶然が重なり、出来すぎと感じないでもない。でも良い。練に出会えたのだから。

時系列(全体)
 1985年夏    世田谷事件(練が麻生に逮捕される。)
 1986年4月  練・府中刑務所で服役中
 1986年7月    〃
 1986年10月   覚醒剤中毒者による小学生刺殺事件
 1987年4月  練・仮釈放
 1987年8月  練・武蔵小金井の保護司の元を飛び出して新宿に。
 1988年     田村出所

 1989年2月15日早朝  鉄道自殺を試みた練が韮崎に拾われる。
 1989年2月15日早朝  同日、調子が悪かったため韮崎が乗り捨てた車を運転した部下が飛び
        出してきた赤ん坊(真子)を抱いた母親(望月路子)をはねる。

 1989年5月    韮崎の弁護士が交通事故の示談工作。
 1989年7月    覚醒剤中毒の男に子どもを殺された女が、武藤と韮崎が同席していたところを
        拳銃で襲う事件発生。
 1989年9月    練は韮崎の住まいに居候している。
 1989年9月       北村が殺害される。
 1992年    北村の納骨
 1995年10月     韮崎がホテルで他殺体で発見される。

登場人物(上巻)
麻生龍太郎 本庁捜査一課(殺人課)の警部。妻に逃げられたヤモメ男。
及川純   本庁捜査四課(対暴課)の警部 麻生の大学時代(剣道部)の先輩。
      オシャレで潔癖症のゲイ。
宮島静香  麻生の部下。捜査一課の紅一点。 
山背(山さん)   麻生の部下 、主任。
相川    麻生の部下 
山下    麻生の部下 
有田(キンちゃん) 麻生の部下 
茂田(シゲ) 麻生の部下
榎本一郎  現・町田署捜査二課長。元世田谷署。 
川口孝吉  現・柴又署捜査一課長。麻生の以前の同僚。
 
韮崎誠一  被害者 ヤクザ 関東連合春日組のNo.2。
山内 練  韮崎の恋人、兼 企業舎弟(パートナー) イースト興業社長。
      東工大の元大学院生で修士課程修了間際の頃、婦女暴行と強姦未遂で麻生に
      逮捕された。
      一度は自供したものの、裁判で無罪を主張し、有罪・実刑判決となった。
      その後、底辺を這うような経緯ののち、鉄道自殺しようとしたところを 
      韮崎に助けられる。
長谷川環  練の秘書。
金村皐月(芸名 久遠さつき) 元ジャズシンガー 韮崎の女No.1 
      一時期、韮崎から練を預かっていた。
野添奈美  内科の開業医 韮崎の女No.2
皆川幸子(芸名 篠原ゆき)  元アイドル歌手 韮崎の女No.3
      恋人がいて、韮崎が殺されたホテルで愛人と密会していた。
生田咲子  元アイドル歌手 韮崎の女No.4
      韮崎とホテルにチェックインした女。
江川達也  韮崎の男娼。東中野で囲われていた。

塚原富子  代々木五丁目あたりの下町のおばちゃん。
望月路子  赤ん坊(真子)を韮崎に轢き殺された女性。韮崎に裁判を仕掛けていた。
      夫の死後、保険金を持って行方がしれなくなった。
高山春子  新宿のデパートのブティックの店員。(=望月路子)
須山知美  高山春子が務めるブティックの店長

新藤洋次郎 高安法律事務所弁護士。春日組側

藤浦勝人  練の世田谷事件の際の国選弁護人
香田雛子  練の姉 
田村             練の府中刑務所での同房  武藤組
北村    同上 湯川組若頭(春日組と対立)、稲村芸能オーナー、韮崎に殺された 
伊藤、尾花、井野、宮田、高岡  練の府中刑務所での同房 
諏訪    春日組若頭 組長春日の娘婿

岩下圭吾  練の従兄弟 

登場人物(下巻追加)

