著 者 今野 敏
出 版 新潮社 2026年1月
単行本 344ページ
初 読 2026年1月18日
ISBN-10 4103002646
ISBN-13 978-4103002642
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/132855446
タイトルの「分水」。捜査の流れがはっきりと変わる地点があるってことかな、と思った。
事件が起きたのは古都鎌倉。数代続く保守政治家の自宅で起こった火事。実際には家の外塀が燃えるボヤだったが、場所が場所だけに、放火の疑いが濃い。「殿様」「若殿」とそれぞれ呼ばれる現職の政権与党議員父子に、地元警察は忖度しまくり、政治家に取り入りたい本庁八島まで事件に食いついてくる。
そんななか、媚びない竜崎は、政治家のゴキゲンとりに腐心する周囲に辟易しつつもマイペースであるのだが、そんな「忖度しない」態度が返って殿様に気に入られてしまうのがちょっとおかしい。
真新しいこととしたら、サイバー犯罪捜査課のサイバー捜査官が捜査本部に参加したこと。能力的にはホワイトハッカー。事件に群がるユーチューバーやら、市民記者やらをコントロールするために捜査本部に招聘したが、最初はスマホ1台でことたりる、と涼しい顔をしていた人も、ノートPCがテーブルに乗ったあたりから、本領発揮。どんでん返しや謎解きはほとんどなく、どちらかというと緩やかな上り坂をゆるゆると登っていくような展開。ひたすら、地道な捜査を続けていくと、ほぐれていく事件。目星をつけて、さらに追跡し、証拠を固めて落とす。
絡んでくる有力政治家の家系と地縁はうざい八島をおだてて押しつける(笑)・・・にしても八島の勘違いも甚だしい自己過信と自信には、竜崎ではないが閉口する。こんなのが現実にいたらヤだなー、でも居そうだなーなどと思ってしまう。
でもって、竜崎は自分が知ってる最高に優秀だった上司の顔で脳内再現。いやああの人は本当に優秀だったよなー。あっという間に出世の階段を駆け上がっていった。(竜崎よりは、よほど人間味があったが(笑))
私がひいきにしている阿久津とのやりとりは、今回はそれほど面白いのは無かったかな。普通の上司と部下の会話であった。
毎度思うが組織に1人、竜崎が欲しい。今回も示唆が沢山。ごく軽い読み物で、数時間で読了。仕事に腐ってるときに丁度良い、ちょっとした清涼剤的な。

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