神田陽子  北村の娘。准看護師 
黒田百合  ススキノのソープ嬢。江川達也の元ガールフレンド 
井野美雪  新宿署捜査一課の新人刑事 
植田陽介  神崎組のナンバー3
川上    韮崎の子分。
瀬尾良恵  覚醒剤中毒の男に小学生の娘を殺されて、復讐にでた女性。
梶原    警視庁捜査二課の刑事。麻生の同期
小山内槙  麻生の恋人。
槙原要介  瀬尾良恵の娘と一緒に犠牲になった小学生


 

2022年4月17日日曜日

0339 聖なる黒夜 上(角川文庫)

書 名 「聖なる黒夜 上」
著 者 柴田よしき       
出 版 角川書店 2006年10月
文 庫 668ページ
初 読 2022年4月17日
ISBN-10 4043428081
ISBN-13 978-4043428083

『囀る鳥は羽ばたかない』つながりで、読み友さんからおすすめされた。たしかに、ほとんど同じ世界観で読める。てか、『囀る鳥』のベースになってるのが『聖黒』なのか。
 韮崎が三角さんで、山内が矢代のイメージでほぼほぼいける。まあ、文字を読んでイメージをふくらませるのが小説読みの楽しみなのだから、お手軽に他の作品のイメージを拝借するのは邪道なので、ここは韮崎は韮崎だし、山内は山内で、自分の中にイメージを作っていったほうが良い、とは思う。それにしてもこの話。新宿、府中、武蔵小金井・・・・と土地勘ありすぎてやたらとリアル。しかもその描写に違和感がないのが有り難い。

 で、もってだ。「感謝する」!!!!そうくるか。麻生さんよ。そりゃあそれしかないよね、ベストアンサーだよね。
 山内だって泣くよ。ページめくったらこれだもん、まさかページの切れ目まで計算してたのか?!

 さて、これはヤクザ小説なのか、警察小説なのか、はたまた・・・・?

 人間関係の錯綜ぶりがすごいです。
 麻生−及川の関係性
 麻生の家庭問題
 麻生の恋愛関係(槙の過去?)
 世田谷事件関係・山内兄関係?
 韮崎が起こした過去の交通事故関係
 韮崎が殺した(?)北村の関係
 山内と韮崎
 長谷川環
 韮崎の愛人
 ・・・

 上巻だけで、でてくる線はこれくらいか?いやあ絡まる絡まる。きちんとメモしていかないと途中で訳わかんなくなります。
 ざっとあらすじを押さえると、
① ヤクザの大物、韮崎誠一が新宿の一流ホテルで殺害され、その捜査に、警視庁捜査一課(殺人課)の麻生と、捜査四課(マル暴)の及川があたることになる。この二人は過去に公私にわたる因縁がある。
② 殺された韮崎には男女の愛人がいたが、そのうちの一人で企業舎弟でもある山内練は、かつて麻生が扱った傷害強姦未遂事件の犯人として実刑判決を受け、裏社会に堕ちた人間だった。
③ 韮崎の殺害関係は怨恨によるものである可能性が高いが、その線の捜査は難航。
④ 韮崎が過去に起こした事件(一般人を巻き込んだ交通事故、その他の殺人事件も)も絡んでいそうな。
⑤ 麻生が山内と関わる中で、かつての事件(世田谷事件)は冤罪だったという可能性が浮上。
⑥ 韮崎と関係の深い赤坂のクラブのライターを握りしめたホステス(?)が黒焦げ焼死体で発見される。
⑦ 山内は韮崎が殺した可能性のある北村の娘の存在を提示。
⑧ 新宿署から逃げ出したおばちゃんはいまだ発見されず。

上巻ではここまで。

登場人物が非常に入り組んでいるので、登場人物一覧表と時系列を作ってみた。
しかし、登場人物一覧だけでも、ネタバレ臭が漂うので、これからわくわく読書を楽しみたいかたは、これ以下はご覧にならないほうが良し。

時系列(韮崎殺害の当日)
 午後3時頃—————韮崎が女連れでホテル・グランクレール東京にチェックイン
           (女の身元は後の捜査で判明)
 午後6時頃—————韮崎が組事務所を出る
 午後7時過ぎ————赤坂の料亭「司」に入る。武藤組組長・幹部と会食
 午後9時半頃————「司」をでて、六本木のクラブ「華座」に向かう。山内と落ち合う。
  (30分程度)
       ————山内のマンションに向かう。(裏付けはなし)

 午後11時50分——ホテルに戻る。
 午後11時55分——内線電話を使用。

時系列(全体)
 1985年夏    世田谷事件(練が麻生に逮捕される。)
 1986年4月  練・府中刑務所で服役中
 1986年7月    〃 
 1987年4月  練・仮釈放
 1987年8月  練・武蔵小金井の保護司の元を飛び出して新宿に。
 1988年     田村出所

 1989年2月  練が韮崎に拾われる。

 1989年5月  これよし少し前に路子が子どもを抱いて韮崎の車の前に飛び出してはねられる。
        子どもが死亡し、韮崎の弁護士が示談工作。
 1989年9月       練は韮崎の住まいに居候している。
 1995年10月     韮崎がホテルで他殺体で発見される。



 

登場人物
麻生龍太郎 本庁捜査一課(殺人課)の警部。妻に逃げられたヤモメ男。

及川    本庁捜査四課(対暴課)の警部 麻生の大学時代(剣道部)の先輩。
       オシャレで潔癖症のゲイ。
宮島静香  麻生の部下。捜査一課の紅一点。 
山背(山さん)   麻生の部下 
相川    麻生の部下 
山下    麻生の部下 
有田(キンちゃん) 麻生の部下 
茂田(シゲ) 麻生の部下
榎本一郎  現・町田署捜査二課長。元世田谷署 
川口孝吉  現・柴又署捜査一課長。麻生の以前の同僚。
 
韮崎誠一  被害者 ヤクザ 関東連合春日組のNo.2。

山内 練  韮崎の恋人、件企業舎弟(パートナー) イースト興業社長
      東工大の元大学院生で卒業間際の頃、婦女暴行と強姦未遂で麻生に逮捕された。
      一度は自供したものの、裁判で無罪を主張し、有罪・実刑判決となった。
      その後、底辺を這うような経緯ののち、鉄道自殺しようとしたところを 
      韮崎に助けられる。
長谷川環  練の秘書。謎の過去の女。練に金で縛られているらしい。

金村皐月(芸名 久遠さつき) 元ジャズシンガー 韮崎の女No.1 
      一時期、韮崎から練を預かっていた。
野添奈美  内科の開業医 韮崎の女No.2 アリバイあり。
皆川幸子(芸名 篠原ゆき)  元アイドル歌手 韮崎の女No.3
      恋人がいて、韮崎が殺されたホテルで愛人と密会していた。
生田咲子  元アイドル歌手 韮崎の女No.4
      韮崎とホテルにチェックインした女。

江川達也  韮崎の男娼 東中野で囲われている。
黒田ゆり  ススキノのソープ嬢。江川達也の元カノ 
      韮崎の目を盗んで江川達也が付き合っていたため、売り飛ばされた。

塚原富子  東新宿(?)の下町のおばちゃん。
望月路子  赤ん坊(真子)を韮崎に轢き殺された女性。韮崎に裁判を仕掛けていた。
      夫の死後、保険金を持って行方がしれなくなった。
高山春子  新宿のデパートのブティックの店員。(=望月路子)
春子と喫茶店であっていた品のない女 
須山知美  高山春子が務めるブティックの店長

新藤洋次郎 高安法律事務所弁護士。春日組側   


槙     麻生の恋人。過去は謎。

藤浦勝人  練の世田谷事件の際の国選弁護人
香田雛子  練の姉 
田村             錬の府中刑務所での同房  武藤組
北村    同上 湯川組若頭(春日組と対立)、稲村芸能オーナー、韮崎に殺された 
伊藤、尾花、井野、宮田、高岡  錬の府中刑務所での同房 
諏訪    春日組若頭 組長春日の娘婿

岩下圭吾  錬の従兄弟 


 

2022年4月2日土曜日

番外 囀る鳥は羽ばたかない1巻〜7巻(以下連載中)

 3〜4月にはまったコミックがこちら。ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』
 BLのレーベルだけど、内容的にはどうなんだろう。“ボーイズ・ラブ”というとつい、青くて甘美なのとか、背徳的でエッチなのとかのイメージ(←個人的思い込み)抱いてしまうのだが、これは、どっちかってーとそーいう話ではない。ヤクザと暴力とセックス。

 私はこういう設定の話は仕事柄、児童虐待の文脈で捉えてしまいがちなのだが、2巻で襲撃されて死にかけている矢代の

「俺は 全部受け入れて生きてきた
 何の憂いもない 誰のせいにもしていない
 俺の人生は誰かのせいであってはならない」
 
という静かな矜持にはひどく心を打たれた。

 色ごとの描写は暴力的でガツガツしていて、あまり艶っぽくはない。基本セックスというよりは暴力描写だし、まともに愛し合っているわけではないのだから、色っぽくなくても当たり前だ。一方で愛があるはずの百目鬼のセックスは、優しくはあるが一方的で、とても残酷でもある。愛情を口にしながらも強制的で矢代の抵抗は歯が立たず、矢代にとっては継父によるレイプの記憶を呼び起こす。本能的に恐怖と吐き気を催しても、百目鬼がそれを気にかけることはない。
 矢代にとっては、暗黙のルールと性欲処理にすぎないという「限度」がはっきりしたセックスがよほど安心なのだろうと思う。見ようによっては、百目鬼のセックスはほとんどレイプだ。愛があれば良いというわけではないのだが、若い百目鬼は心酔する矢代を失いたくないあまり暴走してしまう。

 開けてはいけない記憶の扉が開き、矢代は自分を守るために百目鬼を捨てざるを得ない。百目鬼をカタギの世界に返す、というのも理由の一つではあるかもしれないが、そちらは表面的なものでしかない。

 6巻で、抗争を偽装した三角の傘下における矢代排除の企みはひと段落し、矢代の所属した組は潰されるが、矢代は生き残る。そして、4年後。7巻は三角と盃を交わした子分であることは変わらぬながら、組を持たない裏カジノ経営者に収まった矢代が、百目鬼と再会して動き出す。4年の間に、研ぎ澄まされた刃物のようになった百目鬼は、矢代をどのように愛するのだろうか。この二人がどのように落とし前を付けるのか、現在進行中の連載からも目が離せない。


2022年4月1日金曜日

2022年3月の読書メーター および3月31〜4月1日の雑感など



 4月1日から、新しい職場および業務に異動。5年前にやっていた仕事と業務内容とダイレクトリンクした。そしたら、記憶も5年前にダイレクトリンクしちまって、この4年間(正確には3年+1年)やっていた仕事が忘却の彼方に押しやられてしまった。新しい職場で会った人に自己紹介しようとしたら、(3月31日までの)現職の職場の名前も仕事もどうしても思い出せない。頭の中のどこにも記憶がなくて、いや、焦ったね。(数秒で復活したけど。)

 職場の周辺に書店がないのが寂しいが、飯田橋、そして神保町には近くなった。古本まつりとか、東京創元社の夏の本まつりにも、仕事帰りに寄れそうで嬉しい。あと1年働いたら早期退職しようと本気で考えていたが、もうすこし職業寿命も伸びるかも知れない。ついでに読書寿命も伸びると嬉しい。まずは体調を整えるところからだな。英語の勉強も心を新たに始めたいと思う。

 3月に読んだ本は実質P.D.ジェイムズのダルグリッシュ警視3冊のみ。あとは追いかけている新刊コミックス3冊と、3月後半はヨネダコウの『囀る鳥は羽ばたかない』に溺れた。これについては別途。


3月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1838
ナイス数:976


幼女戦記 (24) (角川コミックス・エース)の感想
暫く無沙汰すると書いた舌の根も・・・、もといインクも乾かぬうちに、登録しますよ〜。残業帰りの電車の中で読了です。デグさん、南方大陸で辛くも勝利。ロメールと分かれて向かう先は、冬季の東部戦線だろうなぁ。
読了日:03月26日 著者:東條 チカ


囀る鳥は羽ばたかない 1-7巻 新品セット囀る鳥は羽ばたかない 1-7巻 新品セット感想
1、2巻はKindleアンリミで。残りは7巻まで衝動で。ヤクザの抗争、情愛、暴力、嫉妬、虐待。そして、愛。ヤクザの若頭、矢代はネコでドMで淫乱で、暴力で感じる幹部連中の“公衆便所”。だれがどう見ても変態だが、部下は彼を慕い、上司には可愛がられ、それがやっかみを生む。歪みきった自分自身をそこそこに御しているのだが、自分の中には底知れない恐怖がある。百目鬼の純で真面目な愛情は、その内側を晒けだしにくる。グロいしエロいのに、エモい。矢代と百目鬼の行き着く先を見たい。とても残酷なことになりそうだが。
読了日:03月21日 著者:ヨネダ コウ

女の顔を覆え (ハヤカワ・ミステリ 1281)女の顔を覆え (ハヤカワ・ミステリ 1281)感想
ダルグリッシュシリーズ第一作目は1962年の作品で、大戦の記憶がまだ生々しい時代。女性に求める貞操観念もやや大時代的。そんな時代を背景に、ロンドン近郊の旧家で、使用人で未婚の母だった若い女性が殺される。ダルグリッシュはまだ警部。周辺の事件関係者の人物造形を書き込んでいって、謎に満ちた被害者の人物像を浮き上がらせていく手法はすでに確立されているが、ダルグリッシュは露出少なめで、どちらかというと狂言回しに近い。ラストは関係者を書斎に集めて半円に並べた椅子に座らせて、犯人探し!これぞ英国ミステリな展開。
読了日:03月18日 著者:P.D.ジェイムズ

雨柳堂夢咄 其ノ十二 (朝日コミック文庫)雨柳堂夢咄 其ノ十二 (朝日コミック文庫)感想
いつ読んでも、どこ読んでも変わらない蓮さんのシリーズ。愛おしく、少し淋しくて、人恋しい。家族が寝静まったしんとしているけど人の気配がする仄暗い深夜に、一人で本棚の前にただずんでいる気持ちに似ている。
読了日:03月15日 著者:波津 彬子

Veil (4)透明な火傷 (リュエルコミックス)Veil (4)透明な火傷 (リュエルコミックス)感想
彼女、だんだん幼児っぽくなってない?彼氏の方は、大我慢大会状態。ちょっと、いやかなり、切なくなってきたぞ。もー、はやく一緒にベッドに入っちゃえよ。お前たち、大人になっちゃえよ、もう、お風呂場なんて拷問でしょ、アレ。やれやれ、今作もとても素敵でした。
読了日:03月10日 著者:コテリ

死の味〔新版〕 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 シ 1-19)死の味〔新版〕 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫 シ 1-19)感想
下巻に入ってもダルグリッシュはスーパーヒーローではない。むしろ普通の人であるが、矯めにも耐える柔軟で強靭な精神性に心ひかれる。事件の真相にあまり意外性はないが、被害者のベロウン卿が、悩める普通の人間であったことに安堵を覚える。犯人が推定されてからの急な展開の方がむしろ意外だ。自らを狂気に追い詰めていく犯人の描写は空恐ろしい。ただひとつ思ったのは、ベロウン卿が愛人に安らぎを求めつつ、偶然出会った女性にも憩っていたこと。これはやはり不実ではないのか。彼に愛を捧げた女性を痛ましく思った。
読了日:03月09日 著者:P・D・ジェイムズ

死の味〔新版〕 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)死の味〔新版〕 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
アダム・ダルグリッシュシリーズ、文庫新版。原作は1986年、まだ携帯電話はない。政界や上流階級の取扱いに注意を要する重大事件の専門チームを結成したばかりのダルグリッシュ警視長が陣頭指揮をとって、閣僚級政治家の不審死を追う。上巻はまだまだ風呂敷が広くなるばかり。章を追うごとに関係者が増え続け、秘密の多かった被害者(辞任した閣僚で、若手有望株の保守党議員)の私的生活はまだ謎に包まれたまま。ダルグリッシュの捜査にあたる態度は冷徹にも見えるが、彼の過去や成熟した人間味や温情や心情がちらりと表現されてくすぐられる。
読了日:03月05日 著者:P・D・ジェイムズ

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